前記事 → 姿勢が悪いと首がまわらなくなります。環軸関節は、頸椎の回旋運動を完全にし、補正します。
図解 関節・運動器の機能解剖 上肢脊柱編 共同医書出版社 より引用します。
4-6 環椎後頭関節 |
4-6 環椎後頭関節では、屈曲ー伸展運動のみが可能である。
環椎後頭関節は、後頭顆と環椎(C1)の外側塊を結合している。
後頭顆は全方向に凸であり、その長軸は前内方に傾いている。前額断面では下外方を向く。
後頭顆の凸面は、環椎外側塊の上関節面(《関節窩》)の凹面に正確に対応していて、あたかも地球を手のひらで支えている巨大神アトラスのように頭蓋と脊椎を結合している。
《Sappeyによれば;環椎後頭関節の表面は球の一部であり、近接した後頭顆は頭部を形成し、関節窩は凹面をなす。また人間のこの関節は大きな可動性を有する鳥の頭のような独特な球関節を想像させる。》
しかしながら、ヒトにおいては、関節面の形態と方向性(と補助的制動組織であるそれらの靱帯)が運動を制限し、屈曲ー伸展のみを可能ならしめている。つまり、後頭骨という球の運動は、環椎関節面と、非常に強力な翼状靱帯により、スキー板のように誘導され制動される。
引用ここまで
ティーチングピラティス NAP Limited より引用します。
頸椎の屈曲と伸展
頭蓋骨の後頭顆と第1頸椎の間にある環椎後頭関節は、全範囲の約20°の運動を可能にしている。屈曲と伸展は、環椎外側塊の上の後頭顆の部分でわずかな回旋により起こる。完全な回旋は、環軸関節で生じる。
頸椎の側屈、回旋および分回し運動
環椎後頭関節における側屈では、後頭顆が環椎に対して動き、約8°の可動性を有している。軸椎は第3頸椎に対して側屈を行うため、環軸関節は特異的に側屈には関与しない。
頭蓋骨と第1頸椎での回旋では、可動域としては、中間位から始まり左右に約15°の動きを可能としている。頭部回転は、外側関節面と軸椎のわずかな凸面上で生じている。頭部回転運動中には、わずかに後方へ傾斜され、回旋運動も含まれる動きとなる。
分回し運動は、屈曲、伸展、側屈、回旋の複合運動であり、深層部と表層部の複数の頸部筋群が関与している。
引用ここまで
環椎後頭関節で屈曲と伸展の開始を探します。小さい運動のうなずき開始で、他の椎間関節の相対的な関与について確認します。頸部のどこでうなずいているか? ヒンジ(蝶番)をどこに置いているか?
構造的に何が起きていて、それぞれ異なるパターンになっているのか? 特に後頭下で何が起きているのか? うなずいたとき、下位後頭骨部が伸びているのはどちらでしょうか?
たくさんうなずきテストをしてください。小さく、大きくうなずいてください。感覚をつかみましょう。
……以上、おおまかな訳です(合っているかわかりませんが)。
- 準備段階 環椎後頭関節中間位(ほんの少し顎を引いたイメージ)。
- 吐く 頸椎部中間位(首を少し後ろに引くイメージ)。頸椎の生理的弯曲を保ち、過緊張させない。
- 吸う 環椎後頭関節屈曲の動き(うなずくように、さらに顎を引き、顔面をやや下向きにする)。このとき、首を前に倒さないように気をつける。10°程度のわずかな動き。
- 吐く 中間位に戻る(元の位置まで顎を上げる)。
- 吸う 環椎後頭関節伸展の動き(ほんの少し顎を上げて、顔を少し上に向ける)。10°程度のわずかな動き。
- 吐く 中間位に戻る(元の位置まで顎を下げる)。
- 繰り返す
環椎後頭関節 |
うなずき運動は、簡単そうに見えて、かなり難易度の高い動きです。滑らかな動きができるように、コツコツ練習を継続することが大切です。環椎後頭関節が整うと、首に無駄な力が入らないようになり、全身のバランスがよくなります。