2021年5月5日水曜日

腹直筋と脊柱起立筋群は体幹を安定させるために力を発揮します。 立位姿勢を維持するためにも重要です。

腹直筋

■腹直筋
起始:恥骨、恥骨稜、恥骨結合
停止:第5~7肋骨、肋軟骨、剣状突起
作用:脊柱の屈曲(両側の活動)、脊柱の側屈(片側の活動)

 腹直筋は最も前面にある腹部の筋です。この筋は胸骨と胸郭を恥骨に連結します。垂直の白線によって左右に隔てられています。腹直筋の繊維はまた、水平線上にも区画されています。水平の結合組織によって、それぞれの側が5対に分けられています。他の筋肉が、一番上端と下端の腹直筋をわかりにくくするため、しばしば「6つに割れた筋肉(six pack)」と呼ばれます。分離した腹直筋によって体幹の段階的な動きが可能になります。各対の連続的な収縮は、体幹屈曲時に身体を丸める効果を生み出します。

 段階的な屈曲動作に加えて、腹直筋は側屈を助けるために片側的に活動することもできます。この能力は歩行動作で重要になります。右の腹直筋は、対応する右の脊柱起立筋群と共に収縮し、右足に荷重する際に体幹を安定させます。体重が左足に移るにしたがって、左の腹直筋と脊柱起立筋群は体幹を安定させるために力を発揮します。

 腹直筋は立位姿勢を維持するためにも重要です。この筋は脊柱起立筋群とバランスをとり、骨盤前部の位置を上方から維持します。腹直筋の弱化は骨盤前部を下方に傾かせ(骨盤が水の入ったボウルで前方向に水がこぼれる様子を想像してみるとよい)、骨盤の前傾を生じさせます。これは生理的腰椎前彎を増大させ、腰痛の原因となる可能性があります。

※参考文献「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」