2021年5月10日月曜日

股関節を支える閉鎖筋と双子筋(ハンモックのように骨盤を支えています)

 

閉鎖筋と双子筋

閉鎖筋と双子筋

 股関節を側面と下面から観察すると、内閉鎖筋と双子筋群が大転子から後下方に走行して、外閉鎖筋が前下方に走行しているのがわかります。大腿骨頭と大腿骨頸下部に2つの閉鎖筋を下方から見ることができます。
 
 つまり、閉鎖筋群と双子筋群が共動すると、次の作用が起きます。
・骨盤を固定すると、大腿骨を骨盤から下方に引き離します
・大腿骨を固定すると、骨盤を大腿骨上で持ち上げます。

 2つの作用はともにごくわずかではありますが、股関節を「引き離す」動きです。この動きは、疼痛が引き起こされている状態で、関節の圧迫を取り除く重要な役目を果たします(例えば、軟骨の摩耗など)。

 閉鎖筋群と双子筋群は「ハンモック」のように、両側から骨盤を支えています。

※参考文献「新・動きの解剖学 科学新聞社」

 安部塾では、クラム(オイスター)呼ばれている側臥位での股関節後面筋の強化に力を入れております。
①膝関節と股関節を約45°屈曲し、吐きながら上側の膝を天井に向けて回転させながら股関節を全可動域にわたって外旋させます。
②息を吸いながら、上側の下肢を内旋させて開始肢位に戻します。
※骨盤を安定させ、股関節のみで下肢を回旋させます。

 クラムを長期間継続して強化してみるとよくわかるのですが、股関節が驚くほど安定してきます。これは肩甲骨におけるローテーターカフ(回旋筋腱板)の強化によって肩関節が安定する仕組みとよく似ていると考えております。一見、負荷のかかっていない意味のない運動に見えるのですが、その効果は絶大です。