発達性協調運動障害
発達性協調運動障害(はったつせいきょうちょううんどうしょうがい、Developmental coordination disorder)とは、協調的運動がぎこちない、あるいは全身運動(粗大運動)や微細運動(手先の操作)がとても不器用な障害を言う。そのために、学習や日常生活に大きな影響を及ぼしている場合である。
協調運動とは、諸種の別々の動作を1つにまとめる運動を言う。たとえば、縄跳びは手で縄を回しながら、タイミング良く飛ぶという協調運動であり、かなり高度な協調運動である。ラジオ体操も、手と足、右手と左手等の動きが別々のものを統一して行うので協調運動の一種と言える。他にも、ボールが片手で投げられないとか、ドリブル(まりつき)ができない、自転車に乗れない等の困難を示すことがある。また、楽器の演奏や図工での道具を使うこともこの範疇である。
上記のような全身運動(粗大運動)ばかりではなく、ボタンをかけることができない、靴の左右を度々まちがえる、箸を使えない等の微細運動(手先の操作)にも困難を示す場合がある。全身運動とともに微細運動の両方に困難を示す場合は、軽度とは言えない運動障害を持っている。
学校の教科で考えると、体育や音楽、図工が極端に苦手な子は、この障害の可能性がある。ただ、LDやADHDとの合併が三割から五割あると言われているし、精神遅滞との合併も一部認められているので、その場合は広い範囲での学習困難をきたすことになる。
引用ここまで
運動の発達には粗大運動と微細運動という種類がある。
粗大運動=姿勢の保持や移動運動などを代表とした運動(全身を使って大きく動く運動)。
微細運動=手や指を使った細かく精密な動作を必要とする運動。
先に大きな動きの粗大運動を習得してから、次第に微細運動が発達していく。
視覚運動知覚や空間把握能力を含む視覚運動技能の障害などの神経発達過程に障害があるとする。
そうすると、成長して身体を動かす動作が複雑になるつれ、素早い動きをすることが苦手になる。
対策は、平衡感覚と身体認識感覚を改善するために身体を動かすこと。
いわゆる感覚統合計画を立てること。
DSM-5における、発達性協調運動障害の定義。
A)協調運動技能の獲得や遂行が、その人の生活年齢や技能の学習および使用の機会に応じて期待されるものよりも明らかに劣っている。その困難さは、不器用(例:物を落とす、または壁にぶつかる)、運動技能(例:物を掴む、はさみや刃物を使う、書字、自転車に乗る、スポーツに参加する)の遂行における遅さと不正確さによって明らかになる。
B)診断基準Aにおける運動技能の欠如は、生活年齢にふさわしい日常生活活動(例:自己管理、自己保全)を著明および持続的に妨げており、学業または学校での生産性、就労前および就労後の活動、余暇、および遊びに影響を与えている。
引用ここまで
不器用な人は、生きるのが困難になる。
運動できないことで、自尊心も低くなる。
ここで、もう一度、粗大運動と微細運動(巧緻運動)について。
粗大運動=感覚器官からの情報を元に行う、姿勢と移動に関する運動。
先天的に備わっている粗大運動と、後天的に学ぶ粗大運動がある。
微細運動(巧緻運動)=感覚器官や粗大運動で得られた情報を元に、小さな筋肉(特に指先など)の調整が必要な運動。
成長とともに、粗大運動から、より細かい微細運動ができるようになる。
安部塾の身体訓練が感覚器官の機能改善に時間をかけている理由だ。
そして、正確無比な粗大運動ができるよう、知的理解も深めていく。
動きと動きの統合ができないと、ひとつひとつの行動の統合もできない。
動きの不正確さは、行動の不正確さとなって、集団に適応できないという展開となりがち。
行動が不正確な人が、他者の相談に乗りたがる(上から目線でアドバイスしたがる)ことがある。
行動の統合ができていないので、結果も出せない。
安部塾では、平衡感覚と身体認識を改善するために身体を動かす。
明日の神戸集中講座と、4月25日(木)の大阪集中講座で解説する。
動きと動きを統合し、ひとつひとつの動きを統合できる場にしたい。