2024年4月4日木曜日

年収と幸福度の興味深い関係

 本日の参考記事 → 年収800万円が幸福度の限界点?年収と幸福度の関係とは

 内閣府が2019年に実施した「満足度・生活の質に関する調査(第1次報告書)」でも、年収と幸福度の興味深い関係が示唆されています。

 調査はWebで行われ、「現在の生活にどの程度満足しているか」について0~10点の11段階で質問したもの。調査結果によると年収100万円未満の人の幸福度は平均5.01、年収700万円以上1,000万円未満の幸福度は6.24で、1.23の差が開いています。

 一方、年収1,000万円以上2,000万円未満の幸福度は6.52で、年収700万円以上1,000万円未満と比べて0.28しか差がないのです。アメリカの研究同様、やはり年収800万円程度を目安として、年収が幸福度に与える影響が薄れていくといえそうです。

 さらに同調査では、年収3,000万円以上になると、逆に幸福度が下降するという衝撃的な結果となりました。幸福度は、年収3,000万円以上6.6、年収5,000万円以上6.5、年収1億円以上6.03と緩やかに下降していきます。年収1億円以上の人の幸福度はなんと、年収700万円以上1,000万円未満の人の幸福度よりも低いことが明らかになりました。

 “いろいろな年収を経験した人”による面白い考察が、世界的なQ&AサイトQuora(クオーラ)に掲載されていたので、見てみましょう。

 この人は「美容師」「ドラッグストア」「医療分野の新規事業開発」といった複数の仕事を経験し、年収200万円から1,000万円までを体験しています。また、年収1,500万円、2,000万円、1億円の友人を持つそうです。

 そして自身の体験から、「年収600~800万円くらいが生活するうえで特にストレスを感じることもなく、我慢もしながらたまに贅沢する、だからこそ贅沢が楽しく感じられる」ラインだと結論を述べています。この人の体感としては、年収800万円を超えると「同じ水準で遊べる友人が少なくなる」「欲があまりなくなる」のだそうです。

 また、友人を見ていて、年収1,000万円を超えると「付き合う層が青天井になり、再び自分がみじめになる」「収入を安定して得ることが難しくなり、収入を維持する負荷・ストレスがかかる」と考察しています。さらに、年収1億円の友人に関しては、「同じ感覚で対等に遊べる気の合う友人を見つけるのが大変」であり、「孤独」だと表現しています。

 こうした高年収経験者の感想は、先ほど紹介した調査結果と同じ傾向を示していると言えそうです。

引用ここまで


 お金と幸福度の関係について、引用元の定説を覆す研究も発表されておりますが、私は、引用元の記事の感覚がしっくりきます。

 お金に限らず、身体能力や技能なども、あるレベルを超えると幸福感が頭打ちになります。なので、安部塾では「すべてにおいて二流を目指す」というスタンスをとっています。必要以上に能力を高めると、幸福感が低下してしまうことすらあります。劣等コンプレックスの裏返しの優越感から自己の能力を誇示している人たちの言動を少し観察してみたら、すぐに理解できると思います。「何ごとも中途半端なのがバランスが良い」のが現実です。

 好きなことに没頭できているか?

 体験や経験にお金や能力を使えているか?

 大切な人たちとの心のつながりはあるか?

 これらの要素が満たされる収入と能力や技能はないと困るので、使えるお金は、あるならあった方がいいと思います。「お金があったほうが選択肢は広がる」のは事実ですし、将来の経済的な安心材料としての一定のお金はあったほうがいいと思います(とはいえ、何が起こるかわからないので気休めですが)。

 能力については、何か特別な能力を身につけるということは、すなわちバランスを崩す=歪むということになるので、自身のボディバランスとメンタルを観察して「やりすぎ」にならないように心がけることが重要です。そして、健康も、安心材料のひとつにはなりますが、何が起きるかはわからないので気休めに過ぎません。

 その瞬間瞬間に起きていることに丁寧に注意を向け、一時の思いに振り回されずに、自分は自分、他人は他人として各々かけがえのない大切な存在であると感じて平穏な気持ちを保っていけるように心がけていくといいのではないかと思います。