2020年1月30日木曜日

身体の動きが悪い人は「指示された通りに動かずに、必要な動作をすべてスッ飛ばし、雰囲気で無自覚に創作した動きを、勝手に挿入してしまう」傾向があるように思います。

昨日のTwitterより














身体操作指導で行き詰るのは、実は動かし方そのものではありません。相手が「指示された通りに動かずに、必要な動作をすべてスッ飛ばし、雰囲気で無自覚に創作した動きを、勝手に挿入してしまう」からです。指導者が出している指示と、全く違う動きをしてしまうのです。

一連のTweetに書いてある通りなのですが、「書いてある通りに読ま(め)ずに、助詞や接続詞を平気で飛ばし、雰囲気で意味が通じように、自分で無自覚に創作したものを、勝手に挿入して発音する」のです。「書いてある通りに読むほうが難しい人」にとっては「自分で勝手に創作する方が簡単」なのです。

指示通り正しく動くのが難しい人にとっては、自分で勝手に動きを創作する方が簡単なのだと思います。指示通りに動けない人が即興系のダンス(舞踊)をやった場合は、特に悲惨なことになります。即興の動きこそ、圧倒的な国語力を必要とします。書いてある通りに読めない人が、即興で動くのは難しいのです。身体言語を使う方が難易度は高いのですから。

身体操作指導者の多くが、「解説した通りにわかろうとしない人たち」が結果を出すことができないことを、日々実感していると思います。安部塾では、定型の誘導句を繰り返し読むことをおすすめしています。オリジナルを入れず、先人が練りあげてくれた言葉を素読するのが最良の道だと考えています。定型の誘導句を型通りに唱えれるようになったとき、自在に変化する誘導が可能になるはずです。

指導される人は、指導者の言葉に集中して、余計なことを一切せずに、解説の通りに動くことが肝要です。

「股関節と骨盤の動きを改善する」をテーマに、大阪(2/27)・神戸(2/29)の集中講座を開催いたします。

「股関節と骨盤の動きを改善するエクササイズ解説と実技指導」の集中講座を関西で開催します。
■2月27日大阪集中講座 → 詳細
■2月29日神戸集中講座 → 詳細

こんなイメージです。

股関節と骨盤の動き1

股関節と骨盤の動き2
意味がわかって動かすのと、意味もわからず動かすのとでは、結果に雲泥の差が生じます。形だけなら真似できるかもしれませんが、中身まで真似するのは難しいと思います。

御参加、お待ちしております。

2020年1月29日水曜日

「脊柱の動きを改善する」をテーマに、下関(2/1)・大牟田(2/2)で解説をいたします

2月1日(土)の下関集中講座と、2日の機能運動学大牟田サークルで、「動的ストレッチング(血流を促し筋温を上げ柔軟性を高める。神経伝達速度をあげ筋出力を高める)」と「脊柱の動きの改善(首を伸ばす・肩甲骨の安定・ロールダウン&ロールアップ(立位)・スパインツイスト・キャット&リバースキャット・スフィンクスイントゥアロールアップ)」の解説をします。
ロールダウン&ロールアップ(立位) 王丹さん
こんな感じでロールしながら脊柱と股関節の屈曲↔伸展をします


定番のキャットの動きも。

ねこと牛
■脊柱の主な働き
①支持~体を支えること
②運動~体を曲げたり伸ばしたりすること
③保護~神経を守る

Yoga Anatomy-2nd Edition
というわけで、みっちり脊柱を動かしてまいります。見た目は地味ですが、とてもきついです(主に下部腹筋が)。

御参加、お待ちしております。

2020年1月28日火曜日

ヨガブームの終焉と筋トレブームの到来と

12年ほど前、スタジオプログラムがヨガ・調整系で溢れるようになりました。その後、ヨガ専門店が乱立増殖。「~ヨガ」と名前をつけて新ネタを乱造するも、すぐに飽きられてしまうために長くは続きません。敷居が低いため、すぐに飛びつけますが、思ったような効果は得られずにやめてしまうという状況になってきています。綺麗にもなりませんし、痩せもしませんから。

某氏が、「日本のヨガは、忍者村とか江戸村なんかと同じで、オリジナルによく似ているけど全然違うもの」だと言っていましたが、私も「雰囲気だけ寄せている状態」だと考えています。混沌を極めて自壊していっているわけですが、まともにやっている人たちはきちんと残っていくと思います。良い意味での淘汰が進むと思われます。

一方で、リフォーマーを用いたピラティスの個人指導は、安定しているようです。

2016年くらいから、筋トレブームが再燃してきています。2019年に、一気に爆発した感があります。「筋肉は裏切らない!」という流行語とともに、日常生活ではなかなか得ることができない達成感を確実に得られるのが、人気の理由となりました。「目に見える効果が得られる」のは、やる気の継続につながるのです。パーソナルトレーナーをつけての筋トレも普通になりました。

この記事面白いです → 【筋トレしすぎた人の末路】マッチョと生きてきたからわかる19のこと

文字通りの「自己燃焼感覚」は、人生をとてもしあわせな時間に変えてくれるのです。似非スピ・キラスピが社会問題化してきつつありますが、多くの方が証言するように「筋トレにリソースをつっこんだ方が建設的な結果が出せる」ので、筋トレにシフトする傾向が強くなってます。筋トレのやり方もスタイリッシュになりました。ヨガインストラクターは似非スピにハマりやすい傾向があるようで、似非スピにハマることで顧客を失うという展開も多いようです。

ヨガブームは終焉を迎え、筋トレは急速な進化を遂げると思います。社会全体が「体験型」にシフトしてきていますし、そもそも「動ける身体」でないと体験はできませんから。高いレベルで行う筋トレは、人生を飛躍的に素晴らしいものにしてくれます。筋肉はもちろんですが、靭帯や骨格も裏切りませんから。エクササイズレベルを上げていくことを心がけて生きていくことが大切だと思います。

というわけで安部塾では、今日も地味すぎる筋トレやります。

2020年1月25日土曜日

脚や腕を動かすときは、膝と肘を意識しましょう。

脚をあげるとき、足を意識すると不安定になります。腕をあげるとき、手を意識すると不安定になります。足踏みや投球動作の際に、膝や肘を意識するように指導される理由です。
脚をあげる筋肉は大腿骨に、腕をあげる筋肉は上腕骨についています。「腰は膝で決まる」という口伝は、大腰筋の付着を考えれば納得です。肘も同様で、肩甲骨の動きと肘の意識について口伝があります。
膝を振る・肘を振るという意識が、身体全体の動きを劇的に改善していくのはよく知られていますが、何故なのかという理由について学ぶことで、その効果をさらに高めることができます。
今日の神戸集中講座で、みっちり解説したいと思います。


2020年1月21日火曜日

『見た目のやわらかさ』ではなく『使えるやわらかさ』を。動的ストレッチングと静的ストレッチングで、強くてやわらかい身体をつくる。

最近の安部塾では、『動的ストレッチング』をやっています。筋温が上がって身体の動きがよくなるのが、とても好評です。

2020/01/18 東京集中講座 動的ストレッチング

好評なので、2月14・15・16日の東京集中講座も『動的ストレッチング』をやります。『静的ストレッチング』も、合わせてやろうと思います。

1月23日の大阪集中講座と25日の神戸集中講座は、『呼吸を意識したストレッチング』です。もちろん『動的ストレッチング』が主になります。基本となる脊柱の動きの意識の仕方や、骨盤・胸郭(肋骨)・肩甲骨の使い方の解説に力を入れたいと思います。仙骨をすべらせるテクニックなど、基礎の基礎からやり直していこうと考えています。

『見た目のやわらかさ』ではなく『使えるやわらかさ』を重視したいと思います。

2020年1月16日木曜日

劣等感が深刻な人がエクササイズをするとケガが多くなる理由

今朝、ラグ活に行ったジョイフルで、加藤先生の本を読みながら連続Tweetしました。

ポチポチしながら、「エクササイズでケガをする人って、劣等感が深刻化しているんだな」って理解しました。わかりやすい例がダイエットです。動機が自慢するため(ほめてもらうため)だったりするので、結果は大きくふたつ。「途中で挫折する」か「身体を壊すまで無茶する」かです。当然、どちらの場合も、見た目はダメです。

これに対し、エクササイズが楽しくて仕方がない人はケガをしません。そして、その見た目は人の心をわしづかみにする感じです。姿勢・動き・呼吸のすべてが美しいのです。

何が違うのかというと、良い人間関係をもっているか、人間関係を破綻させているかだと思います。人間関係が希薄な人は、エクササイズを楽しめていないのではないかという気がします。

劣等感ベースでエクササイズしている人は攻撃性が高まり、分泌されるホルモンも攻撃用のものばかりとなります。結果、美しい身体にはなりません。ストレスホルモンまみれになるので、肌は荒れるし、眼だけギラギラした怖い顔になってしまいます。

そんなときは、里神楽を観てミラーリングしましょう。



里神楽は良い人間関係がもてていないと舞えません(協働作業ですので)。舞人ばかりに目がいきがちですが、支えている楽人とか支援者を観るのが、私の楽しみです。面、衣装、道具をつくっている職人さんまで含めて、良い人間関係がもてていないと舞は舞えません。劣等感を消していくヒントが満載です。

話を戻して、劣等感が深刻な人が筋トレやストレッチングをすると、オーバーワークで関節障害や肉離れを起こしがちです。現在の自分にとっての適正なエクササイズではなく、優越するためのエクササイズを始めてしまうからだと思います。結果、かえって劣等感を深刻化させてしまうことになります。

逆に、「優越できないのであれば、エクササイズすることに意味を見いだせない」という人もいます。この場合は、健康の維持に必要な運動量が確保できないという展開になりがちです。自分にとって意味のあることができないのは、「すごい」と言われたいによく見られる傾向だそうです。

6年ほど前、「機能解剖学の知識が広まったら、エクササイズのケガが減るはず」と思っていましたが、知識が広まった後も、相変わらずケガは減っていません。何のことはない。ケガの原因は、ケガをするほどに深刻化した劣等感だったのです。機能解剖学を教える先生自身が、実は爆弾を抱えているというのもよくあることだそうで、先生の元を去ったスタッフが実情を暴露したりしている現状を見ていると、今後は劣等感について考えていかないといけないんだなって実感が強くなります。

明日から東京集中講座なので、塾生講座で「劣等感のお話」をみっちりやろうと思います。一般の講座でも、ストレッチングの解説のときに、少しお話しようと思います。

2020年1月15日水曜日

2月前半の福岡での集中講座の御案内~「動的ストレッチング」「脊柱の動きの改善」

2月前半の福岡での集中講座の御案内です。
■2月1日(土) → 下関集中講座
■2月2日(日) → 大牟田機能運動学サークル
■2月9日(日) → 新宮校集中講座
■2月11日(火・祝) → KANON集中講座

内容は、「動的ストレッチング(血流を促し筋温を上げ柔軟性を高める。神経伝達速度をあげ筋出力を高める)」「脊柱の動きの改善」となります。感覚的にも、動くのがとても楽になるやさしいテクニックです。

動的ストレッチングは、実際の動きに必要な柔軟性を向上させたり、筋群間の協調性を高めることなどを目的としています。相反性神経支配と呼ばれる反射システムのはたらきにより、拮抗筋群の緊張(収縮)を抑制する信号が送られるので、対象となる筋群の円滑な収縮による関節運動をつくっていくことができます。


脊柱の動きの改善

脊柱の動きの改善は、脊柱の「屈曲」「伸展」「側屈」「回旋」の基本の動きの改善を、呼吸に合わせて行ないます。首を伸ばす・肩甲骨の安定・ロールダウン&ロールアップ(立位)・スパインツイスト・キャット&リバースキャット・スフィンクスイントゥアロールアップを予定しております。

御参加、お待ちしております。

2020年1月14日火曜日

優越することで心の葛藤を解決しようとすると、どうしても普通の人よりも生きる障害が多くなる。優越しようとすることは人との心のふれあいをさらに難しくする。

劣等感がなくなる方法 加藤諦三 大和書房
劣等感がなくなる方法 加藤諦三 大和書房より

人は劣等感を乗り越えるための努力で劣等感を深刻化する。人は劣等感を乗り越える心の姿勢で根本的な間違いを犯す。劣等感を解消しよう、解消しようとして逆に劣等感を深刻化していく。劣等感は劣等感の上に積み重なる。そして劣等感が心の中に山積みになる。屈辱感を乗り越えようとして「オレは凄いんだ」と言っている人が居る。その場を何とか心理的に治める。しかしそれはなんの解決にもなっていない。それはカレン・ホルナイの言う神経症的解決である。真の解決ではない。

過去の屈辱感が「優越したい」と言う願望を生む。人は優越することで、心の葛藤を解決しようとしている。優越することで心の葛藤を解決しようとすると、どうしても普通の人よりも生きる障害が多くなる。たとえば自分が優越することの障害になる人が出てくる機会は普通の人より多い。そしてその人を許せない。自分の神経症的要求を妨害する人が許せない。

努力の方向が優越することから、人とふれ合う方向に舵を切れるかどうかが、その人の幸せと不幸の分かれ道である。人と心がふれあうことで劣等感は解消できるのに、劣等感を解消しようとして逆に相手に優越しようとする。だからこそ劣等感のある人は、努力するにもかかわらず劣等感がどんどん深刻になる。

劣等感は依存症である。アルコール依存症の人は、アルコールを飲めばその時には一瞬楽になる。しかし問題は解決していないどころか、深刻化している。深刻な劣等感のある人は競争に勝てばその時にはほっとする。その時だけは楽である。しかし心の葛藤は深刻化している。競争に勝っても負けても劣等感は深刻になっている。アルコール依存症の人がアルコールを飲まないではいられないように、劣等感の深刻な人は優越しようとしないではいられない。

しかし優越しようとすることは人との心のふれあいをさらに難しくする。優越できなければ、不安になり自分の独自性の強調になる。人と違ったことをして他人に自分を印象づけようとする。不安になれば不安になるほどほど、競争心が強くなり、優越できなければ変わったことをして人に自分を印象づけようとする。自分は「変わっている」ということで世の中の普通の基準で評価されることから逃げる。

ただの我が儘を「私、平凡な生き方って好きじゃないんですよね」と芸術家や革命家を気取ったりする。深刻な劣等感のある人は身勝手な自分のことを個性的と解釈しようとする。深刻な劣等感から「変わっている」ことをして、それを個性と言い張る。優越することが「緊急の必要性」なのに優越できない。そこで「個性的な自分」と言う自己像に固執する。現実の世界から想像の世界に逃避する。

そうして神経症的競争意識がますます酷くなり、ますます人と心のふれあいを失う。人は他人に自分を強く印象づけようとして不安になれば不安になるほどほど、競争心は強くなる。アルコール依存症の人がアルコールを飲み続けていよいよアルコール依存症が深刻になるのと同じである。

優越できても、優越できなくて独自性を強調しても、いよいよ劣等感は深刻になる。独自性を強調できなくて「どうせ」とすねる人も出てくる。これらの心理の解説がこの本の目的である。

アルコール依存症の人は、自分がアルコール依存症であることを否定するが、心の底ではアルコール依存症であることを知っている。しかし深刻な劣等感のある人は、心の底でも自分が依存症であることに気がついていない。

引用ここまで




「教祖になりたい人」と「教祖を妄信したい人」に共通するのは、『深刻な劣等感』だと思います。他者に優越する手段として教祖になることを選ぶ人と他者に優越する手段として教祖についていく人たちが不幸にして出会ってしまうと、劣等感の深刻化が一気に加速します。独自性を強調するために様々な奇矯(行動・思想傾向が普通の人とは変わっていて激しいこと)な振舞をするようになり、「私はすごい人間なんだ。認めろ」というメッセージを発するようになります。「私は正しい。お前は間違っている」というメッセージを発している人は、さらにまずい状態に陥っています。

現実世界の人たちは、こちらの期待通りに反応してはくれません。なので、「世の中の人間は間違っている。俺は正しいのに」と、世を恨むようになります。単独ならばまだいいのですが、不幸にして同じように考えている人たちと出会うと、その考えを強化してしまうことになります。私たちは「自分と似ている人」と仲良くなってしまいやすいのです。

現代において恐ろしいのは、エコーチェンバー現象です。長くなりますが、引用いたします。

閉鎖的空間内でのコミュニケーションを繰り返すことよって、特定の信念が増幅または強化される状況の比喩である。エコーチェンバー化(エコーチェンバーか)、またはエコーチェンバー効果(エコーチェンバーこうか、echo-chamber effect)とも言う。

世の中には様々な人がおり、様々な意見を持った人と触れ合うことが出来る。世界に開かれたグローバルでオープンな場で、「公開討論」のような形で意見を交換し合うことができるコミュニティがある。一方で、同じ意見を持った人達だけがそこに居ることを許される閉鎖的なコミュニティもあり、そのような場所で彼らと違う声を発すると、その声はかき消され、彼らと同じ声を発すると、増幅・強化されて返ってきて、「自分の声」がどこまでも響き続ける。それが「エコーチェンバー」である。

「エコーチェンバー効果」とは、エコーチェンバーのような閉じたコミュニティの内部で、誰と話しても自分と同じ意見しか返って来ないような人々の間でコミュニケーションが行われ、同じ意見がどこまでも反復されることで、特定の情報・アイデア・信念などが増幅・強化される状況のメタファー(隠喩)となっている。

この「エコーチェンバー」の内部では、「エコーチェンバー」内の「公式見解」には疑問が一切投げかけられず、増幅・強化されて反響し続ける一方で、それと異なったり対立したりする見解は検閲・禁止されるか、そこまでならないとしても目立たない形でしか提示されず、すぐにかき消されてしまう。そうするうち、たとえエコーチェンバーの外から見た場合にどんなにおかしいことでも、それが正しいことだとみんなが信じてしまう。

インターネット時代になると、このエコーチェンバーがますます身近になって人々の前に現れた。オンライン上で生じるエコーチェンバー効果は、同じような考えを持った人々の集団の一人一人が、個々人のトンネル・ビジョン(まるでトンネル内での視界のように、狭い視野で特定の考えしか持てなくなっている状態)を融合、発展させることで生じる。インターネット上には、自分との考えとよく似た、あるいは自分が賛同できるような特定の見解をすぐに探し出して、スマホで1回タッチするだけで「いいね!」したり「リツイート」したりできるシステムがあるので、インターネット上で情報を検索する人は、そういう書き込みをした、自分と同じような興味・考え方の人との間で情報をやり取りすることになりやすい[12]。そういう人たちが寄り集まることで最終的に形成されるオンライン・コミュニティが「インターネットにおけるエコーチェンバー」である。

インターネット上のエコーチェンバーの中に知らないうちに入り込んでしまった人々は、自分の意見に対する「インターネットの向こうの様々な人々」からの反響として、常に自分と同じような考えの意見が返ってくることに気づき、これによって自分の信念をより強固なものとする。特定の事柄に関して様々な意見を持つ人々と出会えるはずのインターネットにおいて、このようなことが起こるのは、インターネット上にはそれぞれ意見が違う一人一人の個人的見解に「合致する」ように作られた、出所不明の「フェイク・ニュース」を含めた幅広く様々な情報が、スマホなどですぐ閲覧できる形で存在しており、現代の人々はそういった従来型のマスメディアとは違う情報源からのニュースに、ネットを通じてますます接するようになっているためである。

Facebook、Google、Twitter といった会社は、ひとりひとりが受け取るオンライン・ニュースに、各個人に最適化された特定の情報を機械的に盛り込むアルゴリズムを立てている(これが「フィルターバブル」を生じさせる「フィルター」である)。このような個々人に提供するコンテンツを「ニュース提供元のサーバーで動いているアルゴリズムが、個々人がインターネット上に残したプライベートなログを参照しながら、閲覧者の興味を推測、それに合わせてニュースを選別(キュレーション)し、スマホなどの個人用情報端末を通じて提供する」という機械的な手法は、マスメディアにおいて「生身の人間の編集者が、個々人ではなく『マス(大衆)』向けに情報を提供する」という伝統的なニュース編集の機能に代わるものとなってきている。インターネットの登場で、個々人の誰もが情報が発信できる「情報の民主化」が起き、これによって人類が地球規模で繋がるようになるという希望がかつてはあったが、結局はFacebookなどのソーシャルニュースフィードやアルゴリズムが、かつて人類が果たしていた役割を代行することになったがために、かえって人間同士の繋がりがバラバラになり、民主主義を破壊する事態を引き起こしている。このように、インターネットにおいて世界中の様々な人々の意見と触れ合えるようになったはずの人類が、「マシンのアルゴリズム」の働きによって、逆に泡(バブル)の膜の中のような狭い世界に情報的に遮断されてしまう「フィルターバブル現象」は、個々人が「インターネット上に存在する、特定の偏った方向に同じ意見を持つ人間同士のつながり」にはまり込んだ(「マシンのアルゴリズム」の働きによって、はまり込まされた)ことによって、エコーチェンバーの中のような狭い世界に情報的に遮断されてしまう「エコーチェンバー現象」と、相関的にかかわりあっている。

インターネットのコミュニティは、一見国内だけでなく世界中の様々な考えの人々がいるように思えるが、実際のオンラインのソーシャル・コミュニティは、それぞれのコミュニティごとに考えが断片化しており、同じような考えの人々が集団として集まり、コミュニティを構成する全てのメンバーが特定の偏った方向に同じ意見を持っている。ソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS) のコミュニティは、コミュニティ内の人々における出所不明の「噂」を強力に増幅するが、それはコミュニティに属する人々が、自らの属するコミュニティの「公式見解」(コミュニティに属する人々にとっては、これは「真実」と同じ意味である)を考慮しない報道機関の記者よりも、自分たちの奉ずる「真実」を補強するために自らが属するコミュニティの面々が提供してくれた証拠類を信じるためである。自らの奉ずる「真実」を自らがますます補強するという、エコーチェンバーのこのような機能(エコーチェンバー効果)によって、エコーチェンバーの中では、そのコミュニティにおける「真実」への同調的意見のみが許されることになり、批判的議論が大きく阻害されることになる。インターネットに参加する人々がトンネルのように幅の狭い情報基盤だけをもち、自分の属するソーシャル・ネットワークの外側の情報に手を伸ばそうとしないのであれば、社会的議論や共有は困難になる。

インターネット上の言説においては、インターネット上のコミュニティ同士の見解の相違が特に注目されるが、実際は、ネットではなくリアルに存在する数多くの現実のコミュニティ同士においても、政治信条や文化的見解はそれぞれ違い、同じコミュニティ内の人々同士においてすら見解の相違があることも珍しくない。特定のソーシャル・コミュニティ内の「総意」を元に「インターネットを使う全ての人はみな自分と同じ意見を持っている」と錯覚してしまうエコーチェンバー効果は、「実際はネットだけでなく国や地域社会といったリアル世界のコミュニティにおいても、それぞれのコミュニティの言語的感覚や文化的感覚は、自分の属するネットのコミュニティのものとは全く違う」ということを人間に気づかせることを妨げる恐れがある(twitterの仲間内で大ウケしたネタでも、次の日に職場の仲間に言うと差別かセクハラに認定される可能性もある)。いずれにせよ、エコーチェンバー効果は、ある個人の現在の世界観を強化し、それを実際以上に正確で、広く受け入れられた考えであるかのように誤解させる。

引用ここまで

エコーチェンバー効果によって劣等感を深刻化させやすい状況がつくられていっているように、私には思えます。自分と似た人と仲良くなりやすい類似性の法則が負の方向で働いているわけですから、まさか自分の方が間違っているとは思えないのです。優越したいがゆえの攻撃性を剥き出しにするため、他者との触れ合いが困難になり、まわりにいる人たちはみな深刻な劣等感を抱えた攻撃性が高い人のみという悲惨なことになりがちです。そして本人は、自分の劣等感に気づいていないため、歯止めはかかりません。

自慢と攻撃しかしない人が、本当の意味で好かれることはありません。尊敬されることもありません。想像の世界で妄信されたり、妄信したりという、儚い世界に生きることになります。

簡単な見分け方をひとつ紹介します。その人のプロフィール欄を見たとき「自慢」「攻撃性」をベースにした内容が読みとれれば、その人とは距離を置いた方が安全です。その人の友だちのプロフィールも見てみるといいでしょう。記事を書いている人であれば、その文面に劣等感が滲み出ているはずです。「私はすごい」「私は特別」という哀しい主張が透けて見えたら危険な兆候だと思います。一緒にいて息苦しかったら、劣等感が深刻である可能性が高いかもしれません。

もっとも、ストレートに「おれ、すごくね?」という可愛いオッサンもいたりしますので、精査が必要ですが。単に子供っぽいオッサンは可愛がりましょう。

劣等感が深刻でない人は、「自分が好きなこと」や「なんてことない普段の出来事」についてナチュラルに書いているものです。他者に優越したいなんてことを考えていないので、一緒にいるのが楽です。結果として人に恵まれ、しあわせな毎日を送れます。そして、そのごく当たり前のしあわせな毎日を発信しているだけなんだというのが、プロフィールや記事に透けて見えてきます。

奇矯な振舞をしている人がいたら、しっかり距離をとって観察してみてください。「なってはいけない姿」を知ることで、自分の劣等感に気がつけるかもしれません。あと、加藤諦三先生の著作を読んだり、動画を観てみてください。笑ってしまうくらいやらかしている自分に呆れてしまうとともに、救われていくかもしれません。

2020年1月13日月曜日

攻撃性とナルシシズム

加藤諦三先生の「ナルシシズムと人間社会」という動画を観ていると、この動画を繰り返し観ることが救いになるなと強く思います。



 ナルシシストの無意識は「自己不適格感」であり、意識は誇大な自己イメージとなる。自己評価が低いため、孤独と恐怖感に悩まされており、すぐ傷つき攻撃性と結びつきやすい。攻撃性は、自己憐憫・犠牲者意識などの弱さに変装することがある(惨めさの誇示)。

ナルシシスト自身が、自分がナルシシストであると自覚するのは難しいため、無意識下にある自己不適格感を埋め合わせるために、必死で活動します。SNSなどで過剰な自己アピールしているのがわかりやすい例です。たくさんの他者から「いいね」をしてもらい、常に承認と称賛をしてもらえないと不安になってしまう。他者に対するマウント行為を繰り返し、自分が他者よりも優越している特別な存在だと思えなければ、自己の存在意義を感じることができません。

他人の気持ちを慮らない行為を繰り返しているがゆえに、他者からの認証を得られないわけですが、ナルシシズムに支配されているために内省することができません。死んでしまうその時まで、自分を取り巻いているさびしすぎる人生の本質を理解することができません。年々、欠乏感や劣等感は深刻化していきます。そして不平不満で凝り固まった、依存性の高い老害になり果ててしまうことになります。

ナルシシストは病的に共感性がありませんが、同類(ナルシシスト同士)に対しては強い仲間意識をもっています。仲間意識はもっていますが、お互いに相手に対する関心はないので、その結びつきは幻想に過ぎません。ナルシシストは、無意識下での自己不適格感を感じていて、日常的な自分自身(現実の自分)に、なんらかの不満感や不足感を感じているため、ほんとうの意味で仲良くなることはできないのです。無意識下における自己不適格感を穴埋めしようとして何かをしている人は、視野狭窄に陥ってしまうために、人としてのコミュニケーション能力を喪失してしまうのです。

なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか (単行本) 加藤諦三: 三笠書房より
ナルシシズムは自己を愛することでなく、自己を救ってくれという孤独の叫びである。 148P
最大の問題は、いかにして自己愛からのエネルギーを解放するか、いかにして自分に巻きついている意識を、対象に向けて投げ出せるか、ということである。200P

引用ここまで

攻撃的な人≒不健全なナルシシストと考えると、近づかない=なるべく接触しないで済むようにすることが大切だと思います。

2020年1月9日木曜日

やわらかくしたい筋肉の拮抗筋を意識的に収縮させて関節運動をおこなうダイナミック(動的)ストレッチング

今月は、ダイナミック(動的)ストレッチングをやっています。やわらかくしたい筋肉の拮抗筋を意識的に収縮させて関節運動をおこなうことで、筋群間の協調性を高めることができます。結果的に、その動きに特異的な柔軟性が向上し、関節の動きが美しく滑らかになります。

よく知られているのは、以下のパターンです。

①カリオカ~体は正面に向けたまま、脚をクロスさせて横に移動。
②シングルレッグウォーク~一歩踏み出して上体を倒し、片脚を後方に上げる。
③ウォーキング・ランジ~一歩踏み出し、ひざを曲げ腰を落とす。
④ウォーキング・ランジ+上体ひねり~上体を踏み出した脚側にひねる動きを加える
⑤リバース・ウォーキング・ランジ~後ろ向きに一歩踏み出し、ひざを曲げ腰を落とす。
⑥かかと歩き
⑦つま先歩き
⑧つま先タッチ~歩きながら足を伸ばし、つま先を手でタッチ。
⑨ひざ抱え
⑩脚上げ~ひざを曲げずに脚を上げる。
⑪かかと尻つけ
⑫アンダー・ザ・フェンス~横に脚をひろげ、ひろげた脚の方にしゃがみながら体を起こす。
⑬脚振り~脚を左右に振る。

ついつい得意な動きばかりをやってしまいがちですが、偏った部分だけのダイナミックストレッチングは、動作の歪みの元凶となります。バランスを考えながら左右のストレッチングをおこない、全身をくまなく動かすことが大切です。動きが雑な人は、過度な反動を使ってしまいがちですが、関節機能が著しく低下してしまうのでおすすめできません。関節可動域自慢のように、競争意識を高めておこなうのもよくありません。

ダイナミック(動的)ストレッチングは、やり方を覚えるというより、『考え方』を理解した方が効果をあげやすいと思います。活動的(アクティブ)な練習になので、気分的にもアガります。

1月13日(月・祝)に、新宮校で『ダイナミック(動的)ストレッチング集中講座』を開催することにしました。
→ 新宮校集中講座『ダイナミック(動的)ストレッチング』

各地の集中講座でも、ダイナミック(動的)ストレッチングの解説をする予定です。御参加、お待ちしております。

☆東京集中講座
 詳細
■1月17・18・19日(金・土・日)

☆大阪集中講座
→ 詳細
■1月23日(木)

☆神戸集中講座
→ 詳細
■1月25日(土)

機能運動学大牟田サークル
→ 詳細
■1月12日(日)

2020年1月7日火曜日

骨盤のダイナミック(動的)ストレッチングで股関節と脊柱の動きを改善

骨盤のダイナミック(動的)ストレッチングの動画をつくりました。



骨盤のダイナミック(動的)ストレッチングの動きは、レゲエダンスの動きに似ています。明日、詳しい動画をオンライン講座にアップロードする予定です。最初はゆっくり丁寧に動かしましょう。慣れてきて脱力できるようになったら、この動画程度の速さで動かすとよいかと思います。

1月13日(月・祝)に、新宮校で『ダイナミック(動的)ストレッチング集中講座』を開催することにしました。
→ 新宮校集中講座『ダイナミック(動的)ストレッチング』



各地の集中講座でも、ダイナミック(動的)ストレッチングの解説をする予定です。御参加、お待ちしております。

☆東京集中講座
 詳細
■1月17・18・19日(金・土・日)

☆大阪集中講座
→ 詳細
■1月23日(木)

☆神戸集中講座
→ 詳細
■1月25日(土)

機能運動学大牟田サークル
→ 詳細
■1月12日(日)

2020年1月6日月曜日

脚のストレッチングについての基礎知識

脚の筋肉
膝の痛み・問題は、脚の筋肉のアンバランス(不均衡)に起因することがあります。
①大腿四頭筋を構成する4つの筋肉(大腿直筋・内側広筋・中間広筋・外側広筋)のアンバランスによる場合
②ハムストリングスによって半月板にかかる緊張と大腿四頭筋による緊張のアンバランスによる場合
膝蓋骨(膝のお皿)を均等な牽引力で引っ張ることができないと、膝蓋骨の動きが不安定になります。前面・側面の緊張が均等でないことで、膝蓋骨が不安定なポジション(位置)に置かれたままとなります。

脚のストレッチングは以下の効果を狙ってやるようにするのが基本です。
①緊張のアンバランスを解消してバランスを取り戻し、膝蓋骨にかかる負担を軽減する
②大腿部の筋力を強化して、膝関節保護機能を向上させる
大腿四頭筋・ハムストリングスともに、過緊張状態を解除するように心がけましょう。

大腿後面のハムストリングスは、臀部ラインから続いています。座位での仕事をしている場合など、座ったままの状態でいることが多い場合、ハムストリングスの活動量が足りなくなって硬く縮んでしまうことがあります。座ったままになりやすい現代生活においては、定期的なハムストリングスのストレッチングが不可欠だと私は考えています。

内転筋は内転筋は緊張レベルが低い筋肉で、日常生活レベルではあまり使われません。左右への動きをおこなうとき、内転筋の作用が重要になります。適正な柔軟性と筋力が必要とされます

ふくらはぎをストレッチする理由は、
①足関節(足首)の適切な柔軟性を保ちたい(老化とともに硬くなりやすいため)
②捻挫を予防したい
ふくらはぎの筋肉の性能が低いと歩幅が狭くなってしまい、さまざまな障害の原因になりがちです。ふくらはぎのストレッチングは両脚同時でも片脚ずつでも効果があります。可動域を広げたいのであれば、片脚ずつの方が効率がよくなります。ふくらはぎは、常にやわらかい状態にしておくのが基本です。

ふくらはぎのストレッチング時、膝を伸ばしておこなうと腓腹筋が主にストレッチされ、膝を曲げておこなうとヒラメ筋がストレッチされます。様々なテクニックを駆使してふくらはぎをやわらかくしておくことが大切です。足底の機能がダメな人の場合は、適切なインソールが入ったシューズを履いておこなうことをおすすめします。裸足でのストレッチングは、足底の機能が駄目な場合は良い結果につながりにくいためです。良いシューズを履くことで足関節のポジションが適正化され、やわらかいふくらはぎの実現につながりやすくなります。


詳細は各地の集中講座で解説しています。

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2020年1月5日日曜日

ストレッチングの基礎知識~体幹部の側屈と回旋~脊柱の保護~股関節の柔軟性

横方向への運動を担当している筋肉は、日常生活における重要性が極めて高くなっています。体幹部の屈筋は、横方向への運動に加えて、脊柱(特に腰椎部)を支持しています。このため、痛みや筋スパズム(断続的に生じる一定の持続時間をもった異常な筋収縮状態)が発生しやすく脆弱な部位である腰部の保護の機能をもちます。

体幹の回旋を担当している筋肉は、体幹の側屈を担当する筋肉ほどには、日常生活における重要は高くありません。しかし、運動レベルがあがってくると、回旋筋がパフォーマンス(身体性能)と腰部保護の両面で重要性が高まります。

側屈・回旋ともに、最適な可動域を確保することと、左右非対称な筋肉バランスを対称に整えることを重視します。現実の生活では、身体の片側のみを使って同方向に体幹を回旋させることが多くなりがちです。筋肉連鎖にアンバランス(不均衡)が生じることによって、痛みの発生や障害につながることがあります。筋力を強化するとともに、筋肉連鎖を安定させて、腰部を保護する機能を高めるのが基本となります。

下背部(腰部)も頸部と同様に酷使されがちな部位です。下背部がこわばったままでは、深い睡眠をとることはできません。筋肉の緊張レベルが高いためです。腰部の筋肉をリラックスさせる必要があります。

脊柱起立筋の下部繊維が強すぎ、腹筋が弱くなると、過剰脊柱前湾(腰部)になることがあります。内臓下垂を伴います。正しい腹筋の強化によって、脊柱起立筋下部繊維がリラックスすると、問題は解消します。

腹筋が強すぎ、脊柱起立筋上部繊維(上背部)が弱いと、脊柱後弯(胸部)になることがあります。いわゆる猫背です。腰椎のカーブがなくなることにつながります。正しい背筋の強化によって、腹筋がリラックスすると、問題は解消します。

股関節の回旋筋には、腰椎の正常なカーブを維持する機能があります。回旋筋の柔軟性が不十分な場合、筋肉の硬さの影響で下背部(腰部)が牽引されてしまいます。結果として、腰椎の自然な湾曲が失われてしまいます。股関節の回旋筋が硬くなると、正確な動きをするのが困難になってしまいます。

正確なストレッチングによって筋肉の機能を改善することが基本だと考えています。


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首と肩のストレッチングについて

首と肩
首は酷使されやすい部位です。首の筋肉には、「首の柔軟性を確保する」「頸椎を保護する筋力を確保する」という機能があります。頭部は重いため、首の筋肉の柔軟性と筋力の両方が不可欠だということになります。頸椎は可動性が高くて小さく、容易に損傷してしまいやすい構造になっています。
雑で不適切なストレッチングや、過剰なストレッチングは、かえって首の筋肉の頸椎保護機能の低下をもたらしてしまいます。結果的に頸椎を損傷してしまう人も多いのです。丁寧で適切なストレッチングを正確におこなう必要があります。頸椎の損傷を招かないように制御して首の筋肉をストレッチすることをおすすめいたします。

肩の痛みは、程度の差はあっても、肩の安定筋である回旋筋腱板(ローテーターカフ)の問題から生じることが多いと思います。回旋筋腱板には、肩の関節を包み込んで適切な位置に保ってくれる機能があります。肩を保護する4つの筋肉は、比較的小さな筋肉なので、損傷しやすいのです。特に、棘下筋は酷使されやすいために損傷の可能性が高くなりがちです。

肩の痛みを予防するためには、肩の安定性を維持し、肩の運動を支える筋肉(肩後面・棘下筋・下部僧帽筋)の筋肉を引き締めるのが基本となります。肩甲上腕関節の過剰な柔軟性は、特に筋力を求められる動きでは剛性を得ることが難しくなり、パワーの発揮が困難になることがあります。ある程度の硬さ=安定性が必要なのです。上腕二頭筋長頭腱は柔軟性が高くなりにくい分子構造をしており耐摩耗性が高くなっています。このため過剰なストレッチングによって損傷しやすくなります。また、肩そのものが不安定になると、ちょっとしたことで亜脱臼してしまいやすくなります。


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2020年1月4日土曜日

ストレッチングのメリットとデメリット~過度な柔軟性は身体性能を低下させてしまいます~開脚できることに、とりたててメリットはありません。

特定の動きを繰り返すと、筋肉や腱が硬くなって可動域が狭くなってしまうことがあります。過度な緊張や可動域が狭くなることは、パフォーマンス(性能)の低下につながります。

一方、過度の柔軟性もパフォーマンス(性能)を低下させます。筋肉の緊張と柔軟性は適度なバランスをとる必要があります。その動きに要求される可動域より少し広めの柔軟性をもつ筋肉をつくるのが基本です。関節がゆるゆると動く柔軟性過剰な状態はよくありません。

静的ストレッチングのメリットは、細かく制御しながら少しずつやれるのでケガをしにくい点にあります。デメリットは、運動の直前にやるとパフォーマンスの低下につながりやすい点です。

動的ストレッチングのメリットは、運動の直前におこなっても、筋断裂を起こさない範囲であれば、パフォーマンスの低下につながりにくい点です。デメリットは、雑にやるとケガにつながりやすい点です。筋肉の収縮とストレッチをハイスピードで反復するので、分類的には筋力増強トレーニングにいれてもよいかと思います。

筋肉は、息を止めないと最大筋力を発揮できません。息を吐くと少し弱くなってしまいます。もっとも弱いのは息を吸っているときです。ストレッチするときに息を止めてしまうと筋肉が硬くなってしまいます。ゆっくり静かに息を吸って筋肉の抵抗をなくし、筋肉が最大に伸びるときに息を吐くように動きと呼吸を同調(シンクロ)させるのが基本となります。

ストレッチに慣れていない筋肉は、ストレッチング後に筋肉痛になることがあります。慣れない動きをすると、筋肉と腱の接合部がいつもとは違う伸び方をして筋繊維にダメージを与え、結果として筋肉痛になるというものです。

そして、開脚(前後・左右)ですが、とりたててメリットはありません。特殊な蹴りを用いる格闘技や、決まった型を要求されるダンス・新体操・フィギュアスケートなどを除けば、開脚は決して有意義なものではありません。そもそも、身体構造的に関節の形状が開脚できるようになっていない人の場合はデメリットしかありません。私自身、180°超えの開脚ができるので断言できますが、とりたててメリットはありません。特殊な蹴りを多用する格闘技をやっていた時に役立ちましたが、それ以降は気分転換に役立つ程度です。ハンドスタンド(倒立)と同じように、できなくても別に困ることはありません。

呼吸を意識したストレッチングで、姿勢維持や運動遂行のための筋肉の正常な持続的張力を手に入れましょう。にも書きましたが、どちらかといえば関節の可動域を広げることよりも、「呼吸と動きを同調させること」を意識した方がよいかと思います。

1月の東京集中講座神戸集中講座大阪集中講座機能運動学大牟田サークルは、「呼吸を意識したストレッチング」について解説いたします。福岡での各クラスでも、理解を深めていこうと考えています。

呼吸を意識したストレッチングで、姿勢維持や運動遂行のための筋肉の正常な持続的張力を手に入れましょう。

健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
世界保健機関憲章前文 (日本WHO協会仮訳)より引用

「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態」と「筋緊張(トーヌス)」には関連があると考えています。筋緊張とは、姿勢維持や運動遂行のための筋肉の正常な持続的張力のことです。筋緊張レベルが高い人は、呼吸を意識したストレッチングで柔軟性を改善することが大切です。

呼吸を意識した正確なストレッチングは危険(リスク)が少ない穏やかなテクニックです。定期的に継続することで、がさつ(動作・態度などに落着きがなく、荒っぽくぞんざいなさま)だった動きが、しなやかで優雅(やさしくてみやびやかなこと。あくせくする必要がなく、ゆったりすること)な動きへと変わってきます。ほんとうの見た目の美しさは、優雅な身体の動きと関係があるのです。

ストレッチングの種類は主に3種類あります。

もっとも知られているのは、静的(スタティック)ストレッチングです。普段あまり体を動かさない人向けのテクニックです。ゆっくりと時間をかけておこなうことで、姿勢保持筋(深層筋)を感知することができます。自分の現実的な柔軟性レベルを知ることもできます。曲げる・ねじる・伸ばすことで、筋肉はストレッチングされます。拮抗筋(アンタゴニスト~反対の動きをする筋肉)が刺激されないようにゆっくりおこなわれる必要があります。無理のないポジションで20秒ほど姿勢保持をすることで筋繊維を弛緩させ、伸ばします。

アスリートは動的(ダイナミックストレッチング)をおこないます。パワーやエネルギーレベルを高めます。一定のスピードで振り動かす動作が基本となります。動きを制御しながら、反動や弾みを使わずに、ある方向に腕や脚を振り動かします。主動筋(アゴニスト)が急速に収縮することで拮抗筋が伸び、ストレッチされます。

リハビリで使われているのはPNFストレッチングです。固有受容性神経筋促通法の略です。①筋肉を少しずつ最大限にストレッチする②アイソメトリック収縮(伸ばしたポジションで静止)を20秒おこなう③筋肉を5秒リラックスさせる④同じ筋肉を再び30秒ストレッチする。

ストレッチングをしている間、最初から最後まで一定のリズムで静かに呼吸します。ゆっくりと規則正しく呼吸をつづけることで、筋肉がリラックスします。何より大切なのは、決して息を止めないということです。ほとんどの人は呼吸容量を使いきってはいません。ごく浅い呼吸しかしていません。呼吸は感情に影響を与えますので、浅い呼吸では感情に振りまわされますし、心を制御するのが難しくなります。

呼吸の意識は、落ち着ているかせわしないか? 深いか浅いか? 鼻呼吸か口呼吸か? そして、静かに深く、身体の深部から呼吸をします。はじめに息を吸ってから、動作中は息を吐くようにします。むらのある呼吸にならないように、正確に呼吸します。

肺呼吸は脳の呼吸中枢で制御されています。ストレッチンをしている間、2種類の異なる呼吸、鼻から息を吸う「能動呼吸」と口から息を吐く「受動呼吸」が始まります。吸気は主に横隔膜が起こす能動的なプロセスです。肋骨挙筋と肋間筋が収縮して横隔膜が下がると、胸郭容積が増加します。肺は胸膜で胸郭につながっているので、同じ動きをします。呼気は、肋骨挙筋と肋間筋がゆるむことで受動的に起きます。元の位置に横隔膜が下がり、肺容積も元に戻ります。

1月の東京集中講座神戸集中講座大阪集中講座機能運動学大牟田サークルは、「呼吸を意識したストレッチング」について解説いたします。福岡での各クラスでも、理解を深めていこうと考えています。