2019年1月11日金曜日

関節はアルゴリズムによって動く~『関節の動き=感情』は脳内の生化学的プロセスによって生み出される


アルゴリズムとは より

ある問題状況において、正解を引き出すための一定の手続きまたは思考方法のこと。その通りに実行すれば必ず特定の結論に達するというもので、数学の公式やコンピュータのプログラミングはアルゴリズムの代表といえる。

数学や情報科学,あるいは関連する分野において,有限回の手続きによって,問題を解決するための一定の手順。

ある特定の問題を解いたり、課題を解決したりするための計算手順や処理手順のこと。これを図式化したものがフローチャートであり、コンピューターで処理するための具体的な手順を記述したものがプログラムである。

引用ここまで



ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来 ユヴァル・ノア・ハラリ 著

ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来 ユヴァル・ノア・ハラリ 著

もし「自由意志」とは自分の欲求に即してふるまうことを意味するなら、たしかに人間には自由意志がある。

人はこれらの願望のひとつとして自分では選んでいない。特定の願望が自分の中に沸きあがってくるのを感じるのは、それが脳内の生化学的プロセスによって生み出された感情だからだ。そのプロセスは決定論的かもしれないし、ランダムかもしれないが、自由ではない

引用ここまで

特設サイト →「ホモ・デウス」テクノロジーとサピエンスの未来 特設サイト|河出書房新社

すごくわかりやすい図解 → ホモデウス図解、要約してみた|nogacchi|note


「生き物はアルゴリズム」
「生命はデータ処理」


僕たちは、外界からの刺激を受けて感情を発生させます。

その感情に基づいて、アウトプット(行動)を実行します。

関節の動き=感情は、脳内の生化学的プロセスによって生まれるのです。

感情はプログラムなのです。


感情は、外界からの刺激に対するアルゴリズムとして組み込まれています。


これが、関節の動きを改善しようと指導したときに、感情的に反発される理由だと思います。

人間(生物)の思考・感情・行動は、脳内物質などがもたらす生化学的なアルゴリズムに従っている。

と、いうことです。

AI(人工知能)とは、人間のアルゴリズムをコンピューターのアルゴリズムに置換したものです。

ホモ・デウスにあるように、これからの世界は『データ主義』に移行すると思います。

僕はもう実行していますが、データに基づいて行動した方が好結果となります。


さて、関節の動きを理解するためには、人間が幸福感を感じる仕組みを理解する必要があります。

人間という生物は、生化学的に逆説的な有機生命体です。

このため、『苦』という要素が必要になります。

何か満たされない問題があって、それを解決・解消できたときに幸福感を感じるというアルゴリズムを採用しているからです。

このアルゴリズムで動いている人の関節の動きはなめらかで美しいのが観察できます。


何か満たされない問題があるとき、他の何かに依存してしまうというアルゴリズムを採用している人もいます。

そんな人の関節の動きはぎくしゃくしており美しくありません。

扁桃体が過興奮(暴走)しやすく、『闘争・逃走反応』モードにすぐに入ります。

結果、関節の動きが悪いだけでなく、同時に慢性痛を抱えています。


生化学的に、慢性痛を感じているときには、幸福感を感じることはできません。

正しく身体を動かすと、闘争・逃走反応を引き起こしている生化学物質が消費されます。

この結果、生化学的に慢性痛が消失します。

正しい運動をすると幸福感を感じるはメカニズムです。


つまり、苦しみをなくそうとすると、同時に幸福感も消失してしまうことになります。

逃れることができない『生きる苦しみ・死ぬ苦しみにきっちり向き合うこと』が必要なのです。

人間という有機生命体のアルゴリズムは、そうなっているのです。

なので、他人がつくった「しあわせになる方法」は無効=ただの依存だということになります。


「俯瞰して自ら正しく考え、自ら正しく行動する」というアルゴリズムが採用できれば面白いことになります(という判断すら、アルゴリズムで決まるのですが)


こんな研究があります。

→ 動物の争いでいつ降参するかを決める神経回路 -手綱核-脚間核神経回路が争いの優劣を決めるメカニズムに関与-

研究チームは、闘争や逃走、すくみ反応など、動物のさまざまな防御行動に関わるとされる中脳水道周囲灰白質(PAG)[1]に情報を伝える、「手綱核—脚間核神経回路[2]」に注目しました。この神経回路は、魚類からほ乳類まで進化的に保存されています。

背側手綱核の2つの回路のうち、外側からの回路の働きを人工的に抑制すると、魚は負けやすくなり、内側からの回路を抑制すると、負けにくくなりました。さらに詳しい解析により、背側手綱核の外側からの回路は闘争を持続させやすくし、内側からの回路は闘争を終わらせやすくするように働いていることを発見しました。このことは、手綱核と脚間核をつなぐ2つの回路が競合し、いわゆる「逃走か、闘争か」という正反対の行動のうちの1つが誘導されて、動物同士の優劣が決定されることを示しています。

これらの回路は魚からヒトまで共通であることから、広く動物の闘争行動を制御していると考えられます。ヒトの社会におけるさまざまな優劣が決定される過程にも、関与している可能性があります。

いつ争いを終わらせるかは、争いにおける身体的ダメージなどの蓄積によって受動的に決まるのではなく、両者の力関係を脳内で計算し、その情報を基に手綱核の外側、内側の2つの回路が競合した結果判断される可能性が示されました。

引用ここまで


もうおわかりだと思いますが、関節を壊すような動きをしている人がその動きをやめるのは、身体ダメージの蓄積によって受動的に決まるのではないようです。

自分の関節がどうなっているのかを脳内で計算した結果、やめることができるのです。

つまり、どこまで関節が壊れても、計算ができない人は問題のある運動をやめないということになります。

言い換えれば、『自滅するアルゴリズム』に操られている(自由意思がない)ということになります。


昨年の年末、ホモ・デウスを熟読したことで、いろいろ諦めることができました。

「積極的に諦める」というアルゴリズムを採用したということになります。

「他人の思考・感情・行動を変えることはできない」のは、それがその人のアルゴリズムによるものだからです。


ホモ・デウスより

人間が取り残されないためには、一生を通して学び続け、繰り返し自分を作り変えるしかなくなるだろう。

引用ここまで

ユヴァル・ノア・ハラリ氏の言葉

「人生を通じて変化すること。そのために、柔軟な心を持つことが、とても大切です」


ここで、『易経(変化の書)』が活きてくることになるわけですが、それについては今日の塾生講座で解説します。

最新の脳科学研究と、古代の易経の内容を照合すると面白いです。


真面目なインストラクターの多くが悩んでいる問題。

「どうして、間違った動きをやめてくれないのだろう。話を聴いてくれないのだろう」

その答えは、相手のアルゴリズムがそうなっているからであり、問題の責任はすべて相手自身にあるということにあります。

改善するためのアルゴリズムが生化学的なものであるので、言葉による解説が難しいのです。


そう。

「言葉による解説を理解して、自分自身を作り変える」という人にだけ効果があるということになります。


というか、正解を引き出せないのであれば、それはアルゴリズムというよりは自滅プログラムなんですよね。

自分で自分を攻撃する人については、この記事がわかりやすいかもしれません。

→ 人の細胞の中にある自滅するシステム。アポトーシス。

自己免疫性疾患と同じようなメカニズムが、自分で関節を壊す人にもはたらいているというわけです。


今日の塾生講座で、「関節の動きとアルゴリズム」の解説をします。