「びっくり眼」とは、「あたかも目を見張ったような表情」です。
怒りや不安・恐れのときにあらわれる眼です。
眼輪筋のトリガーポイント |
「目は口ほどに物を言う」といいますが、目には感情があらわれます。
目が小さいとか大きいとかというのは、瞼裂(けんれつ)という上下のまぶたの間の大きさの問題です。
眼球そのものの大きさというわけではありません。
眼球は眼窩(がんか)と呼ばれる周りを骨で構成されたくぼんだ空間にはまっています。
眼球と骨の隙間には眼窩脂肪があり、眼球を動かすための筋肉や涙を作るための涙腺があります。
乾燥しないように、上下のまぶたで保護されています。
そして、感情は、まぶたの動きにあらわれます。
例えば、「怒り」
上まぶたが引き上げられ、下まぶたに力が入れられます。
眉が中央に引き寄せられ、唇が上下からはさまれます。
やってみたらわかりますが、「イラッ」となるはずです。
そして、眼輪筋まで動かすと、「ムカッ」とします。
眼輪筋による表情フィードバック効果です。
眼輪筋には、感情を強める効果があるという仮説があります。
眼輪筋の動きが伴わない表情は弱いです。
しあわせな表情ではどうでしょう。
ほんとうにしあわせな人は、口角がにんまりとして、目を細めています。
つくり笑い・愛想笑いでは、眼輪筋が動きません。
なので、しあわせそうなふりしている人の眼は怖いのです。
カウンセリング・マインド 「学ぶ」から「使う」へ―サロン・マニュアル 松岡優子(著) 55Pより |
デュシェンヌ(神経学者)は、
「偽りの喜びである嘘の笑いでは、大頬骨筋が動く。しかし、眼輪筋を収縮させることができない」
と、解説しています。
そして、笑いの表情は脳がつくります。
→ 脳が笑いの表情を作る
大頬骨筋に次いで、笑いで強く収縮する顔面の筋肉は、目の周囲を一周している眼輪筋で、その筋肉は2層に分かれ、内側の眼輪筋には本来は目を強く閉じる働きがありますが、笑いで収縮するのは外側の方の眼輪筋で、目を細くして目じりにしわを作る動きを作ります。この2つの筋肉の収縮運動で、(1)頬と口の両端が持ち上がる、(2)目の下が膨らんで目が細くなり、目じりにしわが寄る、という笑顔の筋肉運動が出来上がるのです。そしてこの笑顔は目尻にいわゆるカラスの足あとと呼ばれるしわを作り、これが「眼が笑っている」という自然な笑いに見られる柔和な表情の主なものとなります。この眼輪筋の収縮は「快の笑い」の際に強く、「緊張緩和の笑い」がこれに次ぎ、「社交上の笑い」では著しくない、と志水先生は述べています。
注目すべきことは、彼らがこの客観的な笑いの測定方法を用いて、うつ病や統合失調症などの精神疾患患者では著しく笑いが減少していることを実証したことです。
引用ここまで
うつのときの脳は、炎症状態にあります。
慢性筋肉痛・関節痛のときの脳も、炎症状態にあります。
観察してみると、「社交上の笑い」ばかりで、目が笑いません。
扁桃体が過活動状態だからです。
眼輪筋は、自分の意思で全体をスムーズに動かすことができません。
『ほんとうにしあわせを感じること』が必要なのです。
スキルがない人が筋トレをしてスポーツをすると、ケガが絶えません。
ふしあわせな人が表情筋を鍛えて世に出ると、ストレスフルになります。
この理由で、安部塾では『認知の歪みの修正』によって、自然に目を笑わせるように指導しています。
下手に表情筋を自分の意思で動かすと、信号にノイズが生じます。
その結果、脳の炎症状態が深刻化します。
つくり笑いすればするほど痛みが強くなるという負の連鎖が止まりません。
そしてつくり笑いノイズで、修正ができなくなってしまいます。
眼が怖い人と安部塾メソッドの相性はよくありません。
眼が怖い人の伝達信号にはノイズが多くて、話を聴けないのです。
話を聴けないために、独自の解釈をしてしまうので、本質をつかめません。
結果、自己愛性憤怒(narcissistic rage)が引き起こされてしまいます。
精密な運動をすることで、脳の機能が改善します。
その結果、しあわせ脳になっていきます。
しあわせな脳が生み出す眼輪筋の動きが、しあわせ感を高めます。
この正の連鎖を起こすことが大切だと思います。