2019年2月1日金曜日

中国武術と安部塾身体操作技法~放鬆(ふぁんそん)と脱力

神戸の吉田さんが、神戸集中講座の内容を活かした剣の使い方の写真を送ってきてくれました。

手指・手首の使い方に、教えた内容が反映されています。


右手指屈曲・右手関節掌屈+橈屈・肘関節屈曲・肩関節内転+屈曲+外旋です。

剣 吉田さん
右手関節尺屈・肘関節伸展です。

剣 吉田さん
右手関節尺屈・肘関節伸展・肩関節水平外転(水平伸展)+内旋です。

剣 吉田さん
手関節背屈+橈屈・肘関節屈曲+肩関節屈曲です。

剣 吉田さん

いわゆる「放鬆(ふぁんそん)」。

安部塾でいう余計な力が入っていない状態(中心軸がある状態)。

「ゆるめる」ことから生まれる動き。

滞(とどこお)ることなくつながる動き。

中心軸が極まった=腹を括り、腰を据えた結果としての「ゆるみ」。

中心軸がない状態でへにゃへにゃと動くのではありません。

全身を固めて、カチカチに動くのでもありません。

肩がゆるんだ虚領頂勁(きょれいちょうけい)。

胸と背中がゆるんだ沈肩墜肘(ちんけんついちゅう)。

腰が据わった含胸抜背(がんきょうばっぱい)。

腹を括った円襠(えんたん)。

股関節がゆるんだ鬆腰鬆胯(そんやおしょうこわ)。

腰椎が活きた尾閭正中(びろちゅうせい)。

身体のなかですべてがゆるんでつながった立身中正。


立つこと秤の如く(立身中正)、動くこと車輪の如し(連貫円活)


どこにも余計な力が入っていない=必要な力だけがきっちり入った状態。

その姿は、とても美しいのです。


前に進むには先ず後、右に進むには先ず左、

それが太極。

放鬆するには先ず蓄頸。

息を吸って力を入れ、締め、気を上昇させる。

息を吐いて力を抜き、ゆるめ、気を下降させる。


上昇するらせんと下降するらせん。

太極。

やわらかくゆるめるという基本。

秤のように立ち、車輪のように動く。

天秤と車輪


さて、安部塾でいう「首の解放」ですが、経穴でいう「後頂」にポイントがあります。

後頂
アナトミートレイン(3版)の表紙を見てみましょう。

アナトミー・トレイン(第3版) 著:トーマス・W・マイヤース

スーパーフィシャルフロントラインと‎スーパーフィシャルバックラインの交点に注目。

スーパーフィシャルフロントラインの頭部のループ。

スーパーフィシャルフロントライン
もう、言いたいことはわかりますよね。

ラテラルラインも加えてみましょう。

筋筋膜経線(前・後・側)

そして、ここからのらせんが美しくつながるのです。

2015年の記事ですが、いま自分で見ても面白いです。

→ 上体を気持ちよくねじるための基礎知識

というわけで、ブログで解説する限界ですねこれは(笑)。


後頂を引きあげて首を解放し、尾骨とつなぎ、足裏を密着させる。

この感覚がわかると余計な力が抜け、運動連鎖がつながります。

身体が軽く動き、その動きのすべてが美しくなります。

締まる↔ゆるむの太極が、その動きにあらわれるのです。


神戸集中講座は、僕本来の戦闘用技術の解説ができて楽しいです。

次回の神戸が楽しみです。