「私は身体が硬いので、ヨガなんかできません」
ヨガ(軟体芸系)をやってはいけないのは、身体が軟らかい人たちです。
関節をつなぎとめる靭帯や筋肉の腱がゆるい人が、やっていけないのです。
身体が硬い人こそ、積極的にヨガをやるべきなのです。
関節をつなぎとめる靭帯や筋肉の腱がゆるい状態を、ハイパーモビリティといいます。
「動き過ぎ」という意味で、可動性が亢進し過ぎている状態です。
関節などが不安定な状態なので、痛みが出ます。
背骨だと、腰椎すべり症・脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニアなどの遠因となります。
「動かなさ過ぎ」の状態は、ハイポモビリティといいます。
動かない関節ができると、どうなるでしょう?
全体の動きを補うために、周辺の関節が動き過ぎるようになります。
身体が硬い人というのは、特定の関節が動き過ぎて壊れるのです。
姿勢が悪くなるのは、動かなさ過ぎる関節の動きを補完するためなのです。
グラグラ・ヨレヨレと動き過ぎる関節ができた場合はどうなるでしょう?
関節を守る(安定させる)ために、脳が周辺の筋肉を緊張させて固めます。
筋肉が過緊張状態(スパズム)になるので、凝ってきます。
そしてさらに関節をゆるめるという悪循環を引き起こします。
こうして、症状が悪化していきます。
話をまとめると、関節が動き過ぎるのも、動かなさ過ぎるのもよくないのです。
身体操作の精密な分析の元に、緻密な調整をしなくてはなりません。
動き過ぎている関節は、安定させる筋群を使うようにします。
動かなさ過ぎる関節は解放して、動きをつけてあげるようにします。
身体が硬い人の痛みが出ている部分は、普通の人以上に関節が動き過ぎています。
身体が硬いからこそ、ヨガをやって関節を解放してあげないといけないのです。
ハイパーモビリティ カーター徴候 |
最近は、機能解剖学に基づいた機能改善的なヨガが増えました。
個々人の関節の状態に合わせた、オーダーメイドの指導がなされています。
いっせーので、わかっていない人たちが適当に動く時代は終わりつつあります。
それにつれ、指導者に求められる解剖学的な知識のレベルが、うなぎのぼりです。
利用者サイドから、安全な指導者を見分ける方法をいくつか。
・立ち姿勢における中心軸が、見惚れるほどに美しい。
・立ち居振る舞いのすべて(運動連鎖)が、見惚れるように美しい。
・身体の使い方が見惚れるほどに美しいので、身体症状がなくて体調が良好。
・脊柱の動きが美しいので自律神経の状態が良く、自律神経失調症状がない。
・呼吸が整っているので、他人をコントロールしようとしない(意見を押し付けない)。
・声が美しい。
・・・・・・などなど。
雑な動きをしたり、きたない立ち姿勢をとる指導者は避けましょう。
声がきたなくてうるさいので、すぐに判別できると思います。
声には隔膜(骨盤隔膜・横隔膜・胸隔膜・声帯)の状態が反映されます。
すごくわかりやすい指標になると思います。
雑な動きをしたり、姿勢を崩している人の声は、がさつな濁(ダミ)声です。
声がきたなくて不快なので、誰も話に耳を傾けません。
結果、無理矢理に自分の意見を押し付けがちです。
姿勢を良くすれば、ボイスレコーダーでヘビロテしてもらえるんですけどね(笑)。
話を戻して・・・・・・
関節が動き過ぎる人は、安定化のための練習を積み重ねましょう。
関節が動かなさ過ぎる人は、解放のための練習を積み重ねましょう。
動きが、見惚れるほどに美しくなる頃には、関節の機能が改善しているはずです。