前頭直筋 |
■前頭直筋
起始:環椎(C1)の横突起
停止:後頭骨の頭蓋底の下面
作用:頭部と頸部の屈曲(両側の活動)、頭部と頚部の同側への回旋(片側の活動)
前頭直筋は頚部前面の非常に小さい深層筋です。後頭骨の下面と環椎の横突起間を斜めに走行しています。その形状と機能は小後頭直筋と類似していますが、前頭直筋は伸筋というより屈筋です。下を見るときのような頭部のわずかな屈曲は前頭直筋によって開始されます。
前頭直筋は、環椎後頭関節を安定させるために後頭下筋群と共に働きます。前頭直筋と大・小後頭直筋の拮抗作用は、環椎の椎孔と大後頭孔のアライメントを維持します。この部位の適切なアライメントは、頭蓋から、および頭蓋への血液と脳脊髄液の流れをサポートします。前頭直筋と後頭下筋群の柔軟性と筋力のバランス不良は、頭痛や認知障害、痛みを引き起こす可能性があります。
※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」
前頭直筋と後頭下筋群下筋群 |
前頭直筋と後頭下筋群下筋群 |
安部塾では、「うなずく(頷)=項(うな)突(づ)く=承諾や同意などの気持ちを表すために、首を縦に振る」という動作を重要視しています。了解、肯定、承諾の気持を表わすために首を縦に振る動作は、姿勢改善の基本となるという考えからです。
「項」 は 大和言葉の「うなじ」の意味で、解剖学用語で後頸部/後頚部(こうけいぶ)。頸部/頚部を前後左右で分けたときの後ろの領域、あるいは項部(こうぶ)と呼ばれる身体部位です。突く」は「頸などをタテに振る動作」の意味だそうです。「うなじつく」で「うなづく」ということになります。首の後ろの部分で天を突くようにします。現代用語的には「うなずく」と、なります。
ピラティスの「ヘッドノッディング(頭蓋脊椎関節のモビライゼーション)」は、屈曲10°程度のわずかな運動ですが、深部頸椎安定化筋群の覚醒による頸椎の安定性の改善効果が非常に高く、様々な動作の起点となるため、日々練習を積み重ねることが大切だと考えております。ケガが絶えない・故障が多い人のヘッドノッディングを観察してみると、頸部の表層筋群を過緊張させているのがわかると思います。
姿勢や動きがよくない人ほど、「うなずく」という動きをしたがらないそうです。否定から入る人が嫌悪の対象となりがちなのは、見た目がよくないからなのかもしれません。