よくある危険なイメージは、図の右側。
膝関節過伸展 |
「膝を後ろに向かって押す」というイメージは、ひざ裏の膝窩筋の機能によくない。
よい指導者のとこに習いにいくと、上図左側のイメージで指導されると思う。
いわゆる「お皿(膝蓋骨)の引き上げ」と呼ばれているテクニックだ。
ふともも裏のハムストリングスの拮抗筋である大腿四頭筋を収縮させるのだ。
お皿の引き上げイメージ |
それが苦痛になってしまうのは、苦痛を生み出すような身体イメージの結果だ。
あらゆる動きにおいて、陰陽の理を意識するといい。
原始太極図(陰陽の交流なし) |
太極図(陰中の陽・陽中の陰) |
いわゆる「りきみ(≒共縮)」の問題も、陰陽で考えるとわかりやすいと思う。
りきみとは、その動作に不必要な筋肉が収縮してしまう現象だ。
共縮を抑制するためには、拮抗筋の脱力を意識すればいい。
そして、主動筋を意識する。
りきんでしまう原因のひとつは、どこをどう使えばいいのかわからないからだ。
機能解剖学的に本来使うべき筋肉に意識を集中させれば脱力が可能になってくる。
りきめばりきむほど、動作が遅くなり、力が出なくなる。
そんな人をよく見かけると思うが、真似したいとは思わないだろう。
このタイプの人は、りきんだ末に疲れ果てて、「楽して~」に走る。
身体操作の破綻が、人生そのものに悪影響を与えていくのを観察できると思う。
具体的に、どうしたらいいのか?
日本では古来より『根性練』が採用されてきた。
正確無比な型を、圧倒的な練習量こなすことで、自然と効率的な身体の使い方に変わる。
安部塾ではそれに加え、圧倒的な機能解剖学の座学をこなす。
緊張と弛緩……陰陽が調和しつつ、交互に入れ替わる。
その姿は、時を忘れるほどに美しい。
太極動而生陽(太極動いて陽を生ず)
太極は動きを通して陽を生む。
動極而静(動くこと極まって静なり)
動きが極限に達すると、静まる。
静而生陰(静にして陰を生ず)
静を通して、太極は陰を生む。
静極復動(静なること極まって復動く)
静が極限に達すると、ふたたび動き出す。
一動一静、互為其根、分陰分陽、両儀立焉(一動一静、互に其根と為り、陰に分れ陽に分れて、両儀立つ)
動と静が交替し、互いに相手の根となりながら、やがて陰と陽という区別が生じて、そして二気が成立する。陰と陽とは、ふたつの別個の実体を持った存在ではない。一気が帯びるふたつの様態なのだ。
7月の東京集中講座で、武術とからめて、このあたりの解説をする予定。
ミット打ちを通して、陰陽の理を感じてもらおうと思う。