頭部のバランスと脊柱 |
頭の重さは、4500~7000gくらいです。
環椎後頭関節が、頭蓋骨重心よりわずかに後方に位置すると姿勢保持筋が作用します。
頭蓋骨重心は環椎後頭関節よりわずか前方にあります。
このため、頸部(首)の緊張をゆるめないと、脊柱最上部に過度な負荷がかかります。
頭部前方位置姿勢といいます。
頭部前方位置姿勢と頭部後方位置姿勢 筋骨格のキネシオロジーより |
詳しい解説は、筋骨格のキネシオロジーに書いてあります。
頭部が正しく位置すると、脊柱が上下(二方向)に伸びます。
頭部の繊細なバランスを保つと、身体全体が伸びるのです。
首が解放されることで、深い呼吸ができます。
効率的に身体を使えるようになります。
習慣化している間違った意識の使い方をやめ、正しい意識の使い方を選択します。
ある刺激に対してこれまで通りの反応はしないということです。
代わりに、意識的に正しい支持を身体に与えます。
習慣化し定着してしまった無意識的な動作の書き換えです。
首の解放と関節の解放ができたら、楽に脊柱を伸展(後屈)する=反らすことができます。
楽に脊柱を後屈(バックベンド)できることが、心を解放できているひとつの指標です。
ただし、脊柱が伸展できるからといって、心が解放できているとは限りません。
心が解放できていれば、特別な練習をしなくても脊柱の伸展くらい楽々できます。
身体訓練のみで反れるようになった脊柱はボロボロ=不安定です。
意識の抑制と書き換えで反るようになった脊柱はタフ=安定です。
いつも塾生に語っていることですが、
「身体が楽に動いていない時点で、意識の使い方は何もかも間違っている」
のです。
身体が動かない人は、出さなくてもいい指示を身体に対して出します。
そして、自分の周りの人たちに対しても、出さなくてもいい指示を出します。
関節操作系の回路と対人関係調整系の回路の構造が同じだからです。
力づくで身体を動かす人は、力づくで他人を動かそうとします。
関節がボロボロな人の対人関係がボロボロな理由です。
見た目に暗いのと、ナルシシズム・うぬぼれが強烈なのが特徴です。
私の周りの身体の使い方がうまい人たちは、加藤諦三先生の言葉が大好きです(笑)。
間違った選択をした上で、忍耐力でがんばるといよいよ泥沼に陥る。忍耐力はいいことでも悪いことでもない。望ましい選択をしたときには望ましく、間違った選択をしたときには忍耐力は傷を深くするだけである。
自分を防衛している人はすぐムキになる。自分の神経症的自尊心が常に傷つく可能性があるからである。傷つきそうになるとムキになる。
劣等感が強ければ、人と親しくなるよりも、人から尊敬されることを求める。そして、常に相手に優越しようとするから人と親しくはなれない。
うつ病になるような人は相手を見ていない。自分の立派さを売り込むことに気を奪われて、相手を見ていない。
自己陶酔と自信との違いは何だろうか。
自信は周囲の人の同意を必要としない。
しかし、自己陶酔は周囲の人の同意を必要とする。
ナルシストは、周囲の人に「自分はすごいだろう」と同意を求めすぎるのである。
そして、それが得られないと、傷ついて不満になる。
神経症的傾向の強い大人は、「夢」を実現すれば、今抱えている問題が一気に解決すると思っている。
うぬぼれとは、現実に接していない本人の独りよがりである。ひとりで勝手にうぬぼれている。そしてうぬぼれが現実と接触したときに劣等感が生じる。劣等感に苦しんでいる人は、心の底のそのまた底で、うぬぼれている。
「実際の自分」を受け入れたときに、うぬぼれも劣等感も消える。
人の意見を聞かない人は、自分で自分の首を絞めている。
自分の描く愛情のイメージに相手をはめ込んでいく人がいる。自分が好意の押し売りをしていることに気がつかない。相手が求めている愛情の種類が分からない。
気分は外からくるものでも、内からくるものでもなく、そこにいる自分の行動によって決まってくるのである。
引用ここまで
身体操作が下手な人たちって、加藤先生の言葉を好まない傾向がある気がします。
普通に考えて、意識の抑制ができる人は上のような言葉が好きでしょうから当然と言えば当然だと思いますが(笑)。
ナルシシストは、正しい身体操作をすることはできないと思います。
なので、ナルシシズムの克服をテーマにするのが安心安全な道だと考えています。
そう。
頭部中立位姿勢とは、うぬぼれるのをやめるのと同時にとれる姿勢なのです。
うぬぼれている限り、頭の位置は永久に定まりません。