2019年4月30日火曜日

平成最後の講座を終えて

平成最後の講座を終えた。

内容は、

・ヘッドノッディング(頭蓋骨脊椎関節のモビライゼーション)
・ヘッドターニング(環軸関節のモビライゼーション)
・ロッキング(腰椎のスタビライゼーションおよび股関節と肩甲上腕関節のモビライゼーション)
・フローティングアーム&レッグシリーズ:アーム&レッグリフト(腰椎のスタビライゼーションと肩関節および股関節のモビライゼーション)
・キャット(脊柱のモビライゼーション)
・ペルビックティルト(腰椎モビライゼーション)
・ペルビックカール(胸椎と腰椎のモビライゼーション) 

……すべて地味な、一般受けはしない、固有感覚を磨きたい人向けの内容とした。

平成最後の講座

吸って、骨盤底筋群を締める。

吐いて、骨盤底筋を引きあげる(引き込む)。恥骨のすぐ上を、仙骨岬角に近づける。

胸骨を胸椎の方に沈め、下位肋骨を骨盤の方に集める。

腰椎を安定させ、胸郭をやわらかく……地道な積み重ねの基本を丁寧に解説した。


呼吸と動きと姿勢を学ぶということ。

原点に還り、一般受けしそうなネタはすべて封印し、大切なことにだけ集中。


いちばん最初の、「吸って骨盤底筋を締める」。

夢に出てくるくらい、繰り返し繰り返し誘導した。

ここを間違えたら、その先はすべて間違い。

手順(次第)というのは、1箇所でも間違えたらそこで終わる。


5月3日より、新宮校実技室での礼和の講座が始まる。

これまでの甘さはすべて禊祓い、厳しくも有意義な内容とする。

ペアワークとパートナーワークは全廃。

僕が、1名1名呼吸と動きを直していく。


一番一番のすべてが真剣勝負。

記録を禁止し、おのれの眼(まなこ)と耳で記憶に残してもらう。

記録に残さず、記憶に残す。

それが、令和の安部塾身体操作技法の基本となる。


実技室は僕にとっての聖域。

だから本気を出せる。

禊祓いレベルの身体操作を目指したい。

本気の人たちだけを相手に、真正面から向き合いたい。


今後の安部塾は、承認欲求を満たす場としては機能しない。

無駄な自己アピールをする人たちの参加は認めない。


地味で厳しい修練の場とする。

圧倒的な努力を積み重ねたい人の楽園。

それが、令和の安部塾の在り方となる。

昇龍のように活動をしていきたい。

「胸骨をやわらかく、脊柱に向かって沈みこませる」~身体操作の要

昨日の講座で、『胸骨』の大切さについて解説した。

吐いたときに、骨盤底筋群と腹横筋と肋骨、そして『胸骨』を意識することが大切だからだ。

胸骨と身体操作
胸骨がかたいと、腰が不安定になる。

構造上、一目でそれがよくわかる。

胸骨

武術やスポーツの世界では、古来より胸の使い方についての様々なノウハウが語られてきた。

呼吸時の胸骨の動きと、全身の動きを調和させることで、圧倒的なパフォーマンスが生まれる。

ゴールデンウイーク集中講座前期では、胸骨の重要性を理解してもらうことに注力している。

そして、思った以上に、ほとんどの人たちの胸骨はかたい。


いうまでもなく、胸(ハート)は愛する気持ちの坐だ。

ハートというと心臓をイメージしてしまうが、胸骨も忘れてはならない。


ちなみに、ハートマークと花びらはよく似ている。

花びら

「心に花を咲かせましょう」という言葉には、深い意味があると思う。


身体の構造的に、胸郭の動きが悪いと腰椎部が不安定になる。

身体全体がグラグラする。

グラグラするほど、さらに胸郭の動きは悪くなる。

客観的に観察すると、フラフラの下半身の上でガチガチに胸を固めているのがよくわかる。


そう。胸がかたいと、何もかもうまくいかないのだ。

古代から現代にわたるたくさんの文献に、そのことが書いてある。


今日は、頭の動かし方の解説をする。

僕たちの身体は、頭の動きに胸がついていく構造になっている。

頭の動きについていけるだけの胸骨のやわらかさが必要不可欠なのだ。

ゴールデンウイーク集中講座前期の内容は、僕の解説の歴史では過去最高だと自負している。

2019年4月29日月曜日

一筆龍絵師・手島啓輔さまの昇り龍を安部塾新宮校実技室に飾りました~ローズのブリザードフラワーとともに。

一筆龍絵師・手島啓輔さまの昇り龍を、村田さまよりいただきました。

昇り龍

「安部塾」の珠が、たまりません。

実技室
昇龍神棚と並べました。

一筆龍とは・・・その名の通り龍の胴体部分を一筆で描き【ひとつなぎで途切れない】事から【人を繋ぐ】【ご縁が途切れない】【仕事やお金が途切れない】とされ、古来より縁起物として重宝されてきました。特に日本は日本列島その物が龍の形といわれる程で、古来より五穀豊穣の神として神社仏閣に祀られてきました。桜凜堂の一筆龍は、手にした方の守り龍として【昇り龍】は大願成就祈願、【下向きの龍】は厄除けや守護祈願として一枚一枚真心込めて描いております。一筆龍絵師・手島啓輔HPより




以前、福岡で描く姿を拝見させていただいたときに、いつかうちにも飾ろうと思いました。

まさか、このタイミングでうちにやってくるとは思いませんでした。

【人を繋ぐ】【ご縁が途切れない】【仕事やお金が途切れない】

安部塾の守り龍として、活動を見守っていってもらいたいと願っています。


アイックス小松知史さまからは、ブリザードフラワーをいただきました。

ブリザードフラワー

龍と向き合うように飾っています。

女性性が高まって、いい感じになっています。


実技室のカーテンが、GW明けに仕上がってくるのが楽しみになってきました。

偶然ですが、ブリザードフラワーのバラの色とよく似た色なのです。

そして、床材のローズチェリー(バラ桜)の色とも。

僕のカラーでもあります。


すべて偶然ですが、見事に噛み合って、絶妙なタイミングで展開していっています。

【人を繋ぐ】
【ご縁が途切れない】
【仕事やお金が途切れない】

大切なことなので3回書きました。


某界隈では、「安部塾によくしておくと、人がつながりご縁が途切れない」と信じられています(笑)。

まあ、迷信ですけど(笑)。

ぞんざいに扱うと祟ります(大笑)。

そういえば、日田の某女史も、同じようなこと言ってましたね(激笑)。


僕たちは、見ているものをミラーリングします。

「日々、何を見るか?」ということは、とても大切なことだと思います。

僕は、昔からずっと龍が好きなので、ずっと龍を見て生きてきました。

人がつながり、良縁が途切れず、仕事やお金が途切れなくなりました。


まあ、迷信ですけど。


安部塾新宮校実技室は、僕にとっては『拝殿』です。

なので、ここで練習する人たちには、『昇殿』している気持ちで練習して欲しいと願っています。

僕の基準で、入室を許可するシステムにしました。

清々しい空間として機能させていきます。


5月1日に、ひとり実技室にこもり、改元奉祝龍舞を舞います。

昇龍に見守ってもらいながら、改元を祝いたいと思います。

そして、3日から、講座を始めます。

これまでの講座とはまったく違った時間になると思います。


実技室では、筆記も記録用機器の使用も控えてもらいます。

ミラーニューロンを駆使して、身体で覚えてください。


ゴールデンウイーク集中講座(後期)の参加を許可された方々は、楽しみにしててくださいね。


今日・明日のKANONでの前期講座、気合入れていきます!

2019年4月27日土曜日

基本を深めるということ

今日は、過去最高に地味な講座となった。

側臥位

動きだす前の「構え」。

コア・スタビリティ(核の安定)にこだわった練習をした。

見た目の動きは、ほぼない。

しかし、体内では目まぐるしくも精密な姿勢制御が行われている。

仙骨岬角を意識した身体操作。

腹横筋と骨盤底筋群がつながって姿勢を制御していく感覚。

肋骨を骨盤に集めるように意識して、中心で身体を安定させていく。

そこには、根源的自己肯定感情がある。

中心で身体の制御ができない人は、非日常に楽しみを見いだそうとする。

寓話と奇跡を信じ、まわりの人たちを操作しようとする。

しかし、支配と服従、依存関係の中に、本当の楽しみはない。

仙骨岬角……自分の中心で自分を支えることができるということが重要。

脊柱を守るように、腹壁の筋群が引き締まる。

股関節を守るように、臀筋下部繊維がやさしく中心に集まる。

すべての筋群が、自分というかけがえのない存在を守るべく至誠を尽くす。

やわらかい胸郭が、円滑な呼吸とともに、美しい腕の動きを生み出す。

身体のはたらきと心のはたらきを、分かつことはできない。

身体を守ろうとしない身体組織の持ち主が、周りの人たちを守ろうとすることはない。

自らの身体を守るべく身体組織がメッセージをやりとりし合う。

そんな人は、仲間を守る。

たかがコアユニットなどと、なめてはいけない。

それは、他者に対する慈しみの源でもあるのだから。

きちんと胸骨が機能していない人間に、愛を知覚することはできない。

正確な姿勢制御の解説をしながら、そんなことを考えていた。


人は、自分の身体を自分で支える構造になっている。

他者にもたれかかることなく、依存せず自立する身体構造。

自分で姿勢を制御することで、正しく機能するようにできている。

自己不全感を他者に満たしてもらおうとするのは、愚かなことなのだ。


バウンダリー(境界線)。

自分と他人との適切な境界線を引くということ。

①他人の問題を自分の問題にしないこと
②他人の責任を自分の責任にしないこと
③他人がやるべきことを自分がやらないこと

境界線を引けない人は、他者の行動・感情のケアをしようとしてストレスにやられる。

境界線を引けない人は、他者をコントロールしようとしてストレスにやられる。

簡単に相手に入り込まれる。

不用意に相手の領域に入る。

逆に、極端に距離をとってしまう。

境界線を引けないとストレスフルとなる。


境界線を引くということは、自分を守るということ。

それは、身体操作の基本。

自らの身体操作を自ら精密に行う。

他者に寄りかからず、依存せず、圧倒的なスタビリティを生み出す。


基本的肢位を正確につくれるということ。

それが、境界線を引く基本。

境界線が引けることで、正しい思考と正しい行動が現実となる。

圧倒的な安定性と可動性を兼ね備えた肉体が生み出す正確さの力。


気が遠くなるほどの基礎の反復練習。

圧倒的な練習量が生み出す、圧倒的な据わり。

圧倒的な据わりが、どっしりとした厚みのある自己肯定感情の源泉。

明日の講座では、「骨盤底筋群」の力について解説する。


今日以上に地味な内容だが、圧倒的な結果を出したい。

「構え」をつくる~状況に対応できるように姿勢や態度を整える~中心を据える

「構え」とは、「即座に有効な動きができるように整えた、身体の格好」。

状況に対応できるように姿勢や態度を整えること。


今日から、ゴールデンウイーク集中講座前期が始まる。

「コアスタビライゼーション(安定)と効果的な運動のためのエクササイズ」がテーマ。

コアスタビリティとは、運動連鎖の中で四肢末端に最適な力と動きの産生・伝達・制御を可能とする骨盤~体幹の位置と動きを制御する能力と定義され、コアスタビリティ機能の低下は他分節に影響し、動作能力の低下をもたらす。


今日、4月27日(土)は、

・背臥位:腰椎と骨盤の中間位
・背臥位:腰椎の平坦化
・伏臥位
・上側下肢のための側臥位 
・四つ這い位
・コントロールされた呼吸

を、解説する。

まさに、「構え」をつくる日だ。


「幸運の女神には前髪しかない」

レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉らしい。


チャンスの女神には前髪しかない。

なので、向かってくるときにつかまなければならない。

通り過ぎてから慌ててつかまえようとしても、後ろ髪がないのでつかむことができない。

構えていない人は、目の前にチャンスが来たことすら気づけない。


最近、身体操作を教えていて「構えることができない人はダメだ」と感じることが多い。

動きが粗雑な人は、構えができていない。

基本的な肢位がつくれていない状態で動くので、その後の動きは滅茶苦茶になる。

圧倒的な安定性(スタビリティ)なくして、微細な動きはできない。


スタビリティは、「据(す)わり」。

どっしりと安定している感じ。

外乱に対して、無駄な動き・ふらつき・浮き上がった感じなどがなく、速やかに収束する。

外乱の影響を受けにくく、十分な手応えや剛性がある。


構えがつくれない人は、日常生活も安定しない。

無駄な動きが多く、浮いた行動を重ねる。

「楽して~」「サクッと~」と、できていないのにできている風の自演を重ねる。

必要な努力ができないので、破綻する。


コアとは、 「核心・芯・中心部・中核」 。

中心が据わっている人は魅力的だ。

魅力的になりたいのなら、迷わずコアスタビライゼーションを学ぶことだ。

破綻しない安定性が、人生を力強く支えてくれる。


たいしたこともできないくせに、謎の上から目線で説教したがる人は据わりが悪い。

外乱の影響を受けやすく、いつも不安定だ。

コアがないので、身体の外殻をカチカチに固めている。

カチカチの外殻をまとって、自らの動きを破壊していく。


コアがない状態で生きていくのは無謀だと思う。


腰椎~骨盤アライメント不良は、コアユニット機能の低下をもたらす。

胸郭には上半身重心が存在し、胸郭のアライメント異常は様々な機能不全をもたらす。

胸郭の各関節が円滑に動くことが、コアスタビリティ機能及び静的バランス・運動機
能の向上につながる。

引用元 胸郭柔軟性障害がコアスタビリティと身体機能に及ぼす影響


そう。コアがない人は胸が硬くてひらかない。

慢性的な愛の欠乏状態に陥る。

胸郭の関節の機能は、「依存や他者をコントロールしたいというエゴを手放し、自他共に愛し愛される」だ。

支配服従や依存といった問題は、胸が硬くてコアがないことに起因する。


ヨガ的には、「身体と魂魄(たましひ)の共存」という感じ。

胸郭の関節機能が円滑に働くことが、心身の統合の要とされる理由だ。


身体運動学が深まるにつれ、コアの重要性がよく知られるようになってきた。

心の安定と身体の安定はイコールなのだという理解が広まっている。

先人たちが積み重ねてきた努力が結実しつつある。

今日の開講の挨拶で、熱くそのことを語りたい。

2019年4月26日金曜日

身体は環境によって形状がつくられていく

「形状は機能に従う(ルイス・サリヴァン)」


僕は、身体は環境によってつくられていくと考えています。

環境が、「何をするか」に影響を与えるからです。

何をするかによって、使う機能が決まります。

使った機能によって、身体の形状がつくられていきます。


つまり、最初にすべきことは、環境を選ぶことです。

選んだ環境によって、身体の形状は変わるのです。


もちろん、その環境の中で何をするかが重要です。

何かをするために環境を選ぶと、迷いが生まれません。


「~になりたい」と願っているだけでは、自分は変わりません。

「~をする」という現実に根差した行動が必要です。


そして、ヒトは直立二足歩行によって人になりました。

「歩ける環境」にいるということが何より重要なのです。


というような話を、レイ・ゾーナや吹田でしてきました。

ここを間違うと、永遠に正解に辿り着けませんから。


ゴールデンウイーク集中講座でもお話する予定です。

2019年4月23日火曜日

身体は、ブレーキング(制動)優先にできている。身体の安定性を高める。

東京講座で、ゴールデンウイーク集中講座前期・後期のエッセンスを解説してきた。

解説しながら、「地味な内容だなあ」って思った。


テーマは、「身体はブレーキング(制動)優先にできている」ということ。

ブレーキとは、ブレーキ (Brake) は、運動・移動する物体の減速、あるいは停止を行う装置。これらの動作を制動と呼ぶため、制動装置ともいわれる。

制動によって身体バランスを変えて、特性をコントロールする。

なので、制動できない人の動作はギクシャクする。


なんてことない動きを、きちんとコントロールする。

アクセル優位ではない、ブレーキ重視の動き。

ブレーキ強化によって、安心して筋出力できるようになる。

動きの安定性と静粛性が高く、見た目にも高品位。


機能が形をつくる。

無駄なものはない。

その形には意味があり、その動きには理由がある。

身体がカタくなると、心もカタくなり、カタい心が悪い流れをつくる。


人生の流れがよくない人の身体は、例外なくカタい。


ゴールデンウイーク集中講座では、「機能が形態をつくる」という基本にこだわりたい。

正確に機能を使うことで、美しい形ができていくということを体験してもらいたい。


→ ゴールデンウイーク集中講座前期詳細

→ ゴールデンウイーク集中講座後期詳細

2019年4月18日木曜日

肩甲帯と骨盤帯の解説と実技を東京集中講座でします。

この数日、過労で機能停止してしまっておりました。

完全復調まで、もう少しかかりそうです。


4月19・20・21日の東京集中講座で、『肩甲帯と骨盤帯』の解説をします。


たとえば、歩行という運動をみてみましょう。

肩甲帯と骨盤帯の相反する動きにより、体軸内での回旋が生まれます。

上肢と下肢が協調運動し、安定した円滑な歩行の継続が可能になります。

体幹内の重心が一定に保たれて、動的重心移動が円滑になるからです。


肩甲帯(上肢帯・肩周辺機構)ですが、定義が流派によって違います。

今回は、肋骨・胸骨・鎖骨・肩甲骨・上腕骨の間に形成される各関節の複合運動としてとらえていきます。

一般的には、「肩甲骨+鎖骨」ですが、今回はこれで。

胸郭出口症候群や肩関節周囲炎など、身近な問題にからんでいると考えています。


骨盤帯は、自由下肢骨と胴骨との間に介在する骨で、背側部の腸骨、腹側部の恥骨と坐骨からなります。

これら3骨は互いに癒合し、寛骨を形成します。

寛骨の外面中央部の寛骨臼で大腿骨の大腿骨頭と、後上方部の腸骨耳状面で仙骨の耳状面と関節で結合しています。

左右の寛骨は、恥骨の前下端で線維軟骨によって互いに連絡しています。

体幹と下肢を連結する部分と考えています。


ちなみに、この研究面白いです。

→ 骨盤帯に着目した腰部障害の評価 骨盤帯アライメントと片脚立位の重心動揺


最近、急速に流行り出した『スター』系エクササイズ。

足関節の安定性が高まるので、好評なようです。

安部塾では『米シリーズ』として洗練された技となっておりまして、片脚立位のようなアライメントだけでなく筋の出力を要するような課題においての安定性には定評があります。

くどいですが、安部塾では足首まわしはやりません。


腰椎椎間関節・仙腸関節・恥骨結合・股関節に付着する筋は多数存在します。

筋の作用を、姿勢制御という観点に立って評価していかないと機能改善が進みません。

今回の東京では、このあたりの話をしていきたいと思います。

姿勢制御という基本を疎かにすると、先がありませんから。


上肢と下肢が協調運動すると、全身の動きが美しくなっていきます。

美しい動きは、さまざまな良いことの種となります。

肩甲帯と骨盤帯がそれぞれ十全に機能し、相反する動きをすること。

いわゆる『らせんの動き』を身につける楽しさを味わってください。

2019年4月12日金曜日

上手に身体を動かせないために、自尊心が低い~不器用さは大人になっても続く~平衡感覚と身体認識を改善するために身体を動かす

発達性協調運動障害

発達性協調運動障害(はったつせいきょうちょううんどうしょうがい、Developmental coordination disorder)とは、協調的運動がぎこちない、あるいは全身運動(粗大運動)や微細運動(手先の操作)がとても不器用な障害を言う。そのために、学習や日常生活に大きな影響を及ぼしている場合である。

協調運動とは、諸種の別々の動作を1つにまとめる運動を言う。たとえば、縄跳びは手で縄を回しながら、タイミング良く飛ぶという協調運動であり、かなり高度な協調運動である。ラジオ体操も、手と足、右手と左手等の動きが別々のものを統一して行うので協調運動の一種と言える。他にも、ボールが片手で投げられないとか、ドリブル(まりつき)ができない、自転車に乗れない等の困難を示すことがある。また、楽器の演奏や図工での道具を使うこともこの範疇である。

上記のような全身運動(粗大運動)ばかりではなく、ボタンをかけることができない、靴の左右を度々まちがえる、箸を使えない等の微細運動(手先の操作)にも困難を示す場合がある。全身運動とともに微細運動の両方に困難を示す場合は、軽度とは言えない運動障害を持っている。

学校の教科で考えると、体育や音楽、図工が極端に苦手な子は、この障害の可能性がある。ただ、LDやADHDとの合併が三割から五割あると言われているし、精神遅滞との合併も一部認められているので、その場合は広い範囲での学習困難をきたすことになる。

引用ここまで


運動の発達には粗大運動と微細運動という種類がある。

粗大運動=姿勢の保持や移動運動などを代表とした運動(全身を使って大きく動く運動)。

微細運動=手や指を使った細かく精密な動作を必要とする運動。

先に大きな動きの粗大運動を習得してから、次第に微細運動が発達していく。


視覚運動知覚や空間把握能力を含む視覚運動技能の障害などの神経発達過程に障害があるとする。

そうすると、成長して身体を動かす動作が複雑になるつれ、素早い動きをすることが苦手になる。

対策は、平衡感覚と身体認識感覚を改善するために身体を動かすこと。

いわゆる感覚統合計画を立てること。


DSM-5における、発達性協調運動障害の定義。

A)協調運動技能の獲得や遂行が、その人の生活年齢や技能の学習および使用の機会に応じて期待されるものよりも明らかに劣っている。その困難さは、不器用(例:物を落とす、または壁にぶつかる)、運動技能(例:物を掴む、はさみや刃物を使う、書字、自転車に乗る、スポーツに参加する)の遂行における遅さと不正確さによって明らかになる。

B)診断基準Aにおける運動技能の欠如は、生活年齢にふさわしい日常生活活動(例:自己管理、自己保全)を著明および持続的に妨げており、学業または学校での生産性、就労前および就労後の活動、余暇、および遊びに影響を与えている。

引用ここまで


不器用な人は、生きるのが困難になる。

運動できないことで、自尊心も低くなる。


ここで、もう一度、粗大運動と微細運動(巧緻運動)について。


粗大運動=感覚器官からの情報を元に行う、姿勢と移動に関する運動。

先天的に備わっている粗大運動と、後天的に学ぶ粗大運動がある。

微細運動(巧緻運動)=感覚器官や粗大運動で得られた情報を元に、小さな筋肉(特に指先など)の調整が必要な運動。

成長とともに、粗大運動から、より細かい微細運動ができるようになる。


安部塾の身体訓練が感覚器官の機能改善に時間をかけている理由だ。

そして、正確無比な粗大運動ができるよう、知的理解も深めていく。


動きと動きの統合ができないと、ひとつひとつの行動の統合もできない。

動きの不正確さは、行動の不正確さとなって、集団に適応できないという展開となりがち。

行動が不正確な人が、他者の相談に乗りたがる(上から目線でアドバイスしたがる)ことがある。

行動の統合ができていないので、結果も出せない。


安部塾では、平衡感覚と身体認識を改善するために身体を動かす。

明日の神戸集中講座と、4月25日(木)の大阪集中講座で解説する。


動きと動きを統合し、ひとつひとつの動きを統合できる場にしたい。

2019年4月11日木曜日

体感する解剖学講座(初日)

昨日、レイ・ゾーナで『体感する解剖学講座』やりました。

『体感する解剖学講座』

塾生も参加していますが、座っている姿勢でわかります(笑)。

Ⅰ型筋繊維(赤筋繊維・遅筋ST)が発達し、毛細血管が機能しているのです。

初回なので、毛細血管と固有感覚の解説をしました。


固有感覚とは、現在の自分の姿勢がどのようになっているのか、どの筋肉にどのような力が加わっているのかなど、自分の関節の屈曲・伸展レベルや筋肉の緊張・弛緩レベルを感じとる感覚です。

身体各部の関節の動きや位置を把握することで、正確に身体を動かすことができます。

筋肉や関節にあるセンサー機能としての感覚です。

固有感覚は身体操作のアクセルやブレーキのような役割があります。

固有感覚が機能していない人には特徴があります。

・精密で細かな動作が苦手。
・微妙な力加減の調節が困難で動作が乱暴・粗雑。
・よく転び、よくぶつかる。
・他者の動きを真似る(コピーする)ダンス・舞などが苦手
・身体を動かすことが自体が苦手

固有感覚は、他者に共感する能力の基本ですので、対人関係にも問題が生じがちです。


固有感覚は、Ⅰ型筋繊維(赤筋繊維・遅筋ST)を使う動きで磨くのが安部塾流です。

らせんで身体全体を動かす身体操作が効果的だと考えています。

Ⅰ型筋繊維(赤筋繊維・遅筋ST)を使う動き=身体全体を使った動き=粗大運動。

粗大運動が美しく洗練されていくことで、微細運動(手先・足先の器用さ)が向上します。


固有感覚が磨かれている人は、「楽して~」「サクッと~」系の考えを採用しません。

「手間をかけること」が好きなのです。

当然のことですが、Ⅰ型筋繊維(赤筋繊維・遅筋ST)は粗大運動の地道な積み重ねで発達します。

毛細血管の発達により身体機能全体が高まって魅力的になるので、人気者になります。


粗大運動と微細運動ができる人には、魅力があります。

その理由を、『体感する解剖学講座(初回)』で語りました。


美しい姿勢で講座を聴ける人は、Ⅰ型筋繊維(赤筋繊維・遅筋ST)が発達している人です。

固有感覚も磨かれています。

全12回の講座が終わる頃、「最近やたらと人気があるなあ」って体感するはずです。

「魅力的過ぎて、ほおっておいてもらえない人」になっていると思います。


粗大運動と微細運動ができる人は、宣伝行為をほとんど必要としません。

姿勢と体型と動きが、観る者の心をとらえるからです。


毛細血管を発達させ、固有感覚を磨くのは、それなりに努力が必要です。

しかしその努力は、必ず報われます(遺伝子情報の範囲内で)。


固有感覚でつまづいている人は、生きているだけで疲労困憊することになります。

次回以降の講座では、各関節の機能と固有感覚を絡めて解説します。


とはいえ、とんでもない情報量をわずか3時間に詰め込んでいるので、参加者はオーバーヒートしてました(笑)。


安部塾オンラインサロンでも、固有感覚の詳しい解説をします。

新宮校の準備の合間に書きますので、少々お待ちください!