2017年2月28日火曜日

関節を完全にはめて、繊細に動かす理由(塾生向け補足記事)。

昨日の塾生講座で、靭帯の感覚について解説した。

塾生たちの頭から湯気が出ていたので、少し整理してみることにする。

平井さんw

関節は感覚器でもある。

関節は、靱帯・関節包・脂肪体・血管壁で構成されている。

そして、感覚受容器が分布している。

関節の受容器は4つある。

■ルフィ二小体(Type1受容器・Aβ繊維に支配される)
関節の位置・運動覚を感知し、反応する受容器。
靱帯や繊維膜に分布。
姿勢制御のため、肩甲帯・胸郭・脊柱・骨盤帯の関節に多く分布する。
関節が正常な位置にあるかの感知を行う。
低い刺激により反応するので、とても弱い刺激を心がける。

■パチニ小体(Type2受容器・Aβ、Aδ線維に支配される)
関節の速い運動・圧力と、関節包の横方向の不意のストレスを感知し、反応する。
靭帯や線維膜や脂肪体などに分布。
関節に過剰な負担がかからないように制御。
不意な外力に対して筋が反応するために必要。

■ゴルジ腱器菅(Type3受容器・Ib線維に支配される)
関節周囲の筋の過剰。
収縮を抑制し、関節に過剰な負担をかけないようにする。
靭帯・腱・線維膜などに分布。
Ib抑制に関わる。

■自由神経終末(Type4受容器・Aδ線維とC線維により支配)
過剰な関節運動や機械的刺激、炎症時の化学物質に反応する。
靭帯・関節包全域・骨膜・骨・脂肪体・血管壁などの部位に分布。
「痛み」として危険信号(警報)を出し、関節の保護を行う。
域値が高く、弱い刺激では反応しない。
Type4線維は、侵害受容器。
・侵害的圧刺激や過度な関節運動に反応(高閾値器械受容器)。
・強い圧刺激のみに反応し、関節運動には反応しない。
・正常な関節ではどのような機械的刺激にも反応を示さない(非活動性侵害受容器)。

靭帯の受容器


この理由で、安部塾では、Type4線維を刺激しないような指導をしている。

痛みを感じるような練習は、関節の保護をしている靭帯の感覚受容システムを破壊する。

機能解剖学的解説を交えながらの丁寧な誘導は、他に類を見ない繊細な動きとなる。

というより、靭帯の感覚受容システムを学んだら、乱暴で雑な動きはできなくなる。

「楽しければいい」という考えは、関節を破壊する暴力でしかない。

関節を完全にはめて動けるようになれば、その意味がよくわかる。