2023年2月6日月曜日

首(頸部)の痛みと不良姿勢の問題。頭と首の状態が全身の動きを決める。首が自由(ネックフリー)になると、身体機能が向上します。

 ティーチングピラティス(NAP)64-65Pより引用いたします。

頸部、肩、上肢の問題

 頸部と肩は、筋骨格系の痛みが生じやすい部位である。これは、重労働や加齢によるものだけではなく、長期間にわたり知らない間に進行している姿勢の問題にも関連している。心理的要因としてうつがある可能性もある。

 痛みは、骨や軟部組織などの損傷に続いて起こることがあるが、神経根の痛み、骨の病変や潜在する感染、悪性腫瘍を除外することが必要である。

 起きている間、頸部は絶えず動いている。肩関節は肩甲帯の主要な構成要素であり、胸郭とつながり、関節包や靱帯、腱、滑液包などから構成される。また肩甲帯は可動性が非常に高い。

 肩甲上腕関節や肩関節の安定性は、回旋筋腱板に依存する。痛みによって回旋筋腱板を支えている筋の緊張が障害されると、回旋筋腱板が緩み、肩関節の不安定性を引き起こす。

頸部の痛み

 筋のスパズムを伴う頸部と上肢の痛みは、急速な加速、減速や、「むちうち」に続いて起こる可能性がある。

 痛みは軟部組織のみで起こることもある。「トリガーポイント」とよばれる、圧迫すると痛みが再現される筋膜の痛点が、筋のなかに結節としてしばしば存在している。

頸部の緊張

 頸部の緊張は、肩甲帯を支えている筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋、斜角筋、肩甲挙筋、菱形筋)への過負荷や過度のストレッチに続いて起こる、筋腱の損傷である。そのメカニズムは過度の伸展や屈曲、回旋や側屈である。痛みと動きの制限は数時間、または一晩のうちに進行する。

姿勢の異常

 プロダンサーやアスリートにしばしばみられる、額を前方に突出させた可動性または不動の脊柱後彎症や脊柱側彎症の姿勢、さまざまな不良姿勢がみられることがある。

運動指導における要点

■初めに姿勢と肩甲帯のアライメント、筋の機能を修正する。

頸部の筋の等張性のエクササイズを行い、徐々に自動運動へと進める。医療の専門家によるアドバイスを受けた場合のみ、モビライゼーションとストレッチも行う。

■病理学的病変や痛みなどの禁忌がない場合、腰椎や胸椎の可動性を含む脊柱全体の機能を向上させる

■上肢と手部に残存した弱さを改善させる。

■段階的に全身的な筋力やスタミナ、機能を改善する。

引用ここまで。

首の筋群

 「気づかずに首を固めている人は多いと思います。手指が器用に動かせない理由が、首の過緊張ということはとてもよくあります。精神面で緊張しているときも、首を固めていると思います。

 アレクサンダー先生は、頭と首のバランスを改善することで発声の問題を解決できることに気づきました。そして、発声だけでなく、すべての身体の活動における、もっとも重要な要素が頭と頸のバランスにあることを見抜き、『プライマリーコントロール』と名付けました。

 プライマリー(primary)は、時間軸で「当初の、最初の」、発達段階で、「原始の、初期の」の意味となります。コントロール(control)は、「操作する、制御する」といった意味です。

 「頭と首の状態が全身の動きを決める」ということです。

 自分の身体の構造を、正確に理解している人は、ほとんどいません。余計な力・無駄な力が入っていたり、不必要に緊張させていたりします。頭と首を自由にするためには、まず最初に、自分の身体の構造を正確に理解する必要があります。

 普通の人が思いつく「良いバランスのイメージ」は、特定の姿勢や、ポジションだと思います。現実には、ある特定のひとつの姿勢にとどまろうとすればするほど、身体を固めてしまうことになります。姿勢を良くしようとすればするほど、身体をガチガチに固めてしまうのです。

 逆に、脱力し過ぎてしまって、新たに身体にコリや痛みをつくりだす人もいます。ダラッとすればするほど身体が固まってしまうからです。余計なことをしないということは、何もしないという意味ではないのです。

 良いバランスとは、ある特定の姿勢やポジションではなく、あらゆる方向に自由自在に身体を動かせる状態です。

 「力を抜く」ように意識するのではなく、「頭と胴体の方向性」を意図することによって適切な緊張バランスを実現します。

 典型的な不良姿勢である頭部前方位姿勢では、頭を身体より前にもってきて、下の方に引き下げてしまっています。結果として、身体が押しつぶされて肩を内側に巻き込んでいます。

 直していくためには、

「頭が背骨の上でバランスをとれているか?」

「脊柱(背骨)が圧縮されていないか?」

……という視点で観察してみることになります。

 頭と背骨がバランスをとっている箇所は、「鼻の後ろで、かつ両耳を結んだ中心あたり」=トップジョイントです。

頭と首がバランスしている箇所

 耳たぶの後ろに骨の出っ張り(乳様突起)があります。左右の出っ張りを結んで、舌で咽喉の奥に触れた時に感じる柔らかい部分の少し奥です。

 頭を背骨の方に引き込むようにして固定すると、身体が動きにくくなるのがわかると思います。頭を背骨の方に引き込むのをやめると、身体全体が動きやすくなります。頭を背骨から離れるような方向に動けるように自由にしてあげることで、バランスがとれるのです。

 力づくで姿勢を良くしようとする=頭を背骨の方に引き込むようにして固定しようとすると、一瞬で首や肩が固まります。そして同時に、腕も脚も縮んで固まります。さらに、呼吸も止まります。

 首が自由(ネックフリー)になると、身体機能が向上します。首の状態を確認して、固まっていないか、縮んでいないか、首をすくめていないか、萎縮していないか、確認してみましょう。余計な力・無駄な力が抜け、必要なだけ力が使えるようになります。

 2月の各地のワークショップは、ネックフリーをテーマに解説いたします。

☆東京ワークショップ

2月10・11・12 日(金・土・日)→ 詳細  

 

☆新宮校ワークショップ(平日)

 月日(月) → 調整中

  

☆大阪ワークショップ

2月23日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

2月24日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

2月25日(土)→ 詳細

 

新宮校ワークショップ(休日)

2月26日(日)→ 詳細

 

 ☆大手門ワークショップ

  1月日(月)→ 詳細調整中