2023年11月29日水曜日

ジャンプ力を引き出す意識の仕方について

  メールで「ジャンプ力」についての質問がありました。

①脚の力で跳ぼうと思っても、そんなに跳べない。

②体幹(インナーコアユニット)を上手く使うと跳べる。

③スクワットのフォームのようになると跳べない。

④真っ直ぐに軸を保って弾むようにすると跳べる。

⑤上体を反らせて地面を蹴ると跳べない。

⑥上体を真っ直ぐにして地面を押す感じにすると跳べる。

⑦タイミングを合わせて、両腕を上方に振ると跳べる(広背筋の反射を使う)。

⑧膝を曲げて前もも(大腿四頭筋)で跳ぼうとすると跳べない。

⑨膝を曲げずにゆるめて、床反力を使ってお尻(臀筋)で跳ぶと跳べる。

⑩足裏全体を使って足底のバネで跳ぶと跳べる。

……文字にすると、こんな感じになるかと思います。

 遺伝的な身体能力以上に跳べるようにはなりませんが、潜在能力の範囲内での出力はここに書いたような意識をしていくと引き出せるかと思います。

2023年11月22日水曜日

他者の行為の意味を理解し、行為の背後にある意図を理解する。共感を実現する。

  人は、自分の能力を超えた動きを真似することはできません。理解することができないからです。当然、評価もできません。

 真似することができるようになるには、同程度の能力が必要になります。そっくりに真似することができたとしたら、理解ができるかもしれませんし、評価も可能になります。

ミラー・ニューロン より引用

ミラー・ニューロンの関与する機能として、多くの提案および支持する証拠が提出されている。

 例えば、サルを対象とした研究では、ミラー・ニューロンが自分と他者の行為を対応づけることから、他者の行為の意味を理解する機能を持つと提案された。

 また、サルを対象とした研究において、同じ行為でも目標の違いでミラー・ニューロンの活動が異なることから、行為の背後にある意図の理解に関与すると提案された。

 他者と心理状態を共有しうるポテンシャルから、ミラー・ニューロンは共感を実現すると提案された。これを支持する知見として、ヒト脳損傷研究から、下前頭回の損傷により表情からの情動認識が障害されることが報告されている。

 ヒトにおける機能的脳画像研究において、意図的模倣で下前頭回の活動が高まったことから、ミラー・ニューロンは模倣に関与すると提案された。

引用ここまで

ミラーニューロン

 防衛機制のひとつに「投影」があります。自分の嫌いなものを持つ人を嫌い、好ましくないものは抑圧して投影します。

 自分がもっている好きな側面を、相手も共通してもっていると感じる場合には、その人を好きになります。逆に、自分のもっている嫌いな側面を、相手も共通してもっていると、その人を嫌いになります。

 意識しないうちに、自分のもっている嫌な側面や受け入れたくない側面を、人がもっていると思い込み、その人を嫌うこともあります。とくに自分の中にある感情や欲望や資質が好ましいものでない場合には、それらを無意識に抑圧して投影することがあります。

 自分がムキになって相手を否定しているとき(嫌っているとき)、それは相手に投影した自分のもっている嫌いな面(それすら思い込みの可能性があります)を嫌っているに過ぎないのかもしれません。


 話を戻して、他者の行為の意味を理解し、行為の背後にある意図を理解することができないと、いろいろとうまくいかなくなりがちです。他者の行為を真似るということはとても大切なことだと思います。

2023年11月18日土曜日

「〜すべき」「〜しなければならない」という思考は過剰な筋緊張の元になりがちです。

 何か行動をおこすときに、マイルール(自分の中にあるルール)と照らし合わせて、それに沿っているかどうかにこだわることを「すべき思考」といいます。認知の歪みのひとつとしてよく知られています。

 物事に対して「~しなければならない」「~すべき」と思い込み、自分が「正しい」と考えている価値観にしたがって、自分の行動を決めている状態です。

 「~しなければならない」「~すべき」は「理性」であり、その反対にあるのは「〜したい」という「感情」です。

 「〜しなければならない」が頭で考えたものだとすれば、「〜したい」は心(ハート)で感じるものです。

 子供のように心赴くままに行動できずに、「〜すべき」「〜しなければならない」「〜した方が、世間からよく思われる」という基準で行動を選ぶことが多くなりすぎると認知が歪んでいき、生活が窮屈になり、生きづらさを感じるようになります。

 落ち込みやすい人の根底には,「〜しなければいけない」「うまくできなくてはいけない」という思考があります。

 「白か黒か?」「いいか悪いか?」の考えに固執した考えに陥るとグレーゾーンでは落ち着かなくなります。そうなると他者の考えはどうでもよくて押しつけになってしまいがちです。

 「〜しなければならない」「~すべき」思考はストレスを生み出して苛立ち=イライラをつくり出すことになります。自作自演でしかないのですが、被害者意識で相手が悪いような錯覚に陥ります。

 「〜したい」という思考で行動している楽しそうな人たちを見て、キレ散らかしている「〜すべき」という思考の人たちをたまに見かけると思いますが、自分で自分の首を締めているだけだということがわかります。

 自分の行いがその自己の価値基準に達していないと、気持ちが悪くなり、他の誰かがその基準から逸脱しているのを見ると、批判したくなります。自分自身が自分の基準に達していないときは恥ずかしさ(羞恥心や罪悪感など)を感じて死にたくなりますせ、他人が自分の価値基準から外れていると、苛立ち、怒り狂います。こじれると、相手を軽蔑したりしてしまいます。

 首や肩が固まっている筋緊張が強すぎる人を観察してみると、かなりの確率で「〜すべき」「〜でなければならない」という思考の牢獄に囚われているのがわかると思います。全然楽しそうに見えないはずです。 

 一方、「〜したい」という思考で、同じく「〜したい」という思考の人たちと仲良く何かをつくっている人たちは楽しそうに見えるはずです。完璧を求めず、不完全であることに満足しているからです。

 過緊張がないので一緒にいて楽です。価値観の押しつけがないので疲れません。

 興味がある人は認知行動療法で検索して、認知の歪みについて学んでみると面白いと思います。







2023年11月16日木曜日

理想化と価値剥奪(こき下ろし)~私は私。あなたはあなた。 私はあなたの期待に応えるために 生きているわけではない。あなたも私の期待に応えるために、この世にいるわけではない。

  質問があったので、「理想化と価値剥奪(こき下ろし)」について少し書いてみます。

 理想化とは、相手は自分の要求を何でも叶えてくれる素晴らしい人であると認識することで、価値剥奪とはそれまで理想化していた対象をこき下ろし罵声などを浴びせ相手の尊厳を傷つけるような行為を行なうことです。

 対人関係が「奴隷か敵か」となりがちで、相手を完全に支配して奴隷のようにするか、でなければ敵対してしまうかという感じで極端な状況になることが多くなります。他人を操作しようとする作為的な行動様式をとる場面も多くなるようです。

 なんか理想化されたかと思ったら、ある瞬間から激しく責められ、悪者扱いされて混乱してしまった経験がありませんか? こき下ろしからの誹謗中傷を聞かされた人たちから、酷い人認定されてしまったりとか。

 また、自分の中にあるネガティブな感情(否定的感情)を相手の中に投げ込んで投影してしまい、相手が怒っていると思ってしまう投影同一視も起こります。そうされた相手は訳がわからないので混乱します。自分が相手に嫉妬している時に、相手が自分に嫉妬しているように感じ、「あいつは俺に嫉妬している」と公言する人をたまに見かけるかと思います。

 話を戻して、「あなたは素晴らしい」と言って相手を理想化したかと思ったら、「お前なんて最低!」と言って両極端にその人への評価が振れるのは、相手を支配したいがための操作性のあらわれだと考えられています。

 自分を理解し愛情で包んでくれる人と理想化してみたところで、そんな理想的な人なんてこの世にいるわけもありません。自分のニーズを満たしてくれないときに極端に低評価になってしまうのもよくありがちなこととだと思います。他人との適度な距離がとれないと、依存と敵対の狭間に生きることになります。

 薬院校をやっていたとき、壁に貼っていた言葉があります。

Frederick Salomon Perls

ゲシュタルトの祈り(フレデリック・パールズ)

私は私のために生きる。

あなたはあなたのために生きる。

私は何もあなたの期待に応えるために、この世に生きているわけではない。

そして、あなたも私の期待に応えるために、この世にいるわけではない。

私は私。あなたはあなた。

でも、偶然が私たちを出会わせるなら、それは素敵なことだ。

たとえ出会えなくても、それもまた同じように素晴らしいことだ。

私とあなたで『私たち』、二人が一緒なら世界を変えてもいける。


 これらの言葉が「素敵な言葉だなあ」って感じれるかどうかなのだと思います。依存して、依存されてという関係は、実は親密な関係(健全な関係)ではありませんから。

 人間同士は、本来もっともっとずっと距離があって、自分の領域を大きく後退させて狭めて、必要な時にだけ、余裕のある分で関わり合うものです。

 相手と距離をとることを「敬意」といいます。距離をとったうえで相手に関心をもつことが肝要です。自他の区別=境界をしっかりととれる環境をつくることがいわゆる安全基地のあり方の基本なのではないかと思います。

 相手と距離がとれず、自他の区別を越えて関わってこられたり、逆に、自分自身が自他の区別を越えて相手を侵犯してしまったりというのは問題を生じがちです。自他の境界があいまいなので、「相手がわからず屋で話が通じない」「自分が何とかしないといけない」と考えてしまいがちになります。

 自他の境界があいまいになるが故の、自分の価値観の絶対化が起きたりもします。

 その結果、相手は、依存するか反発するかします。

 依存されると頑張って何とかしようとするし、反発されると怖くなって相手をこき下ろします。

 関わるところと関わらないところの区別、自分と他人の領域の区別をつけておかないと、感情が不安定になります。

 自他の境界をはっきりさせ敬意をもってお互いに尊重することができていれば、感謝の気持ちや思いやりが生まれてきます。そうしてはじめて、本当の意味での助け合いができるようになります。

 自他の境界がはっきりしていないと、「相手に過剰に期待し、それに応じてくれないとイライラして腹を立てたりして、恨むようになる」というしんどい生き方を選択することになります。

 12年前に「恨み(怨み)つらみ」をテーマにした出来事がありました。干支が1周まわったので「ゲシュタルトの祈り」をテーマにした素敵な出来事が起きるような気がしています。


 あ、この本、おすすめです。

愛着障害の克服 岡田尊司

身体の動きにくさと感覚統合。生活の質を保つためには、滑らかな運動機能が必要です。

 お灸&はり Rei-Zona(レイ・ゾーナ)の方々が入塾されたので、内容的に「身体を動かしやすくする」というテーマを扱うことが多くなりました。流れに乗るのが安部塾なので、11月~12月のワークショップで「身体の動きにくさと感覚統合」をやることにしました。生きるのがつらい人が、身体の動かしにくさを訴えることがよくあります。感覚の統合に時間をかけることで生きやすくなるようです。

■感覚統合

 「適切な行動をとるために感覚情報を処理したり組織化していくこと」

 私たちは、自身の身体の動きや状態がどうなっているのかを感じること、見ること、聞くこと、触れたり触られたりすることを感じることなどの様々な感覚を通して周囲の状況を知り、それに見合った動きを計画し行動しています。

 動きが正しければ続行し継続し、間違っていれば修正を加えて、環境に応じた行動を選択していきます。

 感覚情報を上手くまとめていくことを感覚統合といいます。

 感覚としては、主に以下の3つがあります

①前庭感覚

自分の身体の向きや動きを感じとる感覚(バランスなど)、目の動きにも関係しています

②固有感覚

自分の身体を思うように動かす情報を汲み取る(筋肉や関節にある)感覚

③触覚

触ったり触られたりすることで物や他者・環境を感じ取る感覚


 日常生活動作、手作業、運動バランス、姿勢保持、学習効率などの生活の質を保つためには、滑らかな運動機能が必要です。

 人の運動には大きく分けて「粗大運動」と「微細運動」の2つがあります。

①粗大運動

感覚器官からの情報をもとに、姿勢を保つことや移動することに関する運動

②微細運動

感覚器官や粗大運動からの情報をもとに、小さな筋肉の調整が必要となる細かな運動

 協調運動に問題を生じると、自己肯定感の低下や自尊感情の低下などの情緒的な問題、

学習意欲の低下やいじめなどの行動的な問題、肥満などの身体的な問題など二次的な問題が発生しやすくなるようです。


 各地のワークショップで解説します。

☆東京ワークショップ

11月17・18・19日(金・土・日)→ 詳細  

 

☆大阪ワークショップ

11月23日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

11月24日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

11月25日(土)→ 詳細

 

新宮校ワークショップ(休日)

11月26日(日)→ 詳細

 

☆新宮校ワークショップ(平日)

11月27日(月) → 詳細

☆下関ワークショップ

12月2日(土)→ 詳細

 

 機能運動学大牟田サークル

12月3日(日) → 詳細 

2023年11月8日水曜日

美しい脚の動きに欠かせない縫工筋の作用

 縫工筋は、大腿前面の内側表層に位置し、骨盤の外側から膝の内側に向けて大腿四頭筋を横断するように走行する帯状の筋肉です(上前腸骨棘から脛骨粗面の内側に付着)。 人間の体のなかで最も長い筋肉で、股関節屈曲・外転・外旋と膝関節の屈曲に作用します。

右の縫工筋

 縫工筋は筋肉が二つの関節をまたいでいる二関節筋です。膝関節の作用としては曲げる動作と脛骨を内側に動かすとされ、膝関節の内側を支持すると考えられています。

 股関節の屈曲・外転・外旋、膝関節の屈曲・内旋の作用があるということになります。

 縫工筋を伸ばすには、股関節での大腿部の伸展、内転、内側回転が必要になります。

縫工筋のストレッチング

 レッスンやワークショップで使い方や整え方について解説します。

2023年11月7日火曜日

自由に回旋する胸椎は日常のさまざまな動きを楽にしてくれますし、見た目に美しい動きができるようになります。

 安部塾では、胸椎の回旋能力の向上に力を入れています。


胸椎の回旋

 イメージするのはこのあたり。

胸椎

 構造上、腰椎はほとんどねじれませんので、「腰をひねる」というのはあくまで感覚上のお話であって、現実的には「胸をまわす≒胸椎を軸に胸が左右に回旋する」というのが正解だと考えています。もちろん、股関節で回旋パワーを生み出すわけですが、その話はまたの機会に。

 胸椎が起点となる動きはたくさんあります。いわゆる「胸椎でリードする」というものです。下の動画は胸椎起点で手首のスナップで加速させている動きです。


 自由に回旋する胸椎は日常のさまざまな動きを楽にしてくれますし、見た目に美しい動きができるようになります。

 今日のKANON塾生講座は、胸椎の回旋やります。

2023年11月2日木曜日

締まった美しい足をつくる~長腓骨筋のはたらきを理解しましょう。

■長腓骨筋

 長腓骨筋は、下腿外側浅層を走行しています。

長腓骨筋の付着と走行

 長腓骨筋腱は外果(外くるぶし)の後方を通過して足底をまわりこむように、第一中足骨底と内側楔状骨に付着しています。

長腓骨筋の付着と走行

長腓骨筋の付着と走行

 触診するときは、足を外反させて(前足部の足底を外側に向ける感じ)長腓骨筋を収縮させます。外果後方で隆起しているのが長腓骨筋腱です。

 長腓骨筋は外側縦アーチと横アーチをサポートします。長腓骨筋が弱くなると、荷重が足底の外側に逃げやすくなります。足関節内反捻挫を起こしやすい人は、長腓骨筋が弱っているかもしれません。小指の付け根(第五中足骨頭部)にタコができてたら疑いが強いです。

 長腓骨筋をストレッチしたいときは、膝関節屈曲位で足と足関節を極端な内反及び背屈位にします。

 長腓骨筋を強くしたいときは、足関節を内反させた状態から外反させる動きを意識します。足の内縁(母趾側)を意識し、母趾球を転がすように歩くのも効果的です。

 ちなみに、横アーチがつぶれて破綻し開張足(扇形の足)になると、扁平足・回内足・外反母趾・内反小趾などをフルコンボという闇展開になりがちです。第2・第3中足骨頭部に胼胝(タコ)、鶏眼(うおのめ)、足趾の陥入爪・巻き爪なども併発したり……

 11月のワークショップで解説します。

飯塚ヨガワークショップ

11月3日(金)→ 詳細 

 

☆下関ワークショップ

14月4日(土)→ 詳細

 

 機能運動学大牟田サークル

11月5日(日) → 詳細 

  

☆東京ワークショップ

11月17・18・19日(金・土・日)→ 詳細  

 

☆大阪ワークショップ

11月23日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

11月24日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

11月25日(土)→ 詳細

 

新宮校ワークショップ(休日)

11月26日(日)→ 詳細

 

☆新宮校ワークショップ(平日)

11月27日(月) → 詳細