重力に抗(あらが)うのは本能。
最近そう、思う。
重力に抗って身体を動かすと、身体が喜ぶのがわかる。
アンチ・グラヴィティ(anti-gravity)
散々抗った後、重力に身を任せて休む。
抗重力筋を伸ばす。
至福感に包まれる。
「これが基本だよな」と、感じる。
重力に抗う喜びを伝えていくのが、僕の仕事なのだと理解した。
抗重力筋は地球の重力に対して姿勢を保つために働く。
下腿・大腿・腹部・胸部・首の各部前後に張り巡らされている。
抗重力筋 |
前後でお互いに伸縮しながら、バランスをとる。
ただ立っているとき、ただ座っているとき、常に抗重力筋は緊張している。
疲労がたまり、収縮したままになりやすい。
姿勢が崩壊することになる。
抗重力筋が悪い姿勢を記憶した状態=身体の癖だ。
同じ姿勢を続けていると、この状態に陥る。
重力に抗う運動をしないと、抗重力筋が退化する。
抗重力筋同士のバランスが崩れてしまう。
セロトニン神経がもたらす生理作用として、覚醒・意欲や集中力などのメンタル面・自律神経調節・鎮痛・姿勢筋と抗重力筋の促通などが知られている。
セロトニンが減ると抗重力筋に緊張感がなくなって姿勢が崩れる。
重力に抗った姿勢を保てなくなる。
慢性的なコリと痛みに悩まされる。
覚醒時にセロトニン神経の自発性発射を増強させるのは、リズム運動。
リズム運動が、セロトニン神経のインパルス発射を増強させる。
ヒトのリズム運動として、呼吸・歩行・読経・太極拳・スクワット・読経・坐禅などが知られている。
安部塾では、呼吸のリズムに合わせて重力に抗う運動を行う。
セロトニン神経が活性化されると、内側前頭前野の血流が増加する。
澄んだ覚醒状態が生まれ、集中力や意欲などが向上し、気分状態に好ましい効果が現れる。
姿勢筋と抗重力筋の促通と鎮痛。
セロトニン神経の生理作用を学ぶと、重力に抗って運動すべき理由が理解できるはずだ。
セロトニン神経が活性化されると、眼窩に近い内側前頭前野領域の血流が増加する。
この領域は、『共感』において重要な役割を担う。
この領域の血流低下は、うつ状態の悪化と相関する。
血流増加はうつ状態の改善と相関する。
鎮痛ができない状態は、うつ状態。
重力に抗いながら、呼吸のリズムで動くと爽快感が生まれて、痛みを鎮めることができる。
この理由でも、「楽して~」という発想は捨てた方がいい。
重力に抗う喜びに目覚め、リズミックに活動することが大切だと思う。