2024年8月14日水曜日

何度も説明しても話が伝わらない理由。「人は、何をどう聞き逃し、都合よく解釈し、誤解し、忘れるのか」


 人は、自分の都合がいいように、いかようにも誤解する生き物です。いままで生きてきた経験や知識の前提(スキーマ)が異なるため、感じ方や受け取り方が異なります。バイアスや記憶のすり替え、理解したからこそ間違えるといった逆説的な性質があります。人は相手の話を独自のフィルターに掛けて受け取りますし、発する側も独自のバイアスで投げかけています。

 「人は、何をどう聞き逃し、都合よく解釈し、誤解し、忘れるのか」を知ることで、何度も説明しても話が伝わらない理由が見えてきます。人は意味のない単語の羅列でも、理解の力を働かせてストーリーをつくることができ、理解の力の働きによって記憶がねじ曲がっていくということが起こります。

 事象を理解する上でスキーマというフィルターを通している自分を振り返り、自分独自のスキーマに気づくことが重要だと思います。「私が正しい」と思い込んでいる限り、物事を理解するのは困難を極めますので。

「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 
認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策 
今井 むつみ (著)