2021年5月11日火曜日

腕立て伏せでは、前鋸筋(外転筋)と僧帽筋の中部繊維(内転筋)が同時収縮して肩甲骨を固定します。

前鋸筋・小胸筋・僧帽筋

■前鋸筋

起始:第1~8もしくは第9肋骨の外側

停止:肩甲骨の内側縁前方

作用:肩甲骨の外転・下制・上方回旋/停止部が固定されているとき吸気の補助

前鋸筋・肩甲挙筋・菱形筋・肩甲下筋

 前鋸筋は身体に対していくつかの機能を持ちます。第一に、腕で荷重するときに小胸筋と共に肩甲骨を胸腔に固定します。この機能は押す動作を含む活動時にも使われます。前鋸筋は肩甲下筋の深層に位置し、菱形筋と同様に肩甲骨の内側縁に付着しています。

肩甲骨外転

 前鋸筋は僧帽筋とも協調して関節窩を操縦し、頭上での運動を最大可動域で行わせます。この機能は、手を届かせる、押すなどの動作時の適切な肩甲上腕リズムに不可欠です。肩甲上腕リズムとは肩甲胸郭関節と肩甲上腕関節の間で起こる共同作業です。

肩甲骨上方回旋

 最後に、前鋸筋は横隔膜、外肋間筋、小胸筋、斜角筋や他の胸腔に付着する筋と共に、強制的な吸気を可能にします。たとえば運動に伴い息が苦しくなったとき、肩甲骨内側縁が胸郭に固定されていれば呼吸を漸増させることができます。

※参考文献「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

 前鋸筋は板状で胸郭の外側を被っています。前鋸筋の起始は上位10本の肋骨で、肩甲骨の内側縁全面に停止します。

 作用:肋骨を固定すると、前鋸筋は肩甲骨の内側縁を胸郭に平たく押しつけます。前鋸筋の上部繊維が肩甲骨を上方に引き(外転)、上向きに回旋します。腕で壁などの何らかの抵抗に対して押す力を働かせると、筋繊維が収縮するのが見られます。

肩甲骨外転

 腕立て伏せなどの動きは腕に過大な力が加わるので、前鋸筋が肩甲骨に対して近づけ、正しい位置に固定します。腕立て伏せなどのような状況では、僧帽筋の中部繊維(内転筋)と前鋸筋(外転筋)が同時収縮して肩甲骨を固定します。

僧帽筋中部繊維・前鋸筋

 いくつかの脂肪層(滑走面)が前鋸筋を肩甲下筋や胸郭から分離します。これによって肩甲骨の可動性が増加します。脂肪層は肩甲骨の複雑な動きにおいて重要な役割を果たします。

 肩甲骨を固定すると、前鋸筋の下部繊維が中位肋骨を挙上し、吸気筋として作用します。

※参考文献「新・動きの解剖学 科学新聞社」