2024年12月31日火曜日

リブフレア(パッカーン肋骨)の改善。1月のワークショップの内容について

  2025年1月のワークショップの内容は、基本に立ち返って姿勢の改善をやろうと思います。現代においてよくみられる姿勢の崩れと、その改善方法について解説したいと思います。いわゆる「パッカーン肋骨(開いたろっ骨)≒リブフレア」の改善法などをテーマにしてまいります。

頭部前方位姿勢(FHP:Forward Head Posture)

頭部前方位姿勢

 頭が肩よりも前に出て下方に傾いている不良姿勢のことです。猫背とも呼ばれ、パソコンやスマートフォンなどの使用、長時間のデスクワークによって引き起こされることが多く、近年増加しています。

 頭部前方位姿勢では、次のような問題が発生する可能性があります。

・首や肩、背中に過度な負担がかかり、筋肉の緊張や痛みを引き起こす

・後頭部から上背部の筋を緊張させて緊張型頭痛の原因になる

・頸椎(頭を支え、脊髄を保護する脊椎の最上部)が圧迫される

・上位交差症候群という特徴的な筋肉のグループが形成される

 頭部前方位姿勢を長時間続けると、後頸部や背部の筋が疲労して筋痛が生じ、肩こりや緊張型頭痛、顎の痛みやだるさとして感じられます。

 頭部前方位姿勢を改善するには、前屈みの状態からゆっくり頭蓋を吊り上げる方法が効果的です。

上位交差症候群

上位交差症候群

 筋肉バランスの機能障害が起こる状態です。主に横から見た首と肩のアンバランスを指し、次のような症状を引き起こす可能性があります。頭痛、肩こり、肩関節の可動制限、 腰痛。

 上位交差症候群は、座り姿勢などの不適切な姿勢によって、緊張して短縮しやすい筋肉グループと、伸ばされて筋力低下しやすい筋肉グループがX字にクロスした状態になることで起こります。俗に言う「猫背」のような姿勢で、胸部の筋肉が収縮してリンパや血流の流れに影響したり、後頭下筋肉がガチガチになったりすることで肩こりに大きな影響を与えます。

下位交差症候群

下位交差症候群

 骨盤が前傾して腰が反る反り腰姿勢によって、筋肉バランスが崩れて起こる症状です。

 下位交差症候群の特徴は次のとおりです。

・脊柱起立筋や腸腰筋が硬くなる

・腹筋群や大殿筋の筋力が低下する

・骨盤が前傾し、腰椎が反る

・背中が丸くなる

・頭が前に突き出る

 下位交差症候群は、主にデスクワークや学生、産前産後の女性に多く見られます。

反張膝(はんちょうしつ)

反張膝

 立ったときや歩いているときに膝が正常な可動域を超えて後ろ側に反るように曲がった状態です。膝が正常よりも伸びすぎてしまう状態を指し、立位や歩行時に膝が0°以上に伸びてしまう状態を指します。膝関節がロックしてスムーズな曲げ伸ばしが困難になるため、スポーツや日常生活に影響を与えることがあります。

 反張膝の原因としては、靭帯の柔軟性や緩さが挙げられます。関節の柔軟性を高めるため、膝を伸ばすストレッチを頻繁に行う人は注意が必要です。また、遺伝的な要因や外傷、脳卒中後の麻痺などが考えられます。また、下腿三頭筋の筋出力低下や過剰な底屈活動、体幹前後面筋の動的なコントロール低下なども原因となります。

 反張膝の症状には、次のようなものがあります。

・膝関節が不安定になる

・膝がガクガクする

・歩行時の痛み

・前ももやふくらはぎがパンパンに張る

・身体のバランスをとるために反り腰になる

 反張膝が長期間続くと、膝関節や周囲の筋肉に負担がかかり、痛みや歩行困難、姿勢不良などの問題を引き起こす可能性があります。

リブフレア(パッカーン肋骨)

リブフレアテスト

 胸郭の下部にある肋骨が外側に突き出ている状態を指します。肋骨の下角が90度以上開いている状態を指し、肋骨が開いている状態とも呼ばれます。肋骨が浮き上がった状態を指し、左右どちらか、または両方の肋骨が浮き上がることがあり、胸が「膨らんだ」ように見えるのが特徴です。腹筋が弱って肋骨が前に突き出ることがあります。

 リブフレアには、次のような特徴があります。

・下背が過剰に反っている

・上背がまっすぐすぎるか、反対方向に反っている

・肩甲骨が過剰に引っ張られている

・立ったときに、肋骨や胴体が骨盤よりも前に位置している

・膝を過剰に伸ばしている(膝を後ろに押しすぎてまっすぐになっている)

 リブフレアは、特に左側の肋骨に目立つ傾向があります。これは、内臓が左側に位置しているためです。また、腕を頭上に上げると症状が悪化することがあります。

 リブフレアになると、次のような問題が発生する可能性があります。

・横隔膜の機能低下

・呼吸が浅くなる

・腹圧が低下する

・姿勢の乱れ

・お腹やお尻が上手く動かせない

・ボディラインの崩れ

・肩こり

・腰痛

・ぽっこりお腹

・くびれができない

 リブフレアの原因としては、次のようなことが考えられます。体幹の弱さ、猫背、骨盤の歪み、 ストレス過多。

 リブフレアを改善するには、次のような方法が考えられます。姿勢の改善、コアと背中の筋肉の強化、柔軟性の向上、 呼吸法の改善。


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2024年12月27日金曜日

批判ばかりしている人の生涯は、寂しくて悲しいものになります。心が満たされている幸せな人は、不要な批判をしません。

 この2年を振り返ってみて、「他者の批判ばかりしている人は、本人が気がつかないうちに孤独になっていく」ということを実感しています。

 自分が正義の味方になったような錯覚を起こし、「自分だけが正しい」という立場で批判ばかりするため、単純に嫌われるからです。問題点の指摘や改善へのアドバイスなどは、根拠を挙げて理性的に誤りを指摘することなのですが、嫌われる人は「自分が気に食わない」という理由で感情的に誹謗します。自分の常識を押しつけているだけに過ぎないのです。

 批判ばかりする人がどうなっていくかというと、

①孤立感の増大

②信頼の喪失

③精神的健康の悪化

④学習と成長の機会の喪失

⑤良好な人間関係の損失

と、いう感じで、批判を聞いてくれる人が少しずつ減っていき、家族くらいしか話す相手がいなくなります。気がつけば、周りにいるのは自分とよく似た「批判ばかりする人」だけに。

 批判ばかりする心理には、次のようなものがあると考えられてます。

①劣等感があり、無意識に批判をする

②自尊感情が低く、心が疲れてそのことに気づくことができない

③恐怖心から逃れたいが故に、誰かを批判して安心したい

④自分の心が不安で退行している

 他人を批判すると、一瞬だけ優越感を感じることができます。そのまま他人を批判し続けているとどうなるかというと、他者からの批判を恐れて大胆な挑戦ができなくなります。他人を批判することで、他人から批判されることに怖れ続ける人生を送ることになるのです。批判ばかりしている人は、不幸や不運ばかりを引きつけ、死ぬまで批判し続けるという哀しい人生になります。批判されないように、威圧的な態度をとり続け、他者から愛されない寂しい日々を送ることになります。

 心が満たされている幸せな人は、不要な批判をしません。


精神科医が「批判はすべて受け流していい」と言い切る納得の理由 より引用します。

 批判や悪口は、心理学でいう「投影」であるだけです。何かが起こったときに人のせいにしているだけなのです。投影は未熟な防衛機制の1つです。

 他人の弱点や欠点を見つけて批判ばかりするのは、実は自分の心が不安で退行していることを意味します。他人の批判をしても何の得にもなりませんが、自尊感情が低すぎるあまり、心が疲れてそのことに気づくこともできません。

 誰かに攻撃された場合、相手がこちらに自分の嫌な部分を“投影”しているという事実を忘れないようにしましょう。相手が未熟な防衛機制を使った理由は、本人が自らに不快な感情を抱いているからです。

引用ここまで

 「相手が未熟な防衛機制を使った理由は、本人が自らに不快な感情を抱いているからです」ということがわかっていると、責められたときに心理的中間位を保つことができます。

脳科学的には、つい悪口を言ってしまう原因はドーパミンが放出されて快楽を感じるからです。また、脳は悪口が誰に向けて言われているものか理解できないため、悪口を言っている自分自身や、悪口を聞かされる相手の脳にストレスを与えてダメージを蓄積させます。


 批判ばかりする人の2年間を観察してみて、姿勢や動き、そして表情の歪みが加速度的に進行することに驚いています。呼吸と動きと姿勢を改善する第一歩は、「自分は正しい」という自身の思い込みに目を向け、自分の心が不安で退行しているのではないかと疑い、自分の嫌な部分を相手に投影していないか精査することだと思います。

2024年12月16日月曜日

先入観や仮説を肯定するため、自分にとって都合のよい情報ばかりを集め、思い込みや願望を強化していると詰みます。

 問い合わせがあったので、記事にします。

確証バイアスとは

 自分の思い込みや願望を強化する情報に注目し、そうではない情報は軽視してしまう傾向です。認知心理学や社会心理学で取り上げられるバイアスのひとつで、政治や経済、ビジネス、SNS、日々の実生活など、さまざまな場面で起こります。自分がすでに持っている先入観や仮説を肯定するため、自分にとって都合のよい情報ばかりを集める傾向のことです。

確証バイアスの例

 相手の性格について「社交的な人」といった事前情報を得ていると、社交的という自分の予想と一致する相手の言動により着目しやすくなる。

 血液型と性格の関係について、相手の血液型がAB型だとわかると、一般的によく言われる特徴である「AB型は自由奔放、二面性」という情報にばかり目がいき、他の情報が見えなくなってしまう。

 問題のある恋人と別れられない場合、「悪い点を見ようとせず、よい点ばかりにこだわって交際を続けてしまう」といった確証バイアスが働いている可能性がある。

確証バイアスに陥らないために

・情報の出所が偏っていないか、視点や視野が限定されていないかを確認する。

・客観的で冷静に情報を精査する。

・自分の主張を否定する情報や証拠がないかを調べる。

・多様な人と意見交換する。


非合理的な信念とは

 臨床心理学者のアルバート・エリスが提唱した「論理療法」における中心概念のひとつで、「イラショナル・ビリーフ(Irrational belief)」とも呼ばれます。

「○○すべきである、○○でなければならない」といった教条主義的・絶対論的な信念を指し、次のような特徴があります。

・根拠がないのに真実だと決めつける(レッテル貼り)

・物事を0か100か、白か黒かでしか判断しない(白黒思考、all or nothing)

 非合理的な信念は、情緒不安定や無気力、うつや病気などを引き起こす原因にもなります。たとえば、「全員と仲良くしなければいけない」という信念を持つと、相性が悪い人とも無理して話を合わせたり、気が乗らない誘いも断れなかったりして、精神的にも肉体的にも疲れてしまいます。


メタ認知(Metacognition)とは

 自分の思考や感情、知覚などの認知活動を、客観的な視点から捉え、冷静に判断する能力です。

「メタ」は「高次の」「より上位の」という意味の接頭語で、「認知(cognition)」は推理や思考に基づいて物事を理解したり、判断したり、解釈したりするプロセスを意味します。

メタ認知能力を高めるメリット

・自己改善や学習効率の向上

・人間関係の悩み事の改善

・前向きに行動しやすくなる

・仕事の効率や生産性の向上

・コミュニケーション能力の向上

メタ認知能力を高める方法

・自分自身の価値観を深掘りし、客観視するための「意見、経験、感情、価値観」の4つの視点から自分自身を探求する

・日々の日記や日報を書くことで、自分の思考や振る舞いを客観的に見つめる

2024年12月12日木曜日

腹圧とは? 体幹の安定性、脊椎の安定性とサポート、臓器の保護など、さまざまな身体機能に不可欠です。

 12月13.14.15日(金・土・日)の東京ワークショップの補助資料の内容です。

腹圧(ふくあつ)

 腹腔内にかかる圧力のことで、腹筋や横隔膜などの筋肉が収縮することで高まります。腹圧は、姿勢や体の動き、生命活動に大きく関わっています。腹腔内圧(IAP)とは、腹腔内の圧力のことです。腹壁や、筋肉、筋膜、結合組織などのそれらを囲む構造に対して、腹部臓器が及ぼす圧力です。


腹腔内圧の生成と調節

腹筋

 腹直筋、腹横筋、腹斜筋、骨盤底筋などの腹筋の収縮は、腹腔内圧の生成と調節に寄与します。

横隔膜

 胸部と腹部を隔てるドーム状の筋肉である横隔膜も重要な役割を果たします。呼吸中、横隔膜は収縮して下方に移動し、腹腔内の容積を増加させ、その結果、腹腔内圧に影響を与えます。

内臓内容物

 胃、腸、肝臓などの腹腔内の臓器も圧力に影響します。これらの臓器の容積や位置の変化は IAP に影響を及ぼす可能性があります。


腹圧の役割

・排尿や排便、分娩を助ける

・姿勢を改善する

・体幹を安定させる

・手足の動きを可能にする

・ケガの予防につながる

 腹腔内圧の調節は、体幹の安定性、脊椎のサポート、臓器の保護など、さまざまな身体機能に不可欠です。特に、持ち上げる、押す、引っ張るなどの動作や、脊椎の安定性とサポートを必要とする動作を行う際には重要です。

腹圧を高めるには?

 腹横筋、横隔膜、骨盤底筋群、多裂筋などのインナーマッスルをバランスよく強化することが大切です。腹圧を高めると、胸を張った良い姿勢になり、上半身がお腹に乗って安定した状態になります。

腹圧

 キャニスター ポジションでは、腹腔内圧が適切に維持されるため、脊椎は完全な位置合わせを維持します。横隔膜は角度が水平のままで、骨盤は中立で、脊椎自体は直立して積み重ねられています。シザー ポジションでは、脊椎は腰部で伸展し、骨盤は傾斜して角度が付き、横隔膜は斜めになっており、これらすべてが腰椎とその関連する解剖学的構造への過剰な圧縮に寄与しています。

 腹圧が高まると、体の中のものを押し出す力が働き、便を出したり息を吐いたりすることができます。また、ゴルフのスイングにおいては、腹圧を高めてコア(腰骨や骨盤のあたり)を安定させることで、安定したスイングをすることができます。

 一方、腹筋や腹壁の靱帯が弱い場合は、腹圧が高くなった際にヘルニア(臓器が本来の位置から飛び出る病気)になることがあります。


腹腔内圧を最適化する

呼吸法

 横隔膜呼吸を練習します。深く息を吸い込み、横隔膜を下げて腹部を膨らませます。この方法は横隔膜を働かせ、腹腔内圧をより適切に制御するのに役立ちます。

体幹の強化

 横腹筋、腹斜筋、骨盤底筋などの体幹の筋肉を強化します。プランク、バードドッグ、デッドバグ、ブリッジなどのエクササイズは、これらの筋肉を活性化し、強化するのに役立ちます。

ブレース テクニック

 体幹を効果的にブレースする方法を学びます。リフティングの前や安定性を必要とする活動中は、通常の呼吸を維持しながら、パンチを受ける準備をするかのように腹筋を収縮させます。これにより、腹腔内圧が増加し、脊椎が安定します。

漸進的負荷

 ウェイトを持ち上げるときは、軽い負荷から始めて、徐々に重量を増やします。正しいフォームを維持し、体幹を動かし、動作全体を通して呼吸をコントロールして、IAP を最適化することに重点を置いてください。

マインドフルな動き

 日常の活動中に姿勢と体の動きに注意を払います。座ったり、立ったり、物を持ち上げるなどの作業を行うときは、体幹の筋肉を動かして背骨を支えます。

息止めを避ける

 激しい運動や重いものを持ち上げる際は、長時間息止めを避けてください。その代わりに、腹腔内圧をコントロールするために体幹の筋肉を動かしながら、一定の呼吸パターンを維持してください。

姿勢矯正

 腹腔内圧に影響を与える可能性のある姿勢の問題に対処します。背中と体幹の筋肉への不要な負担を軽減するために、正しい姿勢で座ったり、立ったり、動いたりするようにしてください。


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慢性的な痛みと呼吸。腹斜筋群の過活動がみられる努力呼吸の人に慢性腰痛や肩関節~上肢の痛みがみられる。

 12月13.14.15日(金・土・日)の東京ワークショップの補助資料の内容です。

 呼吸筋

 肺が納まっている胸郭の運動に関与する筋肉で、吸気や呼気を可能にする筋肉です。主な呼吸筋は横隔膜と肋間筋で、胸やおなか、背中などにも存在します。

 呼吸筋は骨格筋で、運動神経の支配を受けているため、随意的に収縮させることができます。そのため、呼吸を一時的に止めたり、大きくしたりすることができます。

 呼吸筋が弱まると、日常の動作でも息切れをおぼえ、呼吸も十分にできなくなります。


呼吸筋の働き

吸気

 横隔膜が収縮すると胸郭が広がり、胸腔内圧が下がることで空気が肺の中に入ります。安静時の吸気の約70%は横隔膜の収縮によって起こり、これを腹式呼吸といいます。

呼気

 呼吸筋が弛緩すると、肺は自然に収縮します。安静呼吸では内肋間筋が収縮せずに、外肋間筋や横隔膜が弛緩するだけで呼気が行えます。


安静時呼吸

 日常座っているときなど、安静な状態で行われる呼吸です。横隔膜や外肋間筋などの傍胸骨肋間筋群、斜角筋群の周期的な収縮と弛緩を繰り返すことで、胸腔内圧を陰圧に保ちながら呼吸が行われます。

①横隔膜が収縮して肺が膨らみ、吸気が行われます。

②横隔膜が緩み、拡がった胸郭の弾性力で呼気が行われます。

 安静時呼吸の量は、1分間に約16回程度で、大人の男性では6400~8000ml、小学生では3200~4800mlの空気を吸います。

 

努力呼吸

 呼吸困難などの際に、安静時に使用されない呼吸補助筋を動員して行う呼吸です。激しい運動など負荷のかかる活動時に必要な酸素を取り込むために、横隔膜の活動だけでは足りず、首や肩、鎖骨周囲の筋肉や背筋なども使われます。胸鎖乳突筋、内肋間筋、腹筋などの補助呼吸筋を使用します。

 胸腔内圧は、呼気時全体を通じ陽圧となります(安静時は呼気終末を除き陰圧)。

 努力呼吸では、胸郭や肩が大きく動き、大量の酸素を取り入れるために効率の悪い呼吸を行います。長い期間行っていると筋肉が使い過ぎで疲労がたまり硬くなってしまうため、ストレッチングや腹式呼吸、口すぼめ呼吸などの呼吸法を習得して、楽な呼吸ができるように練習しましょう。


口すぼめ呼吸

 鼻から息を吸い、口をすぼめてゆっくりと息を吐き出す呼吸法です。息を吐くときに口をすぼめることで、気道を広げ、肺の中の汚れた空気を出しやすくなる効果があります。

①リラックスして鼻から息を吸い込む

②口笛を吹くように口をすぼめる

③吸った時の2倍の時間をかけてゆっくりと息を吐き出す

 口すぼめ呼吸は、息切れを緩和させる効果が期待でき、呼吸リハビリテーションの手技として用いられます。喘息発作や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの病態に有効で、運動後など少し息が切れているときに行うことで呼吸を楽にすることができます。


慢性疼痛との関連

 ストレスによる交感神経機能が優位な環境に至り、交感神経活動異常による安静時筋緊張が亢進すると、呼吸は浅くかつ速くなり吸気が強調され換気効率が低下することがあります。

 横隔膜が収縮すると、骨盤底筋の活動が調節されます。横隔膜の収縮不全が生じると腹腔内圧)が低下し、脊椎骨と骨盤の安定性が阻害され腰部疼痛や肩関節~上肢にまで悪影響を来たす原因となることがあります。

 慢性腰痛を訴える人を観察してみると、特に腹斜筋群の過活動がみられます。腹斜筋群の過活動により、吸気における胸郭の挙上と胸腰椎の伸展の可動性に制限を来たし、さらには腹横筋のコントロールもできなくなっています。

 腹斜筋群の活動を抑制する呼吸の練習をすることで、胸郭の可動性が確保され、腹横筋の収縮を促すようにすることが大切です。


胸郭の拘縮によって吸気ができない人

 深く呼吸しようとして、背部周囲の筋緊張を助長してしまうことがあります。逆に、痛みを増強させてしまいがちです。健常者における安静時呼吸は通常横隔膜や外肋間筋などの呼吸筋の収縮と弛緩によってのみおこなわれ、胸腔内圧は呼気終末を除き陰圧に保たれています。それに対して努力呼吸では、吸気時には胸鎖乳突筋などの補助呼吸筋を用い、呼気時には内肋間筋や腹筋を活動させていて、呼気時全体を通じ胸腔内圧は陽圧となります。

 安静時は、横隔膜や外肋間筋などの呼吸筋の収縮と弛緩によってのみ呼吸が行われるようにしましょう。


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2024年11月28日木曜日

12月の安部塾ワークショップの内容について

 息を吸うときに横隔膜が収縮すると骨盤底筋が緩みます。息を吐くときに横隔膜が緩むと骨盤底筋が収縮します。
呼吸と横隔膜・腹横筋・骨盤底筋群

 12月の各地のワークショップのテーマは『呼吸(breathing)』です。

 呼吸と骨盤底は、お互いに対称的に機能するように設計されています。肋骨の下部には横隔膜と呼ばれる筋肉があります。これはドーム屋根のように腹部の上部全体を横切っています。息を吸うと、この筋肉が腹部の方に下降して圧力がかかります。これにより、腹部、肋骨、背中、骨盤底が拡張してこの圧力を吸収します。つまり、息を吸うと、肛門・膣にわずかな下向きの圧力または伸びを感じることになります。これを横隔膜呼吸と呼びます。 

 しかし、この呼吸の調整がうまくいっていない人がいます。鏡の前に立って、息を吸っている自分の姿を観察してみましょう。

胸は上下しましたか?

お腹は膨らみましたか?

腹は引っ込みましたか?

 息を吸うときに、空気を肺の底まで送り込むのではなく、お腹・背中・肋骨・股間を広げて吸い込む人がいます。これは、骨盤底が吸気時に本来あるべき「ストレッチ」をまったく得られていないことを意味します。骨盤底の 18 個の筋肉すべてが適切な長さの緊張比を維持し、緊張しすぎたり短くなりすぎないようにする必要があります。 

 骨盤底が過度に緊張したり短縮したりすると、筋肉が可動域全体を動かせないために、痛み、漏れ、衰弱、脱出などの症状を引き起こす可能性があります。 

 息を吐くときは、その逆のことが起きます。横隔膜は肋骨に向かって上昇し、腹部/肋骨が引き込まれ、骨盤底が上昇します(わずかに収縮します)。この収縮は、笑ったり、咳をしたり、くしゃみをしたり、ジャンプしたりするときに増加する圧力に「対抗」するのに役立ちます。

 まとめると、息を吸ったときは横隔膜が収縮して下方に移動し、腹腔内圧が上昇して骨盤底筋が下方に偏心的に伸びます(または伸張します)。息を吐いたときは、横隔膜が弛緩して上方に反り返り、骨盤底筋もこれを反映して上方に反り返ります。この協調運動は、体幹の安定性を維持し、骨盤内臓器を支え、骨盤筋が最適に機能するために不可欠です。

 姿勢は、横隔膜と骨盤底の適切な機能を促進する上で大きな役割を果たします。胸郭が骨盤の上に積み重なり、その逆もそうであることを確認することが、骨盤底の動きを最適化する鍵となります。

 12月のワークショップの内容は以下の通りです。

①横隔膜呼吸

②腹式呼吸

③胸式呼吸

④腹式呼吸と胸式呼吸

⑤呼吸と肩甲骨

⑥呼吸ストレッチ

⑦呼吸と脊柱の屈曲・伸展/側屈

⑧呼吸とスクワット

⑨呼吸と腕立て伏せ 


飯塚ヨガワークショップ 

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機能運動学大牟田サークル 

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2024年11月1日金曜日

11月の安部塾ワークショップの内容について。足趾(あしゆび)と骨盤底筋群と横隔膜と大腰筋の関係など。

  11月の安部塾ワークショップは『基本の徹底』ということで……

①足趾(あしゆび)と骨盤底筋群の関係(足底アーチと体幹)

②呼吸と骨盤底筋群の関係(息を吐くときに骨盤底筋と横隔膜を引きあげる)

③横隔膜と大腰筋の関係(膝をあげるときに息を吸い、おろすときは息を吐く理由~大腰筋の収縮が吸気を促進)

④歩行とお尻とお腹の関係(骨盤を意識した歩き方)

⑤足関節と距骨の関係(距骨の動きの改善)

⑥開脚と距骨の関係

⑦肩甲骨と上腕骨の関係

……という内容を解説したいと思います。地味ですが、わかっていないともったいない基本的な知識や意識についてお話したいと思います。

 11月4日(祝)の歩行改善ワークショップは、効率的で安全な身体の使い方について解説します。

☆下関ワークショップ 

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機能運動学大牟田サークル 

11月3日(日) → 詳細 

 

☆新宮校歩行改善ワークショップ

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2024年9月17日火曜日

自信がなく嫉妬心に支配されていると、頭部前方位姿勢になりやすい。嫉妬は怒りと結びつきやすい。

頭部前方位姿勢

 妬みやシャーデンフロイデと心拍活動との関連1,2,3より

 私たちは自分が手を下すことなく他者が不幸な状況に陥った際に、それを見たり聞いたりすることで喜びを感じることがある。この感情のことをシャーデンフロイデと呼ぶ。シャーデンフロイデはドイツ語で「損害」「不幸」などを意味する“schaden”と「喜び」を意味する“freude”を合わせた言葉であり、日本語では「他人の不幸は蜜の味」という言葉で表現されている。

 要因の中でも最も注目されているのが妬み感情であろう。妬み感情は、他者が享受する望ましい特性に気づくことによって生じる、劣等感・敵意・憤りによって特徴づけられる、しばしば痛みを伴うような不快な感情として定義される(Smith & Kim, 2007)。この妬み感情が経験される対象に対してシャーデンフロイデが喚起されやすいことは多くの研究で示されている。

 澤田(2008)はターゲット人物に対して妬み感情を抱かせることでシャーデンフロイデが喚起されることを報告している。その他にも復讐心(澤田・葉山,2009)や顕在的・潜在的自尊感情(藤井・澤田,2014; 渡邊,2014)などとの関連が検討されている。

 実験の結果,ターゲット人物が優位な立場かつ自分との関連性が高いほど妬みが強く喚起されていた。そして、強い妬みを抱いているほど前帯状皮質の活性化が強いことや、妬みを抱いた対象に不幸が起こった際にシャーデンフロイデを感じているほど報酬系の一部である腹側線条体の活性化が強いことが示された。

 また,Cikara et al.(2011)では,fMRIを用いた実験により、スポーツ観戦中の応援チームとライバルチームの成功と失敗の場面を目にしたとき、ライバルチームの失敗(つまりライバルチームに対してシャーデンフロイデを感じていると考えられる状況)の時に、応援チームの成功の時と同様、腹側線条体が活性化されることを報告している。その他にも、ikara & Fiske(2012)は表情筋電図解析により,自分よりも優れており競争関係にあるターゲット人物に不幸が降りかかった場合、そうではないターゲット人物と比べた場合よりも参加者に笑顔の表情表出が多くみられたと報告している。

 本研究の目的は,シャーデンフロイデと心拍反応の関連を明らかにすることであった。まず、主観的な妬みとシャーデンフロイデの強さについての仮説1は支持された。つまり,主人公よりも優れた能力や地位等を持ち、主人公との関連性の高い優位条件のターゲット人物に対しての妬みの方が、主人公と同様の平均的な能力や地位等を持ち、主人公との関連性の低い平均条件のターゲット人物に対しての妬みよりも強く喚起されていた。

 また、強く妬みを感じた優位条件のターゲット人物に対してのシャーデンフロイデの方が、平均条件のターゲット人物に対してのシャーデンフロイデより強く評定されていた。これらは先行研究(Takahashi et al., 2009)と同様の結果であり、本研究でも妬みとシャーデンフロイデを喚起することに成功していたと考えられる。

 仮説2と仮説3は支持されなかった。優位条件と平均条件のターゲット人物の間でその人物が不幸になるシナリオを見ている時の心拍数の変化に差は見られず、主観指標と心拍数との相関も見られなかった。これらは単に有意差が見られなかったというだけでなく、効果量も比較的小さい傾向にあった。また、妬みに対する探索的検討においても心拍数の条件差は見られなかった。つまり本研究の結果は,妬みやシャーデンフロイデの感情と自律神経系との関連が弱い可能性を示している。しかし,本研究は心拍のみによって自律神経系の反応を測定していることに注意が必要である。末梢の皮膚血管や汗腺を支配している皮膚交感神経の反応など,他の指標を用いて自律神経系との関連を検討する必要がある。

引用ここまで


シャーデンマッハ―

 他人を不幸に貶める(おとしめる)行為を実際にしてしまう人を指します。 不幸の作り手。シャーデンフロイデは外部への影響を与えない感情であり、直接的な行動によって他人を不幸に陥れようとする人々は「シャーデンマッハー」と呼ばれます。

 人の不幸を願ってばかりいたりとか、人を不幸に貶めることにばかり力を注いでいたりすると、自分が人から嫌われる人になったり、自分自身が不幸になりやすい人になってしまうことになります。

「不幸は道連れを欲しがる」

 メンタルがやられているとき、楽しそうな他人(喜び、成功、幸せ)が羨ましくて、より一層落ち込みがちになります。このとき、楽しそうな他人の足を引っ張りたい気持ちになると闇堕ちします。


 ここで、楽しそうな人たちを観察してみましょう。誰かのことを推している(応援している)のがすぐに観測できるはずです。楽しくなさそうな人たちを観察してみると、妬んでいる誰かの不幸を願っているのが観測できるはずです。下手すると、不幸に貶めるべくいろいろと画策していたりします。

 嫉妬に駆られているときは、感情的になり、相手に怒りをぶつけたり、自暴自棄になってしまいがちです。嫉妬は怒りと結びつきやすい感情なため、暴言、暴力、自傷行為に結びつきやすいのです。

 自己肯定感が不足していると、嫉妬しやすくなります。自己肯定感が充足していると、「自分には魅力があるから大丈夫」という安心感の元、嫉妬することなく相手と付き合うことができます。

 自信がなく嫉妬心に支配されて怒り狂っている人の特徴として、「自分アゲ、他人サゲ」という行動原理が徹底しているということが観察できます。闘争反応がそうさせるわけですが、結果的に首が詰まって頭部前方位姿勢となります。

https://meowyjanes.com/how-do-i-know-when-my-cat-is-angry/

  というわけで、ほんとに姿勢を改善したいのであれば、自分より優れている人を見て「尊い」と感じたり、楽しそうな人を応援したりして、嫉妬とは無縁な生活を送るのが基本だと考えています。

2024年9月12日木曜日

変わりたいのに変われないのはなぜなのか?

 ホメオスタシス(homeostasis)=恒常性維持機能

 例えば、真夏でも真冬でも、外界の気温の変化に関わらず、人間の体温はおおむね37℃前後に保たれています。人体は、さまざまな物質が体内で化学変化を起こし続ける化学工場なのですが、化学反応において温度というのはシビアな影響があるためです。夏のエアコンをやたらと寒がる人や、冬に重ね着をし過ぎる人は、体温が乱高下することにより体調不良に陥りやすいのがわかります。

 細胞レベルら臓器レベル、免疫システムまで、体内を一定の環境に維持しようとするのは、ホメオスタシスです。「このままの自分でい続けよう」とします。

 ホメオスタシスは身体レベルに限らず、心理レベルでも同じ現象が起きていると考えられています。外側が変化しても、ココロの内側を一定に維持しようとする機能が働いているということです。

 現状維持のホメオスタシスは、人生が好調で楽しい時にはありがたいのですが、不調で苦しいときにはつらいものになります。

 現在の苦しいホメオスタシスを脱出し、新たに楽しいホメオスタシスに移行するという方向性を選択するのが良いと思います。

 思考だけ新たにしようとしてみても、身体レベルがいままでのままなら、そう簡単に移行することはできません。そして、身体レベルのホメオスタシスというものは、変化に対して恐ろしく頑固です。


コンフォートゾーン(comfort zone)=居心地のよいゾーン

 ホメオスタシスが機能して、身体的にも心理的にも安楽な状態を意味します。 居心地が良い現状維持のゾーンという感じです。現状を維持して生き延びようとする生命力の一面といえます。

 逆に、現状を変えて生き延びようとする生命力の一面があります。コンフォートゾーン(居心地が良い現状維持の世界)=幸せな世界ではないので、さっさと抜け出した方が方が良いのです。コンフォートゾーンとは、肉体的・心理的に自分が楽に自然にしていられる、慣れ親しんだ領域から抜け出すと、世界が広がります。


意識的な努力は必要ない

 現在の自分を変えるために、無理やりコンフォートゾーンを変化させると、すぐにホメオスタシスの働きで元に戻ってしまいます。その行為や行動を努力と感じているということは、居心地が悪い不快な状態なわけなので、反動がきます。おつりがついてくるので、状況はさらに悪化します。


望む未来の方向からゴールを設定する

 「過去の記憶や考え」の方向からゴールの設定をするのではなく、「未来の理想的な状態や状況の側」からゴールを設定すれば、努力と感じない行為や行動をとることができます。


変わらないことを望む人びと

『田舎はいやらしい 地域活性化は本当に必要か?』花房尚作/著

田舎には「変わらないことを望む人びと」がいる。日本の「地域活性化政策」が見落としていること|花房尚作『田舎はいやらしい』

 たとえば過疎化した地域は、変革をあまり好まない傾向にある。地方自治そのものがチャレンジを敬遠しており、補助金に頼った受け身の政策になりやすい。公務員や補助金事業者たちの既得権益を守る意識や住人たちの保守的で閉鎖的な意識が背景にあるという。地域活性化を望んでいるという主張はあくまでも建前で、過疎地域に暮らす人びとは現状維持という名のゆるやかな後退を望んでいるという側面がある

 「結局のところ、私は過疎地域の現実が見えていなかった。過疎地域を知っているつもりでいて、じつはまったく知らなかったのである。つまり、知らないということを知る結果となった。それは、過疎地域の人びとは、都心の価値観を受け入れる気がないから過疎地域で暮らしているという単純な事実だった。」

 地域の活性化が叫ばれるようになって久しいが、そこには「変わらないことを望む人びと」が暮らしていることを見落としてはいけない。

引用ここまで


 「変われないでいるのは、自らに対して『変わらない』という決心を下しているから」です。一生懸命変わらないと決心しているから変われないということです。もし変わりたいのであれば、変わらないでおこうという決心を解除する必要があります。

2024年9月11日水曜日

私たちが持つあらゆる考えはどこかの筋肉に記録されるので、自分自身についての考え方は重要な要素です。通常の動作パターンをやめない限り、何か違うことをするのは困難です。

「誰もが常に何をすべきかを教え、私たちはすべきでないことをやらされ続ける」FM アレクサンダー

  あらゆる思考が筋肉の動きにつながります。私たちが持つあらゆる考えはどこかの筋肉に記録されるので、自分自身についての考え方は重要な要素です。

 私は、親や学校の先生が、「一生懸命頑張っている」子供を褒めることで、緊張が助長されることが多いと感じてきました。顔に緊張感を持って動いている人を見て、「集中力」として誤認してしまうバグが生じやすくなるようです。表現が誇張されていたり、自然な協調性が妨げられたりしている人を観察してみると、それがよくわかるかと思います。

 筋肉の努力は、邪魔になる思考を排除することはできません。筋肉の努力は、すぐに、あるいは時間をかけて感覚を生み出すため、実際にはより多くの注意散漫を生み出し、目の前の仕事に集中する能力を低下させることになります。

 協調性やパフォーマンスを損なうような行動を控え、意識的に抑制を使うようにします。そうすることで、異なる質の行動の機会が生まれます。抑制により、行動に移る前に協調性に注意を向ける余裕が生まれます。

 抑制は、習慣的、衝動的、または反応的な反応を変える余地も与えてくれ、新しい行動方法を生み出すプロセスとなります。抑制は非建設的な思考を修正する可能性もあり、思考の流れを追う習慣を抑制し、意識的に別の方向を選択することができます。  

 考え方が変われば、必然的に動きも変わります。その逆もまた然りです。たとえば、肩を前に巻く癖がある場合、解決策は肩を後ろに引くことではなく、前に巻くのをやめることです。

 非建設的であると認識したものは何でも、より効果的なものに道を譲るために抑制することができます。通常の動作パターンをやめない限り、何か違うことをするのは困難です。

 新しいことよりも停滞を選ぶという自然な性向がある人には、抑制が有効です。抑制することでマンネリ状態から抜け出すことができ、心や身体への執着を避けることができます。何かがうまくいっていないかどうか確信が持てない場合でも、調整の悪い習慣に陥ることを避けることができます。パターンが習慣的であれば、それが普通に感じられる可能性が高く、悪影響がわかりにくい可能性があるため、これは便利です。抑制の瞬間は、方向性を決める余地を与えるために必要です。

 「方向づけ」とは、質や方向性を選び、身体に詳細を管理させることです。方向とは思考です。直接筋肉に働きかける意図ではありません。筋肉の反応は多少ありますが、あなたが動かしているというよりは、体が動かしているように感じるかもしれません。私たちは、身体の姿勢の知性を活性化するために指示を使用しています。指示は、私たちが望むことについて身体に明確なメッセージを与えるものであり、行動の実行を妨げるものではありません。

 最初に指示すべきことは、脊椎に対する頭の調整です。 抑制行為として「首を自由にする」、方向として「頭を前と上に上げ、背中を伸ばして広げる」ようにします。頭と背骨の関係がうまく調整されているということは、手と腕の特定の動きがうまくサポートされていることを意味します。各作業の詳細に関する指示は必要ですが、二次的なものです。

 抑制はやりすぎを阻止し、指示はやりすぎを阻止します。抑制と方向は独立して存在することはありません。それらは同じコインの裏表であり、切り離すことはできません。

 観察によって、各瞬間、目の前の仕事において何が少なすぎ、何が多すぎるかがわかります。問題のある習慣的な行動を回避するために抑制が役立っている場合、その習慣が何をしようとしていたのかを考える価値があるかもしれません。私たちの新しい方向性は、その習慣が苦労していたニーズを満たすものでなければなりません。

 抑制を「何かをしてはいけない」というメッセージとして説明すると、リラックスを求めているように聞こえるかもしれません。しかし、リラックスしすぎると、姿勢や行動のエネルギー的ニーズを満たすことは期待できません。抑制の役割はすべてを止めることではなく、新しい方向が機能できるようにすることです。

 抑制は「これをするのをやめなさい」から「代わりにこれをしなさい」へと再構成されます。私たちが選択するものは、新しい意図に「これをするのをやめなさい」が暗黙的に含まれるように、古いパターンと全面的に矛盾していなければなりません。何かがうまくいっていないことに気づいたら、やろうとしていることを何でも抑制してみましょう。

2024年9月10日火曜日

耳たぶの真下、鼻の底に指を当てると、そこが頭と背骨が連動して前後にうなずく軸になる。

 「あなたはここで練習をしたり、正しいことを学ぶためにいるのではなく、常にあなたを間違えさせる刺激に遭遇し、それに対処する方法を学ぶためにいるのです。」FMアレクサンダー

頭部の軸と重心

 頭と首/背骨の関係に重点を置くのは当然のことです。頭は重いからです。頭の重さは最大 5 ㎏にもなります。砂糖 5 袋分、またはボーリングのボール 1 個分と考えてください。首、背中上部、肩の筋肉で支えたいものではありません。ありがたいことに、首を背骨の上でバランスよく支えていれば、支える必要はありません。首を背骨全体の一部として考え、別の存在として捉える必要はありません。

 頭は、多くの人が思っているよりもずっと高い位置で脊柱の上でバランスをとっています。耳たぶの真下、鼻の底に指を当てると、そこが頭と背骨が連動して前後にうなずく軸になります。頭を左右に振るのは、最初の 2 つの椎骨の間で起こるため、頭の動きというよりは背骨の動きであると言えます。

 実際には、頭部(下顎を含む)は 環椎後頭関節(頭蓋骨が脊椎と接する部分)の後ろよりも前に少し長くあるため、首の筋肉を緊張させない限り、重力によって自然に頭が前に転がり、鼻が下に下がります。これは、頭が前に転がるときに、首と背中の筋肉を緩めれば、筋肉がゆっくりと伸びることを意味しているため、素晴らしいことです。心配しないでください。頭が落ちたりはしませんし、頭を固定する必要もありません。重力に逆らうのではなく、重力に助けてもらいましょう。ただし、覚えておいてほしいのは、頭を前に転がすのは素晴らしいことですが、首も前に突き出さないようにすることです。首は、脊椎全体と一体となって伸びるため、後ろに留まろうとします。

 重心は環椎後頭関節のバランス点より前方にあるため、人間の頭は環椎上でバランスを崩し、この関節が蝶番の役割を果たして前に倒れます。四足動物では、頭は下から支えられず脊椎より前方に位置します。この片持ち位置では、重心は環椎後頭関節よりかなり前方にあり、頭部を頭頸部関節で蝶番のように強力に動かします。直立姿勢の人間では、頭は脊椎の上に位置し、重心は四足動物よりもバランス点にかなり近くなります。このため、人間の頭は四足動物の頭蓋骨や類人猿ほどの力を発揮せず、頭を動かしたり支えたりする首の筋肉は、頭を動かしたり環椎上でバランスを保ったりするのに大きな力を発揮する必要がありません。

 直立姿勢を支えるためには、背中の筋肉が頭と背骨を積極的に支えなければなりません。同時に、首の筋肉が長さの点で伸びて引き締まるように、頭が前方に積極的にバランスを取らなければなりません。この意味で、直立姿勢には筋肉と頭のバランスの両方が関係しています。姿勢は背中の伸筋と小さな脊柱筋によって維持されます。そして、首と背骨の筋肉に作用する頭のバランスは、筋肉を伸ばす効果があります。直立姿勢を支えるには、筋肉と骨格の力の両方が必要です。筋肉がなければ、骨格に作用する力はありません。頭の前方バランスがなければ、首の筋肉が頭に作用する下向きの引っ張りに対抗する慣性力はありません。

 姿勢は骨と筋肉の自然なバランスのとれた働きによって決まり、効率的な力を生み出す必要があります。







2024年9月6日金曜日

古い習慣を避けて新しい行動パターンを作り出すには、自己分析と粘り強さが必要です。

「頭を使えば、数分で一生の習慣を捨てることができる」– フレデリック・マティアス・アレクサンダー

「自分の体を繰り返し観察することで、問題を引き起こしている可能性のある、あるいは引き起こしている不随意な特徴を特定することが可能になる」 – フレデリック・マティアス・アレクサンダー

自己反省と粘り強さがあれば、古い習慣を捨てて新しい生き方を受け入れることができます。

 痛みや苦痛の根本原因について考えたことがありますか?  肩こりや腰痛が無意識の習慣的な反応によって引き起こされているのではないかと考えたことはありませんか?  ストレスに対する身体的な反応は、あまりにも自動的になりすぎて、気づかなくなってしまっていることがあります。結果、苦痛や不快感が生じ、それがどこからともなく現れたように見えることがあります。

 自分の身体を繰り返し観察することで、問題を引き起こしている可能性のある、または引き起こしている無意識の特性を特定できます。いったん認識することができれば、これらの特性は忘れて、望ましい習慣に置き換えることができます。

意識的なコントロール

 努力をしないことが鍵です。徐々に意識を高めることで、ストレスの原因となっている無意識の習慣を意識領域に持ち込み、コントロールすることが可能になります。心と体は切り離すことができません。

 固定された習慣を避け、建設的で意識的な選択を行うことで、自分にとって自然な気楽さとバランスを取り戻し、自然が意図したとおりに、より流動的に動くことができます。一般に信じられていることとは反対に、テクニックの焦点は姿勢を強制することではありません。

 自分が何をどのように行うかに注意を向け、それを常に注目させ、望ましい変化が直感的に起こるようにすることが肝要です。単にそれに気づくだけで、余分な緊張を解き放つことができます。

自由に動く

パフォーマンスの向上は、この練習の喜ばしい結果であり、日常生活の多くの側面で前向きな気持ちのきっかけにもなり得ます。精神的なメリットとして、落ち着きが増し、思考が明晰になり、選択がうまくできるようになります。

 最も大切なことは、頭と体の他の部分との関係、そして首の筋肉の不適切な緊張を解消し、首を自由にすることです。

 頭を不自然な角度にすると、脊椎や体の他の部分に負担がかかるのは避けられません。脊椎の上で頭のバランスが崩れると、私たちの機能の他のすべてに悪影響を及ぼします。

 半仰向けに横たわることは、体のバランスを取り戻しながら、意識的にリラックスする方法です。この姿勢では、立ち止まり、考え、呼吸することができます。

 人間は習慣の生き物であり、古い習慣を避けて新しい行動パターンを作り出すには、自己分析と粘り強さが必要です。意識的であることには責任が伴いますが、それと同時に大きな変化を起こす力も伴います。私たちが蓄積した習慣を忘れ、自由に楽に動く方法を再学習することが重要なのです。


☆東京ワークショップ

9月6・7・8(金・土・日)→ 詳細  

 

飯塚ヨガワークショップ 

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2024年9月5日木曜日

「間違ったことをやめれば、正しいことが起こる。」不調は、時間をかけて身につけた無意識の習慣から生じます。

 

The Alexander Technique Manual: Take Control of Your Posture and Your Life

「間違ったことをやめれば、正しいことが起こる。」 – F. M・アレクサンダー

 肩が痛い、腰が痛い、首が張る、呼吸が浅いなどの症状を感じていませんか? 

 これらのよくある不調は、時間をかけて身につけた無意識の習慣から生じます。これらを変えるには、まずその習慣に気づく必要があります。

 アレクサンダーテクニックの重要な原則であるプライマリーコントロールは、頭、首、背中の関係と、それが協調と動きの自由において果たす重要な役割を指します。現代生活の要求に反応して蓄積された不必要な筋肉の緊張の習慣を「忘れる」ということです。

建設的休息

建設的休息

 とても簡単で、基本的には横になるだけです。具体的には、膝を上げて上を向き(腰への圧力が軽減されるため)、足を床に平らに置き、頭を何か固いもの(通常は本)で持ち上げて支えながら仰向けに寝ます。壁に背を向けて立つと、頭が壁に実際に触れていないことに気づくでしょうが、これは正常です。そのため、仰向けに寝ているときは頭を支える必要があります。重力によって頭が自然に床に向かって引っ張られ、首に過度の負担がかかります。

 私たちはひとりひとり、体型やサイズが異なるため、本(または複数の本、ヨガブロックでも十分です)を使用するのが一般的です。少し試行錯誤すれば、自分に合ったサポートの高さを簡単に見つけることができます。サポートが低すぎるよりも少し高い方が良いです。クッションが適さない理由は、柔らかい土台では頭が完全に支えられているように感じられないため、首の筋肉が完全に緩みにくくなるためです。

 このように横たわることは、背骨を重力に任せ、筋肉の緊張に気づき、それを解放する機会を与えるのに適した中立的な姿勢です。心の質が身体に及ぼす影響を探る機会を与えてくれます。


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