2023年3月27日月曜日

前腕がその軸に対して回転する回内ー回外運動は、上肢の発達の中で出現してきた運動であり、手のいろいろな表現を行ううえで不可欠である。

  図解 関節・運動器の機能解剖 上肢・脊柱編 共同医書出版社 より引用します。

回内と回外

基本概念

 回内ー回外とは、前腕がその軸に対して回転する運動で、それは上肢の発達の中で出現してきた運動であり、手のいろいろな表現を行ううえで不可欠である。

 回内ー回外の運動域は、手関節の大きな柔軟性を伴っていて、他の動物と比べると人間の特長といえ、これは《手の解放》、つまり運動機能の解放といえる。

1 回内ー回外の定義

1-1 回内ー回外は、前腕がその長軸のまわりを回転する運動を総称したものである。

  • その運動は、日常生活の中でほとんど常に肘と手関節の運動を伴っている。
  • これは、肘の肢位(伸展または屈曲)、手関節の肢位(伸展または屈曲、橈側または尺側偏位)にかかわらず、行うことができる。
  • しかしながら、それらは肘と手関節の肢位によってその運動域が修正されている。他方、それらの正確な測定には、肘と手関節の関連運動を除外する必要があり、相対的肢位の設定が必要となる。
  • 運動器を機能的に分析するためには、肘を体幹にぴったりとつけて、回内ー回外運動を検討し測定すべきである。

1-2 機能的肢位から回内ー回外運動を定義することができる。

回外とは、親指を外側に、手掌を上方に向けさせる前腕の軸回転運動である。

回内とは、親指を内側に、手掌を下方へ向けさせる前腕の軸回転運動である。

前腕の回内ー回外

2 可動域

2-1 回内ー回外の可動域は、個人、年齢、人種、性によってさまざまである(たとえば、女性の方が男性より一般的に可動域は大きい)。

  • 次の可動域が正常範囲と考えられる。回外=80~90° / 回内=50~80°
  • 回内ー回外を合わせた全可動域の平均は、150°である。もし、肘が完全伸展位にあれば、この可動域は約100まで減少する。

2-2 日常動作においては回内回外の《実際》の可動域は、肩関節の運動を伴っているためより大きくなる。

  • 肘が伸展位にある場合 体幹長軸に腕を垂らした肢位から90°までの外転位においては、上腕骨の回旋運動と肩甲骨の運動が前腕の運動に伴うために、全体として約270°の回内ー回外運動域をもつ。
  • 肘が90°屈曲位にある場合 腕の外転と内転運動は、回内ー回外の不十分な部分を補うことができる。このことは、ネジを締めたり、ゆるめたりするために必要な力を増強させることになる。

回内ー回外域の増加の可能性
 引用ここまで

 3月23~26日の、大阪・名古屋・神戸・新宮校のワークショップで、前腕の回内=回外運動の解説をしました。とても大切な運動なのですが、きちんと正確にできていないことが多く、さまざまなケガや故障の原因となりがちです。肩が巻いてしまったり、後頸部が過緊張してしまったり、重心があがって全身のバランスが崩れたりといった感じです。前腕の動きを理解することで、いろいろと調子がよくなります。

 次の記事に続きます。