ホメオスタシス(homeostasis)=恒常性維持機能
例えば、真夏でも真冬でも、外界の気温の変化に関わらず、人間の体温はおおむね37℃前後に保たれています。人体は、さまざまな物質が体内で化学変化を起こし続ける化学工場なのですが、化学反応において温度というのはシビアな影響があるためです。夏のエアコンをやたらと寒がる人や、冬に重ね着をし過ぎる人は、体温が乱高下することにより体調不良に陥りやすいのがわかります。
細胞レベルら臓器レベル、免疫システムまで、体内を一定の環境に維持しようとするのは、ホメオスタシスです。「このままの自分でい続けよう」とします。
ホメオスタシスは身体レベルに限らず、心理レベルでも同じ現象が起きていると考えられています。外側が変化しても、ココロの内側を一定に維持しようとする機能が働いているということです。
現状維持のホメオスタシスは、人生が好調で楽しい時にはありがたいのですが、不調で苦しいときにはつらいものになります。
現在の苦しいホメオスタシスを脱出し、新たに楽しいホメオスタシスに移行するという方向性を選択するのが良いと思います。
思考だけ新たにしようとしてみても、身体レベルがいままでのままなら、そう簡単に移行することはできません。そして、身体レベルのホメオスタシスというものは、変化に対して恐ろしく頑固です。
コンフォートゾーン(comfort zone)=居心地のよいゾーン
ホメオスタシスが機能して、身体的にも心理的にも安楽な状態を意味します。 居心地が良い現状維持のゾーンという感じです。現状を維持して生き延びようとする生命力の一面といえます。
逆に、現状を変えて生き延びようとする生命力の一面があります。コンフォートゾーン(居心地が良い現状維持の世界)=幸せな世界ではないので、さっさと抜け出した方が方が良いのです。コンフォートゾーンとは、肉体的・心理的に自分が楽に自然にしていられる、慣れ親しんだ領域から抜け出すと、世界が広がります。
意識的な努力は必要ない
現在の自分を変えるために、無理やりコンフォートゾーンを変化させると、すぐにホメオスタシスの働きで元に戻ってしまいます。その行為や行動を努力と感じているということは、居心地が悪い不快な状態なわけなので、反動がきます。おつりがついてくるので、状況はさらに悪化します。
望む未来の方向からゴールを設定する
「過去の記憶や考え」の方向からゴールの設定をするのではなく、「未来の理想的な状態や状況の側」からゴールを設定すれば、努力と感じない行為や行動をとることができます。
変わらないことを望む人びと
『田舎はいやらしい 地域活性化は本当に必要か?』 | 花房尚作/著 |
田舎には「変わらないことを望む人びと」がいる。日本の「地域活性化政策」が見落としていること|花房尚作『田舎はいやらしい』
たとえば過疎化した地域は、変革をあまり好まない傾向にある。地方自治そのものがチャレンジを敬遠しており、補助金に頼った受け身の政策になりやすい。公務員や補助金事業者たちの既得権益を守る意識や住人たちの保守的で閉鎖的な意識が背景にあるという。地域活性化を望んでいるという主張はあくまでも建前で、過疎地域に暮らす人びとは現状維持という名のゆるやかな後退を望んでいるという側面がある。
「結局のところ、私は過疎地域の現実が見えていなかった。過疎地域を知っているつもりでいて、じつはまったく知らなかったのである。つまり、知らないということを知る結果となった。それは、過疎地域の人びとは、都心の価値観を受け入れる気がないから過疎地域で暮らしているという単純な事実だった。」
地域の活性化が叫ばれるようになって久しいが、そこには「変わらないことを望む人びと」が暮らしていることを見落としてはいけない。
引用ここまで
「変われないでいるのは、自らに対して『変わらない』という決心を下しているから」です。一生懸命変わらないと決心しているから変われないということです。もし変わりたいのであれば、変わらないでおこうという決心を解除する必要があります。