横突棘筋群(半棘筋・多裂筋・回旋筋) |
■半棘筋
起始:頚椎4番~胸椎12番の横突起
停止:頚椎2番~胸椎4番の棘突起、後頭骨の上項線と下項線の間
作用:脊柱の伸展(両側の活動)、頭部と脊柱の反対側への回旋(片側の活動)
半棘筋は横突棘筋群の一部です。半棘筋は回旋筋や多裂筋と共に、脊柱全体が動くときに個々の椎骨を動かし安定させます。ただし、半棘筋は回旋筋や多裂筋とは異なり、腰椎部には存在しません。
半棘筋は横突棘筋群で最も浅層に位置します。この筋繊維は1つの椎骨の横突起と、その4~6つ上の椎骨の棘突起をつなげています。この筋繊維の走行は、横突棘筋群のなかで最も垂直であり、この特性は伸展時の力発揮に最も有利に働きます。すべての横突棘筋群は横突起に向けて棘突起を引っぱることで、反対側に脊柱を回旋させます。
半棘筋 |
■多裂筋
起始:仙骨後部、後腸骨棘、腰椎5~頸椎4番の関節突起
停止:起始より2~4つ上の椎骨の関節突起
作用:脊柱の伸展(両側の活動)、椎骨の反対側への回旋(片側の活動)
多裂筋は横突棘筋群の一部です。回旋筋や半棘筋と共に、異なる椎骨の後方外側の関節突起と棘突起を連結するネットワークを形成します。さらに多裂筋は、脊柱が動くときに椎骨を安定させコントロールします。
多裂筋は、半棘筋の深層、回旋筋の表層に位置し、脊柱のすべての分節に存在します。これらの筋繊維は頸椎の関節突起、胸椎の横突起、腰椎の上顎突起よりも3~4つ上の棘突起に連結します。多裂筋は回旋筋よりもやや垂直に走行しており、脊柱の伸展に有利に働きます。すべての横突棘筋群は反対側に脊柱を回旋します。この作用は、筋肉が棘突起を下の横突起に引くことによって生じます。
多裂筋 |
■回旋筋
起始:腰椎5番~頚椎1番の横突起
停止:直上の椎骨の棘突起
作用:脊柱の伸展(両側の活動)、椎骨の反対側への回旋(片側の活動)
回旋筋は横突棘筋群の一部です。多裂筋と半棘筋も横突棘筋群に含まれます。この横突棘筋群の深層の小さい筋は、異なる椎骨の棘突起と横突起を連結するネットワークを形成しています。脊柱が動くとき、これらの筋群は個々の椎骨を安定させ動かします。
回旋筋は横突棘筋群で最も深層に位置します。すべての分節に存在するが、胸椎の部分で最も発達しています。各々の筋には2つの部位が存在します。1つ目は横突起と直上の棘突起を連結し、2つ目は横突起と2つ上の棘突起と連結します。回旋筋の繊維方向はほとんど水平であり、回旋に対しては有利ですが、伸展の作用は大きくありません。多裂筋と半棘筋はより垂直方向に走行しています。すべての横突棘筋群は反対側に脊柱を回旋させます。この作用は棘突起を直下の横突起に向けて引くことによって生じます。
※参考文献「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」
回旋筋 |
体幹の背部に位置する筋は深層筋を構成し、脊柱筋とも呼ばれる。テコが短いので、特定の運動においては力不足(例えば、水平位からの脊柱の伸展)ではあるが、きわめて正確に機能する。垂直位では脊柱を真っ直ぐに保つために脊柱筋は協調して働き、各椎骨レベルで互いのバランスを少しずつ調整する。立位では脊柱筋はほぼ常に働いている。これらはとても活動的な筋肉であり、疲労することなく長時間働くことができる。
※参考文献「新・動きの解剖学 科学新聞社出版局」
基本的な機能運動:立位や座位などすべての運動において、脊椎の安定やよい姿勢を保つために補助的に働く。
※参考文献「トリガーポイント治療 緑書房」