■固有受容覚
固有受容覚の受容器(センサー)は筋肉や関節にあります。自分の体の位置や動き、そして「力の入れ具合」を感じる感覚が固有受容覚です。
①力加減の制御
②運動の制御(速度など)
③抗重力姿勢の制御(重力に抗して姿勢を保つ)
④バランスの制御(均衡を保つ)
⑤情緒の制御(安定)
⑥ボディマップ(身体地図)の把握
⑦ボディイメージ(身体機能)の把握
固有受容覚は、手足の動きを把握する上で重要な感覚です。他者の動きを真似したり、器用に手足を動かしたりするときに役立ちます。
固有受容覚 |
「固有感覚」と「前庭感覚」は、感覚統合時に重要な役割を果たします。「固有感覚」は、筋肉に感覚器官があり、力をどれくらい入れるのか、外からどのくらいの力がかかっているのかなどを検出して、身体の動きや手足の感覚を脳に伝えます。「前庭感覚」は、耳の内耳に検出器官があり、身体の傾きや身体のスピードの感覚を脳に伝えています。
適切な運動や行為を行うためには、いくつかの感覚情報をうまく処理する必要があります。いくつかの情報を正確に処理できないと、適切な運動や行為を行うことができなかったり、行うために脳―神経システムの他の関与を求めなくてはならなくなったりします。
感覚統合は、「適切な行動をとるために感覚情報を処理したり組織化していくこと」という意味で、エアーズ博士(作業療法士)によって用いられた用語です。
■感覚統合がうまくいかない場合
①周りの刺激にすぐに反応してしまい、落ち着きを失う。
②触れられることを極端に嫌がる(触覚、前庭感覚、視覚や音刺激に対して過敏)。
③体の痛みに気づかない、自分から強烈な刺激を求める(感覚刺激に対して鈍い)。
④不器用(ひも結びや箸の使い方など、細かい作業が苦手)。動作の協調性がよくない。
⑤言葉が出ない、目が合わない、自分が思っている事をうまく伝えられない。
安部塾では、感覚統合訓練をしています。感覚の統合がうまくいっていないと、いろんなことが困難になり、生きづらくなってしまいます。人は、自分の体の動きや状態がどうなっているのかを感じること、触れたり触られたりすることを感じること、見ること、聞くことなどの様々な感覚を通して周囲の状況を知り、それに見合った動きを計画し行動するのですが、そのことごとく間違ってしまい、修正できないため、生きるのがつらくなってしまうのです。
本来は、その動きが正しければ継続し、間違っていれば直ちに修正を加え、まわりの環境に応じた行動を選択していけます。感覚情報を上手くまとめていくことができる人は、人生を楽しむことができます。
そのためには、以下の3つの感覚を磨く必要があると考えています。
①前庭感覚(自分の身体の向きや動きを感じとる感覚。目の動きにも関係。)
②固有感覚(自分の身体を思い通りに動かす情報を汲み取る感覚。筋肉や関節)
③触覚(触れたり触れられたりすることで、物や他者・環境を感じとる感覚)
安部塾では、さまざまなテーマで講座をひらいていますが、この3つの感覚を研磨して、一度しかない生を満喫して欲しいというのが根っこにあります。思った以上に、感覚は鈍く、そして狂っているものです。自己流で修正できると思い込んでいる場合、逆に狂いがひどくなっていく結果になりがちです。そもそも、自己流で修正できるくらいであれば、現在すでに生きやすい環境になっているはずなのですから。
感覚を研磨して、適切な行動をとるために感覚情報を処理したり組織化していくのには、時間もコストもかかります。しかし、やりとげる価値は十二分にあると思います。
7月の各地の講座で、「体の余計な力を抜く」ということをテーマに解説いたします。
☆下関集中講座
■7月3日(土)
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☆機能運動学大牟田サークル
■7月4日(日)
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☆東京集中講座
■7月9・10・11日(金・土・日)
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