2021年4月30日金曜日

縫工筋は薄筋と半腱様筋と交わって鷲足を形成し、膝の内側部の安定性を高めています。

 

縫工筋・薄筋・半腱様筋・大腿筋膜張筋

■縫工筋

起始:上前腸骨棘

停止:鷲足を通過して脛骨粗面内側

作用:股関節の屈曲・外転・外旋、膝関節の屈曲・内旋

 縫工筋は人体の中で最も長い筋肉で、「仕立て屋の筋肉」と呼ばれています。これは、仕立て屋が脚を組んだ状態で、すなわち足首を反対側の膝の上にのせて仕事をすることから名づけられました。この体勢をとるためには、縫工筋のすべての機能が使われています。つまり、脚を組んで座るためには、股関節を屈曲・外転・外旋し、さらに膝を屈曲させなければなりません。

 縫工筋は長くて細い筋肉で、大腿部の表面近くに位置しています。大腿部表面に大腿筋膜張筋と共に逆V字型を形成しています。縫工筋と大腿筋膜張筋は、股関節を屈曲するという共通の機能を持つが、回旋に関してはそれぞれ逆の方向への動きを担います。両筋肉のこの関係性は、股関節と膝関節の回旋運動、すなわちピボット運動を補助しています。

 縫工筋は薄筋と半腱様筋と交わって鷲足を形成します。鷲足とは、文字通り鵞鳥の足のことで、三叉の形をしていることからこう呼ばれることになりました。この3つの筋肉は膝の内側に集中しており、脛骨の内側に停止します。この3つの筋肉が一緒に機能し、膝の内側部の安定性を高めています。縫工筋は前面から、薄筋は内側から、半腱様筋は後面からそれぞれ下方向に走行しています。これらの筋肉の深層に位置している内側部靭帯の損傷はよく起こり、特に筋力が弱かったり、筋力間のバランスがとれていない場合に起こることが多くなります。

■薄筋

起始:恥骨下枝

停止:鷲足を通過して脛骨粗面内側

作用:股関節の内転・屈曲、膝関節の屈曲・内旋

 薄筋は、恥骨筋、短内転筋、長内転筋、大内転筋と共に、股関節を内転させます。薄筋は内転筋群のなかで最も内側部に位置する筋肉であり、筋肉の形や機能が縫工筋に似ています。この2つの筋肉は股関節と膝関節をまたぎ、遠位部では鷲足部に付着しています。薄筋の起始は恥骨枝にあるため、他の内転筋と比べて股関節の屈筋力が強くなります。

 薄筋は、膝関節の3つの鷲足部に停止している筋肉のなかでは真ん中に位置し、膝関節の屈曲と内旋に使われます。これら3つの筋肉はすべて鵞足部に付着し、接地している足に対して上半身が回旋するときに、下肢に安定性を与えています。また、これらの筋肉は内側側副靭帯をサポートし、大腿骨と脛骨が分離するのを防ぐ役割を持ちます。鷲足部に付着している腱は強いため、膝の障害のなかでも比較的よく起こる内側側副靭帯損傷を予防する役割も持ちます。

■半腱様筋

起始:坐骨結節

停止:鵞足腱を通過して脛骨内側

作用:股関節の伸展・内旋、膝関節の屈曲、屈曲した膝関節の内旋

 半腱様筋は、ハムストリングスを形成している筋肉です。この細い筋肉は、大腿二頭筋の内側、半膜様筋の表層に位置しています。起始部である大臀筋の下の坐骨結節に付着している部分を除いて、この筋肉は大腿骨後方の表層に位置しています。半腱様筋は鵞足の後方3分の1を形成しています。

 半腱様筋は足部が地面に接していないとき、大腿二頭筋、半膜様筋とともに、大腿骨を後方に引き股関節を伸展させます。半腱様筋は足部が地面に接していないとき、大腿二頭筋、半膜様筋とともに、大腿骨を後方に引き股関節を伸展させます。ハムストリングスは膝を屈曲させ、半腱様筋は膝を内旋させる役割をもちます。膝の回旋は、膝が軽度屈曲しているときのみ可能です。膝の完全伸展時は大腿脛骨関節がロックされるので、回旋動作は起こりません。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

立つ、物を持ち上げる、跳ぶ、蹴るなどの動作は、強くバランスのとれた大腿四頭筋の機能を必要とします。

 

外側広筋・内側広筋・中間広筋

■外側広筋

起始:大腿骨大転子、臀筋粗面、大腿骨粗線近位外側唇

停止:膝蓋靭帯を通過して脛骨粗面

作用:膝関節の伸展

 外側広筋は大腿四頭筋を形成している筋肉の1つです。外側広筋の繊維は、大腿骨後面の垂直に隆起している大腿骨粗線外側から大腿外側を包み込んでいます。外側広筋の厚い斜走繊維は、腸脛靭帯の深部に位置し、前面の膝蓋靭帯の他の大腿四頭筋と合流します。腸脛靭帯は下部の外側広筋の筋膜と癒着を起こすことがよくあります。

 外側広筋、中間広筋、内側広筋の機能は、膝関節の伸展だけです。大腿直筋もまた膝の伸展に関わっています。立つ、物を持ち上げる、跳ぶ、蹴るなどの動作は、強くバランスのとれた大腿四頭筋の機能を必要とします。

 外側広筋は内側広筋と比べて発達が著しく、筋肉の不均衡を引き起こすことがあります。この不均衡は、膝の屈曲および伸展時に膝蓋骨が正しく(真っ直ぐ)滑らない原因となります。つまり、膝蓋骨が大腿骨溝で外側に引っぱられ、関節面の軟骨が摩耗し、痛みを引き起こします。もし過度の筋肉間の不均等があると、膝蓋骨が大腿骨溝から完全外側偏位となり、脱臼が起こります。Q角(膝蓋骨の中央点より上前腸骨棘および脛骨粗面に引いた2本の線のなす角)が大きい個人ほど、この膝蓋骨の外側牽引力が大きくなります。Q角は、大腿骨の脛骨に対する位置と、脛骨粗面の位置で決定されます。正常なQ角は5~15°であり、骨盤が広いため、通常は女性のほうが男性より大きくなります。

■内側広筋

起始:立ち太鼓津転子間線、大腿骨粗線内側唇

停止:膝蓋靭帯を通過して脛骨粗面

作用:膝関節の伸展

 内側広筋は大腿四頭筋を形成している筋肉の1つです。内側広筋の繊維は、大腿骨後面の垂直に隆起している大腿骨粗線内側から大腿内側を包み込んでいます。内側広筋の厚い斜走繊維は膝関節の前方内側に位置し、発達が著しい場合は涙型を呈します。

 外側広筋や中間広筋と同じように、内側広筋の機能は膝の伸展だけです。内側広筋の繊維はより内側方向に走行しており、外側方向に膝蓋骨を引っぱる外側広筋とバランスをとっています。膝蓋骨が大腿骨溝で正しく滑るためには、内側広筋と外側広筋のバランスの取れた筋力と柔軟性が必要です。

■中間広筋

起始:大腿骨前面の近位部2/3

停止:膝蓋靭帯を通過して脛骨粗面

作用:膝関節の伸展

 中間広筋は大腿四頭筋を形成している筋肉の1つであり、大腿直筋の深層に位置しています。大腿骨の前面に付着しているため、大腿骨を力強く前方へ引っぱることができます。中間広筋の一部は、外側広筋と内側広筋の一部とつながっていますが、この部分の繊維は斜走が少ない部分です。外側広筋や内側広筋が収縮する際の方向は斜めですが、中間広筋が収縮する方向は垂直方向であり、これが他の広筋とは異なる点です。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

外側広筋・内側広筋


大腿直筋の拘縮はよくみられる問題で、膝の痛みを引き起こす可能性があります。予防するためには、大腿直筋の適度な柔軟性が必要です。

 

大腿直筋

■大腿直筋

起始:下前腸骨棘

停止:膝蓋靭帯を通過して脛骨粗面

作用:股関節の屈曲、膝関節の伸展

 大腿直筋は縫工筋と大腿筋膜張筋の間で、大腿部前面を2つに分ける筋肉です。大腿四頭筋のなかで、股関節にまたいでいる筋肉は大腿直筋だけです。この筋肉は羽状筋で、股関節の屈曲と膝における伸筋の主動筋です。

 大腿直筋は歩く、走るなどの動作で下腿を蹴り出す際に、大腿骨を前方に引き出す役割を持っています。この動きにより、足部を地面と接地させ、足部に体重をかけることが可能になります。この筋肉は、股関節の屈曲より膝の伸展において強いが、股関節を動かす際には腰筋、腸骨筋、縫工筋、大腿筋膜張筋などの筋肉を補助します。また、起始下前腸骨棘にあることから、骨盤を前方に傾ける役割もあります。

 大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋は大腿四頭筋を形成し、立っている間や物を持ち上げる際に膝を伸展させます。広筋群は、膝の伸展においては大腿直筋より強力です。広筋群の強さは、横断面積の大きさ、膝蓋骨によって大きくなったテコの作用、膝の伸展という単一の機能しか持たないということに大きく関係しています。

 大腿直筋の拘縮はよくみられる問題で、膝の痛みを引き起こす可能性があります。この痛みは、膝蓋骨の軟骨面が大腿骨溝に対して圧迫されることによって起きます。長期にわたって圧迫が続くと、軟骨がすり減り、慢性の障害を引き起こすことになります。これらの疾患を予防するためには、大腿直筋の適度な柔軟性が必要です。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

2021年4月28日水曜日

テニスボール・ゴルフボールを足底筋膜深部に入れて、ゆっくりと十分に圧をかける→体前屈が楽になる。

  SBL全体の関連性を用意に実施できるテストは、膝を伸ばした状態で趾指に触れるように対象者を前屈させる。このテストでは背部両側の輪郭と両手の静止位置を注意深く観察する。対象者には、背部両側がどのように感じられるかに注目させる。

 対象者を立位に戻し、片足だけでテニスボール(頑健な対象者にはゴルフボール)を転がしながら足底筋膜深部に入れさせる。早く強くではなく、ゆっくりと十分に圧をかける。これを、5趾指すべての球から後ろの踵の前端まで全領域にいきたわるように少なくとも2~3分間続ける。

 次に、対象者をもう一度前屈させ、背部輪郭の両側差と床から左右の手指先端までの距離を観察する(対象者の感じ方の違いを訪ねてもよい)。ほとんどの場合、この運動で、小さな一部が全体の機能にどのように影響するかをドラマチックに示すことができる。これは多くの人々に効果があるが、全員というわけではない。

 これは治療としての効果もあるので、違いを評価した後、反対側でも同じ手順を行なう。

立位体前屈テスト

 膝を伸ばした状態での前屈は、SBLのすべての路線と駅に関連し影響を及ぼす。1カ所にこのテストを行なった場合、足底筋膜のこの動きに伴って、ラインに沿ったすべての場所で動きと長さに影響が生じる。右の足底面にこのテストを行なうと、右腕のほうが低く垂れ下がる。
※参考文献・引用元 「アナトミートレイン第3版 医学書院」

 なかなかハムストリングス(ももの後ろ側の筋肉)がやわらかくならない場合、足底筋膜がうまく機能していないために緊張性ハムストリングス問題を引き起こしている可能性があります。この場合、先ほどのテストを行なうと改善することが多いものです。安部塾では、足底の機能を重要視しており、深くゆっくりとした圧を加えるように指導をしております。

 

足裏をほぐして全身の土台をつくる。4/29、5/1の新宮校GW集中講座、5/2・3・4の大手門GW集中講座は、足底・ふくらはぎ、すねのほぐしにこだわってまいります。

 明日からのゴールデンウイーク集中講座のメインテーマは、安部塾の原点とも言える「膝下~足裏のほぐし」となります。

足底

4月29日(祝・木)、5月1日(土)……新宮校GW集中講座

5月2日(日)、5月3日(祝・月)、5月4日(祝・火)……大手門集中講座

 今回は、「自分の手でほぐす」「ボールを使ってほぐす」「運動でほぐす」などのテクニックを組み合わせていく予定です。何も学ばずに適当にグリグリやる行為が横行しておりますが、足底の基本構造を学んだうえで意味を理解してほぐしていかないと有害無益であると考えております。

「アナトミートレイン 医学書院」より引用します。 ↓

 足底面は問題の原因となることが多い。この原因はラインの残りの部分を上行して伝わる。足底面の制限は多くの場合、緊張性ハムストリングス、腰椎前彎、上部胸椎の抵抗性過伸展と関連する。

 SBLに関連する一般的な姿勢代償パターンとして、足関節背屈制限、膝関節過伸展、ハムストリングス短縮(不適切な深層外旋筋の代償)、仙骨のうなずき前傾、脊柱前彎曲、胸椎屈曲によってひろげられる伸筋、上部頸椎過伸展を引き起こす後頭下筋制限、第1頸椎上での頭部前方移動、回旋、目と脊柱運動の分離がある。

 最初の路線は足底に沿って走り、足底筋膜と、趾骨底面に起始する短趾屈筋が含まれます。短趾屈筋の5本のバンドは融合して1つの腱膜となり、踵骨の前(踵骨の前下面)まで走る。足底筋膜には第五中足骨底から重要な6本目のバンドが加わる。これは踵骨の外側縁上でSBLに融合する外側バンドである。

 これらの筋膜と関連の筋は調節可能な「弓の弦」を形成し、縦方向の足底弓(アーチ)として足底全体を牽引する。この弓の弦は両端を近づけるように機能し、踵と第一中足骨から第五中足骨骨頭のつながりを適切に維持する。足底筋膜は、これらの由美の弦のうち1つだけで構成される。すなわち長足底靭帯とバネ靭帯は、足根の深部(より頭側)にさらに短く強力な弓を形成する。

引用ココマデ

御参加、お待ちしております。


2021年4月27日火曜日

身体が前進する推進力は、股関節、大腿、膝関節、下腿、そして足部と母趾からつくり出されます。長母趾屈筋は、これらの力の方向づけに重要な役割を果たしています。

長趾屈筋・長母趾屈筋

■長趾屈筋

起始:脛骨後面中央

停止:4つの足底面の腱を経て、第2~5末節骨の基部

作用:第2~小趾の中足趾節関節と趾節間関節の屈曲、足関節の底屈、足部の内返し

 長趾屈筋は腓腹筋やヒラメ筋よりも深層、後脛骨筋よりも内側を通っています。後脛骨筋と長母趾屈筋に沿って足根管を横切っており、並走するこの3つの筋肉は足部の内返しと足関節の底屈を行ないます。長趾屈筋は中足趾節関節と趾節間関節の屈曲も行っています。

 長趾屈筋は内側縦アーチの動的安定力を生成するいくつかの筋肉の1つです。歩行やランニング、ジャンプなどの荷重運動時に活性化し、足部の回内運動のコントロールを行ないます。接地面がどのような形状でもバランス調整や足部固定ができるよう、足部の他の内在筋と共に働きます。

■長母趾屈筋

起始:脛骨後面遠位、下腿骨間膜

停止:第1末節骨基部の足底部

作用:母趾の中足趾節関節と趾節間関節の屈曲、足関節の底屈、足部の内返し

 長母趾屈筋は腓腹筋やヒラメ筋よりも深層、後脛骨筋よりも外側を通っています。後脛骨筋と長母趾屈筋に沿って足根管を横切っており、並走するこの3つの筋肉は足部の内返しと足関節の底屈を行ないます。長母趾屈筋は中足趾節関節と趾節間関節の屈曲も行っています。

 長趾屈筋は内側縦アーチの動的安定力を生成するいくつかの筋肉の1つです。歩行やランニング、ジャンプなどの荷重運動時に活性化し、足部の回内運動のコントロールを行ないます。接地面がどのような形状でもバランス調整や足部固定ができるよう、足部の他の内在筋と共に働きます。

 長母趾屈筋は、歩行時や身体の推進時に踏み切りを行なう主動筋です。重心の位置は、踵から移動し、足部を越え、立脚相の最後には母趾まで移動します。身体が前進する推進力は、股関節、大腿、膝関節、下腿、そして足部と母趾からつくり出されます。長母趾屈筋は、これらの力の方向づけに重要な役割を果たしています。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

 足底で長母趾屈筋と長趾屈筋が足底で交差するところを足底交叉といいます。舟状骨と第1楔状骨の下方となります。足底交叉付近の滑走性が悪化した場合(長母趾屈筋腱・長趾屈筋腱間滑走不全)、足首の背屈制限(すねのほうに足首が曲がらない)という現象が起きるようです。長母趾屈筋と長趾屈筋距骨後方を走行しています。滑走性が悪化すると、足関節背屈時の距骨後方滑りを阻害することになります。この結果、可動域制限が起きるようです。

 また、足趾を過剰に屈曲させて動作支持を行なっている場合も、長母趾屈筋と長趾屈筋が固まっていると考えてよいかと思います。内果後方・屈筋支帯で、後脛骨筋の下方に長趾屈筋・長母趾屈筋、足底・舟状骨下面では長母趾屈筋にかぶさるように長趾屈筋が4趾の末節骨底に付着します。ゴルフボールなどで長母趾屈筋をしっかりとおさえた状態で、4趾の屈曲・伸展を繰り返すようにすることが推奨されております。

2021年4月26日月曜日

方向転換の始動やコントロール、左右への体重移動を必要とする動作は腓骨筋の運動力に頼っています。

 

長腓骨筋・短腓骨筋
■長腓骨筋

起始:腓骨頭、腓骨外側顆上2/3

停止:第1中足骨外側、楔状骨内側

作用:足関節の底屈、足部の外返し

 長腓骨筋は下腿外側の浅層に位置する羽状の大きな筋肉です。その腱は外果の外側を通って足底部まで伸び、前脛骨筋近くで停止しています。前脛骨筋と長腓骨筋を総合して「解剖学的あぶみ」を形成しています。この2つの連続的な筋肉は、足部の縦アーチと横アーチの主要なスタビライザーです。両組織は不整地上の衝撃吸収や順応に不可欠です。

長腓骨筋・短腓骨筋・第三腓骨筋・後脛骨筋・前脛骨筋の付着部
 
 長腓骨筋の機能は、短腓骨筋や第三腓骨筋と共に足部外返しを行なうことです。この動きは足の接地前に正確な姿勢で地面を迎えるのに重要です。また、この筋肉は前額面上で体勢を外側に移動する際の始動にも作用します。その際、長腓骨筋は前脛骨筋と似た機能を持ち、足部での重心点を内側から外側に引き上げます。この種の横歩き動作がみられるのは、物を越えたり避けたりするときが一般的であり、たとえばハイキングなどの際にみられる。またスポーツでも活用され、方向転換の始動やコントロールを行ないます。左右への体重移動を必要とする動作は腓骨筋の運動力に頼っています。長腓骨筋と短腓骨筋の両方は外果後方を通っています。この仕組みによって、足関節の底屈を行ないます。

■短腓骨筋
起始:腓骨遠位2/3の外側面
停止:第5中足骨基部粗面
作用:足関節の底屈、足部の外返し

 短腓骨筋は短く羽状の筋肉で、下腿外側の長腓骨筋のさらに深層に位置しています。その腱は外果の外側を通り、第5中足骨基部粗面に停止しています。長腓骨筋と短腓骨筋の腱は踵骨の腓骨筋結節で分岐しています。短腓骨筋は長腓骨筋のように長い腱を持たず、足部を底屈する力は弱くなります。

■第三腓骨筋
起始:腓骨前縁遠位1/3、下腿骨間膜遠位1/3
停止:第5中足骨基部の底背部
作用:足関節の背屈、足部の外返し

 第三腓骨筋は短く羽状の筋肉で、長・短腓骨筋の前方深くに位置しています。その筋腹は長腓骨筋と長趾伸筋に沿っています。第三腓骨筋の腱は、外果前方から第5中足骨基部の上面に停止します。この背部停止は、腓骨筋群で唯一足関節を背屈させます。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

 長腓骨筋、前脛骨筋、後脛骨筋はすべて、足の内側にある骨の下面に停止し、一緒にあぶみのように働いて足弓(アーチ)を支持します。

前脛骨筋と内側縦アーチ(土ふまず)~後脛骨筋とともに土踏まずの高さを調整する

 

前脛骨筋
■前脛骨筋

起始:脛骨上方1/2、脛骨外側面、下腿骨間膜上方1/2

停止:第1楔状骨底面、第1中足骨基部底面

作用:足関節の背屈、足部の内返し

 前脛骨筋は下腿前方の大きい浅層筋です。その機能は足の状態によって異なります。亜足部が浮いている状態では、前脛骨筋は足部遠位部を持ち上げます(背屈)。この機能は、歩行の立脚相でみられます。かかと接地が行なわれると前脛骨筋は継続して収縮し、重心の位置を足部前方に寄せます。この機能の酷使や筋力低下は、炎症やこの筋肉に沿った腱炎を引き起こします。これは下腿前方痛の原因となる要素の1つで、一般的に「シンスプリント」と呼ばれます。

 最後に前脛骨筋は、足部の内側縦アーチを支えるのに役立っています。その腱は、足底部の伸筋支帯を横断します。その腱は足底面の内側楔状骨側面と第1中足骨に停止する前に、内果を回ってから前方に曲がっています。腱のこの角度によって前脛骨筋がテコとなり、縦アーチ中央部が引き上げられ、回内を制限し、同時にコントロールしています。それは、相乗作用として後脛骨筋とともに土踏まずの高さを維持し、腓骨筋と拮抗したかたちで足部の回内・回外動作に作用します。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

後脛骨筋と内側縦アーチ(土ふまず)

 

後脛骨筋
■後脛骨筋

起始:脛骨外側後方、腓骨遠位2/3、下腿骨間膜

停止:舟状骨粗面、第1~3(内側・中間・外側)楔状骨、第2~4中足骨基部

作用:足関節の底屈、足部の内返し

 後脛骨筋は下腿後方で最も深層にある筋肉です。腓腹筋とヒラメ筋より深層で、長趾屈筋と長母趾屈筋の間に位置します。その腱は鋭角に曲がり、足根管と呼ばれる内果後方と踵骨の間隙を通り、足底部に停止しています。そこでは、後脛骨筋は8つの骨に蜘蛛の巣状に停止しています。足根管を形成する他の筋群は長趾屈筋と長母趾屈筋であす。

 後脛骨筋は内側部を通り、足底部に停止しています。この停止部は足部の内返しと足関節の底屈を可能にしています。さらに重要なことは、広い停止部が力学的な構造の内側縦アーチを支持し、足部の回内動作をコントロールしていることです。そのアーチへの影響は間違いなく前脛骨筋より大きく、運動生理学はこの筋肉を解剖学的あぶみと呼んでいます。

 後脛骨筋は、歩行やランニング、ジャンプなどの荷重動作で最も活発になる筋肉です。これらのアーチ構造に必要な筋力や持久性を維持することは、後脛骨筋炎の結果生じるシンスプリントを予防するうえでも重要です。この腱炎は、扁平足か凹足の人に特有のもので、筋肉への過度のストレスがかかることから内側縦アーチが維持不能となります。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」



膝の伸ばし過ぎは膝下筋を損傷させ、膝の後方に痛みと腫脹、機能障害を引き起こす可能性があります。

 

膝窩筋
■膝窩筋

起始:大腿骨外側顆

停止:脛骨の近位後面

作用:膝関節の屈曲、屈曲した膝関節の内旋

 膝窩筋は、膝の後方を斜走している筋肉です。大腿骨外側顆と脛骨の後方を結び、膝に回旋の動きをもたらしています。足部が接地していない状態では脛骨は大腿骨に対して内側方向に回旋し、足部が接地している状態では大腿骨は脛骨に対して外側方向に回旋します。

 膝窩筋の主な機能は、スクリューホーム・メカニズムによる膝関節の完全伸展を解除することです。この機能は大腿骨外側顆より大腿骨内側顆が大きいことによって起こり、脛骨外旋による大腿脛骨関節のロックを伴います。膝関節が伸展する際、脛骨は大腿骨に対して最大限外側方向に回旋します。これが「ロックされた」状態です。この動きを簡単に見ることができるのは、イスに座って膝を完全伸展させるときです。膝を伸展させるときに足の方向を注意深くみると、膝が完全な伸展位に近づくにつれて、足が少しずつ外側に回旋するのがみられます。これは、脛骨が大腿骨に対して回旋するときにみられる動きです。同じ動きを、立位でロックされた状態(完全伸展)から、アンロック(軽度屈曲)するときにも観察することができます。

 膝窩筋が膝関節の内旋と屈曲を開始するとき、この微小な動きが膝をアンロックさせ、ハムストリングスにより引き続き膝の屈曲または回旋をおこなうことを可能にします。膝の過伸展は膝下筋を損傷させ、膝の後方に痛みと腫脹、機能障害を引き起こす可能性があります。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

 膝窩筋は、脛骨後外側の動的安定性に重要な働きをもちます。膝窩筋の収縮により膝伸展位では回旋制動力(大腿骨内旋制御)は高いが、外側の安定性(膝内反制御)は低く、膝屈曲位では、回旋の制御は減少するが外側の安定性は高くなります。膝内旋位では外側安定性は高いが、回旋制動性は低く、膝外旋位では外側安定性は低いが、回旋制動性は高いといえます。

 膝窩筋は、外側半月に半月膝窩繊維束として付着し、外側半月を動的にコントロールしています。屈曲時には外側半月を後方に引き、伸展時には外側半月が前方に逸脱するのを防ぐ働きがあり、大腿骨顆部からの圧迫から保護しています。

 膝窩筋は屈曲開始時に膝関節を内旋(大腿骨を外旋)させ、膝関節のロックを外す重要な役割があります。

※参考文献 「身体運動学 メジカルビュー社」

2021年4月25日日曜日

立位や歩行などの強度の低めの動作で使われる耐疲労性の姿勢筋「ヒラメ筋」

 

ヒラメ筋
■ヒラメ筋

起始:脛骨後面ヒラメ筋線、腓骨の骨頭後面と近位部

停止:踵骨隆起後面(アキレス腱)

作用:足関節の底屈

 ヒラメ筋は中間の大きさの下腿三頭筋であり、収束してアキレス腱となり、踵骨後面に停止しています。下腿三頭筋には足底筋と腓腹筋も含まれます。

 大きな筋肉ではあるが、ヒラメ筋は速筋繊維よりも遅筋繊維を多く含んでいます。この特徴は、耐疲労性の姿勢筋としてのヒラメ筋の機能を示すものです。腓腹筋が爆発的な力を発揮する一方で、ヒラメ筋は立位や歩行などの強度の低めの動作で使われます。これら2つの筋肉のどちらが活発であるかは、膝の状態によって異なります。膝が伸びようとしているときや、座位から立ち上がろうとしているとき、もしくはジャンプ動作時)は、腓腹筋のほうが活発である。一方で、膝が屈曲している場合(力を抜いた状態や立位停止時)は、ヒラメ筋のほうが活発です。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

作用:立位時にヒラメ筋が常に収縮することで、足関節で身体が前方に倒れないようにしている(重心線を後ろに保つようにしている)。

拮抗筋:前脛骨筋

適応:ふくらはぎの痛み/かかとの痛み/ひざ裏の痛み/足底筋膜炎/慢性的なふくらはぎの短縮/階段を昇るときのふくらはぎの痛み/腰の痛み/足のけいれん

※参考文献 「ヴイジュアルデわかるトリガーポイント治療 緑書房」

爆発的な力を生み出す腓腹筋。スクワット動作が必要な理由。

 

右脚の腓腹筋の付着部
■腓腹筋

起始:内側頭;大腿骨内側顆後面/外側頭;大腿骨外側顆後面

停止:踵骨隆起後面(アキレス腱経由)

作用:足関節の底屈/膝関節の屈曲

 腓腹筋は下腿三頭筋のうち最大で、最も浅層にある筋肉です。下腿三頭筋には足底筋とヒラメ筋も含まれ、収束してアキレス腱となり、踵骨後面に停止しています。

 腓腹筋はとても力強い二頭筋で下腿後面を支配しています。その二頭部は下方のアキレス腱まで容易にたどることができます。腓腹筋は主に速筋繊維で構成され、急速な力を引き出せますが、疲労するのもはやいです。この特徴は、爆発的な力を生み出すのに役立ちます。

 底屈時に、ヒラメ筋は腓腹筋に対し共動筋となります。これら2つの筋肉のどちらが活発であるかは、膝の状態によって異なります。膝が伸びようとしているときや、座位から立ち上がろうとしているとき、もしくはジャンプ動作時)は、腓腹筋のほうが活発である。一方で、膝が屈曲している場合(力を抜いた状態や立位停止時)は、ヒラメ筋のほうが活発です。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

ハムストリングスの付着部

 膝が屈曲すると、大腿の筋筋膜と下腿の筋筋膜は別々に機能します。膝が伸展すると、これらの筋筋膜はつながり、空中ブランコ曲芸師が手を組み合わせるように、1つの接続した機能単位となります。配置は本結びに似ており、きつい結び目ができますが、容易に解くこともできます。
※参考文献 「アナトミートレイン第3版 医学書院」

 膝関節が屈曲された状態では、体重の負荷が脚と足に加わります。腓腹筋とハムストリングス筋群は、共動して膝関節の伸筋として作用します(解剖学的位置に戻ります)。体重の負荷が加わらないときには、腓腹筋とハムストリングス筋群は膝関節の屈筋として作用します。
 踵骨を引き、距骨下で底屈させます。その際、内反の傾向がみられます。そして、間接的に距骨を底屈させます。この2次的な作用は、実際、関節により可動性を与えるため、最初の作用より重要な役割をもちます。
※参考文献 「新・動きの解剖学 科学新聞社」

2021年4月21日水曜日

肩甲挙筋は僧帽筋や菱形筋とともに働きます。あらゆる機能不全が並行して起こる可能性があります。

 

大菱形筋・小菱形筋・肩甲挙筋

■大菱形筋・小菱形筋

起始:頸椎7番~胸椎1番の棘突起(小菱形筋)/胸椎2番~胸椎5番の棘突起(大菱形筋)

停止:肩甲骨内側縁、肩甲棘の根元から下角(小・大菱形筋)

作用:肩甲骨の内転、挙上、下方回旋

 菱形筋は僧帽筋、肩甲挙筋、前鋸筋と共に働き、荷重動作時に肩甲骨を胸郭に固定させます。特に菱形筋と前鋸筋は両方とも肩甲骨内側縁に付着部を持つが、それらの繊維は反対方向に伸び、完全に拮抗する関係にあります。これら2つの強力な筋肉が同時収縮することで、肩甲骨を胸郭に固定します。菱形筋、肩甲挙筋、小胸筋は関節窩を下方へ回旋させ、肩甲上腕関節の可動域を増加させています。引く動作では僧帽筋と菱形筋が同時に働き、肩甲骨を内転させます。

 菱形筋は僧帽筋中部繊維と共に未発達であることが多いです。これは肩の丸まった姿勢の原因となります。もし菱形筋が強力な前鋸筋のためにバランスを崩してしまうと、肩甲骨は外転し下制した位置に保たれます。それにより筋緊張が高まり、頚椎の可動性が減少します。肩甲骨や肩甲帯に付着する筋の近似した筋力を保つことで、上肢の適切なアライメントや可動性を獲得できます。

肩甲挙筋

■肩甲挙筋

起始:頚椎1番~4番の横突起

停止:肩甲骨の上角

作用:肩甲骨の挙上・下方回旋、同側の頚部の伸展、側屈、回旋

 肩甲挙筋と上部僧帽筋は共に働き、肩甲骨挙上と頭部伸展に作用します。また別のときには、肩甲挙筋は僧帽筋の上部や下部が肩甲骨を上方に回旋させようとするのに対抗して、肩甲骨を下方に回旋させます。大菱形筋と小菱形筋は肩甲挙筋による下方回旋を補助し、上肢の動きに合わせ関節窩を適所に保っています。この肩甲関節窩の操縦は、肩甲上腕関節の動き、特に内転に対して大きな可動性を持たせています。

 これらの筋や他の肩甲骨を安定させる筋(小胸筋や前鋸筋)が同時収縮することで、押すなどの荷重時の動作の際に、肩甲骨を胸郭に固定しています。頚椎横突起の付着部の近くに特徴的な捻りがあり、それが可動域全般に活力を与え、筋力発揮の手助けをしています。

 肩甲挙筋は上肢を非対称的に使って荷物を持ち運んだり、持ち上げたり、手を届かせたりすることによってよく使い過ぎが起こり、筋緊張が高まります。肩甲挙筋は通常、僧帽筋や菱形筋とともに働きます。それゆえ、あらゆる機能不全がこれらの共動筋のグループにも並行して起こる可能性があります。

※参考文献「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

 肩甲挙筋が障害されていると、頚部回旋運動に問題を生じる他、肩甲胸郭関節障害(肩甲骨の翼状態化)、インピンジメント症候群などにつながることがあります。菱形筋が障害されていると、肩甲胸郭関節がきしんだり、肩で弾けるような音(ポキポキ音)が出たり、猫背になったり、肩甲骨内側部に痛みが出たりします。

頭長筋の弱化が頭部前方位姿勢の原因になることがあります。

 

頭長筋
■頭長筋

起始:頸椎3番~頸椎6番の横突起

停止:後頭骨底の下面

作用:頭部と頚部の屈曲(両側の活動)、頭部と頚部の同側への側屈(片側の活動)

 頚長筋と同様に、頭長筋は舌骨、舌骨上筋、気管、食道の深部に位置します。頚長筋と比較してさらに上部に位置し、斜め方向に走行します。中位頚椎の横突起と後頭骨を連結します。この斜め方向の筋繊維により、側屈に有利に働きます。さらに、頭長筋は後頭骨に付着する筋群の1つであり、環椎後頭関節の位置や動きに影響を与えます。

 頭長筋も頚長筋と同様に、椎前筋群の1つです。この筋群は頚部前方の安定を補助し、後屈を防ぎます。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」
 

 頭長筋の弱化が頭部前方位姿勢の原因になることがあります。頭長筋は後頭骨の基底部に停止おり、上位頚椎が過伸展位になるのを防いでいます。環椎後頭関節を屈曲させるように「うなずく」ことで、頭長筋が覚醒します。後頭下筋群を伸ばすようなイメージになります。前頭直筋と共動させると効果的です。頭長筋が収縮すると、後頭骨前部が後下方に引かれます。首を動かさずに頭だけでうなずく動作が可能になります。

参考記事 → 前頭直筋と後頭下筋群の柔軟性と筋力のバランス不良は、頭痛や認知障害、痛みを引き起こす可能性があります。うなずき運動が重要です。

後頭下筋群下筋群と前頭直筋

 下を向いてばかりいると、頭長筋が柔軟性を失って固まり、後頭骨の位置が狂い蝶形骨にストレスがかかります。感覚の機能・脳の機能が低下することになります。視えづらくなり、眼瞼下垂し、目が乾き、顔の皮膚がたるみます。筋力と柔軟性のバランスをとることが大切です。

胸鎖乳突筋は頭板状筋と逆V字型を形成し、頭の前後位置を安定させます。頭部前方位姿勢になると、後頭部から上背部の筋群が過剰緊張状態に陥ります。

 

胸鎖乳突筋
■胸鎖乳突筋

起始:胸骨頭;胸骨柄/鎖骨頭;鎖骨内側1/3

停止:側頭骨の乳様突起

作用:

・頭部と上位頚椎の伸展(両側の活動)

・頚部の屈曲(両側の活動)

・頭部と頚部の側屈(片側の活動)

・頭部と頚部の反対側への回旋(片側の活動)

・深く息を吸うときに胸骨と肋骨を挙上

 胸鎖乳突筋は頚部で最も大きく、最も浅層にある筋肉です。2つの頭があり、乳様突起から胸骨柄と鎖骨中央につながります。胸鎖乳突筋は下顎枝に並んで走行し、頭板状筋と逆V字型を形成します。この2つの筋肉は協力して、肩甲骨上での頭の前後位置を中央に位置させます。

胸鎖乳突筋は頭板状筋と逆V字型を形成し、頭の前後位置を安定させます。

 側頭骨の乳様突起に強く付着し、頚部に対して斜め方向に位置しているため、胸鎖乳突筋は頚部の屈曲・側屈・回旋の強力な主動筋となっています。さらに頭蓋の後部に付着しているため、頭部と上位頚椎を伸展させることができます。頸部屈曲と頭部伸展の組み合わせは下顎を導いて頭部の前進を生じさせます。この筋の両側に拘縮が生じた場合は頭部前進姿勢、片側のみに生じた場合は斜頚(側屈回旋が生じた頚部)と呼ばれる状態が起こることがあります。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

適応:頭痛/むちうち/斜頚/非定型顔面痛/起立性めまい/空間認識の低下/眼瞼下垂/持続性乾燥咳、むず痒い咳/副鼻腔炎/慢性的なのどの痛み/流涙と充血の増加/耳のポンという音(片側)/平衡感覚の問題/運転時に片側にそれる

過換気症候群は胸鎖乳突筋の問題と深く結びついています。

※参考文献 「ヴィジュアルでわかるトリガーポイント治療 緑書房」

頭部前方位姿勢

■頭部前方位姿勢
胸鎖乳突筋が床に対して垂直に近くなり、前屈みであごを突き出したような姿勢です。猫背と呼ばれていますが、首の問題だといえます。頸部や咀嚼筋の筋活動を亢進させてしまうので、痛み・こりの原因となります。後頭部から上背部の筋群が過剰緊張状態に陥るため、頭痛になったりします。
①頭部が脊柱より前方に出ると、頭部の重みで頭が下がるため下を見る姿勢になります。
②この状態で前方を見るためには、後頸部・背部の筋で重い頭部を吊り上げて頭蓋を水平にしなければなりません。
③これらの筋群が疲労して後頸部・背部に筋痛が生じ、あご・頭・首・肩の痛みやこりが生じます。

2021年4月20日火曜日

その首と頭の痛みは、下を向きすぎた結果、頭板状筋・頚板状筋か硬く固まってしまったからかもしれません。

 

頭板状筋・頚板状筋

■頭板状筋

起始:項靭帯、頸椎7番~胸椎3番の棘突起

停止:側頭骨の乳様突起、後頭骨の上項線の外側部

作用:

・頭部と頚部の伸展(両側の活動)

・頭部と頚部の側屈(片側の活動)

・頭部と頚部の同側への回旋(片側の活動)

 頭板状筋は僧帽筋の深層にあり、項靭帯と下位頚椎、上位胸椎の棘突起に広い付着部を持ちます。頭板状筋は幅が狭く、そして厚みを増すことにより、乳様突起と外側後頭骨に強力な付着部を形成しています。これは、頚部前面にある胸鎖乳突筋との強力なカウンターバランスを生み出します。外側ではこれらの筋は逆V字型を形成し、そのバランスが保たれているときは頭部の前後位置は肩甲帯上で中心位をとります。

 より深層の後頭下筋と比較すると、頭板状筋は大きく幅が広いため、より効果的な頚部の伸展、側屈、回旋の主動筋となります。頭板状筋は頚板状筋の直接的な共動筋ですが、頚板状筋よりも前方外側に付着しているため、側屈と回旋ではより有利に働きます。

■頚板状筋

起始:胸椎3番~胸椎6番の棘突起

停止:頸椎1番~頸椎3番の横突起

作用:

・頭部と頚部の伸展(両側の活動)

・頭部と頚部の側屈(片側の活動)

・頭部と頚部の同側への回旋(片側の活動)

 頚板状筋は上位胸椎の棘突起と上位頸椎の横突起を連結しています。繊維の方向は垂直でやや斜め方向であり、強力な伸筋となりますが、回旋筋としては弱くなります。頚椎横突起の付着部を、後部は肩甲挙筋、前部は斜角筋が共有しています。これら3つの筋群の筋力と柔軟性のバランスが適切である場合は、頚部アライメントは最も良い状態となります。

 頚板状筋は頭板状筋と直接的な共動筋ですが、より斜めに走行する頭板状筋と比較して、回旋には有利ではありません。さらに頚板状筋は、頭板状筋と肩甲挙筋のちょうど浅層に位置しています。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学」

適応:頭痛/頚部の痛み/目の痛み/むちうち/嚥下痛/頚部のこり/可動域の減少(同側回旋)

※参考文献 「ヴィジュアルアルでわかる トリガーポイント治療 緑書房」

頭板状筋・頚板状筋
 
 頭板状筋・頚板状筋は、下を向いて​いる状態が続くと硬くなってしまい、首の痛みや頭痛などを引き起こします。スマホの持ち方を間違っている人の頭板状筋・頚板状筋は固まっていることが多いようです。深層にある筋肉である後頭下筋群(大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋)をやわらかくしてから、頭板状筋・頚板状筋、肩甲挙筋、頭半棘筋をやわらかくすると、首がとても楽になるかと思います。

安全な上体反らし(胸椎の伸展)をおこなうための肩甲骨と上腕骨の使い方

 本日のKANON塾生講座は、胸椎の伸展(上体反らし)。

胸椎の伸展(上体反らし)

呼吸は「吸う」、胸椎は伸展、上腕骨は肩甲上腕関節で外旋位となります。棘下筋の使い方について解説いたしました。



 4月22日(木)の大阪集中講座、23日(金)の名古屋集中講座、24日(土)の神戸集中講座にて、詳しく解説いたします。御参加、お待ちしております。

棘下筋については、以下の記事をお読みください → 棘下筋のストレッチング

頸部姿勢保持筋の過緊張とネガティブ感情には、姿勢保持筋に対する姿勢改善や体操などの運動療法がより重要。勝者効果=ウィナーズエフェクトは、姿勢の改善から起こる。

 

僧帽筋

■僧帽筋

起始:

・全体:後頭骨、項靭帯、頸椎7番~胸椎12番の棘突起

・上部:外後頭隆起、後頭骨の内側1/3の上項線、項靭帯、頸椎7番の棘突起

・中部:胸椎1~5番の棘突起

・下部:胸椎6~12番の棘突起

停止:鎖骨の外側1/3、肩峰、肩甲棘

作用:

・同側の頚部と頭部の伸展、側屈

・反対側への頚部と頭部の回旋

・肩甲骨の挙上、上方回旋(上部)

・肩甲骨の内転(全体)

・肩甲骨の下制、上方回旋(下部)

 僧帽筋は、背中の最も浅層にある筋で、頭蓋の付け根から始まり、肩甲骨を横切り、外側に凧のようにひろがる広域を覆い、広背筋の上方部分と脊椎上で重なっています。繊維の方向が異なる、上部・中部・下部の3つに分けられます。

僧帽筋

 下行する上部繊維は肩甲挙筋や菱形筋と共に、肩をすくめたり、肩甲骨を挙上させたりする動作を担っています。また、頭部の伸展・側屈、反対方向への回旋動作も行います。

 中部繊維は水平方向に走行しています。菱形筋と共に、肩甲骨の内転を行ないます。

 上行する下部繊維は肩甲骨の下制を行ないます。上部・下部繊維は協調して肩甲骨の上方回旋を起こします。

肩甲骨の上方回旋

 僧帽筋の全繊維が同時に働くことで、肩甲骨を胸郭に固定することができ、荷重に耐えることや押す動作で力強い支持が可能となります。上肢が固定されていない場合でも、僧帽筋の違う繊維と他の協動筋とによって肩甲骨の挙上、内転、下制などの特殊な動きを成し遂げてしまいます。

 肩甲骨の上方回旋を行なうという僧帽筋の機能は、頭上動作時に関節窩の位置を最適にし、それによって肩甲上腕関節の可動域を高めています。

 僧帽筋はそれぞれ一体となって作用するという能力を持つにもかかわらず、下部はあまり使われず弱く、上部は持ち上げたり、運んだり、引いたりすることで過度に使われ筋緊張が高まることがしばしばあります。これは肩が挙上し、姿勢の偏りが発生することにつながります。僧帽筋の上部と下部でバランスのとれた柔軟性と筋力が、重力に対して頭部と肩甲帯を最適な位置に保たせます。

※参考文献「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

適応:頚部の慢性的な筋張と痛み/頭痛(ストレス性、緊張型、群発型)/頸椎の痛み/むちうち/顔面、あごの痛み/頚部の痛みと凝り/肩上部の痛み/背中の痛み/めまい/目の痛み/感情的ストレス/うつ

※参考文献「ヴィジュアルでわかるトリガーポイント治療 緑書房」

 感情の有無が頭頸部筋活動に影響を示さないことが明らかになった.このことから,感情変化に伴う姿勢や頭頸部の筋緊張の増加は短期的ではなく長期的,また二次的に発生するものであること考えられる.このことは頸部姿勢保持筋の過緊張とネガティブ感情を持つ患者に対する理学療法アプローチとして,感情にではなく,姿勢保持筋に対する姿勢改善や体操などの運動療法がより重要であるという基礎的知見を示すものである.
引用元 感情は表情筋および頸部姿勢保持筋に影響を与えるか

 戦うか逃げるか反応または闘争反応・逃走反応(たたかうかにげるかはんのう、とうそうはんのう英語: fight-or-flight response)は、動物の恐怖への反応で、差し迫った危機的状況において、戦うか逃げるか身動きを止める(擬死、凍結挙動(英語版))方法で生き延びてきたため備わったと考えられている[1][2]。通常は発揮できない怪力を発揮できる反面、緊急時に使用しない内臓への血流が絞られたり判断力が低下するため、長期的にストレスを受けると体や精神に悪影響が出る。
引用元 戦うか逃げるか反応


 安部塾では、徹底的に姿勢保持筋群を鍛えることと合わせて、首を楽にして動くような練習をします。ネガティブ感情そのものにアプローチしようとすると泥沼化してしまうためです。僧帽筋はテストステロン(男性ホルモン)に反応しやすい=発達しやすい筋肉だとされています。テストステロンは骨や筋肉を作りあげるのに大切な働きをします。また同時に体脂肪を減らしていく働きもあります。大胆でリスクを恐れず、決断し、男らしい行動をとらせる作用があります。好奇心、冒険心、チャレンジ精神にも関与します。

 筋力トレーニングがテストステロンや成長ホルモンの分泌を促します。良好な姿勢を保持する習慣だけでもテストステロンの上昇が起こるといわれています。社会のために懸命に生きているとテストステロンが分泌されリーダーシップを高めます。勝つことでテストステロン値が上昇し、さらにますます勝てるようになります。勝者効果=ウィナーズエフェクトは、姿勢の改善から起こるのです。

2021年4月19日月曜日

小胸筋の攣縮。素人考えで姿勢を良くしようとして背すじを伸ばすとドツボにハマります。

 

小胸筋

■小胸筋

起始:第3~5肋骨

停止:肩甲骨の烏口突起

作用:肩甲骨の外転・下制、第3~5肋骨の挙上

 小胸筋は、肩甲骨の烏口突起に強力な付着部を持ち、肩甲骨を胸郭につなぎとめておく機能があります。これは、腕を介して体重が加わったときに、肩甲骨を前方に固定する補助となります。小胸筋は前鋸筋と連結して動き、腕で身体を押し上げるときに身体に対して肩甲骨の位置を保ちます。腕で体重を支えてイスから立ち上がるときや腕立て伏せで地面を押すときに、この肩甲骨の固定機能は不可欠です。これらの筋肉と鎖骨下筋の組み合わせで、肩甲骨を動的に固定し、姿勢が維持されます。

 小胸筋は肩甲骨を固定し、第3~5肋骨を引き上げ、胸郭を拡張することで、胸腔の容量を増大させ、副次的な呼吸筋として作用しています。この機能においては、小胸筋は横隔膜、外肋間筋、斜角筋、前鋸筋、上後鋸筋と相乗的に働いています。これらの筋はすべて胸郭に付着し、努力呼吸時に胸郭の拡張を引き起こします。

 小胸筋の拘縮や使い過ぎは、肩が丸まり姿勢の偏りにつながります。これは、パソコン作業、車の運転、押したり、持ち上げたりなどの、身体の前での動作を繰り返し行う人に多く見られます。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

 肩関節疾患患者では、小胸筋の筋スパズム(筋肉が意図せずに収縮すること。 攣縮=れんしゅく)により、上肢下垂位において肩甲骨が前傾していることがよくみられます。小胸筋短縮群は小胸筋正常群と比べ、矢状面・肩甲骨面・前額面挙上のいずれにおいても、挙上角度90°以上で肩甲骨内旋角度の増加と後傾角度の現象が認められました。こうした肩甲骨運動の変化は、上肢挙上時の肩甲下スペースの現象をもたらし、肩峰と上腕骨頭によるインピンジメントのリスクを増大させます。

※参考文献 「身体運動学 メジカルビュー社」


 一般的には、上肢下垂位において肩甲骨が前傾している状態は「巻き肩」と呼ばれています。両肩が、内側へ巻きこむように縮んでしまっている状態を意味します。前にかがみこむ姿勢で、手を前に出し、背中を丸めて頭を前に出し(頭部前方位)、両肩を前に突き出した(巻き肩)姿勢になっています。首や鎖骨で神経が締めつけられて手にシビレが出たり、肋骨を締めつけてしまうために、息を吸ったときに胸が広がらずに呼吸が浅くなります。

 素人考えで姿勢を良くしようとして背すじを伸ばすとドツボにハマります。腰を反らせてどうにか代償しようとしてしまうからです。巻き肩の人は肩を後ろに持っていくのが苦手なため、得意な腰を反らせるという動作が出てしまうことになります。一見すると良い姿勢に見えますが、肩は巻きこまれたままなので、それを補うためにさらに腰を反ってしまうという負の連鎖が始まります。正しい知識を持った指導者の元で、正確な動作を学習しないと奈落の底(奈落の底とは、地獄の底。 抜け出すことのできない状態)に落ちます。

前頭直筋と後頭下筋群の柔軟性と筋力のバランス不良は、頭痛や認知障害、痛みを引き起こす可能性があります。うなずき運動が重要です。

前頭直筋

■前頭直筋

起始:環椎(C1)の横突起

停止:後頭骨の頭蓋底の下面

作用:頭部と頸部の屈曲(両側の活動)、頭部と頚部の同側への回旋(片側の活動)

 前頭直筋は頚部前面の非常に小さい深層筋です。後頭骨の下面と環椎の横突起間を斜めに走行しています。その形状と機能は小後頭直筋と類似していますが、前頭直筋は伸筋というより屈筋です。下を見るときのような頭部のわずかな屈曲は前頭直筋によって開始されます。

 前頭直筋は、環椎後頭関節を安定させるために後頭下筋群と共に働きます。前頭直筋と大・小後頭直筋の拮抗作用は、環椎の椎孔と大後頭孔のアライメントを維持します。この部位の適切なアライメントは、頭蓋から、および頭蓋への血液と脳脊髄液の流れをサポートします。前頭直筋と後頭下筋群の柔軟性と筋力のバランス不良は、頭痛や認知障害、痛みを引き起こす可能性があります。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」


前頭直筋と後頭下筋群下筋群

前頭直筋と後頭下筋群下筋群


 安部塾では、「うなずく(頷)=項(うな)突(づ)く=承諾や同意などの気持ちを表すために、首を縦に振る」という動作を重要視しています。了解、肯定、承諾の気持を表わすために首を縦に振る動作は、姿勢改善の基本となるという考えからです。

 「項」 は 大和言葉の「うなじ」の意味で、解剖学用語で後頸部/後頚部(こうけいぶ)。頸部/頚部を前後左右で分けたときの後ろの領域、あるいは項部(こうぶ)と呼ばれる身体部位です。突く」は「頸などをタテに振る動作」の意味だそうです。「うなじつく」で「うなづく」ということになります。首の後ろの部分で天を突くようにします。現代用語的には「うなずく」と、なります。

 ピラティスの「ヘッドノッディング(頭蓋脊椎関節のモビライゼーション)」は、屈曲10°程度のわずかな運動ですが、深部頸椎安定化筋群の覚醒による頸椎の安定性の改善効果が非常に高く、様々な動作の起点となるため、日々練習を積み重ねることが大切だと考えております。ケガが絶えない・故障が多い人のヘッドノッディングを観察してみると、頸部の表層筋群を過緊張させているのがわかると思います。

 姿勢や動きがよくない人ほど、「うなずく」という動きをしたがらないそうです。否定から入る人が嫌悪の対象となりがちなのは、見た目がよくないからなのかもしれません。

2021年4月18日日曜日

後頭下筋群の柔軟性とバランス不良は、認知障害、痛みを引き起こす可能性があります。

 

後頭下筋群

■大後頭直筋

起始:軸椎(C2)の棘突起

停止:後頭骨の同側への回旋

作用:頭部の伸展(両側の活動)、頭部の同側への回旋(片側の活動)

 大後頭直筋は4つの後頭下筋群の1つです。他の3つの後頭下筋群には、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋が含まれます。これらの筋肉は共に頭蓋と頸椎のアライメントを維持し、頭部の細かい動き、たとえば歩行時に道の状態を見る際の動作などを生み出します。これらの動きは、特に身体が動いている際、頚部の空間位置を維持するために重要です。

 大後頭下筋群直筋はC2から後頭骨の間に斜め方向に位置します。主に姿勢に関与する筋肉であり、環椎後頭関節環軸関節の安定を助けます。また、上位椎孔と大後頭孔の相対的な位置を維持します。この部位の適切なアライメントは、血液と脳脊髄液(脳と脊髄のクッションとなり、また栄養を供給する)の流れをサポートします。後頭下筋群の柔軟性とバランス不良は、頭痛や認知障害、痛みを引き起こす可能性があります。

■小後頭直筋

起始:環椎弓の後結節

停止:後頭骨の上項線と下項線の間

作用:頭部の伸展

 小後頭直筋は、大後頭直筋のように斜めに位置しています。しかしながら、この筋肉はより内側にあり、C1から後頭骨まで伸びています。他の後頭下筋のように主要な役割は姿勢保持であり、環椎後頭関節の安定を助けています。

■上頭斜筋

起始:環椎(C1)の横突起

停止:後頭骨の上項線と下項線の間

作用:頚部の伸展(両側の活動)、頭部の側屈(片側の活動)

 上頭斜筋は他の後頭下筋よりも垂直に位置するため、回旋筋としてよりも伸筋や側屈筋として効果的です。また、後頭下筋群で最も浅層に位置しています。大後頭直筋(内側)、下頭斜筋(下外側)、上頭斜筋(上外側)は頭蓋底の深層で後頭下三角を形成しており、これは安定性に寄与します。

■下頭斜筋

起始:軸椎(C2)の棘突起

停止:環椎(C1)の横突起

 他の後頭下筋とは異なり、下頭斜筋は後頭骨に付着部を持ちません。C2の棘突起からC1の横突起に連結しています。下頭斜筋の筋繊維は平行に近い斜めに走行しており、効果的な回旋筋です。C1の横突起がC2の棘突起に引かれるとき、頭部と頸部は(「いいえ」と頭を振るように)回旋します。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」


 認知機能とは、記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断などの知的な能力を指します。認知機能障害に陥ると、生活・社会活動全般に支障をきたします。ある情報や刺激に対して、過去の記憶の情報に適切に照合することができないことによる思い込み。周囲のさまざまな情報や刺激に対して、どうでもいいことを無視して必要なものだけに注意を集中することができません。さまざまな情報に対して、類似点と相違点を区別して物ごとを分類して概念化する機能が障害されるため、過去の類似の体験に基づいての対応ができません。

2021年4月17日土曜日

運動能力向上のための呼吸エクササイズ(横隔膜の収縮)~フラットな腹部に貢献するエクササイズ

 ■呼吸筋、特に横隔膜をターゲットにしたエクササイズ

横隔膜

①よつんばいになって、息を吸いながら、できるだけ腹部を凹ませます。
②息を吐きながら、筋肉をゆるめます。
※簡単すぎるエクササイズですが、20呼吸を過ぎたあたりからキツくなってきます。

☆バリエーション
・よつんばいでおこなうのが難しければ、座るか、膝をついて練習します。
・あおむけでおこなうこともできます(さらに簡単になります)。
・持久力アップ効果を最大にするには、次のコンビネーションにします。
①呼吸筋が疲れるまでよつんばいでおこなう。
②疲れたら、あおむけになって簡単なバージョンで続行します。

 科学的研究によれば、持久運動のときは、呼吸に使われる筋肉、特に横隔膜が疲労することがわかっています。ほかの筋肉同様に、この疲労はパフォーマンスを低下させます。持久力は横隔膜のエクササイズによって大きく改善します。呼吸エクササイズには、長時間運動の息切れを緩和する効果があります。

※参考文献 「コアトレーニングアナトミィ フレデリック・ドラヴィエ/マイケル・グンディル」

 安部塾で採用している呼吸法は、
①脊柱を長くしながら、肋骨を骨盤のほうに下げて、ウエストをしぼりながら吐く。
②お腹を平らに保ちながら、胸郭(肋骨の籠)の側面と背面に息を吸う。
……というやり方です。

 実際の肺の位置を意識しておこないます。下図のように、思ったよりも上のほうに肺があります。下の方に肺があるイメージで呼吸しないように気をつけております。

肺の位置

■横隔膜

起始:第7~12肋骨、肋軟骨の内側面、剣状突起、腰椎1-2番の椎体

停止:横隔膜腱中心

作用:吸気運動時の胸腔の拡張

 横隔膜は下部胸郭のまわりを覆う天蓋型の筋であり、胸腔と腹腔を隔てています。血管、神経、消化管が通る孔がいくつかあります。横隔膜の筋繊維は中央に収束し、腱中心を形成しています。この腱は天蓋部の最も上方および中心部を形成しています。

 横隔膜は呼吸運動の主動筋です。収縮するにつれて、腱中心は腹腔方向に下方に引かれます。これは天蓋部を平たくさせ、胸腔の体積を上昇させて、内圧を低下させます。胸腔内の圧力の低下は、空気圧を平衡にするため、外気を内側に流入させます(吸気運動)。このメカニズムにより、肺は空気で満たされます。横隔膜がリラックスするにつれて、天蓋型に戻り始め、胸腔の体積は減少します。胸腔内の圧力の上昇によって、空気圧を平衡にするため、肺から空気が排出されます(呼気運動)。

 横隔膜の収縮と弛緩は、身体がリラックスしている際の呼吸運動を促します。肋間筋や肋骨下筋、後鋸筋のような他の筋は深い呼吸の際に力を発揮します。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

腰痛に対し、腸腰筋(大腰筋・小腰筋・腸骨筋)による股関節屈曲運動および腰方形筋による体幹側屈運動が効果的な理由について。

 

腸腰筋=腰筋(大腰筋+小腰筋)+腸骨筋

腸腰筋=腰筋(大腰筋+小腰筋)+腸骨筋

■腰筋

起始:胸椎12番~腰椎5番の横突起、椎体外側面ならびに椎間板

停止:大腿骨小転子

作用:股関節の屈曲・外旋

 大腰筋と小腰筋は体幹と下肢をつないでいる筋肉です。腰椎の外側面から始まり、立位姿勢では遠位の脊椎を安定させています。この筋肉は骨盤帯の前縁部分に集中しているので、骨盤帯を屈曲させる役割もあります。腸骨筋に沿って大腿骨小転子に停止しています。

 腰筋と腸骨筋はともに、歩く、走る、跳ぶなどの動作において股関節を屈曲させます。大腰筋、小腰筋、腸腰筋は、同じ停止箇所と機能をもっているため、3つの筋肉がまとまって腸腰筋を形成しています。そのなかで腰筋、腸骨筋は共通の機能に加えて、それぞれ独自の機能に加えて、それぞれ独自の機能を持ち合わせているため、ここでは別々に紹介します。

 腰筋は姿勢を保つ際にユニークな機能を持っています。立位姿勢のときに腰筋は、腰方形筋と脊柱起立筋群とともに骨盤を前傾させます。これらの筋肉は骨盤を後傾させる腹筋と臀筋の力に対抗しなければなりません。これらのすべてが、体幹と骨盤のアライメントを保つために機能しています。

 骨盤姿勢筋の不均衡はよく起こり、そのために体幹部の痛みや機能障害を引き起こすことがあります。腰筋は長時間座ったり、運転をしていると拘縮します。この状態で上体を真っ直ぐにして立つと、拘縮した腰筋は骨盤を前方に引っぱり、その結果、腰椎を圧迫することになります。この姿勢を骨盤前傾と呼び、腰椎前彎そして腰痛を引き起こします。

■腸骨筋

起始:腸骨窩、仙骨翼

停止:大腿骨小転子

作用:股関節の屈曲

 腸骨筋は股関節の屈曲と外旋の主動筋です。この筋肉の起始は仙骨の内側部分にひろがっており、筋繊維は大腿骨小転子で腰筋に交わり停止しています。この筋肉の主な機能は、歩く、走る、跳ぶ、蹴るなどの動作での股関節の屈曲です。

 荷重動作では、腸骨筋は骨盤を前方へ引き出す補助をしていますが、起始が違うため、脊柱における役割は腰筋と同じではありません。筋力、柔軟性、腸骨筋のバランスの保持することは、良い姿勢を保ち下肢機能を保全するために重要なことです。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

■腸腰筋

 腸骨筋は、股関節屈曲の作用が主であり、前額面と水平面での作用は無視できるほどに小さい。一方、大臀筋は、股関節における水平面での作用は無視できるほどに小さいが、屈曲とともにわずかに内転の作用を有する。さらに、大腰筋は、股関節の作用に加えて、腰椎の側方に位置するため腰椎を同側に側屈させるモーメントアームを有する。

 また、歩行および走行においても、大腰筋と腸骨筋の筋活動パターンは異なる。腸骨筋は、立脚中期以降、遊脚期の初めにかけて活動するが、大腰筋は一歩行周期のなかで活動する時期が2回あり、ともに左右下肢の接地のタイミング付近となっている。このことから、腸骨筋は股関節屈曲筋として機能する一方、大腰筋は股関節屈曲筋としての機能よりむしろ腰椎の安定化のために活動している可能性が考えられる。

 大腰筋の大部分は外旋作用、腸骨筋は内旋作用を有すると考えられるが、腸腰筋全体としてはわずかに内旋モーメントアームを有する。

 大腰筋の腰椎への作用は、前額面における作用(側屈)が最も大きいが、矢状面における作用は腰椎の肢位により変化する。腰椎が屈伸中間位のときは、腰椎上部のレベルにある繊維はわずかに伸展作用を、腰椎下位のレベルにある繊維は屈曲作用を有する。しかし、腰椎が伸展位にあると最下位のレベル(腰椎5番ー仙骨1番レベル)を除いて大部分の繊維が伸展作用を有し、腰椎が屈曲位にあると大部分の繊維が屈曲作用を示す。またいずれの肢位でも大腰筋の収縮により腰椎に圧迫力と主に前方への剪断力が加わる。圧迫力と剪断力は腰椎下位のレベルになるほど大きくなる。

※参考文献 「身体運動学 メジカルビュー社」

 大腰筋には、腰椎側屈作用と、腰椎の安定化作用があります。側臥位から体幹を起こすとき、立位で体幹を側屈するときに、大腰筋と腰方形筋による腰椎側屈が起きます。重いものを持ち上げようとするときに、大腰筋は腰椎を安定化させるためにスタビライザーとして機能します。

 腰痛がある人には、腰方形筋に圧痛があることが多いです。腰方形筋による体幹側屈運動・骨盤挙上運動や腸腰筋による股関節屈曲運動を行うことで、痛みが緩和・消失することがよく知られています。
 腰方形筋の筋緊張が亢進して圧痛が出現している理由は、腰椎の前彎を腰方形筋でつくろうとしているためだという仮説があります。腸腰筋による股関節屈曲運動を行うと、腰方形筋の筋緊張が低下します。腸腰筋による腰椎前彎をつくる機能と、腰方形筋による骨盤挙上の機能分担ができたことにより、腰方形筋で腰椎前彎をつくらなくてもよくなったためです。
 安部塾ではサイアークスをはじめとした股関節屈曲運動を反復練習します。簡単な動きなので「そのくらいできる」とバカにされがちですが、腸腰筋による股関節屈曲運動は奥が深いので、やればやるほどその難しさに驚くこととなります。

2021年4月16日金曜日

ピボットターン(片足を軸にした旋回)とハムストリングス。自由自在に旋回できる能力は、人生をとてつもなく豊かにしてくれます。

ハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)

■大腿二頭筋

起始:長頭;坐骨結節、短頭;大腿骨粗線外側唇

停止:腓骨頭

作用:股関節の伸展・外旋、膝関節の屈曲、屈曲した膝関節の外旋

 大腿二頭筋はハムストリングスの中で最も外側に位置している筋肉です。起始部である大臀筋の下の坐骨結節に付着している部分を除いて、この筋肉は大腿骨後方の表層に位置しています。ハムストリングスには大腿二頭筋のほかに半膜様筋と半腱様筋が含まれます。これらの筋肉は、大腿四頭筋の拮抗筋としてよりは、主に姿勢を保つ筋肉として使われます。また、大臀筋と腹直筋を補助して骨盤の後傾を保ちます。腹直筋のように大腿二頭筋は多関節筋であり、股関節と膝関節をまたいでいます。

 大腿二頭筋は足部が地面に接していないとき、半膜様筋、半腱様筋とともに、大腿骨を後方に引き股関節を伸展させます。この動きは歩行やランニングで、脚を後方にスイングするときに使われます。動きが減速する際にはハムストリングスは伸張しながら収縮します。このとき、大腿四頭筋が過剰に強い場合、またはハムストリングスが拘縮している場合には、ハムストリングスに傷害をもたらす可能性があります。

 下肢が固定されているときには、ハムストリングスは強力な大臀筋とともに、骨盤を後方に引いて膝と脚のライン上に置き、身体を真っ直ぐに維持する。このヒップ・ヒンジングの機能は、起立する、物を持ち上げる、跳ぶなどといった足で地面を蹴る動作の際に特に重要となります。

 ハムストリングスは膝を屈曲させ、大腿二頭筋は膝を外旋させる役割をもちます。膝の回旋は、膝が軽度屈曲しているときのみ可能です。膝の完全伸展時は大腿脛骨関節がロックされるので、回旋動作は起こりません。屈曲した膝の回旋動作は、体重荷重運動において進行方向を変えるときに役立ちます。この動きはピボット動作(踵または足先で回転すること。片足を軸にし、もう一方の足を動かしてからだの向きを変えたりすること)として知られています。

■半膜様筋

起始:坐骨結節

停止:脛骨内側顆の内側後面

作用:股関節の伸展・内旋、膝関節の屈曲、屈曲した膝関節の内旋

 半膜様筋は、大内転筋と半腱様筋の間にあり、ハムストリングスのなかで最も内側に位置している筋肉です。起始部である大臀筋の下の坐骨結節に付着している部分を除いて、この筋肉は大腿骨後方の表層に位置しています。

 半膜様筋は足部が地面に接していないとき、大腿二頭筋、半腱様筋とともに、大腿骨を後方に引き股関節を伸展させます。ハムストリングスは膝を屈曲させ、半膜様筋は膝を内旋させる役割をもちます。膝の回旋は、膝が軽度屈曲しているときのみ可能です。膝の完全伸展時は大腿脛骨関節がロックされるので、回旋動作は起こりません。

■半腱様筋

起始:坐骨結節

停止:鵞足腱を通過して脛骨内側

作用:股関節の伸展・内旋、膝関節の屈曲、屈曲した膝関節の内旋

 半腱様筋は、ハムストリングスを形成している筋肉です。この細い筋肉は、大腿二頭筋の内側、半膜様筋の表層に位置しています。起始部である大臀筋の下の坐骨結節に付着している部分を除いて、この筋肉は大腿骨後方の表層に位置しています。半腱様筋は鵞足の後方3分の1を形成しています。

 半腱様筋は足部が地面に接していないとき、大腿二頭筋、半膜様筋とともに、大腿骨を後方に引き股関節を伸展させます。半腱様筋は足部が地面に接していないとき、大腿二頭筋、半膜様筋とともに、大腿骨を後方に引き股関節を伸展させます。ハムストリングスは膝を屈曲させ、半腱様筋は膝を内旋させる役割をもちます。膝の回旋は、膝が軽度屈曲しているときのみ可能です。膝の完全伸展時は大腿脛骨関節がロックされるので、回旋動作は起こりません。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」


 「ピボット(pivot)」は「軸」を意味し、「ピボットターン(pivot turn)」は「片足を軸にした旋回」という意味となります。片方の足を軸足(支脚)とし、もう片方の足(遊脚)でくるくると移動する動きです。

 私たちが何か新しいことに挑戦するとき、最初にすべきことは「軸足をキメること」です。軸足とは、「これまでコツコツ積み重ねてきたこと」を意味します。うまくいかない人を観察してみると秒でわかりますが、何か新しいことに挑戦しようとするとき、両足を動かし始めます。これまでの人生で何も積みあげれていないため、軸足をつくることができないのです。軸足がキマっていないため、もう一方の足が遊べません。

 もうおわかりだと思いますが、ハムストリングスが機能していない人は、現実世界においてピボットターンができません。そうなると、うまくいかなくなったときにすべてをリセットするという悪癖を繰り返すことになります。「なかったこと」にするわけですが、何をやってもパッとせずに陰キャのままで終わることとなります。

 ハムストリングスが機能している人は、なかなか転倒しません。軸が安定しているため、崩れないのです。「屈曲した膝の回旋動作は、体重荷重運動において進行方向を変えるときに役立ちます」という機能の大切さを理解すれば、ハムストリングスの機能改善に心血を注がねばならない理由がわかるはずです。自由自在に旋回できる能力は、人生をとてつもなく豊かにしてくれます。

大臀筋は人体のパワーハウス(原動力)。機能的運動の要であり、運動効率を最大化し、推進力を生み出します。

 

大臀筋

■大臀筋

起始:腸骨稜後面、仙骨、仙結節靭帯

停止:大腿骨大転子、臀筋粗線、腸脛靭帯を通過して脛骨外側顆

作用:股関節の伸展、股関節の外旋、股関節の外転(上方繊維)、股関節の内転(下方繊維)

 大臀筋は靭帯のなかで最も強力な筋のひとつです。中臀筋表層に位置していて、大臀筋の筋繊維は、腸脛靭帯に停止する前に、腰筋膜、腸骨、仙骨を大腿骨大転子とつなげています。大臀筋は大きな筋肉であり、その機能も多岐にわたります。

 動的には、歩行や、座っている状態から起立するときに、股関節を伸展させます。また、走る、跳ぶなどの動作の際に力を与えます。下肢が固定されているときには、大臀筋はハムストリングスとともに、骨盤を後方に引いて膝と脚のライン上に置き、身体を真っ直ぐに維持します。このヒップライジングの機能は荷重運動時に特に重要となります。

 姿勢的には、大臀筋は骨盤、臀部、膝を固定しますまた、腹直筋と働いて骨盤を後傾させることにより、腰方形筋、大腰筋、腸骨筋、その他の股関節屈筋とバランスを保ちます。大臀筋の弱化は骨盤の前傾を、また股関節屈筋の拘縮は骨盤の後傾を引き起こす可能性があります。大臀筋の遠位部は、厚みのある腸脛靭帯を通して臀部外側と膝を安定させます。強力な靭帯にサポートされているため、この部分の靭帯の損傷はまれです。

 大臀筋の上方繊維は股関節外転、下方繊維は股関節内転の機能があります。これらの相反する機能によって、臀部の安定性を高め、矢状面での機能、つまり股関節伸展の機能を最大限に引き出すことができます。この筋肉は股関節を外旋させ、体重負荷運動の際には脛骨に対して大腿骨の位置を保持する役割ももちます。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

 臀筋が強いと、股関節でより多くの力を吸収し、生み出せます。股関節の負担が減ります。脊柱の中間位(ニュートラルポジション)を保つことができ、股関節を軸にして動くことができます。大臀筋が靭帯を張って仙腸関節を閉じることで、運動時に安定性がもたらされます。大臀筋は、股関節の伸展時に大腿骨上部を後方に引っぱります。大臀筋が弱い人は、、股関節前部の痛みに悩まされがちです。大臀筋の筋力が足りないと、協力筋(シナジスト)優位という現象が起き、周辺の筋肉に様々な損傷が起きる可能性があります。

※参考文献 「自重筋力トレーニングアナトミィ ブレッド・コントレラス ガイアブックス」

 大臀筋が機能していない人は、現実的で具体的な行動をとるのが苦手であるという説があります。お尻の下の脚の部分がたるんで左右にひろがっている人に多く見られ、臀筋萎縮症候群(臀筋の健忘症)とも言われているようです。

 安部塾では、大臀筋下部繊維の機能の向上に力をいれています。基本中の基本であるグルティアルスクイーズをはじめ、抗重力臀部をつくるプラクティスをしつこく反復します。臀筋のプラクティスが好きな人は、何ごとにおいても根気強く取り組みます。現在の安部塾は、「継続こそが力」という考えの人ばかりとなりつつあります。今後も、臀筋群を鍛えあげていきたいと思います。

骨盤を大腿骨の上で安定させる大内転筋の機能

 

大内転筋


■大内転筋

起始:恥骨下枝、坐骨枝、坐骨結節

停止:大腿骨粗線内側唇、大腿骨顆上線、大腿骨内転筋結節

作用:股関節の内転、股関節の屈曲(上方繊維)、股関節の伸展(下方繊維)

 大内転筋は、大腿内転筋群のなかで最も大きい筋肉です。恥骨筋、短内転筋、長内転筋、薄筋とともに、股関節を内転させます。これらの筋肉は内側骨盤帯の下方部と大腿骨をつなげています。大内転筋は大腿骨の長さと同じくらいの幅があり、大腿骨の全長にわたり大腿骨粗線内側面一帯に付着しています。

 大内転筋は蹴る動作にも使われます。足部が地面に接しているときに最も使われ、骨盤を大腿骨の上で安定させ、方向転換の動きを可能にします。この状態で、大内転筋は骨盤を内側前方なたは後方に引き、骨盤を下肢に対して中心に置く役割を果たします。この大内転筋の機能と他の内転筋群の機能なしでは、骨盤は膝に対して内側方向に移動し、下肢の安定やアライメントに異常を引き起こしてしまいます。

 大内転筋と他の内転筋群の働きは、大腿骨の位置によっても変化します。股関節が屈曲して大腿が前方にあるときには、内転筋群は骨盤を足の上に移動するべく股関節を伸展させます。股関節が伸展して大腿が後方にあるときには、内転筋群は下肢を前方に引き出して股関節を屈曲させます。大内転筋は股関節の屈曲と伸展に対し、非常に効率の良いテコを提供しています。なぜなら、起始が恥骨と坐骨にあり、停止部が後面に長く位置しているためです。大腿骨の位置によって交互に変わるこの機能は、歩く・走るなどの動作の際に一貫している。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

 内転筋群に機能異常があると、股関節でパキパキとクリック音が出ることがあります。股関節の外転時に股関節や歌詞がこわばったり、鼠径部の緊張が強くなることもあります。

2021年4月15日木曜日

股関節をきっちりとハメる。小臀筋を整えましょう。

 坐骨神経痛のような脚の痛み・しびれが、股関節の小臀筋の機能異常によってあらわれることがあります。うまく歩けず足をひきずるような動き(跛行)となったり、よく眠れずに中途覚醒に陥り睡眠障害を招くこともあります。安部塾では、小臀筋筋線維は大腿骨頸部と平行に走行しています。骨頭を求心位に保持させており、股関節の安定性に寄与していると考えられます。安部塾では、「股関節をハメる筋」として重要視しております。

小臀筋

■小臀筋

起始:前臀筋粗線と後臀筋粗線の間、腸骨外側面

停止:大腿骨大転子の前縁

作用:股関節の外転、内旋、軽度屈曲

 小臀筋は、中臀筋の前方よりの深層に位置します。小臀筋と中臀筋の主な機能は股関節の外転です。また、小臀筋の起始が腸骨の前方にあり、停止が大腿骨大転子にあることから、股関節を軽度屈曲、および内旋することもできる。小臀筋は肩関節の三角筋の前部と類似している。

※参考文献 「ビジュアル機能解剖学 南江堂」


 腰方形筋の短縮硬化を放置したままにしていると、小臀筋に痛みが生じることがあります。前記事でも書きましたが、小臀筋と腰方形筋・中臀筋は、ひとつのユニットとしてはたらき、股関節に安定をもたらします。小臀筋は、歩行時に殿筋群の中で最も働いています。

 腸腰筋による脚の振りあげ運動と、臀筋群における振り戻し運動によって、人は前に進むことができます。腸腰筋の機能不全は「一歩目が踏み出せない」という現実につながりやすくなり、臀筋群の機能不全は「継続できない」という現実につながりやすくなるという説があります。現実生活が脚を引き摺るような動きをすることになる可能性が高くなるという考え方なのですが、私も、相関関係があるように思います。

 安部塾の側臥位(横向き)のワークは、小臀筋の筋力トレーニングとストレッチングを重要視しておこなっております。

片脚で立てることが大切です。中臀筋・小臀筋・腰方形筋の機能を高めましょう。

 安部塾では、片脚で立つための練習に時間をかけております。フロアワーク(床でおこなう練習)の多くが、立位時の安定を目指したコア・プログラムとなっています。片脚で安定して立てるということは、歩く・走るなどの動作の基盤であると考えております。身体的安定性能は、そのまま精神的な安定に反映されるという説を支持しております。


腰方形筋と中臀筋


■腰方形筋

起始:腸骨稜後部と腸腰靭帯

停止:腰椎1~4番の横突起と第12肋骨の下端縁

作用:脊柱の伸展(両側の活動)、脊柱の側屈(片側の活動)、吸気運動時の第12肋骨の下制

 腰方形筋は脊柱の深層にある多機能筋です。腸骨と胸椎の外側および第12肋骨を連結しています。腰方形筋の筋繊維は肋骨と脊柱から後方の腸骨後部に向かって、下位外側にやや斜めに走行しています。脊柱起立筋群の深層で大腰筋の後方に位置しており、腹壁後部の形成を助けます。

 機能的には、下肢が固定されている場合、骨盤に対して脊柱を安定させます。立位姿勢を保持して脊柱起立筋群と協調することで、わずかに側屈や伸展を生み出します。起立したとき、中臀筋とともに活動し、身体が下肢の上に位置するように作用します

 歩行時には、腰方形筋と中臀筋は体重が一方の足からもう一方の足に移る際に骨盤の安定を補助します。これらの筋は骨盤が外側にずれるのを防ぎ、骨盤の動作を矢状面(しじょうめん。左右相称な動物の体の正中に対し平行に、体を左右に分ける面)だけに維持します。また、腰方形筋は荷重がもう一方の足に移るときに、腸骨を胸郭の方向に引きあげます。この活動により、足部を床に打つことなく脚を前方に振りあげることが可能になります。

 腰方形筋には呼吸を助ける働きもあります。吸気運動時には、この筋肉が第12肋骨を下方につなぎとめるため、胸郭を最大限に拡張することが可能となります。腰方形筋の機能低下は、頻呼吸、中臀筋の弱化、脊柱起立筋群・腹筋・腰筋のような姿勢筋の不均衡によって生じます。

■中臀筋

起始:前臀筋粗線と後臀筋粗線の間、腸骨外側面

停止:大腿骨大転子の外側面

作用:①股関節の外転②股関節の屈曲(前方の筋繊維)③股関節の内旋(前方の筋繊維)④股関節の伸展(後方の筋繊維)⑤股関節の外旋(後方の筋繊維)

 中臀筋は、小転子の表層、大臀筋の深層に位置します。この筋は股関節外転の主動筋です。中臀筋は肩関節の三角筋に、形・筋繊維の走行方向・機能の点で類似しています。三角筋のように、中臀筋の機能もまた多岐にわたり、それらは、股関節の外転、屈曲、伸展、内旋、外旋であり、下肢のなかでも強力で万能な筋肉です。

 起立時には、中臀筋、小臀筋、腰方形筋の働きにより、股関節は内側方向に保たれています。この働きは、臀部の位置をその他の下肢に対して適切な位置に並べるのに使われています。中臀筋の弱化は、片足で起立したり、歩く、走るなどの動作の際に骨盤を外側方向に移動させてしまいます。たとえば、片足での起立時に、足部と膝に対して骨盤を中心に保つことができなくなります。また、歩行時には矢状面での動作をコントロールすることができなくなり、あひる歩行が起こります。

※参考文献 「ビジュアル機能解剖(南江堂)」

中臀筋と片脚立ち


 以前、何もない平らなところで転倒する人を観察したことがあります。片脚立ちはまったくできませんでした。自分は動かずに、口先だけで他者を動かそうとするため、現実の人生はうまくいっていないようでした。自立できないということは、自身の機動性(状況に応じてすばやく活動できること)を失うことを意味します。機動性を失うということは、それだけ自由を失うということを意味します。

 生涯、フットワークの軽さを維持増進していくためのひとつの方法として、片脚で立てる能力を研磨し続けることが有効だと考えております。今後の安部塾は、これまで以上に片脚で立つということにこだわっていきます。


2021年4月13日火曜日

柔軟性とストレッチング

 ■柔軟性

 柔軟性を改善しようとするトレーニングでは、筋肉と筋膜に焦点を当てる。もちろん、骨、関節、靭帯、腱、皮膚も柔軟性には影響するが、その影響は大きくはない。

 骨と関節は、その関節の可動できる範囲を決定する。例えば、膝関節では、どんなに強く膝を直線的に曲げようとしても、それ以上は曲げることができない。

 人体は骨と骨を連結し、関節を固定する。靭帯に柔軟性を求めることは、関節の固定が弱くなり怪我の原因となるため避ける。

 腱は密性の結合組織から成り、筋肉と骨を連結している。腱は強靭だが、柔軟性もある。しかし、その柔軟性は、関節全体の柔軟性の10%程度の影響でしかないため、最初に伸ばすべき組織ではない。

■ストレッチ

 これまで、柔軟性、骨格筋、筋肉のメカニズムについて学んできた。次に学ぶのは、健康のために行うストレッチで、これは身体の特定の部位を筋肉や軟部組織が伸びる位置に置くというプロセスである。

■筋肉が伸ばされると何が起こるか?

 定期的にストレッチを行なうことで、身体とくに筋肉内部にさまざまな変化が起こることを実感できる。もちろん、靭帯、腱、筋膜、皮膚、瘢痕組織などの他の組織にもストレッチ効果は認められる。

 可動域を増加させるような筋肉が伸びる過程は筋肉内の筋節レベルで起こる。身体の特定の部位を筋肉が伸びる位置に置くことで、筋フィラメントの重複部分が減少し始める。筋節が十分に伸ばされれば、筋繊維は最大の静止長となる。この状態から、さらに伸ばすことで、結合組織や筋膜の伸長につながる。

ビジュアルでわかる トリガーポイント治療 緑書房 より

2021年4月12日月曜日

筋ほぐしをトリガーポイントセラピーでおこなう際の基礎知識

 ■トリガーポイントとは
Janet Travellによって「筋肉内の緊張部位で痛みのある塊(かたまり)あるいは硬結(こうけつ)と定義されている。

①痛み、ときに激しい痛みが散在している。

②硬結は筋肉の索状(さくじょう)部位にある。

③圧迫することで、特有の部位に再現性のある痛み(関連痛)が起こる。

④痛みの原因は、神経学的検査の結果からは説明することができない。

重要な特徴のひとつは「痛みを感じる場所から離れた筋肉にトリガーポイントがある」ということ。トリガーポイントがある筋肉は機能低下を起こし、長さが短くなる。

目的として、

①トリガーポイントを正確に見つける

②トリガーポイントの発生原因を見つける

③トリガーポイントを不活性化するための適切な処置をおこなう

④トリガーポイントを再発させない方法をとつ

トリガーポイントを圧迫すると、

①圧迫部位と痛みを感じている部位の痛みが減少・消失

②痛みのフィードバック経路が減少

③痛みの悪循環を断つ

④緊張をゆるめることで、他の組織に間接的な効果を生む

⑤圧迫している周囲の筋膜をゆるめる

⑥血流を改善する

⑦鎮痛物質を放出

⑧自律神経系に影響


トリガーポイントを5~6秒間圧迫すると、関連通部位の一部やすべてが活性化する。これが症状の再現(圧迫した場所と離れた場所に症状が出る場合が多い)。

痛みのある組織を、「ゆっくり」「慎重に」「均等に」「深く」圧迫する。

すぐに痛みを止めたいのであれば、圧迫によりトリガーポイントがやわらかくなるか、消失するまで圧迫する。

痛みが変わらないようなら、さらに15秒圧迫する。

必要に応じて3回繰り返す。

3回繰り返してもトリガーポイントが非活性化しないのであれば、2次的トリガーポイントか衛星トリガーポイントの可能性がある。


ビジュアルでわかる トリガーポイント治療 緑書房 より

2021年4月8日木曜日

棘下筋のストレッチング

 

棘下筋のストレッチング

■棘下筋

起始:肩甲骨の棘下窩

停止:上腕骨の大結節

作用:肩甲骨の外旋、伸展、水平外転

棘下筋
 棘下筋は腱板を構成する4つの筋肉のうちの1つです。棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋は一体となって、上腕骨頭を関節窩に固定します。棘下筋は上腕骨頭を関節窩の後方に密着させ、肩甲骨の烏口突起との挟みこみを予防しています。

 棘下筋は肩甲上腕関節(肩関節)の外旋筋の1つで、肩の動きにおいて上肢の後方への伸展や外旋による前負荷では不可欠です。強力な動きの中でのフォロースル―や減速の局面においても使われます。

 力強い肩関節の内旋筋群(大胸筋、広背筋、大円筋、三角筋前部、肩甲下筋)と小さな外旋筋群(三角筋後部、棘下筋、小円筋)の間にはしばしばアンバランスが生じ、肩甲上腕関節に不完全な機能的構造をつくり出してしまう。

棘下筋のストレッチング

 肩に痛みがある人の場合、棘下筋は硬く固まっている人が多いです。注意深く、ごくゆっくりとした動きで伸ばしていかねばなりません。棘下筋が固まっている人の動きは雑なことが多く、無闇に振り回したりなど、「急」な動作が多く見られます。「痛い痛い」と言いながら肩関節で腕をぐるぐるまわすのは、肩が壊れている人独特の自己破壊活動だと思います。安部塾では基本的に「まわす」という動作を避け。「∞(フィギュアエイト)」の動きを心がけます。正確には、こんな感じで円と円を重ねていきます。

円と円を重ねていく

特に、3つの円を重ねるのは、古代より伝わる日本の技だったりします。

4月9・10・11日(金・土・日)の東京集中講座で解説いたします。

2021年4月7日水曜日

ストレッチングに関しては辛抱強さが必要である

 ストレッチに関しては辛抱強さが必要である。数週間程度で効果を得られる人などいないので、ストレッチングに奇跡を期待してはいけない。長期的にみて、筋群によっては実際の効果が感じられるまで、少なくとも3ヶ月間の集中的なストレッチングが必要となる場合がある。だから粘り強く継続して欲しい。努力は十分に報われるのだから。(ブラッド・ウオーカー ストレッチングと筋の解剖 南江堂 22Pより)

回旋筋腱板(ローテ―ターカフ)のストレッチング

 ストレッチング中の姿勢やアライメントは、柔軟性のトレーニングにおいて最もおろそかにされる要素の一つである。ストレッチングの全体的な効果を生むのに、姿勢がいかに重要なものとなりうるかを知っておくっことは大切である。姿勢が悪かったり、方法が不正確であれば、傷害を起こしかねない筋のアンバランスが生じうる。(ブラッド・ウオーカー ストレッチングと筋の解剖 南江堂 22Pより)
 
 主要な筋群は、多くの場合、多数の異なる筋から構成されている。もし姿勢がいいかげんであったり不正確であれば、あるストレッチング運動によって筋群の中の特定の筋にばかり焦点が当たり、傷害が生じるようなアンバランスを引き起こしかねない。(ブラッド・ウオーカー ストレッチングと筋の解剖 南江堂 22Pより)


即効的(インスタント)な効果を求めず、コツコツと地道に積み上げて結果を出していきましょう。


4月9・10・11日(金・土・日)の東京集中講座で解説いたします。


2021年4月6日火曜日

首と肩の筋ほぐし(相反神経抑制を意識したストレッチング)

 首と肩のこわばりに対し、相反神経抑制を意識したストレッチングが有効です。

首のストレッチング基本型(相反神経抑制)

肩のストレッチング基本型(相反神経抑制)

首や肩のストレッチングは、やり方を間違えると有害無益です。また、不健康な筋肉に対しては、ストレッチングはよくありません。適応を確認して、正確無比な型を遵守しておこなうことが大切だと考えております。

4月9・10・11日(金・土・日)の東京集中講座で解説いたします。