2020年7月3日金曜日

「人間は論理的思考が弱く、何をするかわからない」ので、美術解剖学をやっていきます。

フールプルーフとは

フールプルーフとは、機器の設計などについての考え方の一つで、利用者が操作や取り扱い方を誤っても危険が生じない、あるいは、そもそも誤った操作や危険な使い方ができないような構造や仕掛けを設計段階で組み込むこと。また、そのような仕組みや構造。

フールプルーフ設計では「人間は間違えるものである」「よく分かっていない人が取り扱うこともある」という前提に立ち、誤った使い方をしても利用者や周囲の人を危険に晒したり、機器が破損したり、致命的な事態や損害を生じさせないような構造に設計する。また、誤った使い方ができないような構造を工夫したり、危険な使い方をしようとすると機能が停止するような機構を組み込むこともある。

よく知られる例としては、正しい向きにしか挿入できない電池ボックスや、ドアが完全に閉じなければ起動しない電子レンジや洗濯機、ギアがパーキングに入っていないと始動しない自動車、左右に離れたボタンやレバーを両手で同時に操作しなければ降りてこない裁断機やプレス機、人が座っていないと水を噴射しない洗浄便座などがある。

これに対し、機器の一部が損傷、故障、停止などしても危険が生じないような構造や仕組みを導入する設計思想のことは「フェイルセーフ」(fail-safe)という。

引用ここまで


「人間は論理的思考が弱く、何をするかわからない」

身体操作技法を教えていると、この言葉の意味が実感できます。自らの身体を破壊してしまうような非合理的で暴力的な動きを平気で繰り返してしまうのが人間という生き物なのだと思います。そこに論理的な思考は存在しないことが観測できます。そして、文字によって論理的に解説をする講座はそれほど流行らず、音声によって感覚に訴える講座に人が集まりがちです。身体の動きが悪く、慢性痛を訴えている人たちに特徴的なのが、「長文を読むことができない」という現象です。

こちらの参考リンクをお読みください → 単語や文をつなげて読めない

文章が読めない人は、脳内の各機能をつなげる情報伝達物質が減少しているということがわかっています。このため、集中力が大幅に欠如した状態となります。文字を認識しながら、文字と文字の意味をつなぎながら、ひとつの意味のある文として解釈する能力の発揮ができていない状態です。音声を聞けばわかるけど、文字で書かれるとわからないという人もこの状態だと考えられています。

私が「音読(声を出して読む)」ことをお奨めしている理由です。

単純な図解や絵が多いと、文字が読みやすくなることもあります。同時に、図や絵を描くと理解できることがあります。文字で考える負荷は高いので、図の上で考える習慣を身につけることで、現実世界での動きがよくなっていきます。これにより、致命的な事態や障害を生じさせないような基本構造を設計できるはずです。

そして、この問題です。








……という感じの「文字はわかるけど言葉がわからできない」「単語の意味は個別にはわかるけど、言っている人の意図とは違う解釈をしてしまう」という現象です。読む人が「言ってる人の抱いているイメージと自分が抱いているイメージは違うものであるという前提がないために、このようなことが起きてしまうとされています。

こちらの記事も面白いです → 日本の生産性を引き下げている「文章を読めない人」 情報が伝わらず、高学歴でもコミュニケーションに支障

メンタルな影響も無視できない。感情が先に立ってしまうと、自分の感情やイメージに沿ったキーワードだけを無意識的に抽出し、まったく異なる結論を導き出してしまうことがよくあるからだ。引用ここまで

「自分の感情やイメージに沿ったキーワードだけを無意識的に抽出」している人の動きこそが、論理が破綻している動きであると、私は考えています。ミラーニューロンの働きを考えてみたとき、「他者の動きを正確に真似ができる人」にしか「共感」はできないわけで、身体能力が低ければ、それ相応の理解しかすることはできません。人間関係の調整機能と身体操作の調整機能は連動していると推測されます。

「自分の感情やイメージに沿ったキーワードだけを無意識的に抽出」している「自分の身体が思うように動かない人」は、社会的に成功して満たされることが困難なため、自分の意見が賞賛される王国をつくろうとしてしまう傾向があるように感じます。結果的には、他者に対する共感能力の欠如のために、何を打ち出しても鳴かず飛ばずとなります。そして、何の価値もない肩書を得るために散財を繰り返し、普通に努力して成功している人たちを馬鹿にするようになりがちです。

「人間は論理的思考が弱く、何をするかわからない」という前提でものを考えることができれば、道は拓けます。美術解剖の学びは、最適なナビになるような気がしております。