ブラウティア菌(Blautia属)は、人間の腸内に非常に多く生息している常在菌(善玉菌の一種)です。近年の腸内細菌研究において、「肥満を防ぐ菌」や「長寿に関わる菌」として世界中から大きな注目を集めています。
1. ブラウティア菌の主な特徴
ブラウティア菌は、健康な成人の腸内細菌の中でトップクラスの占有率(数%〜10%近く)を占める主要なグループです。酸素を嫌う「嫌気性性菌」であり、主に大腸に住み着いています。最大の特徴は、腸内で「短鎖脂肪酸」を作り出す能力が非常に高い点です。特に酢酸(お酢の成分)や酪酸を多く産生し、これが体に様々な良い影響をもたらします。
2. 期待される健康効果
近年の研究(医薬基盤・健康・栄養研究所などの報告)により、ブラウティア菌には以下のような優れた効果があることが分かってきています。- 肥満・糖尿病の予防(痩せ菌としての働き) ブラウティア菌が作る酢酸は、脂肪細胞への過剰なエネルギー吸収を抑え、代謝を活性化させるシグナルを送ります。実際に、肥満症や糖尿病の人は腸内のブラウティア菌が少ないというデータがあります。
- 炎症を抑える(免疫バランスの調整) 腸のバリア機能を高め、体内の慢性的な炎症を抑える働きがあります。これにより、生活習慣病や過敏性腸症候群(IBS)の緩和に寄与すると考えられています。
- オルニチンの産生 アミノ酸の一種である「オルニチン」を腸内で生成することが確認されています。オルニチンは肝臓の働きをサポートし、疲労回復や肌質の改善に役立つ成分です。
- 日本人の長寿との関連 日本人は欧米人に比べて腸内にブラウティア菌を多く持っている人が多く、これが日本人の健康寿命の長さや肥満率の低さに関係しているのではないかと研究が進められています。
3. ブラウティア菌を増やすには?
ブラウティア菌は「外から生きた菌を摂取する(プロバイオティクス)」のが現状まだ難しいため、「今いる菌を育てる(プレバイオティクス)」アプローチが基本になります。 ブラウティア菌のエサとなり、効率よく増やすとされる食材は以下の通りです。
① 大麦・もち麦(β-グルカン)
大麦に含まれる水溶性食物繊維「β-グルカン」は、ブラウティア菌の大好物です。白米に適量混ぜて炊く「麦ごはん」は、最も手軽で効果的な方法の一つです。
② 水溶性食物繊維が豊富な食材
- 海藻類: わかめ、昆布、もずく、めかぶ(アルギン酸などが有効)
- 根菜・野菜類: ごぼう、オクラ、モロヘイヤ
- イモ類: 里芋、長芋、こんにゃく
③レジスタントスターチ(難消化性デンプン)
小腸で消化されずに大腸まで届くデンプンです。
- 冷ました炭水化物: 冷やご飯、冷やした芋類
- 豆類: 小豆、大豆、インゲン豆
④ 伝統的な発酵食品
日本の伝統的な発酵食品(味噌、醤油、甘酒、ぬか漬けなど)に含まれる成分や、米麹に含まれる糖類も、腸内環境全体を整え、ブラウティア菌が住みやすい環境を作るのを後押しします。
ブラウティア菌は、日々の主食を少し工夫したり(麦ごはんにするなど)、水溶性食物繊維を意識して摂ることで、比較的増やしやすい菌と言われています。