2017年3月29日水曜日

脚の外ねじりと内ねじり~縫工筋と大腿筋膜張筋が意識できるようになると、動きの質が向上する。

明日の塾生講座の予習用画像。

■縫工筋
起始……上前腸骨棘の直下に付着。
停止……脛骨粗面の内側(鵞足)に付着。
作用……股関節屈曲・股関節外旋・股関節外転・膝関節を屈曲。
※股関節と膝関節にまたがる二関節筋のため、内側ハムストリングスと膝関節の屈曲に作用。
※縫工筋は人体で最長の筋肉(上前腸骨棘から大腿骨を回り込む様に走行)。

■大腿筋膜張筋
起始……上前腸骨棘に付着。
停止……脛骨の外側顆に付着。
作用……大腿筋膜を緊張。股関節屈曲・股関節外転・股関節内旋。
※股関節の屈曲筋が働く際、股関節が外旋するのを防ぐ(歩行時、腸腰筋は股関節を外旋する)。

縫工筋・大腿筋膜張筋

安部塾では、おなじみの筋肉。

どちらの筋肉も、容易に触知できる。

意識できるようになると、動きの質が格段に向上する。

機能解剖学の醍醐味。


4月8日(土)の薬院校集中講座でも解説する予定。

お楽しみに♪


今夜中に、GW集中講座の内容を決めたいと思う。

2017年3月28日火曜日

恥骨筋と骨盤前傾~恥骨を制する者は、人生を制する。

今日の大手門塾生講座復習用画像

■恥骨筋
股関節内転筋のうち、最も大腿骨頭に近い位置に付着している。
起始……恥骨上枝、恥骨櫛、恥骨靭帯
停止……大腿骨恥骨筋線
作用……股関節内転、股関節屈曲補助、股関節内旋
伸展位では外旋を補助。
※内転筋群の中で、最も内転に作用しない。
※股関節内旋のトリガー(引き金)となる筋肉
骨盤を前傾させる。拮抗筋は腹筋=骨盤後傾。

プロメテウス解剖学では、「外旋」となっている。

恥骨筋
 ■恥骨筋が付着する恥骨筋線

小転子の後面から、小転子の縁の下方へのつづきに合する縦走する粗な線。

恥骨筋線
今日の塾生講座の肝は、

「骨盤を前傾させて股関節を屈曲させるときは、股関節を外旋」

これ、3Dでイメージできない人は、混乱するだろうな。

「恥骨筋の作用は、股関節内旋でしょ?」

そんな声が聞こえてきそう(笑)。


屈曲位から伸展方向へ動くので外旋となる。

補講で詳しく解説する予定。


余談だが、横開脚時に股関節を外旋させるのは内転筋群をゆるめるため。

(股関節の外転+外旋で、内転筋はゆるむ=横開脚)


恥骨筋には、 歩行運動時に股関節と膝関節に体重の負荷を分散する機能がある。

むやみに横開脚ストレッチなんかやると、膝が壊れる理由。

骨盤の安定のためにも、恥骨筋を鍛えよう。

外転筋群とセットで。



動作と呼吸と仙骨と。

昨日の塾生講座復習用画像

仙骨のうなづき運動
 動き始めは、腸骨が逆方向に動くことになる(相対的に)。

仙骨の運動と腸骨の連動
で、昨日、勘違いしていた人が多数いた呼吸と動き。

ガス・リリースのポーズ
昨日は脚の方を動かした。

脚をお腹にひきつける→吐く(腰椎伸展~反る)

脚を戻す→吸う(腰椎屈曲~丸まる)

上の仙骨の動きをイメージとの擦り合わせが難しいようだった。

体感的には、すぐにわかることなのだけれど。

理解(りげ)と体解(たいげ)がつながるまで練習しよう。

今日の大手門でも、引き続き解説する。

2017年3月22日水曜日

爪先立てるということ~足裏にある交差支持機能~立方骨の安定

さっきの記事の続編。


塾生講座予習用画像 『後脛骨筋』。

脛骨の後面、腓骨の後面に起始。

舟状骨、全楔状骨、立法骨、第二~第五中足骨に停止。

足関節の底屈・内反。

後脛骨筋と長腓骨筋

後脛骨筋と長腓骨筋と短腓骨筋の付着

後脛骨筋と長腓骨筋の付着
 上図をよく見てみよう。

後脛骨筋(底屈・回外≒内反)+長腓骨筋(底屈・回内≒外反)+短腓骨筋(回内≒外反)

によって、『底屈』が強まるのがわかるはずだ。
後脛骨筋のトリガーポイント

後脛骨筋が弱くて、内側縦足弓が崩壊。原因は外側縦速球の崩壊。

距舟関節は球関節なので、構造的支持力が弱い。

踵立方関節は鞍関節なので、前足部の回外を受け止める。

つまり、外側縦足弓が体重を受け止めて立方骨を安定させることが不可欠なのだ。

立方骨の安定は、腸腰筋の機能を促通させるからだ。

立方骨
後脛骨筋と長腓骨筋の重要性が、よくわかると思う。


言うまでもないが、立位のねじりを促通するのは外側縦アーチである。

明日の大阪集中講座で解説する。






着地の衝撃を吸収し、足をまっすぐに向ける『長腓骨筋』~小指側を持ち上げるということ

塾生講座復習用画像 『長腓骨筋』。

足弓(足のアーチ)を維持するはたらきがある。

長腓骨筋の付着部

図を見れば、近位横足弓と外側縦足弓・内側縦足弓の形成に作用するのがすぐにわかる。

長腓骨筋の走行イメージ

腓骨頭・腓骨上部の外側面・脛骨の外側顆らに起始

第一楔状骨・第一中足骨底部に停止

足関節を底屈・外反する。

※外反は、短腓骨筋の作用の方が強い。


外反は、小指側を持ち上げて、足をねじるイメージ。

足関節の外反・内反

足関節の背屈・底屈


下図の左の黒矢印をイメージすると、母趾の付け根が密着するはずだ。

長腓骨筋の作用(図の左側)

外反しながら底屈すると、足がまっすぐになる。

後脛骨筋と一緒に後足部を交差支持して安定させる。

足弓を形成して、着地の衝撃を吸収する。

ここまで書けばわかると思うが、長腓骨筋が死ねば、姿勢制御システムが死ぬ。


安部塾では、足部の保護に力をいれている。






2017年3月21日火曜日

恥骨筋とねじり(股関節の屈曲・内転とねじり)

昨日の集中講座で、恥骨筋の使い方を解説した。

恥骨の恥骨櫛に起始。

大腿骨の恥骨筋線に停止。

股関節を内転、屈曲補助する。

3Dだと、こんな感じ。

恥骨筋

GIFだと、こんな感じ。
恥骨筋
で、ねじった三角なんかで使う。

http://www.dailybandha.com/2011/08/refining-pelvis-in-twisting-standing.html
この理由で、このポーズが重要なのです。

http://www.dailybandha.com/2012/02/preventative-strategies-for-low-back.html

http://www.dailybandha.com/2011/03/how-to-use-adductor-muscles-to-refine.html

Banghayogaの図は、プロメテウスとは違った美しさがある。



お楽しみに!!

足の機能を改善する~後足部の回外と前足部の回内

今日の塾生講座の復習用画像。

足首は回さない

かかとの見方

足の軸 (上図と対応)

講座出てないと、わからないなこれは(笑)。

こんな話も。

足のゆびを接地する

後足部の回外と前足部の回内の意味を理解できると、足部の機能が飛躍的に高まる。

足の問題が解消できれば90%問題が解消したようなものという説はブラフではない。


「なぜ?」……知性

「どうやって?」……感覚

知性と感覚の絶妙な深まりが、身体の動きを根本から変えていく。

今日の塾生講座参加者の変化が面白かった。

2017年3月18日土曜日

股関節の使い方~塾生講座復習用画像

金曜の塾生講座復習用画像~グレイ解剖学より

股関節1

股関節2

収縮後弛緩法を解説。

主働筋と協働筋と拮抗筋の関係が理解できないと、正確な効果を出せない。

促通と抑制のメカニズムを知らないと、ケガのリスクが増大する。

動くより座学が、安部塾の基本。

奇跡など存在しない。

地道な学問の力に優る方法論など、求める必要はない。

過去の賢人たちが残してくれた智慧を謙虚に学ぶ場所。

それが安部塾。

2017年3月17日金曜日

『収縮後弛緩法』を理解して、ほんとうの意味でやわらかい筋肉をつくる。ひとつのことに集中して生きていこう。

昨日に続き今日も、この仕組みを塾生講座で解説する。

正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書 より

加えて、『収縮後弛緩法』の解説も。


理解したら、驚きの効果をあげれる基本中の基本テクニック。


■経時誘導

運動すると協働筋が促通され、運動が終わると拮抗筋が促通される。

■相反抑制

経時誘導の間に相反神経支配が作用し、逆方向の交互運動が容易になる。


というより、この仕組みを知らずに動くから、筋肉・関節を壊してしまう。


※促通……神経系または神経筋の接合部に複数の刺激を加えると、その効果が単独の刺激の効果の和よりも大きくなる現象。

※抑制……刺激によって興奮した神経細胞の活動が、他の神経細胞によって抑えられること。制止。


ものごとには順序がある。

順序を守れない者は、いろいろなものを失う。

失って気づいても、もう遅い。

手遅れになる前に学んで欲しいと、切に思う。


昨日の塾生講座で、『シングルタスク』の重要性を解説した。

※タスク=課題・作業・仕事

人間の脳は基本構造として、『一度にひとつの課題を処理する』ようにできている。

同時に並行して複数の課題を処理するようにはできていない。

マルチタスク=ながら作業は脳を壊し、能率を低下させる。

シングル作業は脳を健全に保ち、能率を向上させる。


マルチタスクを続けていると、脳の線条体の活動異常を招く。

身体の随意運動の調節や姿勢、筋肉の緊張を調整など様々な機能を司る線条体が壊れる。
出典画像:Anatomography
昨日の塾生講座参加塾生用の補足(大脳基底核のおはなし)より
 ↓
線条体 「被穀・尾状核」 ( 意思決定を司る部位 )

線条体(せんじょうたい striatum)は、大脳基底核の主要な構成要素のひとつです。

運動機能への関与が最もよく知られています。

また、意思決定(依存や快楽)などその他の神経過程にも関わると考えられています。

線条体が機能低下により対人恐怖症、社会恐怖症に成るケースが多いと言われています。
(例:人前に出ると震えたり、手の平に汗をかいたり、顔の筋肉が硬直したりする)

線条体は、背側線条体と腹側線条体に区分されます。

運動系機能を司どる被殻(ひかく putamen)、精神系機能を司る尾状核(びじょうかく caudatenucleus)から構成されていて背側線条体とも呼ばれている。

線条体(被殻と尾状核)は、大脳辺縁系と大脳新皮質からそれぞれ興奮性入力を受けることが知られています。

引用ここまで


いくつもの課題を立ち上げて身体機能を壊した塾生がいた。

昨日、ネタにさせてもらった。

やりたいことリストをつくり、最優先課題にのみ取り組むことの大切さを説いた。

「でも」「だって」と言っていられるほど、人生は長くない。


大切なブラザーを、ふたり続けて失った。

マルチタスクは、命までも奪う。

寿命を縮めてでもやりたいことなら、それはそれでいい。

やりたくもないのにやって寿命を縮めるのは愚かな行為だ。


もう仲間を失いたくないので、力説していく。


シングルタスク=ひとつの課題に集中していると、海馬のはたらきがよくなる。

この理由で、安部塾ではシングルタスクを推奨している。

身体の随意運動の調節や姿勢・筋肉の緊張の調整などの機能を司る線条体の機能を壊してはならない。

マルチタスクは、失うものがあまりにも多すぎる。


今日の塾生講座で、続きを解説する。

2017年3月16日木曜日

過剰な柔軟性を求めない~関節を完全にはめた状態で動く

ハイパーモビリティ症候群。

過剰な柔軟性という病。

ハイパーモビリティ

いつの頃からか、「柔軟性があるとケガをしにくい」という迷信が蔓延した。

実際は、過剰な柔軟性を求めるほどにケガを重ねることになる。

不安定になった関節と痛めつけられ傷ついた神経。

迷信を信じたツケは、容易なことでは返済できない。


不安定になった関節は、精神面をも不安定にしてしまう。

関節には感情が記憶されるから。

過剰な柔軟性は、筋力の発揮を阻害する。

破壊された靭帯のセンサーは、関節の位置を伝達できなくなる。


不安定になった関節に、美しさはない。

肩関節

いまではすっかり主流になった「関節を完全にはめて動かす」という考え方。

その姿は美しい。


そう。

形態は機能に従う。

湾岸ミッドナイト34巻

湾岸ミッドナイト34巻
機能ある者には、機能美が生まれる。

人は、その美に、理由などなく魅せられる……


27年前に、こんな考え方を学んだ。

「構造学的に正しいものは、美学的に美しい」

この27年間、その考え方が間違いないことを確認してきた。


続きは、塾生講座で解説する。

2017年3月15日水曜日

舌と姿勢制御筋(胸鎖乳突筋)~最強の姿勢制御菓子「ハイチュウ」

あいかわらず、上あごと舌の関係を解説中。

塾生と講座参加者向けに、解説用画像を用意した。

舌の位置と胸鎖乳突筋・舌骨筋群

頭部前方位と胸鎖乳突筋・舌骨筋群

上顎骨

上あごの歯と舌のポイント

上あごの歯

姿勢制御の秘策=ハイチュウ。

ハイチュウ

胸鎖乳突筋と舌骨筋群を見れば、ハイチュウの使い方は理解できるはずだ。
胸鎖乳突筋と舌骨筋群
そして、その効果も。


いつも講座で発言しているが、構造を理解せずに外見だけ真似しても意味はない。

地道な機能解剖学の学習以外に道は存在しない。

近道などない。

無知は自身の身体を壊す……例外は存在しない。


粗雑な身体の動かし方を、「楽しい」とか「気持ちいい」とか感じてしまう。

そして、その動かし方を他人に奨めてしまう。

結果、取り返しがつかないことになる。

姿勢制御機能が壊れるほど動きは雑になり、何もかも失ってしまうことになる。


足や舌の使い方の学びは地味だ。

しかし、それを地味だと嗤(わら)う者に、姿勢制御を語る資格はない。

2017年3月14日火曜日

正しい姿勢の基本~舌の位置は、舌背を口蓋(上あご)にぴったりとつける。

舞さん発で、鼻呼吸のための口テープブームがきている。

口呼吸は、デメリットしかないからね。

正しい舌の位置を勘違いしていると、人生詰んでしまう。

画像で解説。

舌の位置

舌が落ちて低くなると、気道がふさがり酸欠に。

姿勢制御システムが崩壊するので、何もかも破綻。


塾生に解説した通り、こんな感じで舌骨をイメージして舌の位置を決めると改善できる。

舌の位置

偉大な母親の元に生まれた人は、生まれたときからできる。


あかちゃんの舌使い

舌の形状は、「いちじく」をイメージするといい。


今日の大手門塾生講座も、鼻呼吸と舌の位置の解説。

参加すると、人生のすべてがますます良くなっていく。