2019年6月29日土曜日

息を吐くことと、痛みを鎮めること。一定のリズムで、ていねいに呼吸する。

筋肉の使いすぎによる帯状の凝りや、急性・反復性の過負荷ストレスなどにより筋肉の緊張が高まった、痛覚受容器が分布する筋肉や筋肉を包む筋膜に無理な力が加わって痛みを生じるようになる。

筋収縮のために血管が圧迫されることで、筋肉への血流の障害が加わり、発痛物質(ブラジキニンなど)やプロスタグランジンが産生されて痛みが強くなる。

筋肉の収縮が強まって攣縮(れんしゅく)に移行すると、さらに痛みが出やすくなる。
※攣縮=痙攣性の収縮

ストレッチングななどで受動的に筋肉を伸ばそうとしても、痛みのために可動域制限がかかって伸びない。

関節可動域の制限が認められるだけでなく、筋の短縮や筋力低下が見られる。

筋の深部・豆型の収縮こぶ

そんな箇所を光学顕微鏡で見ると筋の深部に豆型の収縮のこぶが見られる。

電子顕微鏡で見ると筋節のA帯とI帯が欠損し、短縮している。

索状硬結=筋線維の短縮と関係があると考えられる骨格筋あるいは筋膜内にピンと張られたロープ状の「しこり」。

トリガーポイント=痛みの引き金となる部位・発痛点。

慢性的な筋疲労が持続した時や外傷により、骨格筋あるいは筋膜内の索状硬結 taut band内に出現する過敏性の発痛点。

押さえると痛みが放散する。

トリガーポイントは、痛覚受容器(ポリモーダル受容器)の過敏化が生じている部位だと考えられるようになってきた。


トリガーポイントの存在する筋を短縮させるとその痛みが増悪する。

痛みを避けるために無意識下にその筋を伸長させた姿勢をとるようになる。


立毛筋の収縮(鳥肌)や、発汗、さらには血管収縮などが見られる。

交感神経活動の亢進を示している。

交感神経内には神経伝達物質としてノルアドレナリンのほか、ATPやneuropeptide Y (NPY)が見られる。

ATPやその分解産物であるアデノシンには発痛作用があり、NPYには血管や筋の収縮作用がある。

トリガーポイントの成因として挙げられている持続的筋収縮に伴う血流阻害とエネルギー危機による発痛物質の産生に、交感神経が関与している可能性がある。


交感神経活動が亢進しているときの状況。
・動悸(心拍数の増加)
・発汗(汗腺からの分泌増加)
・冷え(皮膚動脈の収縮)
・高血糖
・高血圧

副交感神経活動が低下しているときの状況。
・吐き気
・食欲不振
・腹痛
・便秘/下痢
・排尿障害
・ドライアイ/ドライマウス

交感神経と副交感神経

安静時の呼吸は副交感神経支配となるので、腹式呼吸。

活動時の呼吸は交感神経支配となるので、胸式呼吸。

同じ理由で、副交感神経支配を意識するときは、吐く。

交感神経支配を意識するときは、吸う。


腹式呼吸+吐く意識で、副交感神経支配。

胸式呼吸+吸う呼吸で、交感神経支配。


どちらの場合も、吸うときは鼻から。

口呼吸・肩呼吸はダメだ。


一定のリズムで、ていねいに呼吸する。


息を止めるのはダメ。

食いしばりはダメ。

浅い呼吸はダメ。

はやい呼吸はダメ。


意外なことに、正確な呼吸には鎮痛効果がある。

明日の新宮校集中講座のテーマは、『身体のねじり方(体幹の回旋)』。

呼吸が正しくないと、一発でアウトになる動きだ。

座学でしっかり解説したい。