2025年10月19日日曜日

明確な目標や関心事を持つ、目標を達成したときの感情や光景を鮮明にイメージすると、必要な情報や機会を脳が積極的に集めるようになる。

 網様体賦活系(もうようたいふかつけい)= Reticular Activating System (RAS) は、私たちの意識の覚醒状態を維持・調節し、外界からの膨大な情報を選別する、脳にとって非常に重要な神経の仕組みです。

網様体賦活系(RAS)

■網様体賦活系(RAS)の基本的な役割

1. 覚醒状態の維持・調節

 RASは、脳幹(中脳、橋、延髄)に存在する網様体を起点とし、視床を経て大脳皮質へと上行する神経線維の経路です。この系が、大脳皮質に絶えず興奮性の刺激(インパルス)を送り続けることで、私たちが目を覚ましている(覚醒している)状態を維持しています。

・機能低下

 RASの機能が低下すると、意識レベルが低下し、最終的には昏睡状態に陥る可能性があります。

・睡眠との関係

 睡眠と覚醒の切り替えに深く関わっており、睡眠時にはその活動が抑制されます。

2. 脳の情報フィルター(関心事の選択)

 RASは、五感から入ってくる膨大な量の情報の中から、自分にとって重要だと判断した情報や、関心のある情報だけを意識に上げ、それ以外の情報をシャットアウトする「フィルター」の役割も果たしています。

 これは、脳が一度に処理できる情報量には限界があるため、生存や目標達成に役立つ情報を優先的に選別するために獲得した仕組みです。

具体的な例:

 騒がしい雑踏の中でも、自分の名前や関心のある話題が聞こえると、ハッと意識がそちらに向く。

 特定の車やバッグに興味を持つと、街中でその対象を以前よりも頻繁に見かけるようになる。


 RASの「フィルター機能」を利用して、明確な目標や関心事を持つことで、それに必要な情報や機会を脳が積極的に集めるようになると考えられています。

3. 網様体賦活系(RAS)の「情報フィルター」の仕組み

 RASは、五感から入ってくる膨大な情報の中から、「自分にとって重要だ」「関心がある」と判断した情報だけを意識に上げ、それ以外の情報を無意識レベルでシャットアウトする役割を担っています。

・情報量の選別

 人間は毎秒40億ビットともいわれる情報を取り込んでいますが、意識的に処理できるのはそのごく一部(約2,000ビット程度)に過ぎません。RASはこの処理能力の限界を補うために、優先順位をつけています。

・関心への敏感さ

 RASは、あなたが強く意識を向けていることや、潜在意識で「重要だ」と認識している事柄に関連する情報を、街中や会話、インターネットの中から自動的にスポットライトのように探し出し、脳に届けてくれます。

・目標達成における応用

 目標達成において、RASを味方につけるとは、このフィルター機能の「重要度の基準」を、自分の願望や目標にセットし直すことを意味します。これにより、願望達成に必要な情報、機会、人、ヒントなどが、無意識に集まりやすくなります。

■ 目標達成のためにRASを活用する具体的な方法

 RASを意図的に活性化し、目標達成に役立てるには、脳が「それが重要である」と強く認識するよう働きかける必要があります。

5. 願望・目標を「具体的」かつ「明確」にする 

 脳が何を優先して探せばいいのか分かるように、目標をできる限り具体的に設定します。

 「幸せになりたい」ではなく、「〇〇の仕事で、〇〇までに年収〇〇万円を達成する」のように、数値化したり、期限を設けたりすることが有効です。

 目標が具体的であるほど、「現実」と「理想」のギャップが明確になり、RASの活動が活発化するとされています。

6. 目標を達成した自分を「鮮明にイメージ(視覚化)」する 

 ビジュアライゼーション(視覚化)は、RASに強い信号を送る方法です。

 目標を達成したときの感情(喜び、達成感)や光景(見えているもの、聞こえている音、感じている感触)を鮮明にイメージすることで、脳はそれを「すでに起こったこと、または非常に重要なこと」と認識し、関連情報を集め始めます。

7. ポジティブな言葉と自己暗示(アファメーション)を使う

 RASは、ポジティブな情報にもネガティブな情報にも反応する性質があります。

 「自分は失敗するかもしれない」と考えると、RASは失敗の証拠やネガティブな情報ばかりを集めてしまいます。

 逆に、「私はできる」「目標は必ず達成できる」といった肯定的な言葉(アファメーション)を繰り返し意識することで、RASは成功につながる情報や、自己肯定感を高める出来事を集めるようになります。

8. 小さな成功体験を積み重ねる 

 目標達成のプロセスで、小さなタスクをクリアするたびに自分を褒めたり、達成感を感じたりすることで、RASは「この行動は快感をもたらす」と学習します。これにより、脳は目標に向かう行動を「重要」と認識し、その行動を習慣化するよう促します。