後頭下筋群 |
図解 経絡と解剖学 吉田啓 中外医学社 119-120Pより引用します。
《天柱》の名は、おそらくは第2頸椎=「軸椎」の形状に由来するものだろう。「天」は頭を指すことが多いので、頭部の回旋軸となる軸椎歯突起はまさに”頭の柱”だ。この軸椎と環椎(第1頸椎)からなる環軸関節は、うなじの深部にある4つの「後頭下筋群」によって常に微妙な調整がなされている。大半の筋にはその伸び具合を感知する「筋紡錘」というセンサーが内蔵されていて、反射性の出力調整がなされているのだが、後頭下筋群(特に下斜筋」は人体の中でも最も筋紡錘密度が高い部位といわれている。つまりこの部位は、頭部のバランスを敏感に感知し調整する”高性能調整器”の役割を果たしているのだ。
人の頭の重さは体重の約10%。その重い頭を一番高い位置に置いて、私たちは日々生活している。これだけでも相当バランスが悪いのだが、加えて頭部は感覚器が集中するため情報収集のために微妙な動きをしなければならない。眼球が動くだけでもバランスは常に揺らぎ、これに食事で噛む力(通常40~60kg)までかかるとなれば、これらすべてに対応するこの”チューナー”がどれほど高性能かわかるはずだ。しかし高性能であるがゆえに、ここは常に「緩めない場所」にもなってしまった。
天柱は下頭斜筋の下縁、ちょうど大後頭神経の表出点にあり、筋緊張性頭痛の特攻穴であると同時に環軸関節を緩めるキーポイントにある。本穴への刺鍼後、後頭下筋群の緊張が劇的に緩むことは多々あり、歯ぎしりや喰いしばり、猫背や座りっぱなしなど、チューナーがフリーズしがちな現代人には不可欠のツボだと思っている。
引用ここまで
足 太陽膀胱経之図 |
安部塾でも、天柱を意識したボディローラーテクニックを用いております。
後頭下筋群・プロメテウス解剖学(運動器)より |
ワークショップで解説しております。