エッセンシャル・キネシオロジー 南江堂 より引用します。
開口・閉口の際の筋肉と関節の状況 |
1)開口運動の概要
大きく開口する運動は、主に外側翼突筋下頭の収縮によって生じる。舌骨上筋群と重力は、この働きを補助する。Aのように、開口では、下顎骨の下制と関節突起の前方への並進(前突)を伴う。外側翼突筋(下頭)は関節突起前方への並進を制御し、舌骨上筋群は下顎骨の下制に働く。
2)閉口運動の概要
歯で噛み砕く場合のように、しっかりと閉口する運動では、咬筋、内側翼突筋、側頭筋の強い収縮が必要となる。Bのように、閉口は、下顎骨の挙上と後退を伴う。閉口しているしだ、外側翼突筋上頭がもっとも活発に収縮し、関節内で関節円板が元の位置に戻るのを誘導する。興味深いことに、上頭の腱だけが関節円板にしっかりと付着する。
口を開閉する際、関節円板は位置を調整することによって開閉運動を滑らかにする。外側靱帯と外側翼突筋(上頭)は、顎関節が最適なアライメントとなるように、関節円板の運動を導く。関節円板と顎関節の動きが同期せず、非対称の動きになると、しばしば痛みを引き起こしたり、クリック音がしたり、極端な場合では顎関節のロッキング(嵌頓症状)を生じる。
下顎骨の左側への移動に伴う筋の複雑な相互作用 |
3)側方運動の概要
咀嚼とは食物を噛み砕くことであるが、側方運動は咀嚼の主要な要素である。側方運動は、咀嚼に関わる4つの主動作筋の相互作用を必要とする。たとえば左への側方運動には、左の側頭筋と咬筋の収縮、および右の内側翼突筋と外側翼突筋の収縮が、主に必要となる。
■要約
発語、嚥下、咀嚼は、日常生活に不可欠な機能であり、顎関節が適切に機能することが必要となる。さまざまな整形外科的外傷や障害は、顎関節に影響を及ぼし、身体の機能レベルに重大な影響を及ぼしかねない。
引用ここまで
安部塾では、顎関節の機能改善エクササイズを重視しています。運動時、下顎は身体のバランサーとして機能します。顎関節と体軸 (頸椎,脊椎,腰椎)には密接な関係があります。顎関節の機能不全が、神経圧迫や血管を圧迫することにつながり、様々な全身随伴症状や不定愁訴を引き起こすことがよく知られています。
下顎の正常な位置は、身体の中心軸に対して、下顎が前後および左右(側方)に正しい位置し、立位において、身体の中心軸が前後および左右(側方)に正しい位置にあり、下顎が後方に引けていたり、前に突き出ていたりせず、顔立ちがもっとも美しく見える位置となります。
下顎は頭蓋骨の位置と、上半身の姿勢バランスをコントロールするメカニカルバランサーとして機能しています。長期間の姿勢バランス崩壊が続くと、その代償として生まれる下顎骨の傾きの継続化によって、顔の歪みが深刻化してしまいます。下顎位置異常が常態化している人は、顔の骨や筋肉が悪影響を受けているために、目や鼻や唇などの顔のパーツが歪んで醜くなってしまっています。
下顎の咬筋は目の下の頬骨につながっています。当然、目の周りの筋肉が影響を受けることになります。左右の咬筋のバランスが崩れることで、左右の目のbランスもくずれてきます。鼻や口元の周りの筋肉も悪影響を受けて顔全体が歪み、見た目の印象を含めてさまざまな問題が生じる展開になります。