比較的簡単な動きでありながら、猫背を改善し、お腹・お尻・背中を引き締める効果が高いキャット・ストレッチの解説です。運動習慣のない人でも、安全に脊柱をやわらげていくことができます。脊柱起立筋の機能低下により、背中を伸ばせない・反らせないという状態に陥ると、首や肩のコリや猫背など、さまざまな問題が生じます。キャット・ストレッチを習慣化すると、問題の解消につながると存じます。
キャット・ストレッチ(キャット&リバース・キャット) |
①開始肢位:四つん這いになり、腕は肩関節の真下に、膝は股関節の真下にくるようにする。体幹は4点で支える。骨盤に付着している腹筋下部を引きあげながら腹壁を脊柱に引き寄せ、骨盤と脊柱を中間位にする。小指を床に押しつけて肩甲骨の間を広く保ち(肩甲骨の外転)、肩甲骨をお尻のほうへ滑らせる(肩甲骨の下制)。
②息を吐く:骨盤を後ろに傾け、脊柱を丸くする(脊柱屈曲)。腹筋を活動させて下背部を重点的に丸くする。
③息を吸う:なめらかに開始肢位に戻る。腹筋をエキセントリック収縮(伸張性筋収縮=筋肉が伸びながら力を発揮する収縮)で使う。
④息を吐く:脊柱の上部を伸ばす。脊柱の伸筋を使って頭と上背部を天井のほうへリーチする。同時に腹筋が骨盤の前傾と腰椎部の過剰なアーチを制限する。手をマットに押し当て、肩甲骨の外転筋で肩甲骨を広く保ち、肩関節の伸筋で体幹上部を引きあげて反らせる。下背部から脊柱の上部を遠ざけて伸ばす。
前鋸筋 |
《肩甲骨の外転筋を使って、肩甲骨を広く保つ》
重力に負けて左右の肩甲骨が近づいてしまいがちです(肩甲骨の内転もしくは後退)。肩甲骨の外転筋、特に前鋸筋がこの作用に対抗して、肩甲骨を適切な距離のある中間位に保たなければなりません。肩甲骨が安定させられないと、キャット・ストレッチに期待できる効果が著しく減少してしまいます。
《脊柱伸展時の脊柱の伸張とモビライゼーション》
①上部脊柱を伸ばして巻きあげましょう。
②脊柱を伸ばすときに、肩甲骨の間で脊柱を胸骨に向かって動かしましょう。
《過度な腰椎伸展(腰の反りすぎ)の防止》
骨盤底筋群および腹筋群の強い活動を強調する。
《脊柱伸展時の》
息を吐きながらへそを床に近づけるようにお腹を押し(お腹を引っ込めたままおへそを床に向かって押すようにイメージ)、横から見て脊柱が凹のアーチを描くようにイメージし、肩を下げ、あごをあげずに頭と脊柱を同一直線上を保って、胸骨を斜め上に向かって伸ばす。
※参考:ピラーティス・アナトミィ(コアの安定とバランスのための本質と実践)、ガイアブックス