呼吸 |
二酸化炭素には体内のガス交換をコントロール作用があり、脳幹にある延髄の呼吸中枢に働きかけます。動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の正常値は、女性(動脈血):32~45 mmHg(4.26~5.99 kPa)、男性(動脈血):35~48 mmHg(4.66~6.38 kPa)となります。
◇年代別のPaCO2の正常値
・新生児:33mmHg
・乳児(1~24ヶ月):34mmHg
・小児(7~19歳):37mmHg
・成人:40mmHg
動脈血二酸化炭素濃度が低下すると、呼吸を遅くする信号が出て、二酸化炭素の体外放出を下げます。呼吸数が増加する、もしくは呼吸量が増加することで、肺胞換気量が多くなります。つまり、深く速い呼吸をしていると、肺胞換気量が増加し、PaCO2が下がってきます。
深く速い口呼吸や過呼吸では、過度な吸気によって、過剰な酸素が流入してきます。その一部は活性酸素となり、細胞を傷害します。そして、過度な呼気によって、二酸化炭素を必要以上に放出することになります。
二酸化炭素には「いらない排ガス」というイメージがありますが、体内の酸素運搬を左右しているため、さまざまな問題を引き起こすことになります。
呼吸によって取り込まれた酸素は、血中のヘモグロビンと結合し、必要とされる組織や臓器に運ばれ、結合が解かれて酸素が放出されます。この運搬は、動脈血中の二酸化炭素濃度の影響を受けます。動脈血中に必要量の二酸化炭素が存在しないと、ヘモグロビンは結合した酸素を放出しません。これを「ボーア効果(生体組織内の二酸化炭素の量に応じて赤血球のヘモグロビンの酸素解離曲線が移動する現象。ヘモグロビンは組織内が酸性になると酸素を離し、肺などの二酸化炭素が少ない環境になると、酸素と結合しやすくなる。)」といいます。
ボーア効果 |
体内に一定量の二酸化炭素が存在しなければ、酸素が体の隅々まで運搬され供給されることはないということになります。
深く速く吸い過ぎると、すでに酸素量は飽和状態なわけなので、血中の酸素濃度の改善には働きません。そして、二酸化炭素レベルを低下させてしまうことになります。また、吐きすぎることで、さらに体内の二酸化炭素濃度が低下してしまいます。深く速い口呼吸や過呼吸では、過剰に体内に空気を入れてしまうことで体内のガス交換能力が低下して、脳への血流も低下してしまいます。
安部塾では、深呼吸は陰陽のバランスを整える理に適っていないと考えています。対して、鼻呼吸で穏やかにゆっくりと少回数呼吸することをおすすめしています。
身体の管(気管、消化管、血管など)を構成しているのは平滑筋です。生体内の二酸化炭素濃度が低下すると平滑筋が緊張して、管が狭くなります。過呼吸状態に陥ると、二酸化炭素を吐き出し過ぎることで生体内の二酸化炭素濃度が低下して気道が狭くなり、さらに苦しくなるという悪循環が始まります。ペーパーバッグすると楽になるのは、二酸化炭素を体内に取り込めるからです。
口呼吸で過度な運動を続けている人では、体内の二酸化濃度が下がり過ぎることによって血管が収縮し、心臓が過活動することでリスクが高くなります。交感神経優位になりすぎ、自律神経のバランスが崩壊することになります。
深呼吸に酸素を体内に取り込み過ぎると、相対的に血中の二酸化炭素濃度が低下し、血液中pHがアルカリ性に傾き過ぎます。常態化すると適正な血中pHは弱アルカリ性が維持しにくくなり、体に変調をきたしがちです。酸素量が多くなり過ぎることで血中pHがアルカリ性に傾きすぎ、体は二酸化炭素が不足している状態に陥り、酸素を効率良く細胞に運ぶことができなくなってしまうのです。
必要なのは過度な酸素ではなく、適正量の二酸化炭素なのです。
呼吸は、自律神経機能の中で唯一自らコントロールできる機能です。無意識のうちに息を吸いすぎになりがちな人は交感神経が優位に働きやすく、自律神経のバランスが崩れて、睡眠の質の低下や消化吸収機能や防衛機能(免疫など)の低下を引き起こしてしまことにつながります。
鼻呼吸で穏やかにゆっくりと少回数呼吸することをおすすめいたします。
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