2023年2月17日金曜日

自分に欠点、または解消の必要がある問題点があるということを、はっきりと認識していなければならない。新しい改善された動き方に変えるためには、「間違っている」と感じることが必要です。

 

環椎後頭関節(頭と脊椎の関節)

 アレクサンダー・テクニーク完全読本 医道の日本社 より引用します。

 すべての人は正しくありたいと願う

しかし、誰も「自分が正しいと考えていること」が、

本当に正しいのかどうかを考えようとしない。

   フレデリック・マサイアス・アレクサンダー

 固有感覚(体の部位の相対的な位置の感覚)と筋感覚(動作の感覚)は誤りやすく、実際に、自分が空間のどこにいて、何をしているかに関して、間違った情報を与えている場合があるといういことです。

 私たちの多くは誤りやすい感覚のメカニズムのせいで、「自分が何をしているのか」がわからなくなりやすいのです。後ろに傾く状態で立っていても、「真っすぐに立っている」と感じていたりするのです。

 第1に、自分に欠点、または解消の必要がある問題点があるということを、生徒ははっきりと認識していなければならないでしょう。

 第2に、教師はその問題点を明確にして、それを是正する手段を決めなければなりません

 生徒は、自分の肉体的な動作についてメンタル面で混乱していること、つまり自己の感覚評価、または筋感覚が不完全であることを認めることになるでしょう。別な表現で言えば、日常の単純な行為を達成するために必要な筋緊張程度の感覚ですら、誤っていて、有害だったりすることに気づくでしょう。

 そして、生徒が「リラックス」や「集中」といった状態にしようと思っても、この感覚的な誤りのせいで、実現不可能になってしまうのです。63P

 このアレクサンダーの言葉をシンプルにすると、「私たちが実際にしていることと、私たちが『している』と考えていることは、まったく異なる」ということです。64P

 固有感覚と運動感覚はともに筋組織からのフィードバックを基にしているため、過剰な筋緊張はどちらか一方、または両方の感覚を妨げる可能性があります。これが、フィードバックによって伝えられた情報を歪ませてしまうのです。

 私たちの多くが過剰な緊張で体を支えてしまい、強く収縮した筋が関節や筋の受容器で受信した感覚の情報を妨害してしまうことが、私たちが「誤りやすい感覚評価」を起こしてしまう理由だと考えられます。65P

 「自分のやっていることを信じる傾向」はとても根深いものです。多くの人が起きている間のほとんどをバランスが崩れた状態で過ごしているため、筋は絶えず緊張しているのです。

 新しい改善された動き方に変えるためには、「間違っている」と感じることが必要です

 正しいことをすることは、私たちが最も避けたいことである。なぜなら、私たちが「正しいことをしよう」と考えること自体が、邪魔するからだ。すべての人は正しくありたいと願うが、誰も「自分が正しいと考えていること」が、本当に正しいのかどうかを考えようとはしない。

 人が間違ったとき、それはその人にとって「正しいこと」が間違っていたことを意味します。このために、問題は複雑になります。誰もが、自分にとって違和感のない方法で動き、座ったり、立ったりするでしょう。「何かおかしい」と感じる方法で動くことが、実は本来のやるべきことであるとは、夢にも思わないでしょう。66P

引用ここまで

胸鎖関節(腕の付け根)

 「何が間違ってますか?」

 「出だしから全部、間違ってますよ」

……多くの人は、「自分は部分的に間違っているだけだ」と考えています。しかし現実は、最初の段階から間違っていることがほとんどです。人間の身体には「間違っていてもなんとか誤魔化して動かせる機能」が備わっているために、このような混乱が起きがちなのです。

 姿勢・呼吸・動作の改善の指導をしている人たちが直面する問題は、「間違っている人ほど、自分は正しいと信じ込んでいる」ということだと思います。指導に従わず、持論を展開するのですが、いま現在の自身の身体のバランスが崩れている時点で何の説得力もありません。自身に問題があるという自覚がほとんどないため、うまくいかないのは周りのせいだと感じています。

 認知の歪み(cognitive distortion)とは、誇張的で非合理的な思考パターン(irrational thought pattern)を指す言葉です。これらは精神病理状態を永続化させうるとされており、デビッド・D・バーンズ先生によって、以下の10パターンにまとめられています。

■全か無かの思考。白黒思考(オール・オア・ナッシング)。
■行き過ぎた一般化。「いつも」「絶対」「すべて」「常に」「全く」「決して」
■心のフィルター。悪い部分しか見ない。
■マイナス思考。全て悪いほうへ考えてしまう。
■論理の飛躍。根拠もなく決めつける。
■拡大(過小)解釈。
■感情の理由づけ。自分の感情を根拠にものごとを決めつける。
■「~すべき」思考。
■レッテル貼り。「行き過ぎた過剰な一般化」が極端に行き過ぎている状態。
■誤った自己責任化(個人化)。ものごとや出来事に対して、理想像のようなものが必ず存在しているかのように考える。

 人には、『考え方の癖』があります。問題を引き起こす状況になった際に、偏った固定観念が影響し、破滅的な自動思考が浮かんでしまうと、その後の行動も破滅的なものになっていきます。視野が狭い、自分だけの偏った考えにとらわれている人の姿勢を観察してみると、潰れているのがよくわかると思います。

 楽観的にもなりすぎず、かといって悲観的になりすぎず、地に足のついた現実的でしなやかな考え方をして、いま現在の問題に対処していくことが大切であり、そのためには姿勢の改善に取り組むのが合理的です。それに加え、偏った自動思考に焦点をあてて、その根拠と反証を検証することによって認知の偏りを修正します。

 とはいえ、話はそんなに簡単ではなく、過剰緊張状態にある筋肉から発せられるノイズが常に思考に悪影響を与えるために、認知の偏りを修正するのは困難を極めます。

 さらに厄介なことに、認知の偏りを修正できないと、筋肉の過剰緊張状態を解除するのが難しくなります。

 自分に欠点、または解消の必要がある問題点があるということを、はっきりと認識していなければならない。新しい改善された動き方に変えるためには、「間違っている」と感じることが必要です。


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