環椎後頭関節(頭と脊椎の関節) |
アレクサンダー・テクニーク完全読本 医道の日本社 より引用します。
すべての人は正しくありたいと願う
しかし、誰も「自分が正しいと考えていること」が、
本当に正しいのかどうかを考えようとしない。
フレデリック・マサイアス・アレクサンダー
固有感覚(体の部位の相対的な位置の感覚)と筋感覚(動作の感覚)は誤りやすく、実際に、自分が空間のどこにいて、何をしているかに関して、間違った情報を与えている場合があるといういことです。
私たちの多くは誤りやすい感覚のメカニズムのせいで、「自分が何をしているのか」がわからなくなりやすいのです。後ろに傾く状態で立っていても、「真っすぐに立っている」と感じていたりするのです。
第1に、自分に欠点、または解消の必要がある問題点があるということを、生徒ははっきりと認識していなければならないでしょう。
第2に、教師はその問題点を明確にして、それを是正する手段を決めなければなりません。
生徒は、自分の肉体的な動作についてメンタル面で混乱していること、つまり自己の感覚評価、または筋感覚が不完全であることを認めることになるでしょう。別な表現で言えば、日常の単純な行為を達成するために必要な筋緊張程度の感覚ですら、誤っていて、有害だったりすることに気づくでしょう。
そして、生徒が「リラックス」や「集中」といった状態にしようと思っても、この感覚的な誤りのせいで、実現不可能になってしまうのです。63P
このアレクサンダーの言葉をシンプルにすると、「私たちが実際にしていることと、私たちが『している』と考えていることは、まったく異なる」ということです。64P
固有感覚と運動感覚はともに筋組織からのフィードバックを基にしているため、過剰な筋緊張はどちらか一方、または両方の感覚を妨げる可能性があります。これが、フィードバックによって伝えられた情報を歪ませてしまうのです。
私たちの多くが過剰な緊張で体を支えてしまい、強く収縮した筋が関節や筋の受容器で受信した感覚の情報を妨害してしまうことが、私たちが「誤りやすい感覚評価」を起こしてしまう理由だと考えられます。65P
「自分のやっていることを信じる傾向」はとても根深いものです。多くの人が起きている間のほとんどをバランスが崩れた状態で過ごしているため、筋は絶えず緊張しているのです。
新しい改善された動き方に変えるためには、「間違っている」と感じることが必要です。
正しいことをすることは、私たちが最も避けたいことである。なぜなら、私たちが「正しいことをしよう」と考えること自体が、邪魔するからだ。すべての人は正しくありたいと願うが、誰も「自分が正しいと考えていること」が、本当に正しいのかどうかを考えようとはしない。
人が間違ったとき、それはその人にとって「正しいこと」が間違っていたことを意味します。このために、問題は複雑になります。誰もが、自分にとって違和感のない方法で動き、座ったり、立ったりするでしょう。「何かおかしい」と感じる方法で動くことが、実は本来のやるべきことであるとは、夢にも思わないでしょう。66P
引用ここまで
胸鎖関節(腕の付け根) |
「何が間違ってますか?」
「出だしから全部、間違ってますよ」