2025年11月10日月曜日

首を長く、肩を下げたニュートラルな姿勢で練習することで、喉奥が開いた状態(リラックスした状態)を保ちやすくなります。「巻き舌」=タングロール(tongue roll)・タングトリル(tongue trill)で確認。

 タングロール(tongue roll)は、主にボイストレーニング(ボイトレ)で使われる練習方法で、タングトリル(tongue trill)とも呼ばれ、「巻き舌」のことを指します。


👅 タングロール(タングトリル)とは?

 タングロールは、舌先を上あごの少し前の部分に軽くつけ、息を吐くことによって舌先を「トゥルルル…」と細かく振動させる発声練習です。

 イメージとしては、イタリア語の「グラッツェ」や、日本語の「らりるれろ」の音を発音する際に、舌をリラックスさせて素早く振動させる状態に近いです。


✨ 主な効果

 タングロールを練習することで、歌や発声において様々な効果が期待できます。

  • 舌のリラックスと柔軟性向上: 舌に余計な力が入っていると、声がかすれたり、音程が不安定になったりします。タングロールは舌の力を抜き、柔軟性を高めるのに役立ちます。

  • 舌の筋力トレーニング: 発音に必要な舌の筋肉を鍛え、滑舌の向上にもつながります。

  • 適切な呼吸法(腹式呼吸)の習得: 舌を振動させるためには、お腹から均一な量の息を吐き続ける腹式呼吸が必要です。これにより、声量持続力の向上にもつながります。

  • 喉を開く練習: 喉を締めずに発声する感覚を掴むのに役立ち、高音裏声を出す際にも効果的です。


🛠️ やり方(練習手順)

  1. 舌の位置: 口を軽く開け、「らりるれろ」を発音する時のように、舌先を上の前歯の裏側あたり(上あご)に軽くつけます。

  2. 脱力: 舌先に力を入れすぎず、リラックスさせます。

  3. 息を吐く: その状態から腹式呼吸で勢いよく息を吐き続けます。

  4. 振動: 息の勢いで舌先が自然に振動し、「トゥルルル…」という音が出れば成功です。

コツ: うまくできない場合は、舌先に力が入っていないか、息の量が適切かをチェックしましょう。また、「トゥラ・トゥリ・トゥル・トゥレ・トゥロ」などを連続して発音する練習から始めると、巻き舌の感覚を掴みやすくなります。


 タングロールを成功させるためには、適切な姿勢と呼吸が欠かせません。


🧍‍♀️ タングロールと姿勢の重要な関係

 タングロールは、単に舌の練習に見えますが、実際には安定した息の支え(腹式呼吸)と、喉や首周りのリラックスを同時にチェックする役割を果たします。

1. 安定した息の流れの確保

 タングロールで舌を「トゥルルル…」と継続的に振動させるためには、均一で安定した息の圧力を保って吐き続ける必要があります。

  • 良い姿勢の役割:

    • 胸郭の拡張: 適切な姿勢(胸を張らずニュートラルに、肩を下げ、背筋を伸ばす)は、肺が最大限に膨らむスペースを確保し、深い腹式呼吸を可能にします。

    • 体幹の固定: 腹部や腰周りが安定することで、息を吐く際の体幹の支え(ブレスサポート)が効きやすくなり、息の流れが不安定になるのを防ぎます。

2. 喉と舌周りの脱力

 歌声の質を落とす大きな原因の一つに、喉や舌への過剰な力み(緊張)があります。タングロールは、この力みを取り除くのに役立ちます。

  • 舌の脱力:

    • タングロールで舌が震えない場合、舌先に力が入りすぎているか、舌の奥(舌根)が緊張していることが多いです。良い姿勢で首周りをリラックスさせると、舌の筋肉も緩みやすくなります。

  • 喉の脱力:

    • 前かがみ猫背、または逆に顎が上がりすぎた姿勢では、首や喉に余計なテンションがかかり、タングロールが止まってしまいがちです。

    • 首を長く、肩を下げたニュートラルな姿勢で練習することで、喉奥が開いた状態(リラックスした状態)を保ちやすくなります。


💡 タングロールを助ける「ニュートラルな姿勢」のポイント

 タングロールの効果を最大限に引き出すために意識したい姿勢のポイントです。

  • 頭と首:

    • 顎を突き出したり、引きすぎたりせず、首筋を長く伸ばす意識を持ちます。耳と肩が一直線になるイメージです。

  • 肩と胸:

    • 肩は力を抜き、下げる。胸を過度に張りすぎず、ニュートラルな位置に保ちます。

  • 体幹:

    • 背筋を伸ばし、お腹や腰周りに適度な張りをキープします。これが息を支える土台になります。

タングロールが不安定な場合は、まず姿勢を見直すことが、安定した発声技術を身につけるための近道になります。