2023年4月17日月曜日

『陰が主体となり陽がそれに従う』という基本を守ることで陰陽を整える

図解 経絡と解剖学 吉田啓 中外医学社

 図解 経絡と解剖学 吉田啓 中外医学社 74Pより引用します。

 『陰陽論』によれば本来、陰と陽に主従優劣の区別はない。しかしこと中医学にあっては、『陰主陽従』という言葉が存在する。飲食物(陰)があってはじめてエネルギー(陽)がつくられるように、生命活動の中では《陰》を主体として《陽》が生み出されるからだ。この陰主陽従は臓腑の関係にもあてはまり、『表裏関係』にある臓(陰)と腑(陽)では臓が主体となる

 すでに述べた肺と大腸の関係でいえば、主体は肺(陰)であり、大腸(陽)は肺の機能を全身に行きわたらせる役割を持つ。だからこそ《手の陽明大腸経》は呼吸や脈拍など、肺の機能の治療穴となり得るのだ。

引用ここまで

 安部塾に限らず身体操作の世界で活動されてある方々は、人体《陰>陽》というバランスを理想的な状態だと考えていると思います。『陰が主体となり陽がそれに従う』という基本を守ることで陰陽を整えることに注力しているはずです。

「陰」とは「静」、「陽」は「動」。「静」あってこその「動」。きちんとした休息(休憩や睡眠など)がとれていてこその活動という発想です。

 当然ですが、「陰<陽」の状態で活動を続けると過活動状態に陥り、疲労困憊します。困ったことに、過活動状態では「陽」エネルギーを前借りして凌いでいるため、自分が疲労しているという自覚がありません。いわゆる「陽実」という状態です。「疲れてるけど全然平気!!」という感じで、基礎体力の旺盛さを過信しすぎて暴走状態になっています。

 『実』とは陰陽の気の異常亢進状態であり、有余・大過・盛などとも表現されます。形質が旺盛になった状態、あるいは物や気が停滞・充満した状態です。ここで適切に養生する(適切な休息をとる)ことで陰陽のバランスを整えることができ、本来の『陰が主体となり陽がそれに従う』という基本に還ることができます。

 ここで、休息の質が悪かったり、休息時間が不足したりすると、陰を補えません。いわゆる「陰虚」という状態に陥ります。うまく休息をとらないと、いつまでも疲労が抜けてくれないという事態です。多忙を理由に休息をとらなかったり、疾患で基礎体力が低下したときは危険な状態となります。

 『虚』とは正気の不足した状態であり、不足・不及・損小などとも表現されます。これは陰陽の気(働き)の弱りであり、形質や血・津液の不及した状態です。何よりも休息を優先して『陰を補う』ことで、『陰が主体となり陽がそれに従う』という基本を守ることができ、陰陽を整えることができます。

 老子先生いわく

「万物負陰而抱陽、沖気以為和(万物は陰を負いて陽を抱き、沖気以て和を為す)」

現代語訳~すべてのものは陰と陽を背中合わせに抱えていて、二つを中和させる《気》によって調和を保っている。」


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