陰陽 |
吉野裕子全集 第9巻 人文書院 224-225P より引用します。
森羅万象という言葉の通り、この宇宙間は無数の自然現象でみたされている。それらの大自然の現象には、天地、上下、寒暑、男女など、相対性原理が内在している。これらの相対は、相対するが故に、互いに深く影響し合い、交感して、交合し、新たなものを生じるのである。
易はこの象を数に還元して思考し、それによって宇宙における統一的原理を求めていくが、この象・数・理の方法の発見者が、原始の聖王、伏義とされているわけである。
易はこの相対的な象を、陽と陰の二元として捉え、陽をー、陰を--の記号で表現する。そうしてこの陰陽二元以前に存する原初唯一絶対の存在、「混沌」を、易は「太極」とするのである。
この太極から発生した陰陽二元は、相対的存在であって、そのもの自体に万物を発生させる力はない。ただ、陰陽が合するとき、はじめて生成が可能となる。
つまり万物発生の端緒は、陰陽二元の交合にあり、また宇宙間の万物は一瞬の間もその活動を停止せず、千変万化する。その変化は多岐にわたっても、そのなかに一定の秩序があって、それをはみ出すものではない。この原理は、陰陽二個の記号を用いて作図することにより、容易に説明することができる。
引用ここまで
五行 |
「陰陽五行」は「陰陽思想」と「五行思想」の二つが合わさってできた思想で、根本には「宇宙のあらゆる現象は生まれては消え、そして循環する」という考えがあります。
陰陽思想の元は古代中国の易学の考え方で、陰陽論・陰陽説ともいわれています。「すべての存在は相反する二つの性質を持つものの調和から成っている」とされます。その性質の積極的なものを「陽」とし、消極的なものを「陰」とします。
陰陽は善悪の概念とは全く違うものであり、陰陽のバランスの概念だということが重要です。
五行思想は中国古代の自然哲学の思想で、五行説ともいわれます。万物は五種類の元素からなり、その元素は一定の法則で互いに影響を与えあいながら、変化し、また循環しているという思想です。「五」は五つの元素、「行」は動く、めぐる、という意味となりますす。
五種類の元素は人間の生活に不可欠な「木・火・土・金・水」です。相手を強める影響を与える関係を「五行相性(ごぎょうそうしょう)」、相手を弱める影響を与える関係を「五行相剋(ごぎょうそうこく)」といいます。
強めるから良い、弱めるから悪いということではなく、バランスを問題とします。
身体操作は陰陽のバランスをとることが大切です。