2023年12月31日日曜日

肩甲挙筋の下部付着部(肩甲骨上角・内側縁の上方)におこる痛みとトリガーポイントは、頭部前方位姿勢に対する反応が原因であり、この姿勢自体がストレスへの一般的な反応です。

 アナトミートレイン(医学書院)より引用します。

 アームラインの筋筋膜のいくつかは、LL(ラテラルライン)がすべき仕事を行ってしまう。すなわち、頭を支えるバランスを取るようになる。この筋筋膜の1つは、頸椎の横突起と肩甲骨の先端とを接続する肩甲挙筋である。肩甲挙筋は板状筋と並行して走り、頸椎または頭の前方への牽引と拮抗するにはよい位置にある。

肩甲挙筋とラテラルライン
 問題は、肩甲骨がしっかりとした支持基盤ではないことである。多くの場合、結果として起始と停止が逆転し、肩甲挙筋が「頸部前傾防止筋」として使用されることで、肩甲骨は頸後部に向かって上方に牽引され始める。

 対象者は、肩甲挙筋の下部付着部におこる痛みとトリガーポイントを報告し、これを「ストレス」のせいにすることが多いが、実際にはよくみられる「頭部前方位」姿勢に対する反応が原因である。この姿勢自体がストレスへの一般的な反応である。

頭部前方位姿勢と肩甲帯

 鎖骨の外縁に付着する僧帽筋の先端は、より安定した軸性の胸鎖乳突筋と同じように機能することができ、ここでも肩の部分は頭を支えることになる。このパターンはLLの誤用として理解することができる。

胸鎖乳突筋と頭板状筋

 胸鎖乳突筋の筋膜もSFL(スーパーフィシャル・フロントライン)とLL(ラテラルライン)の両方の一部であることから、SFLが下方に牽引されるとLLに悪影響が出る。

 LLで胸鎖乳突筋に相当するのは頭板状筋、すなわち「X字」の「前方に上行する」路線である。頭板状筋は、頸椎下部から胸椎上部棘突起に起始し、後頭骨外側縁と側頭骨後側部に停止する。

 引用ここまで

関連記事→アームラインの筋筋膜のいくつかは、LL(ラテラルライン)がすべき仕事を行ってしまう。

肩甲挙筋のトリガーポイント

 上図の✕印あたりに痛みがある人の姿勢を観察してみると、頭部前方位であることが確認できるかと思います。 肩甲挙筋は胸鎖乳突筋の深部から起始することがあり、頭板状筋に起始と中間部が隣接または深く入り込み、僧帽筋の深部に下部が位置しています。

 肩甲挙筋が収縮すると、肩甲骨を内上方に引き上げます(肩をすくめるような動き)。起始と停止が逆転すると、肩甲骨に向かって第1~4頸椎の横突起が引かれることになります。つまり、頭部前方位姿勢では肩甲挙筋が頸部前傾防止のために酷使されることになり、肩甲骨の下方回旋がうまくいかなくなります。

肩甲骨の下方回旋と肩甲挙筋

 肩甲骨の下方回旋に関わる筋肉の短縮やスパズムは、上肢挙上(腕をあげる)の際の肩甲上腕リズムを妨げてしまうため、肩関節の疼痛につながりがちです。下方回旋に関わる筋肉は、肩甲挙筋の他に、大菱形筋、小菱形筋、小胸筋、前鋸筋上部繊維があります。頭部前方位では、これらの筋肉に複雑な負担がかかることになり、腕の動きが悪くなっているのが観察できます。

頭部前方位姿勢

 負の感情(怒りや恐れ)は上頸部の過伸展を引きおこします。そして、肩甲骨の機能を狂わせて肩関節や股関節に問題を引き起こします。頸部姿勢保持筋の過緊張と負の感情を持つ人たちに対するアプローチとして、感情にではなく、姿勢保持筋に対する姿勢改善や運動療法がより重要であるという知見があります。頭部中間位姿勢の実現によりリラックスできるようになることで感情的な余裕が生まれ、気持ちが穏やかになり、頭がクリアになります。

 1月のワークショップで解説します。 

☆年始新宮校ワークショップ 

1月3日(水) → 詳細

 

飯塚ヨガワークショップ

1月5日(金)→ 詳細 

 

☆下関ワークショップ

1月6日(土)→ 詳細

 

 機能運動学大牟田サークル

1月7日(日) → 詳細 

  

☆東京ワークショップ

1月12・13・14日(金・土・日)→ 詳細  

 

☆新宮校ワークショップ(平日)

1月22日(月) → 詳細

 

☆大阪ワークショップ

1月25日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

1月26日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

1月27日(土)→ 詳細

 

新宮校ワークショップ(休日)

1月28日(日)→ 詳細

2023年12月30日土曜日

頭部前方位姿勢の人々は胸部体が緊張していて、呼吸運動が制限されています。胸鎖乳突筋は重力とともに機能し、下頸部屈曲と上頸部過伸展の発生を促します。

  アナトミートレイン(医学書院)より引用します。

SPL(スパイラルライン)と頭部前方位姿勢

 前鋸筋は四角形の要素と三角形の要素が広範に組み合わさった複雑な筋であり、肩の安定化と制御を行う。系統発生の初期には、前鋸筋は主に直立状態の肩甲骨内側の胸郭を支えるスリング形成に関与していた。

 前鋸筋の下部スリップは確かにSPL(スパイラルライン)に属しているが、中間スリップは、「ブラジャーのライン」の高さの大胸筋下方で、胸骨下部で中心線を越えて互いに結合する。前鋸筋は、SPLの「分岐線」を形成し、臨床でよくみられる頭部前方位姿勢を治療する場合に注目される。

 剣状突起直上の正中線からSPLをたどると、前鋸筋中間のスリップを回り、菱形筋の中間まで行き、頭板状筋を横切り、最終的に反対側の後頭骨で停止する。

 モデルに頭だけ突き出してもらう。緊張した筋に触れ、胸骨を引き戻す。極めて多くの頭部前方位姿勢の人々は、胸部体が緊張している。胸部体は緊張伝達の主要経路である。胸部体をゆるめてモデルの呼吸を持続させたい場合、左右の前鋸筋を接続する筋膜バンドを徐々にゆるめながら、頭を身体の頂点へと徐々に戻す。この手技はSPLをゆるめ、呼吸時に胸部の可動性が完全な状態に戻るよう促す。

胸鎖乳突筋

 身体の感受性の高い前面を上行する筋筋膜の牽引が、頭蓋後部に向けて胸鎖乳突筋を経由して突然跳躍するという事実からは、極めて興味深い反直感的状況が生まれる。SFL(スーパーフィシャル・フロントライン)を張らせると、運動あるいは姿勢のいずれかで体幹の屈曲が発生するが、頸の上端では過伸展が生じる。

 背臥位では起き上がる場合、胸鎖乳突筋は頭を引力に逆らって持ち上げながら頸屈曲を引きおこす。立位であっても、手を前頭部に置いて頭を前方に押し出すと、胸鎖乳突筋の収縮が感じられる。

 しかし立位では、胸鎖乳突筋は乳様突起に付着することから環椎後頭関節と環軸関節の蝶番の後側を走る。したがって、胸鎖乳突筋は重力とともに機能し、下頸部屈曲と上頸部過伸展の発生を促す。

 引用ここまで


 頭部前方位姿勢をとっている人の胸鎖乳突筋を観察してみると、うまく機能していないことがわかると思います。負の感情により上部頸椎の過伸展が引き起こされているのも確認できるはずです(逆に、上部頸椎の過伸展から負の感情が生まれているともいえます)。同時に、呼吸がうまくいっていないのも観察できます。

 筋膜には情動が影響を与えています。感情を解放すると屈曲姿勢を正して中間位にもっていきやすくなります。上部頸椎の過伸展状態も同時に解消されやすくなります。

 また、人体は、引き伸ばされて弱化している部分に痛みを感じ、縮んで硬くなっている部分には痛みを感じにくい構造になっています。つまり、縮んで硬くなっている部分をゆるめてあげることで、痛みからも解放されることになります。負の感情の解放と姿勢の中間位への改善と痛みの解消は、同時進行で進んでいくわけです。

 来年、1月からのワークショップで解説いたします。

☆年始新宮校ワークショップ 

1月3日(水) → 詳細

 

飯塚ヨガワークショップ

1月5日(金)→ 詳細 

 

☆下関ワークショップ

1月6日(土)→ 詳細

 

 機能運動学大牟田サークル

1月7日(日) → 詳細 

  

☆東京ワークショップ

1月12・13・14日(金・土・日)→ 詳細  

 

☆新宮校ワークショップ(平日)

1月22日(月) → 詳細

 

☆大阪ワークショップ

1月25日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

1月26日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

1月27日(土)→ 詳細

 

新宮校ワークショップ(休日)

1月28日(日)→ 詳細

2023年12月28日木曜日

負の感情はすべて、屈曲として現れる。負の感情は通常、上部頸椎の屈曲ではなく過伸展を引き起こす。頭部中間位姿勢への改善

 2023年は様々な和洋東西古今を問わず、身体操作技術の研究をすることができました。特に、頭部前方位姿勢についてはかなり理解が進みました。


頭部前方位姿勢

 首の付け根後方に「こぶ」のような盛り上がりができてしまっている状態の対策が出くるようになり、丸肩への対処が可能になりました。

 アナトミートレイン(医学書院)より引用します。

驚愕反応

 フェルデンクライスは、「負の感情はすべて、屈曲として現れる」と述べている。怒りによる前かがみ状態、うつ状態によるうなだれた姿勢、恐れによる身を縮めた姿勢は数多く、様々な形態で見られる。これらはすべて屈曲に関与する。

 人々は、鼡径部を縮める、腹部を締める、胸部を引っ込めるなど、それとはなく、あるいは明確に、この感受性の高い部分を保護している。

 しかしフェルデンクライスの観察には注目すべき例外がある。すなわち、負の感情は通常、上部頸椎の屈曲ではなく過伸展を引き起こす。これは驚愕反応と呼ばれる反応に極めてはっきりと見ることができる。

 明らかなことは、驚愕反応は全体的な屈曲反応ではなく、スーパーフィシャル・フロント・ライン上での短縮と緊張であるということである。この反応全体は、乳様突起が恥骨に近づけられることからはっきりと示される。これは前面で器官を保護するのみならず、顎を退縮かつ過伸展させ、頭を前方に下げる。

 驚いた人の全身姿勢は、頸上部の過伸展に加えて、下肢が硬直し、体幹と腕が屈曲する。

引用ここまで
頭部前方位姿勢

 頭部前方位姿勢の人が怒り狂って他者を思い通りに従わせようとして吹きあがっているのを観察できると思います。怒り疲れて興奮がおさまると、うなだれてうつ状態になってしまうのもよく観察できるはずです。自分が元々信じていることを容易に変えられない。自分には一貫性があり、自分が正しいと強く主張する人が、頭部前方位姿勢なのが確認できると思います。私は、「何となく自分が間違っていると感じていても、自分を肯定するように物事を捉え、自分の選択や決断が間違っていないと思い込んでしまう。本当は間違っているのにも関わらず、間違いを認めたくないために、自分を守るように自己正当化してしまう。」という傾向と頭部前方位姿勢に強い相関があると考えています。


 その人が自己正当化することで、こちらが悪者になってしまうケースもあります。そういうことになりそうなのであれば、それは反論してもいいでしょう。

 そのときには、本人に反論するのではなく、その事実を評価する立場の人に「事実ではありません」と訂正を入れることです。要は、自分の身を守る程度には訂正する必要はありますが、基本的には受け流すことです。

引用ここまで

 このとき、負の感情から頭部前方位姿勢になっている人からの攻撃を受け流す(戦わない)コツは、「姿勢を改善する=頭部中間位でいる」ということになります。

 負の感情から頭部前方位姿勢になっているときは、自己正当化バイアスによって後押しされた根拠のない自信から、現実の自分の実力を過大評価しています。思い込みと自信過剰が強くなりすぎるため、本人が思っているほどには他者からは評価してもらえません。

 頭部前方位姿勢は自分を守りたいという姿勢です。否定の否定をすることで自己正当化している状態です。自己正当化バイアスが強くかかるので、選択を間違えてしまいやすく、物事がうまくいかなくなります。

 メンタル面から頭部前方位姿勢を改善するためには、常に自分を疑ってかかる必要があります。自己否定して、自分の何が間違っているのかを理解しなければなりません。

 一度、ナチュラルに頭部中間位姿勢になってみればわかりますが、頭部前方位姿勢のときの認知は歪んでいることがほとんどです。また、頭部前方位姿勢のときは頭部中間位姿勢の人に対して謎に敵意を抱いたりしがちです。

2023年12月17日日曜日

骨盤が重心の前に押され、それを補うために上半身が後ろに傾いた状態~スウェイバック(後弯平坦型)不良姿勢

  スウェイバック(後弯平坦型)は骨盤後傾のアライメントが特徴的です。スウェイバックとは、骨盤が重心の前に押され、それを補うために上半身が後ろに傾いた状態です。大腿後面のハムストリングスが優勢かつ短縮し、大腿前面の股関節屈筋群の延長と弱化が観察されます。筋の保持がみられない弛緩姿勢ともいえ、各関節部末端(靱帯、関節包、接近した関節)の他動的構造によって安定性をもたらしています。

スウェイバック(後弯平坦型)

 スウェイバック姿勢では、腰が正中線よりも前に下がります。つまり、鉛直線が腰から足首に落ちるのではなく、つま先かさらに前方に落ちることになります。背骨の形状は変化していないように見えますが、体が常に後方に曲がった状態になります。体の前面の筋肉が伸びて弱くなります。体幹の筋肉が弱く、活動性が低下した怠惰な姿勢であり、体の後ろ側の筋肉が伸びず、特にお尻の筋肉が弱くなります。加えて、硬い上腹部、弱い下腹部、中背部の筋肉が弱いと、姿勢がさらに悪化する可能性があります。

 スウェイバックの姿勢では骨盤の前後の筋肉が衰えます。これは体の支持と動きにとって最も重要な領域です。筋肉によって支えられていないため、関節が圧迫され、股関節のソケットと脊椎下部が磨耗します。体が後ろに曲がったバランスをとろうと頭を前に持って行こうとするため、首の上部も磨耗します。小胸筋や上部僧帽筋の硬さによって、さまざさな問題が生じます。

 動きの衝撃を受けるように設計されたかかとではなく、足の小さな関節が体の重みを受けるために足底筋膜炎、外反母趾、関節炎などを発症する可能性があります。

各地のワークショップで解説します。

☆新宮校ワークショップ(平日)

12月18日(月) → 詳細


☆大阪ワークショップ

12月21日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

12月22日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

12月23日(土)→ 詳細

 

新宮校ワークショップ(休日)

12月24日(日)→ 詳細

 

☆新宮校ワークショップ(平日)

12月25日(月) → 詳細

 

☆年末新宮校ワークショップ

12月30日(土) → 詳細

 

☆年始新宮校ワークショップ

1月3日(水) → 詳細

頭部前方位姿勢と猫背(胸椎後弯)は、さまざまな不良姿勢に共通してみられます。

 頭部が正常よりも前方に位置する頭部前方位姿勢と猫背(胸椎後弯)は、さまざまな不良姿勢に共通してみられます。中部胸椎が後弯している人は猫背反り腰(後弯前弯型)、上部から中部胸椎への長い後弯がある人はスウェイバック(後弯平坦型)・フラットバック(平背型)となります。頭部前方位と猫背があると、身体のさまざまなところに問題が起きます。

不良姿勢

 環椎後頭関節の過伸展(過後屈)は、開口と下顎の後方変位を引き起こします。閉口しようとすると舌骨上筋・舌骨下筋が過緊張状態になります。肩甲舌骨筋が付着する肩甲骨の位置も、舌骨筋群の筋長と緊張に影響を与えます。

頭部前方位姿勢の影響

 舌骨が挙上し、口呼吸が組み合わさると、舌は下方変位し、食べ物を飲み込む際に顎舌骨筋が舌を十分に挙上できなくなります。

 安部塾では、まず最初に頭部前方位姿勢の改善に取り組みます。各地のワークショップで解説します。

☆新宮校ワークショップ(平日)

12月18日(月) → 詳細


☆大阪ワークショップ

12月21日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

12月22日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

12月23日(土)→ 詳細

 

新宮校ワークショップ(休日)

12月24日(日)→ 詳細

 

☆新宮校ワークショップ(平日)

12月25日(月) → 詳細

 

☆年末新宮校ワークショップ

12月30日(土) → 詳細

 

☆年始新宮校ワークショップ

1月3日(水) → 詳細

2023年12月15日金曜日

猫背・反り腰(後弯前弯型)不良姿勢。首の付け根後方の肉が盛り上がり、首が太くて短くなります(「猪首(いくび)」)。

 胸椎過剰後弯(猫背)と腰椎過剰前弯(反り腰)の図です。

猫背と反り腰

 猫背の人の特長として、首の付け根後方の肉が盛り上がり、首が太くなり短くなります(俗に「猪首(いくび)」と呼ばれます。頭が前方に位置することで、首の後ろの肩と接する部分に顕著な隆起ができている状態です。

 猫背と反り腰を併発していることがよくあります。身長が潰れているのが観察できます。

猫背・反り腰(後弯前弯型)不良姿勢

■アライメントの特長
①頭部前方位
②上部頸椎過伸展
③肩甲骨外転
④胸椎後弯と腰椎前弯の増強
⑤腰仙角の増大(第1仙椎上縁と水平面のなす角。30°が望ましい)
⑥骨盤前傾
⑦股関節屈曲
⑧膝関節軽度伸展
⑨足関節わずかに底屈位

■短縮硬化する筋
頸部伸筋群、腰部脊柱起立筋群、腸腰筋、大腿筋膜張筋、大腿直筋、前鋸筋、大胸筋、小胸筋、僧帽筋上部繊維、肩甲挙筋

■延長弱化する筋
頸部屈筋群、上部脊柱起立筋群、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋、大殿筋、ハムストリングス、僧帽筋中部繊維、僧帽筋下部繊維、菱形筋、前鋸筋(翼状肩甲の場合)

猪首(いくび)

 僧帽筋上部繊維が盛り上がると、①緊張- 不安、②抑うつ、③怒り-敵意などが生じます。憂鬱な悲しく暗い気持ちに気分になったり、落ち込んで意欲の低下が起きたりします。反り腰を併発している場合、怒りと敵意をむき出しにしてイライラしてしまうこともあります。

 冷静さを失って、イライラしている人を観察してみると、僧帽筋上部繊維をカチカチに固めているのがわかると思います。怒れば怒るほど猪首が進行するのも観察できます。理不尽に周りの人たちを攻撃してマウントをとりたがる人の首の付け根後方の肉の盛り上がりを観察してみると、姿勢と感情の関係の理解が深まるかと思います。

 猫背と反り腰を解消し、バランスがとれた姿勢をつくれるようになった人は情緒が安定しやすくなります。

 12月のレッスンで修正法を教えています。

※年末年始の新宮校ワークショップで解説します。

☆年末新宮校ワークショップ

12月30日(土) → 詳細

 

☆年始新宮校ワークショップ

1月3日(水) → 詳細

2023年12月14日木曜日

背中が平らになってしまう平背型姿勢。ハムストリングス(もも裏)が硬くなってしまう原因になります。

平背型(フラットバック)姿勢

 平背型(フラットバック)姿勢は、腰椎 が自然な生理的弯曲を失い(前弯の減少)、時間の経過とともに平らになってしまう変形です。これにより、脊椎の不均衡が生じて腰部の衝撃吸収作用が低下し、損傷を受けやすくなり、慢性的な痛みに悩ませることになることがあります。頭頸部および下顎のアライメント不良による顔面筋の緊張を伴う顎関節痛が生じることがあります。

 頭部は体の正中線から離れて前に傾き始め、直立することが困難になります。骨盤を傾けて、股関節と膝を曲げることによってバランスをとろうとします。

 12月のレッスンで修正法を教えています。

※年末年始の新宮校ワークショップで解説します。

☆年末新宮校ワークショップ

12月30日(土) → 詳細

 

☆年始新宮校ワークショップ

1月3日(水) → 詳細

2023年12月7日木曜日

ストレッチングにより柔軟性が増し、美しい姿勢の保持やリラクゼーションの効果があります。

 ストレッチングとは意図的に筋や関節を伸ばす運動で、身体の柔軟性を高めるのに効果的す。美しい姿勢の保持やリラクゼーションの効果があります。柔軟性が増す理由は、筋の伸張反射の感受性が低下することと筋や靱帯の弾性要素が組織科学的変化を起こすことが要因とされています。全身の筋を順に伸ばしてストレッチングすると、自律神経の活動が副交感神経活動を有意に変化(前頭葉でのアルファ波の増加と心拍数の低下)します。
筋紡錘とゴルジ腱器官

 筋肉が過度に伸ばされたり、急激に伸ばされたりすると、保護機構として筋紡錘が筋肉を収縮させます。筋紡錘は筋線維内にある感覚受容器で、筋肉の長さと伸長率の変化を検出します。筋紡錘によって引き起こされる筋肉の収縮は、筋肉が過度に伸びるのを防ぐ働きをします。現在の筋腱のコンディショニングが許容する以上の過度に速い収縮で筋紡錘によって引き起こされる筋肉の収縮が行われます。この反射を、伸張反射または筋反射といいます。

 ストレッチで効果を得るためには、ゴルジ腱器官 (GTO) に十分な効果を与える適切なウォームアップまたはストレッチを通じて筋肉を徐々に伸ばします。筋紡錘をオーバーライドする時間 (20 ~ 30 秒)。ゴルジ腱器官は、筋肉の緊張が強すぎる場合、または緊張の急激な変化が生じた場合に筋肉を弛緩させて筋肉を保護します。GTO は腱の長さを監視し、骨に付着する筋線維の端の腱に存在します。

 このように筋肉を弛緩させる行為は、自己発生性 (自己生成) 抑制として知られています。自己抑制の一例は、大胸筋を全可動域(水平外転)に導くことで発生し、大胸筋は自分自身を守るために収縮し、GTO が筋紡錘をオーバーライドすると弛緩することができます。相互(逆)阻害は、アゴニスト(主動筋)による収縮によりアンタゴニスト(拮抗筋)が弛緩するときに発生します。たとえば、股関節屈筋(腸腰筋)は、その拮抗物質である股関節伸筋(大殿筋)が収縮すると、相互に抑制され、強制的に弛緩することになります。

※筋紡錘は、骨格筋内にある特別な感覚受容体です。筋紡錘は単純な運動反射として機能します (感覚ニューロンは脊髄で終わり、その結果、刺激に対する不随意の運動反応が生じます)。これらの感覚受容器は、筋肉の長さとその長さの変化率を感知します(つまり、筋紡錘が伸ばされたときに反射的な筋肉の動作を引き起こします)。筋紡錘は保護機構として機能します。筋肉が急速に伸ばされると、潜在的な損傷を防ぐために、筋紡錘により筋肉の力の生成が増加します。

※ゴルジ腱器官は、筋肉と腱の接合部に位置する特殊な感覚器官です。ゴルジ腱器官は、筋肉の緊張と筋肉の収縮によって生じる力の変化を検出する固有受容体または特別な感覚受容体です。それらは非常に敏感であり、筋肉の緊張のわずかな変化さえも信号で伝えることができます。GTO には筋紡錘をオーバーライドする機能があります。GTO は本質的に抑制性である傾向があり、つまり、伸ばされたときに筋肉を弛緩させます。これらは保護メカニズムであり、筋肉の収縮力を監視することで筋肉を過負荷から保護します。これにより、大きな力を必要とする活動中に起こり得る損傷から筋肉を保護します。

12月のワークショップで解説します。

☆東京ワークショップ

12月8・9・10日(金・土・日)→ 詳細  

 

☆大阪ワークショップ

12月21日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

12月22日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

12月23日(土)→ 詳細

 

新宮校ワークショップ(休日)

12月24日(日)→ 詳細

 

☆新宮校ワークショップ(平日)

11月27日(月) → 詳細

2023年12月6日水曜日

「自分が中心になって、周りの人たちを動かしたいタイプ」と「状況に合わせて自分が動くタイプ」。好きで夢中になれることがある幸福。

  道具を使ったパフォーマンスの練習をすると、「自分を中心に道具を動かしたいタイプ」なのか「道具を中心に自分が動くタイプ」なのかわかります。私は「天動説タイプ」と「地動説タイプ」という分類をしています。ポイやスタッフなどのジャグリングのテクニックがすぐに理解できるのは「道具を中心に自分が動くタイプ」です。エクストリーム系スポーツの人たちもそうです。

 対人関係においても、「自分が中心になって、周りの人たちを動かしたいタイプ」と「状況に合わせて自分が動くタイプ」に分かれると考えています。私は後者のタイプなので、類友の法則で「状況に合わせて自分が動くタイプ」の人たちと相性が良いです。後者には我執(自分中心の考えにとらわれて、それから離れられないこと。我を通すこと。自分の意見をがんばって通すこと。)があまり見られないからです。

 少し観察してみればすぐにわかりますが、我を通そうとすると孤立化します。自分を中心に世界がまわるなんてことはないからです。物事には自然な流れというものがあって、それに逆らうとうまくいかなくなります。少し前に「フロー」という考え方が流行りました。ミハイ・チクセントミハイが1970年代に名付けた概念で、「ゾーン」とか「ジャックイン」と呼ばれることもあります。集中して没頭できている状態で、気づいたら時間が経っています。リラックスしていながら、同時に適度なストレスがかかっている状態がつくれると、時間が経つのを忘れて楽しめます。

 時々、我執に囚われているために自分だけ浮いてしまってつまらなさそうにしている人がいますが、時がなかなか経たないのを周りの人たちのせいにしていて、リラックスも集中もできていないのが観察できるかと思います。ミラーニューロンを駆使すれば、他者がやっていることを脳内で体験でき、共感が生まれます。つまり、一緒になって楽しめるのですが、自分中心の考えにとらわれて、それから離れられないでいると共感ができないために「自分ならこうするのに」という楽しめない状態に陥ることになります。

 時間の過ぎるのも忘れて活動を続けているとき、人は永続的な満足感を得られます。集中した状態では、いつもは無意識に行っている外部から自分自身の状態をモニターする機能が薄れ(自意識が薄れ)、時間感覚が正確ではなくなります。面白いことに、「状況や活動を自分で制御している感覚」が生じています。「ビーイング・アット・ワン・ウィズ・シングス」(物と一体化する)と言われてきた状態ですが、我執から離れたことで状況や活動を自分で制御できるというちょっと矛盾したことが起きています。

 自分が動かずに他者を動かそうとすると幸福感が失われます。他者が思い通りに動いてくれたときに感じる支配欲や征服欲の充足は満足感をもたらしてはくれません。ある種の依存症に陥ることになり、さらなる支配欲や征服欲の充足を求めるようになります。自分の身体が自分の思うように動いてくれると幸福感に包まれ、時を忘れて忘我常態で「ピークエクスペリエンス」に浸れます。

道 TAO

 ピーク・エクスペリエンス=「至高体験」は、人生における「最高の瞬間」であり、多幸感を特徴とする意識の変性状態です。好きで夢中になれることがあると、ピーク・エクスペリエンスが得られます。好きで夢中になれるとき、「状況に合わせて自分が動く」という状態になれるからです。

 夢中になれる何かがある=自分がしたいことがわかっているというのは、それだけでもう幸福なことなのだと思います。

2023年11月29日水曜日

ジャンプ力を引き出す意識の仕方について

  メールで「ジャンプ力」についての質問がありました。

①脚の力で跳ぼうと思っても、そんなに跳べない。

②体幹(インナーコアユニット)を上手く使うと跳べる。

③スクワットのフォームのようになると跳べない。

④真っ直ぐに軸を保って弾むようにすると跳べる。

⑤上体を反らせて地面を蹴ると跳べない。

⑥上体を真っ直ぐにして地面を押す感じにすると跳べる。

⑦タイミングを合わせて、両腕を上方に振ると跳べる(広背筋の反射を使う)。

⑧膝を曲げて前もも(大腿四頭筋)で跳ぼうとすると跳べない。

⑨膝を曲げずにゆるめて、床反力を使ってお尻(臀筋)で跳ぶと跳べる。

⑩足裏全体を使って足底のバネで跳ぶと跳べる。

……文字にすると、こんな感じになるかと思います。

 遺伝的な身体能力以上に跳べるようにはなりませんが、潜在能力の範囲内での出力はここに書いたような意識をしていくと引き出せるかと思います。

2023年11月22日水曜日

他者の行為の意味を理解し、行為の背後にある意図を理解する。共感を実現する。

  人は、自分の能力を超えた動きを真似することはできません。理解することができないからです。当然、評価もできません。

 真似することができるようになるには、同程度の能力が必要になります。そっくりに真似することができたとしたら、理解ができるかもしれませんし、評価も可能になります。

ミラー・ニューロン より引用

ミラー・ニューロンの関与する機能として、多くの提案および支持する証拠が提出されている。

 例えば、サルを対象とした研究では、ミラー・ニューロンが自分と他者の行為を対応づけることから、他者の行為の意味を理解する機能を持つと提案された。

 また、サルを対象とした研究において、同じ行為でも目標の違いでミラー・ニューロンの活動が異なることから、行為の背後にある意図の理解に関与すると提案された。

 他者と心理状態を共有しうるポテンシャルから、ミラー・ニューロンは共感を実現すると提案された。これを支持する知見として、ヒト脳損傷研究から、下前頭回の損傷により表情からの情動認識が障害されることが報告されている。

 ヒトにおける機能的脳画像研究において、意図的模倣で下前頭回の活動が高まったことから、ミラー・ニューロンは模倣に関与すると提案された。

引用ここまで

ミラーニューロン

 防衛機制のひとつに「投影」があります。自分の嫌いなものを持つ人を嫌い、好ましくないものは抑圧して投影します。

 自分がもっている好きな側面を、相手も共通してもっていると感じる場合には、その人を好きになります。逆に、自分のもっている嫌いな側面を、相手も共通してもっていると、その人を嫌いになります。

 意識しないうちに、自分のもっている嫌な側面や受け入れたくない側面を、人がもっていると思い込み、その人を嫌うこともあります。とくに自分の中にある感情や欲望や資質が好ましいものでない場合には、それらを無意識に抑圧して投影することがあります。

 自分がムキになって相手を否定しているとき(嫌っているとき)、それは相手に投影した自分のもっている嫌いな面(それすら思い込みの可能性があります)を嫌っているに過ぎないのかもしれません。


 話を戻して、他者の行為の意味を理解し、行為の背後にある意図を理解することができないと、いろいろとうまくいかなくなりがちです。他者の行為を真似るということはとても大切なことだと思います。

2023年11月18日土曜日

「〜すべき」「〜しなければならない」という思考は過剰な筋緊張の元になりがちです。

 何か行動をおこすときに、マイルール(自分の中にあるルール)と照らし合わせて、それに沿っているかどうかにこだわることを「すべき思考」といいます。認知の歪みのひとつとしてよく知られています。

 物事に対して「~しなければならない」「~すべき」と思い込み、自分が「正しい」と考えている価値観にしたがって、自分の行動を決めている状態です。

 「~しなければならない」「~すべき」は「理性」であり、その反対にあるのは「〜したい」という「感情」です。

 「〜しなければならない」が頭で考えたものだとすれば、「〜したい」は心(ハート)で感じるものです。

 子供のように心赴くままに行動できずに、「〜すべき」「〜しなければならない」「〜した方が、世間からよく思われる」という基準で行動を選ぶことが多くなりすぎると認知が歪んでいき、生活が窮屈になり、生きづらさを感じるようになります。

 落ち込みやすい人の根底には,「〜しなければいけない」「うまくできなくてはいけない」という思考があります。

 「白か黒か?」「いいか悪いか?」の考えに固執した考えに陥るとグレーゾーンでは落ち着かなくなります。そうなると他者の考えはどうでもよくて押しつけになってしまいがちです。

 「〜しなければならない」「~すべき」思考はストレスを生み出して苛立ち=イライラをつくり出すことになります。自作自演でしかないのですが、被害者意識で相手が悪いような錯覚に陥ります。

 「〜したい」という思考で行動している楽しそうな人たちを見て、キレ散らかしている「〜すべき」という思考の人たちをたまに見かけると思いますが、自分で自分の首を締めているだけだということがわかります。

 自分の行いがその自己の価値基準に達していないと、気持ちが悪くなり、他の誰かがその基準から逸脱しているのを見ると、批判したくなります。自分自身が自分の基準に達していないときは恥ずかしさ(羞恥心や罪悪感など)を感じて死にたくなりますせ、他人が自分の価値基準から外れていると、苛立ち、怒り狂います。こじれると、相手を軽蔑したりしてしまいます。

 首や肩が固まっている筋緊張が強すぎる人を観察してみると、かなりの確率で「〜すべき」「〜でなければならない」という思考の牢獄に囚われているのがわかると思います。全然楽しそうに見えないはずです。 

 一方、「〜したい」という思考で、同じく「〜したい」という思考の人たちと仲良く何かをつくっている人たちは楽しそうに見えるはずです。完璧を求めず、不完全であることに満足しているからです。

 過緊張がないので一緒にいて楽です。価値観の押しつけがないので疲れません。

 興味がある人は認知行動療法で検索して、認知の歪みについて学んでみると面白いと思います。







2023年11月16日木曜日

理想化と価値剥奪(こき下ろし)~私は私。あなたはあなた。 私はあなたの期待に応えるために 生きているわけではない。あなたも私の期待に応えるために、この世にいるわけではない。

  質問があったので、「理想化と価値剥奪(こき下ろし)」について少し書いてみます。

 理想化とは、相手は自分の要求を何でも叶えてくれる素晴らしい人であると認識することで、価値剥奪とはそれまで理想化していた対象をこき下ろし罵声などを浴びせ相手の尊厳を傷つけるような行為を行なうことです。

 対人関係が「奴隷か敵か」となりがちで、相手を完全に支配して奴隷のようにするか、でなければ敵対してしまうかという感じで極端な状況になることが多くなります。他人を操作しようとする作為的な行動様式をとる場面も多くなるようです。

 なんか理想化されたかと思ったら、ある瞬間から激しく責められ、悪者扱いされて混乱してしまった経験がありませんか? こき下ろしからの誹謗中傷を聞かされた人たちから、酷い人認定されてしまったりとか。

 また、自分の中にあるネガティブな感情(否定的感情)を相手の中に投げ込んで投影してしまい、相手が怒っていると思ってしまう投影同一視も起こります。そうされた相手は訳がわからないので混乱します。自分が相手に嫉妬している時に、相手が自分に嫉妬しているように感じ、「あいつは俺に嫉妬している」と公言する人をたまに見かけるかと思います。

 話を戻して、「あなたは素晴らしい」と言って相手を理想化したかと思ったら、「お前なんて最低!」と言って両極端にその人への評価が振れるのは、相手を支配したいがための操作性のあらわれだと考えられています。

 自分を理解し愛情で包んでくれる人と理想化してみたところで、そんな理想的な人なんてこの世にいるわけもありません。自分のニーズを満たしてくれないときに極端に低評価になってしまうのもよくありがちなこととだと思います。他人との適度な距離がとれないと、依存と敵対の狭間に生きることになります。

 薬院校をやっていたとき、壁に貼っていた言葉があります。

Frederick Salomon Perls

ゲシュタルトの祈り(フレデリック・パールズ)

私は私のために生きる。

あなたはあなたのために生きる。

私は何もあなたの期待に応えるために、この世に生きているわけではない。

そして、あなたも私の期待に応えるために、この世にいるわけではない。

私は私。あなたはあなた。

でも、偶然が私たちを出会わせるなら、それは素敵なことだ。

たとえ出会えなくても、それもまた同じように素晴らしいことだ。

私とあなたで『私たち』、二人が一緒なら世界を変えてもいける。


 これらの言葉が「素敵な言葉だなあ」って感じれるかどうかなのだと思います。依存して、依存されてという関係は、実は親密な関係(健全な関係)ではありませんから。

 人間同士は、本来もっともっとずっと距離があって、自分の領域を大きく後退させて狭めて、必要な時にだけ、余裕のある分で関わり合うものです。

 相手と距離をとることを「敬意」といいます。距離をとったうえで相手に関心をもつことが肝要です。自他の区別=境界をしっかりととれる環境をつくることがいわゆる安全基地のあり方の基本なのではないかと思います。

 相手と距離がとれず、自他の区別を越えて関わってこられたり、逆に、自分自身が自他の区別を越えて相手を侵犯してしまったりというのは問題を生じがちです。自他の境界があいまいなので、「相手がわからず屋で話が通じない」「自分が何とかしないといけない」と考えてしまいがちになります。

 自他の境界があいまいになるが故の、自分の価値観の絶対化が起きたりもします。

 その結果、相手は、依存するか反発するかします。

 依存されると頑張って何とかしようとするし、反発されると怖くなって相手をこき下ろします。

 関わるところと関わらないところの区別、自分と他人の領域の区別をつけておかないと、感情が不安定になります。

 自他の境界をはっきりさせ敬意をもってお互いに尊重することができていれば、感謝の気持ちや思いやりが生まれてきます。そうしてはじめて、本当の意味での助け合いができるようになります。

 自他の境界がはっきりしていないと、「相手に過剰に期待し、それに応じてくれないとイライラして腹を立てたりして、恨むようになる」というしんどい生き方を選択することになります。

 12年前に「恨み(怨み)つらみ」をテーマにした出来事がありました。干支が1周まわったので「ゲシュタルトの祈り」をテーマにした素敵な出来事が起きるような気がしています。


 あ、この本、おすすめです。

愛着障害の克服 岡田尊司

身体の動きにくさと感覚統合。生活の質を保つためには、滑らかな運動機能が必要です。

 お灸&はり Rei-Zona(レイ・ゾーナ)の方々が入塾されたので、内容的に「身体を動かしやすくする」というテーマを扱うことが多くなりました。流れに乗るのが安部塾なので、11月~12月のワークショップで「身体の動きにくさと感覚統合」をやることにしました。生きるのがつらい人が、身体の動かしにくさを訴えることがよくあります。感覚の統合に時間をかけることで生きやすくなるようです。

■感覚統合

 「適切な行動をとるために感覚情報を処理したり組織化していくこと」

 私たちは、自身の身体の動きや状態がどうなっているのかを感じること、見ること、聞くこと、触れたり触られたりすることを感じることなどの様々な感覚を通して周囲の状況を知り、それに見合った動きを計画し行動しています。

 動きが正しければ続行し継続し、間違っていれば修正を加えて、環境に応じた行動を選択していきます。

 感覚情報を上手くまとめていくことを感覚統合といいます。

 感覚としては、主に以下の3つがあります

①前庭感覚

自分の身体の向きや動きを感じとる感覚(バランスなど)、目の動きにも関係しています

②固有感覚

自分の身体を思うように動かす情報を汲み取る(筋肉や関節にある)感覚

③触覚

触ったり触られたりすることで物や他者・環境を感じ取る感覚


 日常生活動作、手作業、運動バランス、姿勢保持、学習効率などの生活の質を保つためには、滑らかな運動機能が必要です。

 人の運動には大きく分けて「粗大運動」と「微細運動」の2つがあります。

①粗大運動

感覚器官からの情報をもとに、姿勢を保つことや移動することに関する運動

②微細運動

感覚器官や粗大運動からの情報をもとに、小さな筋肉の調整が必要となる細かな運動

 協調運動に問題を生じると、自己肯定感の低下や自尊感情の低下などの情緒的な問題、

学習意欲の低下やいじめなどの行動的な問題、肥満などの身体的な問題など二次的な問題が発生しやすくなるようです。


 各地のワークショップで解説します。

☆東京ワークショップ

11月17・18・19日(金・土・日)→ 詳細  

 

☆大阪ワークショップ

11月23日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

11月24日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

11月25日(土)→ 詳細

 

新宮校ワークショップ(休日)

11月26日(日)→ 詳細

 

☆新宮校ワークショップ(平日)

11月27日(月) → 詳細

☆下関ワークショップ

12月2日(土)→ 詳細

 

 機能運動学大牟田サークル

12月3日(日) → 詳細 

2023年11月8日水曜日

美しい脚の動きに欠かせない縫工筋の作用

 縫工筋は、大腿前面の内側表層に位置し、骨盤の外側から膝の内側に向けて大腿四頭筋を横断するように走行する帯状の筋肉です(上前腸骨棘から脛骨粗面の内側に付着)。 人間の体のなかで最も長い筋肉で、股関節屈曲・外転・外旋と膝関節の屈曲に作用します。

右の縫工筋

 縫工筋は筋肉が二つの関節をまたいでいる二関節筋です。膝関節の作用としては曲げる動作と脛骨を内側に動かすとされ、膝関節の内側を支持すると考えられています。

 股関節の屈曲・外転・外旋、膝関節の屈曲・内旋の作用があるということになります。

 縫工筋を伸ばすには、股関節での大腿部の伸展、内転、内側回転が必要になります。

縫工筋のストレッチング

 レッスンやワークショップで使い方や整え方について解説します。