2013年11月8日金曜日

捨己従人(エゴを捨てて相手の攻撃に逆らわず、流れにまかせながら勝機をつかむ)

太極拳に化勁(かけい)という技術がある。

相手の攻撃に逆らうことなく無効化させてしまうもの。

エゴを捨てて、流れにまかせながら勝機をつかむ。

攻撃することに執着していると身につかない。


太極拳の人と散打(スパーリング)してみるとわかるけど、

『力を吸い取られる感じ』がする。

攻撃が、『点→線→面→体』という感じで迫ってくる。

よくわからないうちにハジキ飛ばされる。


ボクシングの人と戦うときも、空振りさせられるのがいちばん疲れる。

自分の出した攻撃の反動で、自分の背中の筋肉が壊れてしまう。

そんなわけで、『非暴力』が奨められているのかもしれない。

力と力のぶつかり合いは気持ちがいいけど、無事ではすまないから。


でも、僕は思う。

『本気で殴りあう以上、お互いに無事ではすまないからこそ楽しい』

ふだんおとなしい人ほど、ヘッドギアとグローブをつけた瞬間激しく打ち合う。

全力で暴力をふるい合うのは、僕たちの原始的本能なのだと感じる。


で、お互いに傷つけ合うストレスをなくしていったのが太極拳の姿なのかも。

哲学の基本であるレスリング同様、お互いの気持ちを読み合えて楽しい。


腕力による攻撃だけではなく、言葉による攻撃もそう。

とりあえず流れにまかせて受け流しておいた方がいい。

ボクシングにおけるパンチの空振りと同じ。

暴力的な言葉は、発した本人を傷つけるから。


捨己従人(エゴを捨てて相手の攻撃に逆らわず、流れにまかせながら勝機をつかむ)。

とても大切なことだと思う。