2024年3月7日木曜日

状況によって「正しい姿勢」の定義は変わります。必要な動きによって、「良い姿勢」の定義が変わります。

  826asukaさんの一人二役の【 旅立ちの日に 】 エレクトーン演奏。絶賛の嵐。


 こんなコメントが。

演奏する姿勢

 まったく同じことを感じていたので、「おおっ!」ってなりました。

 というか、新旧を比較してみて思うのですが、ほんとすごい人だと思います。

   

 鍵盤楽器をやってみようという気になったのは、826asukaさんのパフォーマンス時の姿勢や動きの意味を体感的に理解してみたくなったためだったりします。実際にやり始めて、改めてすごいことやってるよなと実感しています。

 同時に、その動きをするために必要な姿勢のつくり方について、さまざまな知見を得ることができています。

 様々なことをやってみると、「どの動きにも対応できる正しい姿勢」というものは存在していないことがわかります。「その動きに最も適した姿勢」というものが存在し、それを昔は「構え」と名付けていたのだなということが体感として理解できます。

 人は往々にして、自分ができないことを「間違っている」と否定しがちです。実はそうではなくて、能力が足りなくて「それができない自分」がそこに存在しているだけなのです。能力が足りない人の目には間違っているように見える姿勢や動きが、じゅうぶんな能力を持っている人の目には正解として映るということは、よく見られる現象です。

 以前は、頭部前方位姿勢の人が頭部中間位姿勢の人をバカにする状況が理解できなかったのですが、ダニングクルーガー効果(Dunning–Kruger effect)がブームになった時に、なるほどなと思いました。能力の低い人や経験の浅い人が、自分の能力を正しく認識できず、自分を過大評価し、現実の評価と自己評価にズレが生じている状態に陥っているということなのです。実際の能力以上に自分を過大評価してしまっているわけです。

 少し学んだ段階で全てを理解した気になっている人が散見されるのはこのためだとされています。身体操作の世界でも、ほんの少し動き方を覚えた人ほど「だいたいわかりました。ここで学ぶことはもうありません」と、自主的に卒業してしまうことがよくありますが、これも、実際の能力以上に自分を過大評価してしまったことによるものだと思います。

 自分の知識や経験が十分だと錯覚しているため、学習意欲が向上しません。これ以上学ぶことがないと思い込んでいますが、もちろんそんなレベルには全然達してはいません。自分には高い能力があると思い込んでいるため、他者に高圧的な態度を取ったり上から目線で接したりしてしまいます。

 そもそも自分自身を正しく評価できていないために、比較する相手の評価もズレておかしくなります。相手の能力を低く見積もったり、能力のない人のことを根拠なく高く評価したりしてしまいます。

 自分以外に原因があると考えているために自己評価が下がることはありませんが、それは成長のチャンスを失ってしまうということでもあり、現状よりも能力が向上することはないということでもあります。

 たくさんのチャレンジの場を与えられると、根拠のない自信だけではやっていけなくなります。失敗を自覚できれば自己の過大評価をやめることができ、適切な自己評価ができるようになるかもしれません。が、実際は、妄想力によぅて失敗を失敗ととらえることができないために、現状よりも能力が向上することはありません。

 というか、ケガや故障で、さらなる能力低下というオチがつくようです。

 逆の効果として、「インポスター(詐欺師)症候群」があります。周りからは高く評価されているにもかかわらず、自分を過小評価してしまう現象です。成功を自己肯定できず「周りの助けがあったから成功できた」「運が良かっただけ」と思い込んでしまいます。周りからの高評価に対して、素で周囲をだましているように感じてしまいます。

 日常の様々な場面において極端な失敗や間違い、あるいは他人からの否定的な意見を恐れる傾向があるために、新しい経験や探求にチャレンジする勇気を自ら制限する傾向があると指摘されています。自らの能力があることを示す実績や証拠があるにもかかわらず、自分は詐欺師であり、他人より劣っていて成功するに値しない人間だというネガティブな判断をしてしまいます。

 対処として、自分が果たした成功体験に関して否定的な表現を使用しないなどの対応が重要であると考えられています。自分よりも優秀なメンバーがいる環境下に身を置いて周囲に頼りやすい環境をつくることで、改善が期待できます。

 話を戻して、姿勢にはその人の内面の状態が如実に反映されます。正しい姿勢づくりに欠かせないのが「適切な自己評価」だと考えています。様々な動きを経験し、「その動きに最も適した姿勢」というものを体得し、状況に応じた「構え」をつくれるようになることが大切だと思います。