外側広筋・内側広筋・中間広筋 |
■外側広筋
起始:大腿骨大転子、臀筋粗面、大腿骨粗線近位外側唇
停止:膝蓋靭帯を通過して脛骨粗面
作用:膝関節の伸展
外側広筋は大腿四頭筋を形成している筋肉の1つです。外側広筋の繊維は、大腿骨後面の垂直に隆起している大腿骨粗線外側から大腿外側を包み込んでいます。外側広筋の厚い斜走繊維は、腸脛靭帯の深部に位置し、前面の膝蓋靭帯の他の大腿四頭筋と合流します。腸脛靭帯は下部の外側広筋の筋膜と癒着を起こすことがよくあります。
外側広筋、中間広筋、内側広筋の機能は、膝関節の伸展だけです。大腿直筋もまた膝の伸展に関わっています。立つ、物を持ち上げる、跳ぶ、蹴るなどの動作は、強くバランスのとれた大腿四頭筋の機能を必要とします。
外側広筋は内側広筋と比べて発達が著しく、筋肉の不均衡を引き起こすことがあります。この不均衡は、膝の屈曲および伸展時に膝蓋骨が正しく(真っ直ぐ)滑らない原因となります。つまり、膝蓋骨が大腿骨溝で外側に引っぱられ、関節面の軟骨が摩耗し、痛みを引き起こします。もし過度の筋肉間の不均等があると、膝蓋骨が大腿骨溝から完全外側偏位となり、脱臼が起こります。Q角(膝蓋骨の中央点より上前腸骨棘および脛骨粗面に引いた2本の線のなす角)が大きい個人ほど、この膝蓋骨の外側牽引力が大きくなります。Q角は、大腿骨の脛骨に対する位置と、脛骨粗面の位置で決定されます。正常なQ角は5~15°であり、骨盤が広いため、通常は女性のほうが男性より大きくなります。
■内側広筋
起始:立ち太鼓津転子間線、大腿骨粗線内側唇
停止:膝蓋靭帯を通過して脛骨粗面
作用:膝関節の伸展
内側広筋は大腿四頭筋を形成している筋肉の1つです。内側広筋の繊維は、大腿骨後面の垂直に隆起している大腿骨粗線内側から大腿内側を包み込んでいます。内側広筋の厚い斜走繊維は膝関節の前方内側に位置し、発達が著しい場合は涙型を呈します。
外側広筋や中間広筋と同じように、内側広筋の機能は膝の伸展だけです。内側広筋の繊維はより内側方向に走行しており、外側方向に膝蓋骨を引っぱる外側広筋とバランスをとっています。膝蓋骨が大腿骨溝で正しく滑るためには、内側広筋と外側広筋のバランスの取れた筋力と柔軟性が必要です。
■中間広筋
起始:大腿骨前面の近位部2/3
停止:膝蓋靭帯を通過して脛骨粗面
作用:膝関節の伸展
中間広筋は大腿四頭筋を形成している筋肉の1つであり、大腿直筋の深層に位置しています。大腿骨の前面に付着しているため、大腿骨を力強く前方へ引っぱることができます。中間広筋の一部は、外側広筋と内側広筋の一部とつながっていますが、この部分の繊維は斜走が少ない部分です。外側広筋や内側広筋が収縮する際の方向は斜めですが、中間広筋が収縮する方向は垂直方向であり、これが他の広筋とは異なる点です。
※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」
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