2025年10月20日月曜日

胸椎動きを改善することで全身の動きが楽になる。

胸椎

 胸椎は、主に回旋(ひねり)、伸展(そらす)、屈曲(丸める)、側屈(横に倒す)の4方向に動きます。これらの動きを引き出すための代表的なエクササイズをいくつかご紹介します。

※注意点

・痛みを感じる範囲では行わず、無理のない範囲でゆっくりと行いましょう。

・呼吸を止めず、ゆっくり長く行いましょう。


1. 回旋(ひねり・ねじり)のエクササイズ

■四つ這いでの胸椎回旋 (Quadruped T-spine rotation / チェストオープナー)

①床に四つ這いになります(手首は肩の下、膝は股関節の下)。

②片手を頭の後ろに軽く添えます。

③息を吸いながら、添えた肘を体の内側(支えている腕の方向)に入れます。

④息を吐きながら、添えた肘を天井に向かって大きく開き、体をひねります。このとき、肩甲骨の間あたり(胸椎)をひねることを意識し、腰が過度に動かないように注意します。

⑤ゆっくりと元の位置に戻り、繰り返します。反対側も同様に行います。

■横向きでの胸椎回旋 (オープンブック / Open Book)

①床に横向きに寝ます。下の腕と脚をまっすぐ伸ばし、上の脚は膝を90度に曲げて前に置きます(安定させるため)。

②両手を前に伸ばし、手のひらを合わせます。

③上の腕を、胸を開くようにゆっくりと後ろへ回します。目線は指先に追従させます。

④体が大きくねじれるのを感じ、無理のない範囲でキープした後、ゆっくりと元の位置に戻ります。反対側も同様に行います。


2. 伸展(そらす)と屈曲(丸める)のエクササイズ

■キャット&カウ(猫と牛のポーズ)

①床に四つ這いになります。

②(牛のポーズ - 伸展) 息を吸いながら、お腹を下に落とし、背中を反らせます。顔を少し上げ、胸を前に押し出すイメージです。

③(猫のポーズ - 屈曲) 息を吐きながら、背中を丸め、おへそを覗き込むようにします。手で床を強く押して、肩甲骨の間を天井に突き上げるイメージです。

④この動きを呼吸に合わせてゆっくりと繰り返します。

■椅子に座っての胸椎伸展

①椅子に浅く座り、頭の後ろで手を組みます。

②肘を開き、息を吸いながらゆっくりと胸を反らしていきます(胸椎の伸展を意識)。

※背中ではなく、胸の骨(肩甲骨の間の辺り)を動かすように意識します。

③ゆっくりと元の姿勢に戻ります。


3. その他のエクササイズ

■お祈りのポーズでの胸椎伸展(四つ這い・前腕を床につける)

①四つ這いになり、前腕(肘から先)を床につけます。

②お尻を少し後ろに引きながら、胸椎を前に動かし、胸を床に近づけるようにそらします。

③脇の下から背中が伸びるのを感じながら、深呼吸を繰り返します。


これらのエクササイズは、猫背や巻き肩の改善、呼吸の質の向上などにもつながるとされています。ご自身の体力や体の状態に合わせて試してみてください。

2025年10月19日日曜日

明確な目標や関心事を持つ、目標を達成したときの感情や光景を鮮明にイメージすると、必要な情報や機会を脳が積極的に集めるようになる。

 網様体賦活系(もうようたいふかつけい)= Reticular Activating System (RAS) は、私たちの意識の覚醒状態を維持・調節し、外界からの膨大な情報を選別する、脳にとって非常に重要な神経の仕組みです。

網様体賦活系(RAS)

■網様体賦活系(RAS)の基本的な役割

1. 覚醒状態の維持・調節

 RASは、脳幹(中脳、橋、延髄)に存在する網様体を起点とし、視床を経て大脳皮質へと上行する神経線維の経路です。この系が、大脳皮質に絶えず興奮性の刺激(インパルス)を送り続けることで、私たちが目を覚ましている(覚醒している)状態を維持しています。

・機能低下

 RASの機能が低下すると、意識レベルが低下し、最終的には昏睡状態に陥る可能性があります。

・睡眠との関係

 睡眠と覚醒の切り替えに深く関わっており、睡眠時にはその活動が抑制されます。

2. 脳の情報フィルター(関心事の選択)

 RASは、五感から入ってくる膨大な量の情報の中から、自分にとって重要だと判断した情報や、関心のある情報だけを意識に上げ、それ以外の情報をシャットアウトする「フィルター」の役割も果たしています。

 これは、脳が一度に処理できる情報量には限界があるため、生存や目標達成に役立つ情報を優先的に選別するために獲得した仕組みです。

具体的な例:

 騒がしい雑踏の中でも、自分の名前や関心のある話題が聞こえると、ハッと意識がそちらに向く。

 特定の車やバッグに興味を持つと、街中でその対象を以前よりも頻繁に見かけるようになる。


 RASの「フィルター機能」を利用して、明確な目標や関心事を持つことで、それに必要な情報や機会を脳が積極的に集めるようになると考えられています。

3. 網様体賦活系(RAS)の「情報フィルター」の仕組み

 RASは、五感から入ってくる膨大な情報の中から、「自分にとって重要だ」「関心がある」と判断した情報だけを意識に上げ、それ以外の情報を無意識レベルでシャットアウトする役割を担っています。

・情報量の選別

 人間は毎秒40億ビットともいわれる情報を取り込んでいますが、意識的に処理できるのはそのごく一部(約2,000ビット程度)に過ぎません。RASはこの処理能力の限界を補うために、優先順位をつけています。

・関心への敏感さ

 RASは、あなたが強く意識を向けていることや、潜在意識で「重要だ」と認識している事柄に関連する情報を、街中や会話、インターネットの中から自動的にスポットライトのように探し出し、脳に届けてくれます。

・目標達成における応用

 目標達成において、RASを味方につけるとは、このフィルター機能の「重要度の基準」を、自分の願望や目標にセットし直すことを意味します。これにより、願望達成に必要な情報、機会、人、ヒントなどが、無意識に集まりやすくなります。

■ 目標達成のためにRASを活用する具体的な方法

 RASを意図的に活性化し、目標達成に役立てるには、脳が「それが重要である」と強く認識するよう働きかける必要があります。

5. 願望・目標を「具体的」かつ「明確」にする 

 脳が何を優先して探せばいいのか分かるように、目標をできる限り具体的に設定します。

 「幸せになりたい」ではなく、「〇〇の仕事で、〇〇までに年収〇〇万円を達成する」のように、数値化したり、期限を設けたりすることが有効です。

 目標が具体的であるほど、「現実」と「理想」のギャップが明確になり、RASの活動が活発化するとされています。

6. 目標を達成した自分を「鮮明にイメージ(視覚化)」する 

 ビジュアライゼーション(視覚化)は、RASに強い信号を送る方法です。

 目標を達成したときの感情(喜び、達成感)や光景(見えているもの、聞こえている音、感じている感触)を鮮明にイメージすることで、脳はそれを「すでに起こったこと、または非常に重要なこと」と認識し、関連情報を集め始めます。

7. ポジティブな言葉と自己暗示(アファメーション)を使う

 RASは、ポジティブな情報にもネガティブな情報にも反応する性質があります。

 「自分は失敗するかもしれない」と考えると、RASは失敗の証拠やネガティブな情報ばかりを集めてしまいます。

 逆に、「私はできる」「目標は必ず達成できる」といった肯定的な言葉(アファメーション)を繰り返し意識することで、RASは成功につながる情報や、自己肯定感を高める出来事を集めるようになります。

8. 小さな成功体験を積み重ねる 

 目標達成のプロセスで、小さなタスクをクリアするたびに自分を褒めたり、達成感を感じたりすることで、RASは「この行動は快感をもたらす」と学習します。これにより、脳は目標に向かう行動を「重要」と認識し、その行動を習慣化するよう促します。


2025年10月18日土曜日

心と体を「今この瞬間」に引き戻し、落ち着きと安定感を取り戻す

グラウンディング

 意識やエネルギーを「今この瞬間」と「大地」にしっかりと結びつけ、精神的な安定と安心感を取り戻すための技法や状態。

 グラウンディングのテクニックは、心と体を「今この瞬間」に引き戻し、落ち着きと安定感を取り戻すことを目的としています。不安、ストレス、パニック発作などの際に特に役立ちます。

主なテクニック

1. 五感を使うテクニック(「5-4-3-2-1」法)

 これは最も一般的で、いつでもどこでも実践しやすいグラウンディングの方法です。五感を使って「今、ここ」の現実に意識を集中させます。

①見えるもの(5つ)

 周囲を見渡し、目に見えるものを5つ探して心の中で認識するか、声に出します。(例:壁の時計、机の上のペン、窓の外の青空、手のシワ、床の木目)

②触れるもの/感じるもの(4つ)

 肌や体が触れているもの、感じている感覚を4つ認識します。(例:椅子の背もたれの感触、服の生地の質感、足が床についている重さ、手のひらの冷たさ)

③聞こえる音(3つ)

 周囲にある音を3つ注意深く聞きます。(例:自分の呼吸の音、遠くの車の音、エアコンの稼働音、時計の秒針の音)

④嗅ぐ匂い(2つ)

 匂いを2つ意識します。(例:コーヒーの香り、ハンドクリームの匂い、空気の匂い)

⑤味わうもの(1つ)

 口の中で感じる味を1つ認識します。(例:水分の味、口に残るミントの味、口の中の唾液の味)


2. 呼吸と体感覚に集中するテクニック

 体の物理的な感覚、特に足元と呼吸に意識を向け、安定感を取り戻します。

■足の裏を意識する

・椅子に座っている、または立っている状態で、足の裏全体が床にしっかりと接していることを意識します。

・足のどの部分(かかと、つま先、土踏まずなど)に最も体重がかかっているかを感じます。

・まるで足の裏から地球に向かって根っこが生えているようなイメージを持ち、大地に支えられている感覚を味わいます。

■深呼吸(ボックス呼吸など):

①ゆっくりと深い呼吸に集中します。

②4秒で吸って、4秒止めて、4秒で吐いて、4秒止める、というリズム(ボックス呼吸)を繰り返すなど、数に集中することで意識を「今」に固定します。

③息を吸うときに「落ち着き」を取り込み、息を吐くときに「不安」を手放すイメージをします。


3. イメージング・メディテーション

 視覚的なイメージを使って、心身と大地との繋がりを強める方法です。

■木の根のイメージ

①目を閉じるか、視線を下に落とし、自分が大きな木になったと想像します。

②自分の体(特に足元)から、太く力強い根っこが地球の中心に向かって深く伸びていくのをイメージします。

③根っこが地球の中心にしっかりと繋がり、そこからエネルギーや安定感を吸い上げ、体全体に巡らせるイメージを持ちます。

■重りのイメージ

 自分の体(特に下半身や骨盤)に、大きな重りがついていることを想像します。その重りによって、体が地面にしっかりと固定され、揺るがない安定感を感じます。


4. 物理的な刺激を用いるテクニック

強い物理的な感覚を利用して、一瞬で頭から体へ意識を戻す方法です。

・冷たい水に触れる

 顔や手首を冷たい水で洗う、または氷の塊を数秒間握る。冷たさという強い感覚が、意識を瞬時に「今」の体感覚に戻します。

・特定の行動を行う

 椅子に座って、座面を手のひらで強く押したり、足で床を踏みしめたりするなど、体に力を入れて、その触覚や圧力に意識を集中します。

・においを嗅ぐ

 アロマオイルや特定の香水など、強い香りのものを用意しておき、それを嗅ぐことに意識を集中します。

「意志の力で努力すればするほど、かえってその努力とは反対の結果が生じてしまう」努力逆転の法則

 努力逆転の法則とは、「意志の力で努力すればするほど、かえってその努力とは反対の結果が生じてしまう」という、フランスの薬剤師であり心理療法家であったエミール・クーエが提唱した心理学の法則です。

 この法則は、「意志(顕在意識)と想像力(潜在意識)が対立する場合、常に想像力が勝り、想像力はその意志の二乗に比例する強さを持つ」という考えに基づいています。

■法則の主な内容とメカニズム

1)意志力と想像力の対立

 何かを「頑張ろう」「絶対にするまい」と強く意識(意志)しても、心の奥底で「失敗するかもしれない」「うまくいかない」といったネガティブなイメージ(想像力)が描かれていると、そのネガティブな想像力が意志を上回り、結果的に意図しない方向へ進んでしまいます。

例:「緊張するまい」と強く思えば思うほど、かえって緊張が高まってしまう。

例:「ボールを池に入れないように」と強く意識すると、吸い込まれるようにボールが池に入ってしまう(ゴルフ)。

2)想像力(潜在意識)の優位性

 人間の脳は、鮮明に描いたイメージを現実の出来事と区別できない、と言われています。

 潜在意識は顕在意識(意志)よりも強力で、イメージの形で身体のコントロールに影響を及ぼします。

 つまり、強い意志で「成功したい」と願っていても、無意識のうちに「自分はダメだ」というイメージや「失敗したらどうしよう」という不安が潜在意識にあると、そちらのイメージが現実化しやすいのです。

■法則への対処法

 この法則を乗り越え、努力を成功に結びつけるためには、意志の力を使うよりも、潜在意識にある想像力(イメージ)を味方につけることが重要とされます。

・自己暗示(アファメーション)の活用

 ポジティブな言葉を繰り返し自分に言い聞かせ、潜在意識に良いイメージを焼き付ける方法です。

 クーエは「日々あらゆる面で、私はますます良くなりつつあります」という言葉を毎日唱えることを推奨しました。

・リラックスと自然な流れ

 頑張りすぎず、力を抜いてリラックスすることで、潜在意識の働きを邪魔せず、集中力や自然なパフォーマンス(フロー状態など)を引き出しやすくなります。

・目標の捉え方を変える

 「絶対成功しなくては」という強いプレッシャー(意志の力)ではなく、「最善を尽くしたら、あとは結果を天に任せる」といった、ゆとりを持った考え方(イメージ)を持つことも有効です。

■過剰ポテンシャルと努力逆転の法則

 どちらも「頑張りすぎると逆効果になる」というパラドックスを説明しますが、そのメカニズムと背景となる世界観が異なります。

過剰ポテンシャルと努力逆転の法則

過剰ポテンシャル (Excess Potential)

 過剰ポテンシャルとは、ある対象や出来事に対し、過度に大きな重要性や意味を付加した際に生じるエネルギーの「高低差」や「歪み」のことです。

・内的な重要性

 自分自身を過大評価・過小評価しすぎる(例:「私は絶対成功しなきゃならない」)。

・外的な重要性

 物事や目標に過度な期待や執着を持つ(例:「あの契約がないと人生が終わる」)。

 この歪みが生じると、平衡力(バランス力)という力が働き、過剰なエネルギーを均等に戻そうとします。その結果、バランスを回復させるために、意図とは反対の事態(失敗、喪失、思わぬトラブルなど)が引き起こされます。

努力逆転の法則 (Law of Reversed Effort)

 努力逆転の法則は、心理学の分野から提唱された法則で、「意志と想像力が対立すると、常に想像力が勝つ」というものです。

 これは、顕在意識(意志)と潜在意識(想像力)の間の心理的な干渉として説明されます。「緊張するな!」という強い意志(顕在意識)は、同時に「緊張している自分」を鮮明に想像(潜在意識)することになり、潜在意識の力で体が硬直したり、手が震えたりといった「緊張」という反対の結果が引き起こされます。

 この現象は、体の自動化されたプロセス(眠り、自転車乗り、熟練した技術など)を、顕在意識が干渉して邪魔してしまうことでも起こります。


 努力逆転の法則は、心の中の対立(意志 vs. 想像力)に焦点を当てた心理法則であり、過剰ポテンシャルは、現実全体におけるエネルギー的なバランスと外部からの修正作用に焦点を当てた法則である、というイメージです。

 どちらも「執着や力みが逆効果になる」という点では共通していますが、その逆効果が起こる理由が、内面的な矛盾によるものか、平衡力によるエネルギーの修正によるものか、という点で根本的な違いがあります。

2025年7月19日土曜日

骨盤の主な役割と重要性・基本的な動き

骨盤の主な役割と重要性

①骨盤は脊椎の土台であり、全身のバランスを保つ上で非常に重要です。骨盤が歪むと、その上に乗る脊椎や頭部まで歪み、姿勢が悪化します。

②盤状の骨が、膀胱や生殖器などの内臓を保護しています。

③股関節と連動して、歩行や立つ、座るなどの日常動作をスムーズに行うための軸となります。歩行・動作の要です。

④骨盤の動きの制限は、腰への負担を増やします。

④女性の場合、出産時に骨盤が開閉することで、赤ちゃんが産道を通るのを助けます。

骨盤の基本的な動き

骨盤は、主に以下の動きが可能です。

①前傾(ぜんけい): 骨盤が前に倒れる動き。反り腰になりやすい。

②後傾(こうけい): 骨盤が後ろに倒れる動き。猫背になりやすい。

③側方傾斜(そくほうけいしゃ): 骨盤が左右どちらかに傾く動き。(例:片方の腰が上がる、下がる)

④回旋(かいせん): 骨盤が左右に捻じれる動き。(例:片方の腰が前に出る、後ろに引く)

 これらの動きがバランス良く行えることが理想です。

骨盤の運動例

ここでは、骨盤の基本的な動きを促し、柔軟性を高めるための運動をご紹介します。

1. 骨盤の前傾・後傾運動

①椅子に浅く座り、足裏を床につけ、背筋を伸ばします。

②息を吐きながら、おへそを前に突き出すように骨盤を前傾させ、腰を軽く反らせます。

③息を吸いながら、お腹をへこませるように骨盤を後傾させ、背中を丸めます。

④ゆっくりと10回程度繰り返します。

ポイント: 骨盤だけを動かす意識を持ち、首や肩に力が入らないようにします。

2. 骨盤の側方傾斜運動(ゆりかご運動)

骨盤の左右のバランスを整えるのに役立ちます。

①椅子に座り、骨盤を立てて座ります。

②片方のお尻を椅子から少し浮かせ、骨盤を左右に傾けます。まるで船が左右に揺れるように。

③反対側も同様に行います。

④ゆっくりと左右交互に10回程度繰り返します。

ポイント: 上半身はできるだけ動かさず、骨盤の動きに集中します。

3. 骨盤の回旋運動(ツイスト運動)

骨盤周りの筋肉を柔軟にし、腰の可動域を広げます。

①椅子に座り、骨盤を立てて座ります。

②両手を胸の前で軽く組みます。

③息を吐きながら、お腹をひねるように骨盤を左右に回旋させます。顔や肩も一緒に動かして構いませんが、骨盤の動きを意識します。

④ゆっくりと左右交互に10回程度繰り返します。

ポイント: 無理に捻じりすぎず、心地よい範囲で行います。

4. 骨盤底筋群を意識した運動(ケーゲル体操の応用)

骨盤の安定性にも関わる、骨盤底筋群を意識する運動です。

①仰向けに寝て、膝を立て、足裏を床につけます。

②息を吐きながら、尿を我慢するような感覚で、お尻の穴や尿道の辺りをキュッと締め上げます。

③数秒キープしたら、息を吸いながらゆっくりと緩めます。

④10回程度繰り返します。

ポイント: お腹やお尻に力を入れすぎず、骨盤底筋群に意識を集中します。

5. キャット&カウ(四つん這い)

骨盤と背骨の連動性を高める全身運動です。

①四つん這いになり、手は肩の真下、膝は股関節の真下に置きます。

②カウ(牛のポーズ): 息を吸いながら、お腹を床に近づけるように腰を反らせ、お尻を天井に向けます。顔も軽く上に向けます。

③キャット(猫のポーズ): 息を吐きながら、背中を丸め、おへそをのぞき込むようにします。お尻も丸めるように。

④ゆっくりと10回程度繰り返します。

ポイント: 背骨と骨盤が連動して動くことを意識します。

運動を行う上での注意点

①無理をしない: 痛みを感じる場合はすぐに中止してください。

②ゆっくりと丁寧に行う: 急な動きは避け、骨盤の動きを意識しながら行いましょう。

③呼吸を意識する: 呼吸と連動させることで、より効果が高まります。

④継続する: 毎日少しずつでも良いので、継続することが大切です。

これらの骨盤運動を日常に取り入れることで、骨盤の柔軟性と安定性が向上し、結果として姿勢の改善、そして全身の健康維持に繋がります。特にデスクワークが多い方や、長時間同じ姿勢でいる方は、こまめにこれらの運動を取り入れることをお勧めいたします。

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☆8月の各地のワークショップで、骨盤の主な役割と重要性・基本的な動きについて解説いたします。

☆東京ワークショップ

8月1・2・3日(金・土・日)→ 詳細    

 

☆飯塚ヨガワークショップ  

 8月8日(金)→ 詳細 

 

☆下関ワークショップ 

8月9日(土)→ 詳細

 

機能運動学大牟田サークル 

8月10日(日) → 詳細 

2025年7月18日金曜日

丹田呼吸法について

 丹田呼吸法は、心身のリラックスや集中力向上、健康維持に役立つとされる呼吸法です。おへその下あたりにある「丹田」と呼ばれる場所を意識して呼吸を行うのが特徴です。

■丹田の位置

 丹田は、おへその下約10cmのところにあります。

■丹田呼吸法のやり方(基本的な手順の一例)

①姿勢を整える: 椅子に座るか、あぐらをかいて床に座ります。背筋を伸ばし、肩の力を抜いて、下半身が安定するように座ります。軽く目を閉じます。

②手を丹田に置く: 右手または両手を丹田(おへその数センチ下の下腹部あたり)に当てます。

③息を吐き切る: 下腹部をへこませるようにして、時間をかけてゆっくりと口から息を吐き切ります。体の中の悪いものをすべて出しきるようなイメージで行います。

④息を吸う: 下腹部を膨らませるように意識しながら、鼻からゆっくりと息を吸い込みます。丹田に空気を溜めていくイメージです。

⑤息を止める(任意): 3秒程度息を止めます。

⑥息を吐く: 再び、時間をかけてゆっくりと息を吐き切ります。吸うときの倍くらいの時間をかけるつもりで吐くのがポイントです。

これを数回繰り返します。最初は1日5回程度から始め、慣れてきたら10~20回を目安に行うと良いでしょう。

■ポイント:

 息を吸うときは鼻からゆっくり、おへその下に空気を溜めていくイメージで。

 息を吐くときは口からゆっくり、からだの中の悪いものをすべて出し切るイメージで。

 吸うときの倍くらいの時間をかけるつもりで吐く。

 呼吸に意識を集中し、ゆっくり行う。

 息を吐くときに腹圧をかけることで、内臓にマッサージ効果も期待できます。

■丹田呼吸法の効果

 丹田呼吸法には、以下のような様々な効果が期待できます。

 リラックス効果・ストレス緩和: 副交感神経が優位になり、心身がリラックスした状態になります。ストレスホルモンの分泌が抑えられ、不安感や緊張が和らぎます。

 集中力向上: 精神的なストレスが軽減され、注意力が向上するため、仕事や学習の効率アップにもつながります。

 自律神経の調整: 自律神経のバランスを整え、不眠やうつ、高血圧、頻脈などの改善に効果があると言われています。

 セロトニンの分泌促進: 丹田呼吸のようなリズム運動は、幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌を促進します。セロトニンは、睡眠ホルモンであるメラトニンの原料にもなるため、睡眠の質の向上も期待できます。

 循環器系・消化器系の強化: 深い呼吸により肺に取り込む酸素量が増え、血流が良くなります。横隔膜が鍛えられ、腹腔内にある太陽神経叢(自律神経叢)が刺激され、消化器系の働きが活発になり、便秘の改善にもつながると言われています。

 免疫力向上: 血行が良くなり、免疫力が高まる効果も期待できます。

 体の不調改善: 肩こりや腰痛の緩和、冷え性の改善にもつながるとされています。

■丹田呼吸法の注意点

 無理のない範囲で行う: 慣れないうちは無理をせず、自分のペースで行うことが大切です。

 吸うより吐くことを意識する: 息を吸うときに交感神経、吐くときに副交感神経が優位になるため、リラックス効果を高めるためには、息を長くゆっくり吐き切ることを意識しましょう。

 姿勢と意識: 丹田を意識することが重要ですが、無理に力を入れたり、肛門を締めすぎたりしないように注意しましょう。息が背中や腰を通って丹田へ入っていくイメージを持つと良いとされています。

 体調に合わせる: 立位で行うと血圧が下がりすぎてふらつくことがあるため、普段は座って行うのがおすすめです。

 丹田呼吸法は、いつでもどこでも手軽に行える呼吸法です。日常に取り入れることで、心身の健康維持に役立ててみてください。

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☆8月の各地のワークショップで、丹田呼吸法について解説いたします。

☆東京ワークショップ

8月1・2・3日(金・土・日)→ 詳細    

 

☆飯塚ヨガワークショップ  

 8月8日(金)→ 詳細 

 

☆下関ワークショップ 

8月9日(土)→ 詳細

 

機能運動学大牟田サークル 

8月10日(日) → 詳細 


2025年6月23日月曜日

胸郭について

胸郭

  胸郭(きょうかく、英語:Thoracic cage または Rib cage)とは、胸部を形成する骨格構造のことで、主に以下の骨で構成されています。

  • 胸椎(きょうつい): 背骨の一部で、胸郭の後面を形成する12個の椎骨。
  • 肋骨(ろっこつ): 胸郭の両側を形成する12対(24本)の弓状の骨。胸椎に接続し、前方に向かって伸びています。
  • 胸骨(きょうこつ): 胸郭の前面中央に位置する平らな骨で、上から胸骨柄、胸骨体、剣状突起の3つの部分で構成されます。

 これらの骨が籠状に組み合わさることで、胸郭が形成されます。

 胸郭の主な役割は以下の通りです。

  1. 内臓の保護: 心臓、肺、大血管、気管、食道、一部の胃などの重要な臓器を外部からの衝撃から保護します。硬い骨の構造が、これらのデリケートな臓器を守る盾となります。
  2. 呼吸の補助: 胸郭は呼吸運動において非常に重要な役割を担います。横隔膜や肋間筋などの呼吸筋が収縮・弛緩することで、胸郭が拡張・収縮し、これにより胸腔内の圧力が変化して肺が空気を取り込んだり(吸気)、排出したり(呼気)することができます。肺自体は自力で膨らんだり縮んだりできないため、胸郭の動きが呼吸には不可欠です。
  3. 姿勢の維持と体の動きとの連動: 上半身の骨格を支え、姿勢を維持する役割も果たします。また、肩関節の動きや体幹のねじれなど、様々な身体の動きに連動して可動します。胸郭の動きが制限されると、肩や体幹の動きにも影響が出ることがあります。

 このように、胸郭は私たちの生命維持に欠かせない重要な構造であり、保護、呼吸、運動といった多岐にわたる機能を持っています。