2022年8月30日火曜日

歩行改善と二拍子のステップ(足運び)/ 呼吸に動作を合わせる

 9月の各地の講座で、『歩行改善と二拍子のステップ(足運び)』『呼吸に動作を合わせる』の実技の解説をします。

■二拍子のステップ(足運び)

 リズムに合わせて足中心に身体全体を使ってステップを踏みます。歩くような動きや反復横跳びのような動きなど、さまざまな動きがあります。左右の足で交互に半拍と一拍半のステップを繰り返すのが基本ですが、今回は、歩行の改善を目的とした基本的な二拍子のステップをやります。

ステップのドラム譜

■呼吸に動作を合わせる

 『下部胸式呼吸+上部腹式呼吸』をベースに、『吐きながら動く』をテーマにします。りきんだり、吐き過ぎたり、吸い過ぎたりしないように、呼吸に動作を合わせていくことで、身体のバランスがよくなります。首・肩・胸に余計な力を入れないことや、吐くときの身体の使い方などについて解説します。

 講座内容についての詳細は、このブログで紹介していきます。


☆9~10月の各地のワークショップについて。

機能運動学大牟田サークル

9月4日(日) → 詳細

 

☆東京ワークショップ

9月9・10・11日(金・土・日)→ 詳細

  

☆新宮校ワークショップ(休日)

9月18日(日)・25日(日) → 詳細 

 

☆大阪ワークショップ

9月23日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

9月24日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

9月25日(土)→ 詳細

 

☆新宮校ワークショップ(平日)

9月26日(月) → 詳細

 

☆下関ワークショップ

10月1日(日)→ 詳細



「過去、ウケたこと」が、「いま現在、ウケること」かというと、そんなことはありません。いま現在ウケていることが、未来においてウケる可能性はとても低いものになります。

イチロー「合理的になるには無駄なことをたくさんしないとダメ」…手段の最適化を求める者は、目先の最適化を求めがちなので、長い目で見て進歩がない体感のメタ認知を高めると、仮説に対するアプローチ経路が具体的に見えるようになる。これを積み重ねるにおいて、「正解の経験」と「失敗の経験」の差はほとんどない

ウメハラ「結局、効率のいい考え方、効率のいい勝ち方というのは、たかが知れてる」「成果を出しているヒト」は、「今のシステム」がマッチしているのを忘れてはいけない。

 便利な技というのは応用が利かない。自分自身は何も成長していない。システムに頼っているに過ぎず、自分は工夫していない。だから、便利な技が通用しなくなったとき、技自体がなくなってしまったときにはどうすることもできない。 『勝ち続ける意志力』梅原 大吾 著、小学館

Miki 炎舞奉納

 僕がよく「間違った成功体験」と呼んでいる現象があります。その時代に、たまたま自分のやっていることがマッチ(適合)したため、たまたまうまくいくという体験です。ここで、「自分は正しい」という強い思い込みを持ってしまうと、潮目が変わった途端に凋落することになります。


 1996年(平成8年)8月7日、ビートルズの楽曲「エヴリー・リトル・シング」に由来する『Every Little Thing』というというグループがデビュー。「Dear My Friend」「出逢った頃のように」「Time goes by」「fragile」などがヒットしました。1992~1995年までは体験の蓄積期間だったのではないかと存じます。

 持田香織さんのファンなので、ヘビーローテーションで聴いておりました。楽曲を聴けば、あの時代の情景を思い浮かべることができます。

 2019年12月初旬、 中国の武漢市で第1例目の感染者が報告されてから後、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、世の中の潮目が大きく変わりました。それまで通用していたテンプレートが、いきなり通用しなくなってしまったのです。そしてその流れは、いまも変わってはいません。

 「過去、ウケたこと」が、「いま現在、ウケること」かというと、そんなことはありません。いま現在ウケていることが、未来においてウケる可能性はとても低いものになります。

 たまたまうまくいっただけの幻の成功体験にこだわってしまうと、こだわればこだわるほどまずいことになっていきます。厄介なのは、見た目だけは思い通りに進んでいるように見えるし、自身も盛大に自分のやっていることを正しいと勘違いしてしまうということです。とはいえ、それも、失敗体験のひとつにはなるので、ちゃんと意味はあるのですが。

 私自身どうかというと、2020年以降、たくさんの失敗を積み重ねてきました。そして現在、どうしたらいいのかまるでわかりません。

 人生において、どうしたらよいかわからなくなったときは、水木先生の作品を読むようにしております。「好きじゃない仕事に追われる」とよくないのは、これまでの人生で充分すぎるほどに堪能してきました。

 「僕が好きなことって何だったっけ?」って考えていたら、「音響機材を組んで、ダンスミュージックをつくって踊る」だったことを思い出しました。早速、大型PAスピーカーやらパワードミキサーやらシンセサイザーやらを購入し、中高生のときに諸事情でできなかった作曲活動を開始しました。楽しい時間を過ごしております。

 とはいえ、それが現在の世の中でウケるかというとそんなことはないと存じます。ただ、いまやっていることは必ず、未来の自分を救ってくれることになると感じております。

 50歳を過ぎると、あれもこれもはできなくなってきます。なので、好きなことを貫く覚悟を決めることが大切だと存じます。

 

2022年8月24日水曜日

適度な正しい運動を継続すると、姿勢や体型が美しく調い、健康上のメリットを享受することができます。

 正しい運動により障害や疾患の症状の改善、予防を図ることができます。適度な正しい運動は心身を健やかに保つ大切な要素のひとつです。日常生活で必要となる立ち上がったり座ったりする動作や、階段の上り下りなどの移動動作の維持または改善を図ることができます。筋力強化や体力維持などの健康増進などに、正しい運動が必要になります。

 中性脂肪や体脂肪の減少、血圧の降下、血糖の低下、糖質代謝の改善など生活習慣病の改善効果も期待できます。筋萎縮や骨粗鬆症などの予防効果、ストレス性疾患の改善にも効果が期待できます。

 基本は、筋肉を動かす際のエネルギーに酸素を使う運動です。エネルギー源として脂質や糖質を使うため、血中脂質や血糖の減少が期待できます。高血圧や高血糖、脂質代謝異常症などに有効なことが多いようです。

 胸の動きが制限されていると、呼吸運動に伴う酸素の消費量を増大させることになり、疲労や息切れを悪化させてしまいます。胸郭可動域の拡張をはかる必要があります。腹筋群の筋力を正しく強化することで、呼吸が楽になります。

 下図の向かって左側が吸気筋(吸う)、右側が呼気筋(吐く)となります。

https://www.brainkart.com/article/Respiration-Muscles_21121/

8月のワークショップで解説いたします。

☆大阪ワークショップ

8月25日(木)→ 詳細


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8月26日(金)→ 詳細


☆神戸ワークショップ

8月27日(土)→ 詳細


☆下関ワークショップ

8月28日(日)→ 詳細


2022年8月17日水曜日

下腹とウエストを引き締める呼吸。

 ■下腹とウエストを引き締める呼吸

開始肢位:あおむけで股関節と膝関節を90°に曲げる。骨盤と腰椎は中間位。

①息を吐く:吐きはじめに骨盤底筋群を活動させる。下腹(腹横筋の下部繊維)を引き締める。肺が反動で縮み続けることで深く吐いている間、横隔膜の上昇を補助するため、骨盤底筋と腹横筋を穏やかに収縮させ続ける。吐き終わりに骨盤は軽度後傾、腰椎は軽度平坦化し、背筋群はリラックスする。胸骨は脊柱に向かって下がる。

息の吐き終わりのときの、骨盤と胸骨の動き。

②息を吸う:やさしく骨盤底筋群を活動させる。肺を大きく膨らませ、胸郭(肋骨の籠)の側面と背面の動きを増し、肺の下葉に息を入れる。同時に横隔膜の下降を促すため、前方の腹筋群をさらにリラックスさせる。

吸った息が入る位置

 肺の上葉でより多く吸ってしまわないようにする。下位肋骨ではなく胸骨が動いている場合は、第6~12肋骨の位置に手を覆うように軽く置いて意識する。

 吸うための過剰な努力をすると緊張が高まるため、焦点を「完全に吐くこと」に当てるようにする。完全に息を吐こうとすると、他動的に息が吸い込まれるようになる。

 慣れてきたら、骨盤底筋と腹筋群を深く収縮させたまま呼吸する。胸郭の側面と後面の拡張を補助する腹壁と骨盤底の支持を感じるようにする。

8月のワークショップで解説いたします。

☆東京ワークショップ

8月19・20・21日(金・土・日)→ 詳細


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8月25日(木)→ 詳細


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2022年8月16日火曜日

腹式呼吸と胸式呼吸について。呼気(息を吐く)筋は、気道抵抗や換気量が大きいときに働きます。

 腹式呼吸は、横隔膜によって胸郭を上下に動かし、体積を増減させる呼吸とされています。

 胸式呼吸は、横隔膜に肋間筋が加わり、胸郭を上下のほか前後左右にも動かして体積を増減させる呼吸とされています。

 現実的には、腹式呼吸と胸式呼吸法を同時に行っていて、安静時には腹式呼吸が優勢となり、運動時には胸式呼吸も加わり、体幹を安定させたいときには上部腹式呼吸と下部胸式呼吸を組み合わさります。

呼吸運動時の肋骨の動き

 外界の空気を肺に取り込んだり、排出したりするために、肺の拡張・収縮を行うことを呼吸運動(こきゅううんどう、breathing movement)と呼びます。肺は、胸壁内腔を覆う壁側胸膜と肺を包む肺胸膜という2つの膜で覆われており、両膜の間は陰圧なので、胸郭や横隔膜を動かすことによって受動的に肺の拡張・収縮を行うことができる仕組みになっています。

 通常の安静時呼吸では、横隔膜が呼吸運動の大部分を担うことになります。リラックスして休息するときには安静時呼吸をしないと、心身が休まりません。

 換気量が増大し、強制的な呼吸が必要となった場合には外肋間筋、内肋間筋などの呼吸筋や腹筋群や骨盤底筋群も動員することになります。

 安静時は、吸息筋活動が停止し弛緩することによって、肺と胸郭の弾性によって元の状態に戻ることで呼息(吐く)が行われます。一方、強制的な呼吸が必要となったときには、内肋間筋が収縮することによって胸郭を小さくし、また、腹壁筋の収縮により横隔膜が挙上することで胸腔内容積を縮小させます。この時、拡張した肺自体も縮小しようとするので、肺が収縮して空気が排出されます。

 安静時は、横隔膜と外肋間筋の収縮によって横隔膜が下がり胸郭を広げ、胸腔内容積を増大することにより肺を拡張し、空気を肺内に流入させ、吸息運動が行われます。一方、強制的な吸息運動が必要となったときには、呼吸補助筋として胸鎖乳突筋、斜角筋、僧帽筋、前鋸筋などが働きます。

 胸腔や胸郭は、呼気筋の作用で小さくなり、吸気筋の作用で大きくなります。

 主な吸気筋には横隔膜、外肋間筋、傍胸骨部内肋間筋があります.横隔膜は収縮すると降下し、胸腔の上下径が増大します。さらに腹腔内圧の上昇作用を介して胸郭径が増大します。外肋間筋、傍胸骨部内肋間筋の収縮は肋骨を上方へ動かし、胸郭径が増大します。

 主な呼気筋には、内肋間筋、腹筋群があります。呼気筋は、気道抵抗や換気量が大きいときに働きます。内肋間筋の収縮は肋骨を下方へ動かし、胸郭径が減少します。腹筋群は腹腔内圧を上昇させ。横隔膜を上昇させます。


 8月のワークショップで解説いたします。

☆東京ワークショップ

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2022年8月13日土曜日

姿勢改善により呼吸筋の機能を高めることで、首や肩のコリやハリが消える理由について。

 肺は、自分の力でふくらんだりしぼんだりすることはできません。肺は、肋骨の籠である胸郭に囲まれおり、胸郭がひろがることで外気が入り、胸郭が狭くなることで内気が出ていきます。胸郭をひろげたり狭めたりしているのは、胸郭まわりの筋肉群です。呼吸するために胸郭を動かす筋肉を「呼吸筋」と呼びます。よく知られているのは横隔膜ですが、他にも首、胸、背中、お腹などに複数あります。

 呼吸筋の能力と柔軟性を高めていくと、胸郭がやわらかくなって可動域がひろがります。外気をしっかり吸えて、内気をしっかり吐けるようになります。呼吸筋には、吸息(息を吸う)筋と呼息(息を吐く)筋の2種類があります。

 構造的に、胸より上のほうに集中してついているのが吸息筋、お腹のほうに集中してついているのが呼息筋となります。このため、吸う=↑、吐く=↓のイメージとなります。

 猫背になると胸郭をひろげるのが難しくなります。肩甲骨を脊柱の中心に引きつける菱形筋が機能しておらず、肩甲骨が適切な位置に納まっていない状態になってしまうためです。胸郭が楽にひろがるためには、肩甲骨と肋骨をつないでいる前鋸筋を適切に作用させなくてはなりません。そのためにまず、菱形筋を機能させなくてはいけません。菱形筋が機能低下していると、肩甲骨が外転・前方突出してしまい、猫背になってしまいます。

 下を向いてスマートフォンをいじったり、間違ったセッティングでパソコン作業をしたりといったことを続けていると姿勢が崩壊してしまいます。デスクワーカーの多くが、姿勢崩壊状態にあります。この姿勢の組み合わせには、頭部前方位(前方頭位)+巻き肩の組み合わせという特徴があります。フォワードヘッド&ラウンドショルダーと呼ばれています。

上位交差症候群からの頭部前方位+巻き肩

 小胸筋の作用は、肋骨を引き上げ呼吸を補助するというものです。小胸筋が短縮して硬化してしまうと、胸の前側に肩甲骨が引っ張られ、肩が前のほうへ巻き込みやすくなります。

 重い頭を支えるために首の後ろの筋肉が引っ張られます。常に緊張した状態に陥るため、頭の重み、首のハリ、肩コリを誘発します。

 真横から見たとき、首と肩がアンバランスになっている状態が上位交差症候群です。正しい姿勢では、肩の端にある骨の先端(肩峰)と外耳(耳の穴)は地面に対して垂直に位置しています。外耳が肩峰より前に行っている人を観察してみると、猫背であることがわかると思います。。

 緊張状態に陥ることで胸郭の動きが制限され、呼吸が浅く、はやくなります。呼吸の回数が増えてしまうことになります。体内に取りこめる空気の量は、1回の呼吸で吸う息の量(換気量)×1分間の呼吸回数による「分時換気量」で算出されます。呼吸の深さや回数には個人差があり、深くゆっくりした呼吸で空気を取りこむ人もいれば、浅い呼吸をたくさんすることで空気を取りこむ人もいます。

 リラックスできていて筋肉がやわらかい人は、深くゆっくりとした呼吸回数が少なくなります。緊張レベルが高くて筋肉が硬い人は、呼吸が浅く、速くなり、呼吸回数が多くなります。

 姿勢の悪さなどから胸郭の動きが制限されて呼吸が浅くなってしまい、呼吸数を増やさざるを得ない状況に加え、緊張レベルが高くてリラックスできないことで呼吸システムがおかしくなり、フィジカル的にもメンタル的にも壊れていくことになります。

 これらの問題を解消するためには、吸う筋肉を意識しながらの首と肩の呼吸筋エクササイズと吐く筋肉を意識しながらの胸とお腹と背中のエクササイズが有効です。正しいフォームで日々続けていくことで姿勢が改善され、自然と深くゆっくりしたリズムでの呼吸ができるようになります。姿勢と呼吸が調ってくると、感情面の安定が得られます。フィジカル面でもメンタル面でも安定し、リフレッシュできます。

8月の各地のワークショップで、深く正しい呼吸について解説いたします。

☆新宮校ワークショップ(お盆)

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2022年8月9日火曜日

呼吸を改善する。ただ、呼気(息を吐く)と吸気(息を吸う)に気づくようにするだけで、良好な変化を起こす。

呼吸と胸郭の動き

『アレクサンダー・テクニーク完全読本 体がよみがえる姿勢と動作 リチャード・ブレナン』医道の日本社 141~144Pより

  効率的で有益な呼吸は、良い姿勢や明確な思い、そして本来のデザイン通りに体を使うことにおいて、不可欠なものです。ほかの多くの体の機能と同じように、呼吸という単純な行為も、しばしば無意識の中で制限されています。

 これまで述べてきたように、不利な姿勢と体の誤用は、筋の過剰緊張をもたらします。筋緊張は、胸郭、肺、鼻腔、口、のど(気管)に至る機能に影響を及ぼします。また、よくみられる上半身が崩れた姿勢や縮こまった姿勢を起こさせます。姿勢が崩れると、空気を取り入れる肺の容量に多大な制限をかけることになります。そして、「浅い呼吸」となってしまい、必要な空気を取り込むにあたって、より労力を要する状態となります。つまり、本来の楽な呼吸を、あえて労力をかけて行なってしまうということです。

 この余分な努力は、ほぼ無自覚なまま行われています。私たちは浅い呼吸と負荷のある呼吸に慣れてしまっているからです。これが長年行ってきた呼吸の仕方であり、私たちはそれを「普通」「正しい」と感じています。

 多くのボイストレーナーやスポーツトレーナーは、肺が本来の動きができる状態となる「深い呼吸」を勧めます。その目的は考え方としてはふさわしいのですが、彼らの推奨する呼吸の仕方は、多くの呼吸器系の問題を悪化せてしまう可能性もあります。人々はよく、息を「吸い込んで」または「押し出すように」して、肺の容量をひろげるように指導されます。しかし、これはすでに過度に負荷がかけられた筋群に、さらに緊張を加えるだけです。既存の呼吸法や呼吸エクササイズのほとんどは、「深く吸って」と指示するなど、息を吸うことにフォーカスしています。

 しかし、これは呼吸メカニズムをさらに制限してしまします。胴体の筋を緊張させて胸を持ちあげて、背中の弯曲を大きくしてしまうでしょう。これが呼吸をより制限することになり、有害な呼吸パターンンをさらに加えてしまい、元々持っていた呼吸の悪癖をより強いものにしてしまいます。

 自然な呼吸は、特定の呼吸法や呼吸エクササイズを行うのではなく、有害な習慣をやめていくことで得られるものです。

 アレクサンダー・テクニークは、効率の悪い呼吸の習慣に気づいて、それを予防していくものとなります。「やっていることを、より少なくする」という考えをベースにしたアレクサンダーの有名な言葉に「呼吸をしようとしなければ呼吸ができる、ということが最終的にわかったことだ」というものがあります

 多くの人の考えることとは反対に、息を吸うことではなく、息を吐くことが私たちの呼吸の仕方を決めるのです。私たちが息を吐くと、肺の気圧は低下し、部分的に真空状態が形成されます。これが外部の空気を肺の中に吸い込ませることになります。通常の状態であれば、呼吸メカニズムはすべて自律的に行われます。息を吐くほど、その後の吸気は深くなり、呼吸を深くできるのです。

 呼吸が反射によって自然に行われることを理解しておくことは大切です。私たちが呼吸を改善しようとして行うすべてのことは、逆に自然な呼吸をさらに邪魔してしまうでしょう。私たちは「習慣を手放す」必要があり、そして「自然に任せていく」ようにすることが大切なのです。

~引用ここまで


 胸郭と上腹部まわりに制限をかけている自分に気づくことができれば、その制限を解除するだけで、より自然な呼吸ができるようになります。安部塾では、「息を吐くことを制限している自分の悪癖」に気づくことができるよう、自分の緊張を観察するように促しています。無理に空気をはやく出そうとしたり、吐く息を長引かせようとしたりしないように(これらは新たな緊張を生み出します)、自然にまかせていくようにします。

8月の各地のワークショップで、深く正しい呼吸について解説いたします。

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2022年8月4日木曜日

『深く正しく呼吸すれば自然に姿勢が正しくなり、姿勢が正しくなればそれに伴って心も正しくなる』

 私たちの通常呼吸は、横隔膜による吸気を中心とした無意識的な呼吸あり、外気から酸素を取り入れ、代謝によって生じた二酸化炭素を排出しています。一方で、意識的に調節できる呼吸運動の特性に基づいて、目的をもって意識的に呼吸を行うこともあります。

呼吸

 意識的呼吸では、下腹部の運動を意識した丹田呼吸がよく用いられています。通常、吸気(息を吸う)よりも呼気(息を吐く)に重点が置かれ、生理学的・心理学的変化を伴うことがよく知られています。呼吸の精神的効果を狙って、リラックスを得るために呼吸を調えることがよく行われてます。

 剣の世界では、『深く正しく呼吸すれば自然に姿勢が正しくなり、姿勢が正しくなればそれに伴って心も正しくなる』と、よく言われています。

 腕(上肢)の運動に一定時間先行して、横隔膜の活動があらわれます。腕の運動を連続的に繰り返して行うと、吸気を起こすために横隔膜がはたらき、腕の繰り返し運動の周期に対応した付加的な横隔膜のはたらきがあらわれます。同様の筋活動は、腹筋群や肛門周囲の骨盤底筋群にもみられます。これらの筋活動は腹圧を上昇させ、脊椎を安定させます。そして、姿勢の安定をもたらしてくれます。

 呼吸筋は姿勢に対しても重要な役割を持ちます。良好な呼吸パターンがスムーズな動作において重要となる理由は、安定した姿勢をもたらすためです。しかし、呼吸と姿勢のいずれかの要求が増すことによって、呼吸と姿勢の協調が乱れる可能性がでてきます。呼吸筋の役割において、呼吸運動に関与する役割が強く求められれば、姿勢筋としての役割は減弱してしまうことになり、姿勢筋としての役割が強く求められれば、呼吸運動に関与する活動は減弱してしまうことになります。

 良好な呼吸パターンと動作に習熟するあめの基礎練習を積み重ねることは、呼吸筋の姿勢筋としての役割と呼吸運動に関与する役割のバランスを調えることになります。

 呼吸法の身体的効果および精神的効果は、セロトニン神経の活性化に大きく関係します。セロトニン神経の活性化は、リズムが調った呼吸で得られます。また、歩行や咀嚼などのリズム運動によっても得られます。

 リズムが調った呼吸法はリラックスしつつ集中という状態を導き、運動ニューロンを促通させ、筋力発揮を容易にしてくれます。筋力発揮のみに依存せずに動作することができます。呼吸のリズムが乱れている人の動きは筋力発揮のみに依存しがちになるため、ケガをしやすくなり、無駄の多いうるさいものとなります。

 リラックスを得るためによく行なわれている腹式呼吸法を紹介します。呼吸は、原則として鼻から息を吐き(口からでもよい)、鼻から息を吸うようにします。

①息を吐く時は、お腹を小さくキュッと締め、おへそを背骨に近づけつつ、しっかり息を吐き出します。⇒横隔膜がゆるみ、骨盤底筋群のはたらきが活発になります。

②お腹の力をフッと緩めて膨らませると、吐いた分だけ鼻から空気が入ってきます。

 呼吸に動きを合わせるときは、吐く息で動作を始め、吸う息で動作を止める、あるいはゆるめるようにします。

 コア・プログラムのときは下部胸式呼吸をおこないます。息を吸うときも吐くときも深層の腹筋を絶えず内側に引きつけたまま胸郭を横にひろげることを重視します。先ほどの腹式呼吸とは対照的です。エクササイズを正しく行い、身体を保護するためにコアを安定させておくためです。

①息を吸うときは、やさしく骨盤底筋群を活動させ、肺の拡張をより大きくし、胸郭の側面と後面の動きを増すことで肺の下葉にさらに息をいれます。

②息を吐くときは、まずはじめに骨盤底筋群の活動を増やし、腹横筋の下部繊維を引き締めます。肺が反動で縮み続け、深い呼気を得るあいだ、横隔膜の上昇を補助するため、骨盤底筋と腹横筋のゆるやかな収縮を維持する。

 呼吸サイクルのあいだ、吸気でわずかな脊柱の伸展(背中が反る)が起こり、呼気で他動的な脊柱の屈曲(背中が丸まる)が起こります。

 深く正しく呼吸すれば自然に姿勢が正しくなっていきます。

8月の各地のワークショップで、深く正しい呼吸について解説いたします。

☆下関ワークショップ

8月6日(日)→ 詳細  

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8月14日(日)※増日の可能性あり→ 詳細


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2022年8月3日水曜日

片脚で円を描く(ロン・ドゥ・ジャンブ=ron de de jambe)と、脚が引き締まります。

■片脚で円を描く(ロン・ドゥ・ジャンブ=ron de de jambe)

 「脚をまわす」の意で、片脚を円を描くように動かすこと。 マクシミリアン・ガルデルらの考案とされる。床につけたまま動かす場合と、空中で動かす場合に大別される。

①ロン・ド・ジャンブ・ア・テール(rond de jambe à terre=地面)

片脚の爪先で床の上に半円を描く動き。前からうしろへ外側に描くものをアン・ドゥオールといい、逆に内側へのものをアン・ドゥダンという。 

②ロン・ド・ジャンブ・アン・レール (rond de jambe en l'air=空中)

片脚で空中に円を描く動き。アン・ドゥオールとアン・ドゥダンの2種類がある。


 ロン・ド・ジャンブ・ア・テールで地面に描く円は、正確に大きくなるようにします。股関節を過緊張させないようにして、できるだけ遠くを通るように、つま先まで伸ばしきります。脚の内腿をしっかり使い、上体を引き上げ、軸足で床を押して軸をつくり、その軸を中心点として円を描くようにします。

 ロン・ド・ジャンブ・アン・レール で空中に描く円は、正確になるようにします。 強い軸をつくり、軸足の足裏全体で床をしっかり押します。上半身はまっすぐ上に引き上げます。反ったり前傾したりしないように気をつけます。動かす脚は無理をせずに保持できる高さを意識します。脚の旋回時に、軸が崩れてしまっては意味がありません。高くあげるのが目的ではないので、バランス重視で行います。

 実際に描かれるのは「半円」です。つま先できれいな半円を描くように動かすことで、大腿の内側と外側が調い、引き締まります。

 安部塾では、エクササイズとして片脚で円を描く動きをやります。写真を撮り忘れたので動画リンクを貼ります。


 

 体力がない人は、片脚を骨盤の高さにあげ、足をフレックスにし(足首をすねのほうに曲げ)、このポジションをキープしたまま一方向に4回小さく円を描きます。元の位置に戻し、反対の方向に4回小さく円を描きます。それぞれの方向に5セット繰り返したら、身体の向きを変えて、もう片方の脚でも5セット繰り返します。

8月の各地のワークショップで、体力がない人向けのやり方について解説いたします。

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2022年8月1日月曜日

呼吸のリズムに、歩くリズムを合わせる。どれだけ長く歩けるかが大切で、速く歩くことが目的ではありません。

 歩き出す前に息を吸い、4 歩で「息を吐き」、2 歩で「息を吸い」ます。この表現では、歩行のリズムに呼吸のリズムを合わせるような印象を与えてしまいますが、「呼吸のリズムに歩行のリズムを合わせるようにします。

歩行と呼吸

 歩き出す前に息を吸います。息を吐きながら「1、2、3、4」と4 歩進み、息を吸いながら「1、2」と2歩進み、また息を吐きながら「1、2、3、4」と4歩進みます。これを繰り返して歩きます。呼吸に歩くリズムを合わせて、できるだけ長い距離を歩けるようにします。

 どれだけ長く歩けるかが大切で、速く歩くことが目的ではありません。

 呼吸は、狭くなった気管支を拡張させる働きがある口すぼめ呼吸です。鼻から息を吸い、すぼめた口から吐き出します。まずは、吸気(吸う)1に対して呼気(吐く)は2倍になるように意識します。動作中に口すぼめ呼吸を行うことで、呼吸数を減少させ、運動耐容能 やADLが改善するとされています。

 動作に必要な酸素の量は、筋力がつくほど少なくて済むようになり、呼吸が楽になります。息苦しいからといって動かなくなればなるほど、筋力が衰えてしまう簡単な動作でも息切れを起こしやすくなってしまいます。安部塾のコアプログラムのような、「息苦しさを伴わないのに、体力的には少しきつい程度の運動」が最適だと存じます。動作時に呼吸困難や酸素飽和度の低下がある場合には、一旦動作を中断して、呼吸と姿勢を調え直してから動作を再開するようにします。

ピラティスの「屈曲伸展理論(屈曲の動きで息を吐き、伸展の動きで息を吸う)」に基づいた、自分の呼吸機能に合わせた運動で、日常生活に支障をきたさない程度の筋力を維持増進してください。


8月の各地のワークショップで解説いたします。

機能運動学大牟田サークル

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☆新宮校ワークショップ(休日)

8月11日(木・祝)→ 詳細 


☆新宮校ワークショップ(お盆)

8月14日(日)※増日の可能性あり→ 詳細


☆東京ワークショップ

8月19・20・21日(金・土・日)→ 詳細


☆大阪ワークショップ

8月25日(木)→ 詳細


☆名古屋ワークショップ

8月26日(金)→ 詳細


☆神戸ワークショップ

8月27日(土)→ 詳細


☆下関ワークショップ

8月28日(日)→ 詳細