2023年4月3日月曜日

環椎後頭関節では、屈曲ー伸展運動のみが可能。うなずきテストで、首の最上部にある環椎後頭関節の自由度がわかります。

前記事 → 姿勢が悪いと首がまわらなくなります。環軸関節は、頸椎の回旋運動を完全にし、補正します。

   図解 関節・運動器の機能解剖 上肢脊柱編 共同医書出版社 より引用します。

4-6 環椎後頭関節

4-6 環椎後頭関節では、屈曲ー伸展運動のみが可能である。

 環椎後頭関節は、後頭顆と環椎(C1)の外側塊を結合している。

 後頭顆は全方向に凸であり、その長軸は前内方に傾いている。前額断面では下外方を向く。

 後頭顆の凸面は、環椎外側塊の上関節面(《関節窩》)の凹面に正確に対応していて、あたかも地球を手のひらで支えている巨大神アトラスのように頭蓋と脊椎を結合している。

《Sappeyによれば;環椎後頭関節の表面は球の一部であり、近接した後頭顆は頭部を形成し、関節窩は凹面をなす。また人間のこの関節は大きな可動性を有する鳥の頭のような独特な球関節を想像させる。》

 しかしながら、ヒトにおいては、関節面の形態と方向性(と補助的制動組織であるそれらの靱帯)が運動を制限し、屈曲ー伸展のみを可能ならしめている。つまり、後頭骨という球の運動は、環椎関節面と、非常に強力な翼状靱帯により、スキー板のように誘導され制動される。

引用ここまで

 ティーチングピラティス NAP Limited より引用します。

頸椎の屈曲と伸展

 頭蓋骨の後頭顆と第1頸椎の間にある環椎後頭関節は、全範囲の約20°の運動を可能にしている。屈曲と伸展は、環椎外側塊の上の後頭顆の部分でわずかな回旋により起こる。完全な回旋は、環軸関節で生じる。

頸椎の側屈、回旋および分回し運動

 環椎後頭関節における側屈では、後頭顆が環椎に対して動き、約8°の可動性を有している。軸椎は第3頸椎に対して側屈を行うため、環軸関節は特異的に側屈には関与しない。

 頭蓋骨と第1頸椎での回旋では、可動域としては、中間位から始まり左右に約15°の動きを可能としている。頭部回転は、外側関節面と軸椎のわずかな凸面上で生じている。頭部回転運動中には、わずかに後方へ傾斜され、回旋運動も含まれる動きとなる。

 分回し運動は、屈曲、伸展、側屈、回旋の複合運動であり、深層部と表層部の複数の頸部筋群が関与している。

引用ここまで


「うなずきテストです。このテストでいくつかのことが確認できます。首の最上部にある環椎後頭関節(A/O)で、何が起きているか(自由度)がわかります。また、頚部の後面コンパートメントで何が起きているか(伸長能力)もわかり、頚部前面の椎前筋の関与の程度も推測できます。

 これぐらいの小さいうなずきで、頭部を上下に少し動かします。できているか少し遠目で見ます。

 環椎後頭関節で屈曲と伸展の開始を探します。小さい運動のうなずき開始で、他の椎間関節の相対的な関与について確認します。頸部のどこでうなずいているか? ヒンジ(蝶番)をどこに置いているか?

 構造的に何が起きていて、それぞれ異なるパターンになっているのか? 特に後頭下で何が起きているのか? うなずいたとき、下位後頭骨部が伸びているのはどちらでしょうか? 

 大きいうなずきをさせることで、後部コンパートメントが伸びているか確認します。

 たくさんうなずきテストをしてください。小さく、大きくうなずいてください。感覚をつかみましょう。

 後頭下が広がっていますか? 小さいうなずきです。

 後部コンパートメント全体で伸長していますか? 大きなうなずきです。」

……以上、おおまかな訳です(合っているかわかりませんが)。

 安部塾でも、この動画とよく似たうなずきテストをします。うなずきテストの目的も同じような感じです。日常生活で素直に首を縦に振れない人を観察してみると、後頭下がガチガチに固まってしまっているのが確認できるかと思います。頭部前方位姿勢の人が素直じゃない理由のひとつだと考えています。

 環椎(第1頸椎)には、椎体を欠いているという特徴があります。文字通り、環=リングのような形をしていて、上関節突起は後頭骨と関節を形成するため肥厚しています。その関節面の上関節窩はとても大きくなっており、棘突起は消失して後結節となっています。椎間板はありません。

 上部頸椎は、重い頭を支えながら、うなずき(屈曲ー伸展)運動や、頭を傾ける側屈運動、左右を向く回旋運動という三次元方向に動きます。

 頭頂部を前に倒し顎を引く動き(屈曲)と、頭頂部を後ろに倒し顎を前に突き出す動き(伸展)において、環椎後頭関節での屈曲ー伸展の可動域はおのおの10~15°程度であり、屈曲ー伸展の動きの約50%は後頭骨と環椎の間でおこなわれ、残りの50%は残りの頸椎部で分担しておこなわれます(頸椎5番ー6番の関与が大きい)。

 動きの流れとしては、環椎後頭関節での屈曲ー伸展時に、おのおの10~15°程度動いてから、それ以上に大きく動くときに、中・下位頸椎の動きが誘導されるイメージです。  安部塾でのうなずき運動は、
  1. 準備段階 環椎後頭関節中間位(ほんの少し顎を引いたイメージ)。
  2. 吐く 頸椎部中間位(首を少し後ろに引くイメージ)。頸椎の生理的弯曲を保ち、過緊張させない。
  3. 吸う 環椎後頭関節屈曲の動き(うなずくように、さらに顎を引き、顔面をやや下向きにする)。このとき、首を前に倒さないように気をつける。10°程度のわずかな動き。
  4. 吐く 中間位に戻る(元の位置まで顎を上げる)。
  5. 吸う 環椎後頭関節伸展の動き(ほんの少し顎を上げて、顔を少し上に向ける)。10°程度のわずかな動き。
  6. 吐く 中間位に戻る(元の位置まで顎を下げる)。
  7. 繰り返す
 他の記事でもしつこく書いていますが、環椎後頭関節における屈曲ー進展の運動中心軸は耳の穴 のすぐ下付近です。うなずきの中心となっている箇所をイメージしながら動かすことで、効果をあげることができます。

環椎後頭関節

 うなずき運動は、簡単そうに見えて、かなり難易度の高い動きです。滑らかな動きができるように、コツコツ練習を継続することが大切です。環椎後頭関節が整うと、首に
無駄な力が入らないようになり、全身のバランスがよくなります。

4月のワークショップで解説しています。

☆東京ワークショップ

4月7・8・9 日(金・土・日)→ 詳細  

 

☆新宮校ワークショップ(平日全日)

4月17日(月) → 詳細


☆大阪ワークショップ

4月20日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

4月21日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

4月22日(土)→ 詳細

 

新宮校ワークショップ(休日)

4月23日(日)→ 詳細