2025年6月23日月曜日

胸郭について

胸郭

  胸郭(きょうかく、英語:Thoracic cage または Rib cage)とは、胸部を形成する骨格構造のことで、主に以下の骨で構成されています。

  • 胸椎(きょうつい): 背骨の一部で、胸郭の後面を形成する12個の椎骨。
  • 肋骨(ろっこつ): 胸郭の両側を形成する12対(24本)の弓状の骨。胸椎に接続し、前方に向かって伸びています。
  • 胸骨(きょうこつ): 胸郭の前面中央に位置する平らな骨で、上から胸骨柄、胸骨体、剣状突起の3つの部分で構成されます。

 これらの骨が籠状に組み合わさることで、胸郭が形成されます。

 胸郭の主な役割は以下の通りです。

  1. 内臓の保護: 心臓、肺、大血管、気管、食道、一部の胃などの重要な臓器を外部からの衝撃から保護します。硬い骨の構造が、これらのデリケートな臓器を守る盾となります。
  2. 呼吸の補助: 胸郭は呼吸運動において非常に重要な役割を担います。横隔膜や肋間筋などの呼吸筋が収縮・弛緩することで、胸郭が拡張・収縮し、これにより胸腔内の圧力が変化して肺が空気を取り込んだり(吸気)、排出したり(呼気)することができます。肺自体は自力で膨らんだり縮んだりできないため、胸郭の動きが呼吸には不可欠です。
  3. 姿勢の維持と体の動きとの連動: 上半身の骨格を支え、姿勢を維持する役割も果たします。また、肩関節の動きや体幹のねじれなど、様々な身体の動きに連動して可動します。胸郭の動きが制限されると、肩や体幹の動きにも影響が出ることがあります。

 このように、胸郭は私たちの生命維持に欠かせない重要な構造であり、保護、呼吸、運動といった多岐にわたる機能を持っています。

胸郭(肋骨・胸骨・胸椎)と骨盤の連動性について

  胸郭と骨盤は、私たちの体の中心にある「体幹」を構成する重要な要素であり、互いに密接に連携しながら、姿勢の維持、動作のスムーズさ、呼吸機能などに大きな影響を与えています。この連動性を理解することは、体の不調を改善したり、運動パフォーマンスを向上させたりする上で非常に重要です。

胸郭と骨盤

胸郭と骨盤が連動するメカニズム

 主に以下の要素が、胸郭と骨盤の連動性を支えています。

脊柱(背骨)

 胸郭と骨盤は、脊柱によって直接的につながっています。脊柱は頸椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨からなり、特に胸椎が胸郭と、仙骨が骨盤と連結しています。脊柱は S字カーブを描いており、この自然な湾曲が衝撃を吸収し、体幹の安定性を保ちます。胸郭と骨盤の動きが、脊柱全体の動きに影響を与え、その逆もまた然りです。

筋膜(きんまく)

 体全体を覆う筋膜は、筋肉、骨、内臓などを連結し、それぞれの動きをサポートしています。特に重要なのが胸腰筋膜(きょうようきんまく)です。これは胸部から腰部にかけて広がる強靭な筋膜で、広背筋や大殿筋といった大きな筋肉とも連結しており、胸郭と骨盤の動きを効率的に伝達する役割を担っています。胸腰筋膜は、体幹の深層筋(腹横筋、多裂筋、骨盤底筋、横隔膜)とも深く関連しており、これらの筋肉が協調して働くことで、体幹の安定性(いわゆる「コルセット作用」)を高めます。

筋肉

 体幹を構成する多くの筋肉が、胸郭と骨盤の両方、あるいはその間にある脊柱に付着しており、それぞれの動きを統合しています。例えば、腹筋群(腹直筋、腹斜筋、腹横筋)や背筋群(脊柱起立筋、多裂筋など)は、胸郭と骨盤を安定させ、動かす上で不可欠な筋肉です。また、広背筋や大殿筋のように、上半身と下半身をつなぐ大きな筋肉も、胸郭と骨盤の連動に大きく貢献しています。

横隔膜と骨盤底筋

 横隔膜は胸郭の下部を、骨盤底筋は骨盤の底を形成しています。これらは呼吸において非常に重要な役割を果たし、吸気時には横隔膜が収縮して下がり、腹腔内の圧力が変化し、骨盤底筋も連動して緩みます。呼気時にはその逆の動きが起こります。この横隔膜と骨盤底筋の協調的な動きは、腹腔内圧を適切に保ち、体幹の安定性にも寄与しています。

胸郭と骨盤の連動が重要な理由

 この連動性が保たれることで、私たちの体は以下のような恩恵を受けます。

①効率的な動作

 歩行、ランニング、スポーツなど、あらゆる全身運動において、胸郭と骨盤が連動することで、力の伝達がスムーズになり、効率的かつ力強い動きが可能になります。例えば、歩行時には、右足が前に出る際に右骨盤も前へ、そして下位胸郭も前へ、同時に上位胸郭は後ろへというように、複雑な回旋運動が連動して起こっています。

②安定した姿勢の維持

 胸郭と骨盤、そしてその間にある脊柱が適切にアライメントされていることで、重力に対して効率的に姿勢を維持できます。どちらか一方のバランスが崩れると、全身の姿勢に影響が及びます。

③深い呼吸

 胸郭の柔軟性と骨盤の安定性が保たれることで、横隔膜が十分に機能し、深い呼吸が可能になります。呼吸は自律神経の調整にも関わるため、心身の健康に直結します。

④不調の予防・改善

 腰痛、肩こり、首の痛みなど、体の様々な不調は、胸郭や骨盤の連動性の低下、あるいは歪みから生じることがあります。連動性を改善することで、これらの不調の予防や改善につながります。

連動性の問題と影響

 もし胸郭や骨盤の可動性が低下したり、適切な連動ができなくなったりすると、以下のような問題が生じやすくなります。

①代償動作

 本来動くべき部位が動かないために、他の部位が過剰に動き、負担がかかることで痛みや不調が生じます。

②姿勢の歪み

 猫背、反り腰など、特定の部位に負担がかかる姿勢になりやすくなります。

③呼吸機能の低下

 呼吸が浅くなり、疲れやすさや自律神経の乱れにつながることがあります。

④運動パフォーマンスの低下

 スポーツにおけるパワーやスピード、正確性が失われる可能性があります。

連動性を高めるためのアプローチ

 胸郭と骨盤の連動性を高めるためには、以下の点に意識を置くことが有効です。

①全身の筋膜ケア

 筋膜リリースなどで全身の筋膜の柔軟性を高める。

②体幹の安定性と可動性の両立

 コアマッスルを強化し、安定性を高めつつ、胸郭や骨盤の可動域を広げるエクササイズを行う。

③正しい呼吸法

 横隔膜を使った深い腹式呼吸を意識し、胸郭の動きを促進する。

④姿勢の意識

 日常生活の中で正しい姿勢を意識し、特定の部位に負担がかからないようにする。


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