2022年9月30日金曜日

健康な人にみられる代償性の筋膜パターンと、不健康な人に見られる非代償性の筋膜パターン。

 

ジンクの筋膜パターン

「手技療法とオステオパシーにおけるトリガーポイントと筋肉連鎖(GAIABOOKS)31~32Pより

体性機能障害

 筋膜の緊張は受容体、血管、神経に影響を与えるため、機能障害の始まりになる。

新陳代謝異常

 緊張は間質内の循環を阻害するので組織の新陳代謝を妨げる。組織内での組織変化が感じられるようになる(トリガーポイント、膨隆、繊維症)。

筋膜の機能障害

 膨隆ができて気がつく。特に肩甲鎖骨三角、腋窩、鼠径部、膝窩、みぞおちといった特定のゾーンに膨隆ができやすい。

呼吸の変化

 筋筋膜が緊張すると、腹腔と胸腔内の平衡状態も圧力の比率も変わる。そのため、胸腔ポンプの機能が直接影響を受ける。

歪み

 平衡状態は安定性と可動性が折り合ったものであり、筋筋膜連鎖がそこでジェネレーターの役目を果たしている。偏った負荷や過負荷がかかると歪みや機能障害につながる。

筋膜のパターンの発生

 健康な人にも特定の筋膜のパターンが見られる。その原因はわかっていない(先天的または後天的)

 病気の症状がない人では筋膜の動きが交互になっている。

後頭骨・環椎・軸椎 右から左

頸胸移行部 左から右

胸腰移行部 右から左

腰仙移行部 左から右

 ジンクは症例の80%でこのパターンを発見した。残りの20%では筋膜の動きが反対になっていた。

 機能障害を抱えた人にはこのような筋膜の交互の動きが見られない。次の移行部でも筋筋膜の動きが同じことがわかる。

全身に及ぶ変化

 組織が緊張すると組織の血行が変わり、構造の機能を変化させる。機能と構造を損なう結果となる。

引用ここまで。


後頭骨・環椎・軸椎~頭部と頸部(首)

胸郭上口~頸部(首)と胸郭  

胸郭下口~胸郭と腰部     

腰仙部~腰部と骨盤部  

 健康な人に見られる代償性パターンがはたらいている人は、ストレスや病気、体の痛みに対しての耐性が強いとされます。

 逆に、不健康な人に見られる同方向のねじれがある非代償性のパターンの場合は補正ができません。ストレスや病気、体の痛みに対する耐性が弱く、疾患・症状につながりやすいとされています。呼吸や循環、内臓機能不全から体力が低下し、病気になりやすく、治りにくいとされます。

①関節の動きが悪い。②関節を動かすとひきつる。痛む。③むくむ、水がたまる。④肩こりや腰の痛みがある。

 闇雲に身体を鍛えたり、ストレッチングしても健康になりづらい場合、非代償性のパターンに陥っている可能性が高いと存じます。

 下関にて解説いたします。

☆下関ワークショップ

10月1日(日)→ 詳細

特定の運動パターンや外傷、負傷が筋膜面で記憶される。着たがる服で、筋膜の状態がわかる。

 

若く活動的な人の筋膜と、老いて非活動的な人の筋膜。

 「手技療法とオステオパシーにおけるトリガーポイントと筋肉連鎖(GAIABOOKS)31Pより

 筋膜は結合組織の一部である。結合組織はコラーゲン繊維、弾性繊維、細網繊維、筋細胞、骨組織、軟骨細胞を含み、繊維芽細胞、神経膠細胞、コラーゲン繊維、弾性繊維から形成されている。

 筋膜はすべての体細胞を覆って、全細胞を結びつけている。筋膜が身体を支え、形づくっている。

 これから説明する筋膜の機能は、英語ではPackaging,Protection,Posture,Passagewayで「4P]と呼ばれている

Packaging(包装機能)

 筋膜は身体の全構造を覆う。個々の構造を分けると同時に結びついている。その部位で抵抗力を持つ。抵抗力が筋膜の可動性の決め手となる。

Protection(保護機能)

 筋膜が全器官を覆いながら構造を支えて保護している。組織の密度が異なっていることで構造に抵抗力がつく。その部位で抵抗力が保たれ、筋膜の可動性の決め手となる。

Posture(支持機能)

 姿勢つまり平衡状態は運動器が定める。固有受容器は身体の筋膜構造の中に存在する。筋肉中の筋紡錘とゴルジ腱受容器、靭帯と関節包の中にあるパチニ小体とゴルジ小体は体位性のトーンを調整して、必要に応じて外部からの誘因による姿勢の変化に順応させる。その際には筋肉が活動して、筋膜が結びつける役割を果たす。

 自由神経終末や痛み受容体は筋膜に多数存在する。何人もの著者が組織の記憶機能を認めていて、特定の運動パターンや外傷、負傷が筋膜面で記憶されると推測している。

 結合組織は負傷のエネルギーを「エネルギー嚢子」の形で記憶する。この組織変化を施術者は感じ取って治療することが可能だ。

Passageway(通路機能)

 筋膜は神経、動脈、静脈、リンパ管のための通路をつくる。分泌管と排出管は結合組織から形成されている。したがって新陳代謝の全プロセスで筋膜は重要な役割を果たす。結合組織が臓器を形作り(肝臓、脳下垂体、副腎)、酵素とホルモンを含む小胞を作る(胆嚢、リンパ節)ので、筋膜の緊張は臓器の機能や新陳代謝に影響を与えることになる。

 生体のホメオスタシスが結合組織の状態に左右されるのは明らかである。

引用ここまで


 特定の運動パターンが筋膜で記憶されるわけですが、その人が着たがる服と筋膜の関係も観察することができます。

 筋膜の状態が良好な人は、体型がよくわかるパリッとした服を着たがりますし、着こなしもスマートです。色彩もバランスがよいものです。

 筋膜の状態がよくない人は、体型を隠すような服を着たがりますし、着こなしもダラッとしています。色彩も、いわゆる柄on柄だったりでバランスがよくありません。

 正しい指導に基づくエクササイズによって筋膜の状態がよくなると、服の好みが変わります。ただ鍛えただけだと、ピタピタ系のウエアを好むようになるので、違いがわかります。


10月の各地のワークショップで解説いたします。

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2022年9月29日木曜日

腰を守る~安定筋のはたらきを理解する。多裂筋と腹横筋の同時収縮のエクササイズ。

安定筋と動筋

ブラッド・ウオーカー ストレッチングと筋の解剖(南江堂)7Pより

 すべての骨格筋は安定筋と動筋である。それはその時、筋がどのように反応するかに応じた身体の動作と姿勢によって決まっている。

 安定筋は基本的に関節を安定させる。それらは持久性がある遅筋繊維でできており、姿勢の保持を補助する。それはさらに細分化され、主要な安定筋は関節の回旋軸付近にあり、関節の回旋軸付近にあり深部に付着します。二次的な安定筋は力強い筋で大きな力を吸収する能力があります。安定筋は重力に対して作用し時間とともに弱く、長くなっていく。例としては多裂筋、腹横筋(主要な安定筋)、そして大臀筋と大内転筋(二次的な安定筋)である。

 動筋は動作の主体を担う、それらはより浅層にあり安定筋より力強さには欠けるが、より大きな可動域を生み出す。それらは2つの関節を横断することが多く、持久性に欠けるが力強い速筋繊維でできている。動筋は素早い動きや、弾んだりする動きを補助し、強い力を生み出す。時間の経過や使用とともにそれらはより硬くなり短縮する。例としてはハムストリングス、梨状筋、菱形筋である。

 筋の基本的な活動であり、筋の両付着部が近づく短縮は、求心性収縮と呼ばれる。関節の動きが引き起こされるので、求心性収縮は動的収縮ともみなされる。例としては、物を持ち上腕二頭筋が求心性に収縮し、肘関節が屈曲し手が肩のほうへ動くような動作である。

 筋が伸びながら力を働かせている運動は遠心性収縮と考えられる。求心性収縮と同様に、関節の動きが生じるので動的収縮と見なされる。アクチンフィラメントは筋節の中心から遠くに引っ張られ、筋節を伸長する。

 動きを伴わずに筋が活動している時は、その長さはそのままであるが力は生み出されている。これは静的(等尺性)収縮として知られる。

引用ここまで


 安部塾では、腰椎を支持する安定筋である多裂筋と腹横筋と同時収縮(共収縮)させるエクササイズに時間をかけます。

①仰向け膝曲げ姿勢。腰椎は中間位(床との間にわすかな隙間ができます)。

②息を吸う:お腹の筋肉をゆるめます。

③息を吐く:おへそが床のほうへに近づくようにします。骨盤が傾いたり、背中が平らになったりしないように意識します。

④下腹部の緊張を維持しつつ呼吸し、10秒間収縮を維持したら、ゆるめます。息を止めないようにします。

 動作中、下腹部をゆっくりと引き込みますが、上腹部は引き込まないように気をつけます。腹部全体が緊張したり、外側にふくらむのは腹直筋を使ってしまっているからです。持久筋である腹横筋はやさしく収縮させれば効きます。最大パワーを発揮すべく強く締めすぎてしまうのは目的が違います。

 簡単そうに思えますが、これが案外と難しかったりします。


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2022年9月28日水曜日

筋肉の柔軟性の低下による危険と弊害。筋膜とグレープフルーツとソーセージ。

ブラッド・ウオーカー ストレッチングと筋の解剖(南江堂)7pより

  筋が硬く凝っていれば、正常な関節可動域は制限される。場合によっては、柔軟性の低さが筋肉痛や関節痛の主因になることもある。極端な例では、屈(かが)んだり、自分の肩越しに後ろを見たりすることさえ困難になる。

 筋が硬く凝ると、正常な筋活動が阻害される。筋が効率よく収縮したり弛緩できないと、パフォーマンスや筋活動の調節力が低下する。また、筋が短縮し、硬くなれば、運動中の筋力やパワーも著しく低下する。

 とてもまれなケースではあるが、筋が硬く凝ることで、血液循環が阻害されることすらある。良好な血液循環は、筋が十分な量の酸素と栄養分を吸収するのに役立っており、とても重要である。血液循環が不十分であれば筋疲労が増大し、最終的には、激しい運動後の筋の回復力や修復過程が妨げられる。

 これらの要因のいずれによっても傷害発生の危険性は大きく高まる。またこれらの要因は、筋の不快感、パフォーマンスの低下、傷害の危険性の増大、傷害を繰り返す可能性の増大といった悪影響をもたらす。

引用ここまで

筋膜と筋肉の関係はグレープフルーツで理解する

 某塾生から、「グレープフルーツの構造と筋肉と筋膜の構造が似ているってどういうことですか?」という質問がありました。図のまんまです(笑)。筋肉が自由に動けるのは、筋膜がやわらかくて伸びやすいからです。

ソーセージで例える筋膜の状態

 私は、ソーセージで例える筋膜と筋肉の状態のお話も好きです。しなしなにったドライソーセージをイメージすれば、潤いを失った筋膜の恐ろしさが実感できるからです。潤ったぷりぷりの状態になるには、正しい運動をすればよいのです。筋膜はよく「裏方なのに主役級」と言われますが、その言葉通りだったりします。

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2022年9月21日水曜日

胸椎の回旋は、歩行のリズムをつくる要。腰ではなく胸をまわしましょう。腰はまわせません。

四つん這いで体幹を回旋させるストレッチ(のりこさん・丹ちゃん)
  四つん這いになって、一方の腕をあげます。次に、上を見上げながら、両肩の背中の中ほどを回旋させます。腕を真上にあげた状態を保ち、視線でその手を追うようにします。

ソラシックローテーション(チェストオープナー)(丹ちゃん)
   前胸部を横へひろげ、肩甲骨を尻ポケットにしまい込むように引き下げて安定させ、腹筋のコントロールを保ち、上部体幹を回旋させます。上肢と体幹をひとつのユニットとして動かすようにします。頭部を脊柱とともに動かし、眼を頭部とともに動かします。姿勢ンは指先に向けます。
立位で背中を回旋させるストレッチ

■回旋筋……横突起から1分節上の棘突起に付着しています。胸椎で最も発達していて、脊柱の真の回旋だけを生じさせます。

回旋筋

 各胸椎の形状とその位置によって脊椎分節が最適に可動し、脊椎における回旋の大部分が胸椎で起こります。

 よく、「腰をまわせ」というった誤った動作指導を受けることがあります。腰椎部での長軸回旋範囲はわずか5°です。これに対して、胸椎の長軸回旋運動は35°あります。つまり、長軸回旋運動はほぼ胸椎で行われるのです。「胸をまわせ」「背中をまわせ」という指導がよいかと存じます。

 腰椎と腰仙椎移行部は、腰椎屈曲位での過度の回旋、繰り返しの回旋によって損傷しやすいので、脊柱回旋中はあまり動かないようにするべきです。回旋は胸椎から始めます(ウエストから上が動くように意識します)。

 腰椎自体の回旋可動域は、胸椎・頸椎に比べ絶対的に小さいということを理解し、腰椎に負担をかけずに身体をコントロールできるよう、胸椎(胸郭)の可動性と、股関節の可動性を高めるようにしていくことが大切です。

 胸椎の回旋は、歩行のリズムをつくる要でもあります。

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2022年9月17日土曜日

筋肉の柔軟性の低下による弊害~硬く凝った筋肉とストレッチング。間違った姿勢でストレッチングすると悪化の一途。

  筋肉が硬く凝ってしまう(筋硬直)と、正常な可動域が制限されます。筋の柔軟性の低さによって、筋肉痛や関節痛が発生し、簡単な動作すら困難になってしまいます。

 筋肉が硬く凝ってしまうことで、正常な筋活動が阻害されます。効率の良い筋収縮・筋弛緩ができなくなって筋活動調整力が破綻し、パフォーマンスが低下します。筋が短縮硬化してしまうことで筋力が低下してしまうため、パワーを発揮できなくなります。

 血液循環が阻害され、酸欠と栄養不足、老廃物の滞留が起きます。筋疲労が増大し、回復力が低下、壊れた筋の修復が阻害されてしまいます。傷害を繰り返すようになり、不快感も高まります。

 ここで、素人考えでストレッチングをすることで、かえって筋肉が硬く凝っていくことになりがちです。「ストレッチをするときは、絶えず疼痛を伴うもの=痛いくらいやらないと効かない」という誤った考えに基づいて、息を止めてゴリゴリやってしまうためです。よく、「痛いけど気持ちがいい」と表現されますが、私は全面的に否定しています。

 ストレッチングは疼痛を伴う運動ではありません。リラックスして行なうものであり、快適なテクニックです。痛みが生じるまで筋が伸張されると、伸張反射という防御機構がはたらきます。筋を収縮させて、筋を伸長させないようにし、筋と腱を保護しようとするのです。ここで、力まかせに無理やり伸ばせば、健全な筋の機能が失われ、カチカチに固まっていくことになります。

伸張反射

 伸張反射を避けるには、疼痛を避ける必要があります。痛気持ちいいところまで伸ばしてはいけないという意味です。気持ちがいい(痛みがない)と感じている領域を超えないようにし、筋に張りが感じられるところまで伸長するようにします。傷害を避けることで、最大の恩恵を受けることができるのです。

 ストレッチングで重要なのは「姿勢の正確さ」です。姿勢が悪かったり、方法が不正確であれば、筋のアンバランスが生じ、傷害を起こします。筋を適切に伸張させるためには、姿勢を良くする必要があります。いいかげんな姿勢、不正確な方法でストレッチング運動をすることで、筋群のなかの特定の筋ばかりが酷使されるようになり、やればやるほど障害が深刻になっていくという負の連鎖が続くようになります。特定の部位に過度なストレスをかける癖がついてしまうと、筋バランスが崩壊してしまうことになります。

10~12月のワークショップは、ストレッチング徹底攻略をやっていこうと思います。

9月のワークショップでも、基本的な説明をいたします。

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2022年9月13日火曜日

足踏みを習慣化して血圧を安定させる。8分の6(二拍子)のリズムで足踏みをして、ふくらはぎの筋肉を覚醒させる。

 血圧を適正に保つためには、食習慣の改善もちろん、適度な機能運動が必要です。継続的な機能運動によって心肺機能が高まることによって血液循環が改善し、自然に血圧が下がっていきます。軽めの有酸素運動を毎日、合計30分以上行うことを目標にするのが基本となります。1日1時間以上機能運動を実施するのであれば、週3回でも効果があります。関節の動く可動域内で大きく関節を動かして、筋肉をしっかりと繰り返し収縮させるのがコツです。

 ふくらはぎは「第二の心臓」といわれ、下半身の血液を心臓に戻すポンプの役割をしています。血管は筋肉の中にも存在しており、血液を送る働きを担っています。血液が心臓から足へと向かうときは流れやすくスムーズにいきますが、足から心臓に戻る静脈では流れにくくなります。このため、静脈には血液が逆流しないよう静脈弁がついています。合わせて、血液が心臓に戻りやすいようにふくらはぎの筋ポンプ作用を使います。ふくらはぎの機能を改善することが血圧の安定化に役立つのです。

腓腹筋とヒラメ筋

 ふくらはぎの腓腹筋とヒラメ筋(=下腿三頭筋)は、伸び縮みすることで静脈の血流を促します。ふくらはぎの筋肉がバランスよく使えるようになると、長時間歩いても疲れにくく、転倒しにくくなります。

 安部塾では、その場での「ゆっくり足踏み」をおすすめしております。雑に早足で足踏みをしてしまうと、勢いで足の重みを使ってしまうことになり、筋肉の収縮レベルが低くなってしまいます。じっくりていねいに、ゆっくりと足踏みをすることが大切です。リズムは8分の6、BPMは100前後が基本となります。

 つい、派手な方が効きそうだというイメージだけで、いきなり筋力トレーニングやストレッチングに走ってしまいがちですが、効果だけなら機能的な足踏みの方がはるかに大きいと存じます。いわゆるウオーミングアップに時間をかけ、そのままクールダウンするだけでも、十分な効果を実感することができるかと思います。同じ理由で、股関節の内外旋を伴うステップ系のダンスも、想定以上の効果が期待できます。

 ステップが必要な人ほど、ステップのレッスンに参加したがらないというのが、インストラクターさんたちの間で話題になります。リズムに乗るのが苦手なため、面白みや楽しさを感じにくいのではないかと考えられています。この点、8分の6(二拍子)のリズムでの足踏みは歩行の原点のリズムなので、メトロノームやリズムマシンを駆使して練習すると、世界が変わります。

 今月のワークショップで、簡単なステップを紹介しております。

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2022年9月8日木曜日

猫背を改善するための基礎知識。首と肩甲骨の意識について。

 

頭部前方位(頭蓋前方突出)姿勢と猫背

 頭蓋前方突出、上位頭頸部(上部頸椎)の過伸展の動作であると同時に、低~中位頸椎(下部頸椎)の屈曲が起きている状態です。

 上位頸椎から頭部の伸展は、頭部伸展筋である大・小後頭直筋、上・下頭斜筋などのはたらきによります。下位頸椎の屈曲は、頸部屈曲筋である胸鎖乳突筋などのはたらきによります。頭部前方位姿勢の慢性化によって、肩甲挙筋や頭半棘筋、大後頭直筋などの後頭下筋群に疲労が生じ、身体各所に痛みが生じるようになります。

頭部前方位姿勢と首の筋肉

 環椎後頭関節や環軸関節に関与する筋は中位から下位頸椎の安定性が必要となります。中位頸椎から下位頸椎の関与する筋は胸椎の安定性が必要となります。これらの拮抗関係を成立させるために、頭部屈曲と頸部伸展の拮抗関係を安定させるための上位胸椎でのさらなる安定性が必要になります。そのため、肩甲挙筋や僧帽筋などの筋群による肩甲骨の安定化により遠心性に頭部を制御し、さらに頸部屈曲に対し広背筋などの肩関節伸展筋や胸椎部の脊柱起立筋群を収縮させることで拮抗力をつくりだします。結果として、上肢を引き込む動作が慢性化することになります。

 胸鎖乳突筋の停止部である乳様突起は、本来は胸鎖関節よりも後方に位置しますが、頭部前方位姿勢の場合、胸鎖関節直上にきます。なので安部塾では、胸鎖関節よりも後方に乳様突起を引くようにする誘導を多用しております。


胸鎖乳突筋(乳様突起と胸鎖関節)

 頭部を突き出した姿勢を長時間保持していると、筋の静止長が変化してしまい、前方位姿勢を自分の自然な姿勢として認識するようになってしまいます。悪い意味で、慣れてしまうのです。徐々に頸部前方筋が短縮してしまうので、姿勢の崩壊に気がつきません。

 安部塾では、僧帽筋下部繊維と前鋸筋下部繊維の活動を促す=肩甲骨を下げるよう指示します。肩甲骨を下げることで、頭部前方位に起因する筋の代償運動を減らすことができます。肩甲骨の安定化によって、頸部周囲の筋バランスを効果的に改善することができます。僧帽筋下部繊維が覚醒して肩甲骨の下制が楽にできるようになると、肩甲骨の上方回旋偏位がでにくくなってきます。

 そして、肩甲骨の安定化のひとつのテクニックとして、股関節の内外旋を意識したステップ(足踏み・足運び)ワークがあります。結果的に、頭部前方位が改善します。

9~10月の各地のワークショップで解説いたします。

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2022年9月7日水曜日

姿勢の崩れは体型の崩れにつながるというお話。食事制限だけでは体型を調えることができない理由。

  頭部前方位姿勢というのがあります。こんな感じで、連鎖的に体型が崩壊します。図は、骨盤前傾になっていますが、後傾することもあります。

頭部前方位姿勢と体型の崩壊

頭部前方位姿勢より、引用いたします

 前屈みで顎を突き出したような姿勢で、胸鎖乳突筋が床に対して垂直に近くなっている状態をいう。いわゆる猫背である。咀嚼筋や頸部の筋活動を亢進させ、こりや痛みを引き起こす。また、後頭部から上背部の筋を緊張させて緊張型頭痛の原因にもなるため、TMDでは重要視されている代表的な悪習癖である。この姿勢はパソコンを使ったり、運転をするときなどに起こりやすいため、TMDや緊張型頭痛を「生活習慣病」だという専門医もいる。

1) 頭部前方位姿勢をとって頭が脊柱より前方に出ると、頭部の重みで頭が下がり自ずと床を見るかたちになる。

2) この状態で前方を見るためには、後頸部・背部の筋で重い頭部を吊り上げて頭蓋を水平にバランスする必要がある。

3) このため、頭部前方位姿勢を長時間続けると、これらの筋が疲労して後頸部・背部に筋痛が生じ、肩こり・緊張型頭痛・顎の痛みやだるさとして感じられる。

引用ここまで

 自覚症状がなくても、頭部前方位姿勢が頸部深層屈筋群の機能低下させることがあります。肩甲骨の動きを中間位姿勢と頭部前方位姿勢とで比較すると、肩甲帯屈曲・伸展ともに有意に中間位姿勢の可動域が大きい値を示します。肩甲骨の動きの悪さと頭の位置の関係は、よく知られています。

 後頭下筋群(小後頭直筋、大後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋)、肩甲挙筋、僧帽筋上部、胸鎖乳突筋、 斜角筋、小胸筋、大胸筋ほかの筋肉は、緊張して短縮してしまいます。

 頚部深筋群(頭長筋、頚長筋 など)、僧帽筋下部、前鋸筋他の筋肉は、伸ばされて筋力低下してしまいます。

 体型を調えたかったら、頭の位置から直していくのがセオリーとなります。

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2022年9月6日火曜日

股関節の外旋・内旋の動きをステップ(足運び・足踏み)で改善する。

  10月の各地のワークショップで、「股関節の動きとステップ(足運び・足踏み)による機能改善テクニック」の解説をします。


股関節の動き

 今回は特に、股関節の内外旋(ないがいせん)について深堀りしようと考えております。

 外旋・内旋の定義は、

外旋→大腿軸を中心として外方へ回旋する動き。大腿前面が外に向くようにねじれる。

内旋→大腿軸を中心として内方へ回旋する動き。大腿前面が内に向くようにねじれる。

と、なります。上の図を見てみてください。外旋では足先が外側へ向き、内旋では足先が内側へ向きます。

 股関節回旋の関節可動域は、座位よりも腹臥位の方が大きい傾向があります。男性においては、股関節の内旋の可動域より外旋の可動域が大きい傾向があり、女性においては、内旋の可動域が外旋の可動域より大きい傾向があります。同側内外旋および左右において股関節回旋可動域が非対称の人が多く、ステップワークによって股関節回旋可動域の偏位を調整することで不調が改善することがあります。

股関節の内外旋可動域

 また、ステップワークでは、股関節の分まわし運動も改善します。股関節を中心とした円錐の形に動きがつくれることで、さまざまな動作がスムーズになります。

股関節の分まわし運動

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2022年9月1日木曜日

シンプルな2拍子で呼吸運動と歩行運動をすることで、心身のバランスがとれ、スッキリします。

 リズムとは、強弱・明暗・遅速などの周期的な反復であり、音楽を成立させるもっとも根本的な要素です。生命の根源的衝動によって起こる運動とその秩序、それに結びついて自然に生まれる拍子を含めたものをいいます。

 心身を調えたいときは、呼吸・歩行・咀嚼など、日常生活レベルのリズム機能を改善することが大切です。人間の足踏みと相性がよいのは2拍子です。行進曲(マーチ)でよく使われます。2拍子は、「強拍・弱拍」が交互に繰り返されるシンプルな拍子です。4分音符を1拍とした4分の2拍子、2分音符を1拍とした2分の2拍子は、こんな感じです。

2拍子

 3拍子は、「強拍・弱拍・弱拍」という組み合わせでできていて、西洋舞曲でよく使われます。4分音符を1拍とした4分の3拍子、8分音符を1拍とした8分の3拍子があります。

3拍子

 4拍子は、「強拍・弱拍・中強拍・弱拍」の組み合わせで構成されます。あらゆるシーンで使われています。4分音符を1拍とした4分の4拍子はこんな感じです。

4拍子

 8分の6拍子は、付点4分音符を1拍とした2拍子です。2拍子と同じく人間の足踏みと相性がよいので。行進曲(マーチ)でよく使われます。
8分6拍子
 
 特殊なリズムを使ったダンスなどの運動を実践して、かえって心身のバランスを崩すことがあります。私は、変拍子(混合拍子)は、呼吸・歩行・咀嚼などの運動との相性が悪いと考えています。スクワット、ジョギングなども同様だと存じます。

 わたしが多用している4つ打ちは、呼吸運動・歩行運動ともに相性がいいです。バスドラム(大太鼓)=キックの音に足を合わせるので、簡単にリズムをとることができます

4つ打ち

 最低で5分、できれば30分程度、集中して呼吸や歩行などを二拍子で行うことで、心身の活性化を起こすことができます。まず頭が覚醒してスッキリし、心身のバランスがとれ、意欲が湧いてきます。自律神経のはたらきが安定し、顔の血色がよくなり、明るくなります。いわゆる不定愁訴(医学的検査で原因のわからない体調不良全般)もなくなります。

 9~10月の各地のワークショップで解説いたします。

機能運動学大牟田サークル

9月4日(日) → 詳細

 

☆東京ワークショップ

9月9・10・11日(金・土・日)→ 詳細

  

☆新宮校ワークショップ(休日)

9月18日(日)・25日(日) → 詳細 

 

☆大阪ワークショップ

9月23日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

9月24日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

9月25日(土)→ 詳細

 

☆新宮校ワークショップ(平日)

9月26日(月) → 詳細

 

☆下関ワークショップ

10月1日(日)→ 詳細