2024年1月31日水曜日

頭部前方位姿勢のときは、良質な睡眠がとれない。不眠や過眠などの睡眠バランスの不調は、陰陽虚実のバランスを整えることで改善する。

 不眠や過眠などの睡眠バランスの不調は、陰陽虚実のバランスを整えることで改善できるという説があります。体内の昼と夜のバランスを整えるとされているのが照海と申脈です。

申脈と照海

 冷えて寝つけない~照海(血流促進)

 体がだるくて眠りが浅い~申脈(過緊張の緩和)

申脈(足外側、外果尖の直下、外果下縁と踵骨の間の陥凹部。WHO:BL62)
   精神不安・不眠・頭痛・腰痛・めまい

照海(足内側、内果尖の下方1寸、内果下方の陥凹部。 WHO:K16 )
   精神不安・月経不順・頭痛・めまい・耳鳴り
 こだわるのであれば、

(陽蹻脈) 申脈 - 後渓 (督脈)  目外、耳後、頬頚、肩、脇肋を治す

(陰蹻脈) 照海 - 列欠 (任脈)  胸、咽喉、肺、膈、肝、腎を治す

後渓 列欠

後渓(手背、第5中手指関節尺側の近位陥凹部。WHO:S13)
   頸部痛・ぎっくり腰・寝汗・咽頭部痛・耳鳴り

列欠(前腕橈側、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間。WHO:LU7)
   頭頸部のこわばり・咳・咽頭部痛

 申脈 - 後渓 / 照海 - 列欠 にアプローチした後は、足関節の動きも良くなり、運動連鎖がスムーズになっているはずです。

足関節の動き

 不眠や過眠などの睡眠バランスの不調がある人は、頭部前方位姿勢であることが多いと思います。申脈・照海にアプローチすることで睡眠バランスが快調になり、頭部中間位姿勢へと改善される現象は、客観的に観察してみると面白いです。

2024年1月30日火曜日

リズムに合わせて動くための小脳による予測的な運動制御メカニズム。スムーズに調整された動作を実行するために必要な距離、速度、可動範囲を制御する。

 私たちが日常で使っている運動スキル(技)の大部分は、脳の学習に由来します。訓練による学習を繰り返すことにより運動記憶が脳に形成され、それを利用することで円滑な運動が実現されます。小脳が障害されるといわゆる運動失調が生じ、運動は不正確になります。運動の学習が小脳皮質の神経回路のシナプス伝達可塑性に起因することが示唆されており、小脳皮質に形成された運動学習の記憶痕跡は、学習を繰り返すと、小脳皮質の出力先である小脳(前庭)核に移動し、そこで長期の記憶として保持され利用されると考えられています。

小脳

こちらの記事、おすすめです。

→ リズムに合わせて身体が動くしくみを解明~小脳による予測制御のメカニズム~(医学研究院・脳科学研究教育センター 教授 田中真樹)

→ リズムに合わせて動くための小脳による予測的な運動制御メカニズム(北海道大学 医学研究院 神経生理学教室助教 岡田 研一)

 私たちは音楽を聴きながら、リズムに合わせて踊ったり手拍子をしたりすることができます。リズムに同期して音と同時に運動するためには、音を聞いてから体を動かすのでは間に合わず、リズムを予測して運動する必要があります

 こうした同期運動の背景には、リズムを予測し、予測に基づいて運動し、さらに予測を更新するといった、様々な情報処理が必要になります。これには脳の広範な部位が関係すると考えられますが、特に小脳に損傷のある人では、正確にリズムに乗ることができなくなることが報告されています。

 小脳は運動に関与する事がよく知られており、これまでの研究により、小脳には行うべき運動に必要な運動指令を予測したり、運動の結果を予測したりする内部モデルが存在し、これによって運動の制御や誤差(エラー)の検出を行っているとされています。また近年の研究により、小脳は外界の感覚刺激を予測する内部モデルを学習によって生成することも示唆されています

 同期運動を行うためには、リズムを予測し、予測に基づいて運動し、さらに予測を更新するといった、様々な情報処理が必要になります。こうした情報処理は脳の広範な領域が協調して行なっていると考えられますが、小脳ではこれらの情報が異なるニューロン群によってコードされ、これらの情報が大脳の異なる領野に送られることでリズムに同期した運動を実現していると考えられます

引用ここまで

ディスメトリア(測定障害)

 ディスメトリア(測定障害)は、スムーズに調整された動作を実行するために必要な距離、速度、可動範囲を制御できないことです。小脳機能低下の兆候であり、多くの場合、平衡感覚の喪失、歩行、発話、眼球運動の調整不全などの追加の兆候を伴います。

 運動失調症は、小脳に問題がある場合によく見られる所見です。小脳は、運動の調整と計画、バランスの維持を目的として、視覚、空間、その他の感覚入力と運動制御を統合する中枢神経系の一部です。小脳に感覚情報を伝える神経、または小脳自体が損傷すると、運動をいつどこで終了すべきかを判断することが困難になる可能性があります。このような困難は、アンダーシュート(行き過ぎ)またはオーバーシュート(行かな過ぎ)として説明できます。正確でスムーズな動作を実行することができません。視差障害がある場合は、自分自身と、到達しようとしている、または向かって歩いているものとの間の距離を正確に判断することができません。

 筋肉の動きの調整は複雑なプロセスです。すべての動きは、いくつかの筋肉の活動の組み合わせの結果です。さらに、脳は感覚情報に依存して、移動中に自分と周囲の物との間の空間を判断します。正しいタイミングも必要です。

ハイパーメトリア

 体が過剰に動作したり、過剰に動作したりするディスメトリアの状態です。前に進もうとするとき、必要以上に、あるいは望んでいるよりも大きな一歩を踏み出してしまうことを意味します。 

運動失調

①バランスや歩行の問題(遅さやぎこちない動きなど)。
②腕、手、脚の調整がうまくいかない
③ある動きを止めて、反対方向に別の動きを始めるのが難しい
④ふるえ、脱力感、けいれん、目を動かすことができない、手と足の感覚の喪失
⑤物をつかむのが難しい
⑥まともに書けない
⑦ある場所から別の場所への移動に問題がある
⑧調整能力の欠如により転倒が多すぎる

 動きの範囲を制御することが難しく、オーバーシュートやアンダーシュートが発生します。何かに触れようとするときにターゲットを見逃したり、何かを拾おうとするときに手を伸ばしすぎたりする可能性があることを意味します。協調性のない歩き方や動きがある可能性があります。これは、バランスの欠如、不器用さ、および運動作業の困難につながる可能性があります。特に複雑な動作やタスクを実行する場合、調整した動作を実行することが困難になる場合があります。

予防

 ディスメトリーは、定期的な身体活動、健康的な食事、十分な休息、アルコールの摂取を避けることで予防できます。

①複雑なタスクを小さくて管理しやすいステップに分割すると、フラストレーションが軽減され、タスクがより達成しやすくなります。

②定期的な運動は、筋力、調整力、バランスの向上に役立ちます。ヨガ、太極拳、ピラティスなどのアクティビティは、ディスメトリーを持つ人にとって特に役立ちます。

③ストレスや不安によって視差障害が悪化するため、深呼吸、瞑想、視覚化技術などのリラクゼーション技術がストレスを軽減し、全体的な健康状態を改善するのに役立ちます。

足の申脈・照海・足臨泣・太衝を刺激すると首・背中・腰が楽になる。距骨について。

 今日のKANON塾生講座追加記事です。

申脈

 申脈(足外側、外果尖の直下、外果下縁と踵骨の間の陥凹部。足の太陽膀胱経のWHO:BL62、八脈交会穴のひとつ)を刺激すると、後頸部や背中や下肢の筋肉の過緊張が和らぎ、柔軟性が増すことがよく知られています。体幹部~下肢の後面を走行する膀胱経の伸展制限≒前屈制限がある場合に特に効果的です。奇経では、陽蹻脈の主治穴であり、督脈の主治穴の後谿と組み合わせます。

前屈・後屈・側屈・回旋制限のときに用いる経穴

 脊柱の後屈制限(反れない)の場合は照海(足内側、内果尖の下方1寸、内果下方の陥凹部。経絡:足少陰腎経. WHO:K16 )を使います。

 側屈制限と回旋制限は少し複雑で、体幹の側屈や回旋を行った時に、反対側の腰部に痛みがある場合は、反対側の足臨泣(足背、第4・第5中足骨底接合部遠位。第5趾の長趾伸筋腱外側の陥凹部。 経絡:足少陽胆経. WHO:GB41 )を使います。

 体幹の側屈や回旋を行った時に、同側の腰部に痛みがある場合は、同側の太衝(足背、第1・第2中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部、足背動脈拍動部。経絡:足厥陰肝経 WHO:LR3)を使います。

 で、距骨下関節の解説です。
距骨下関節 

距骨下関節 

一般的な機能

 距骨下関節は後足部内にあります。この関節は、距骨の下面の面と踵骨の上面の対応する面の間の関節で構成されています。この関節の形状は、足と下腿の間の正面および水平面の動きを可能にするように特別に設計されています。これらの動きは、平らでない地面に適応したり、歩いたり走ったりするときに横方向や内側に移動するために不可欠です。

運動学

 距骨下関節の運動学により、後足の内反/内転と外反/外転の組み合わせた動作が可能になります(これらの動作は、それぞれ回外と回内の構成要素であることを思い出してください)。 これらの動作を構成する構成要素を理解するには、次のようにします。踵骨(かかと)をしっかりと掴み、左右に回転させるようにひねります。距骨下関節の強度と可動範囲を評価するために、左右の動き(内反と外反)が最もよく使用されます。回転(水平面)運動は内転と外転です。距骨下の運動中、距骨の滑車は通常、距腿関節のほぞ穴形状内で十分に安定します。

 距骨下関節について説明した動きには、固定された距骨の下で踵骨が動くことが含まれており、これは足が地面から離れているときに発生します。しかし、より現実的には、歩行の立脚期に踵骨が地面に固定されているとき、距骨下関節は通常、体重がかかる位置で動作します。距骨はほぞ穴内でしっかりと安定しているため、距骨下関節の動きは、ほとんどの場合、静止した踵骨に対する距骨と下腿の両方の組み合わせの動きとして表現されます。

機能的考察: 距骨下関節 - 脚と足の間の重要な運動学的リンク

 距骨下関節の動きは一般に 2 つの方法のいずれかで表現されます。遊脚期などの踵骨が自由なとき、または歩行の立脚期で踵骨が地面にしっかりと接触しているときです。立脚相では、脚と距骨は固定された踵骨上で 1 つの機械ユニットとして動きます。距骨下関節の動きは小さいですが、それでも重要です。

 距骨下関節は、立脚期に下肢が地面と接触しているときに自然に起こる、脚と距骨の比較的わずかな水平面および前額面の回転を分散させます。これらの動きの重要性を理解するには、距骨下関節が癒合した場合の影響を考えてみましょう。このシナリオでは、回転する下肢に追従して、脚、距骨、踵骨がすべて強制的に一緒に動くことになります。これにより、個人の平衡感覚や平坦でない地面を歩行する能力が大きく変化することになります。

 正常な距骨下関節は、特に平坦でない地形での歩行や走行中によく利用されます。これを説明するために、次の例を考えてみましょう。平らな地面に立っているとき、脚と距骨は踵骨と相対的に整列しています。しかし、足が平らでない地面に遭遇した場合に何が起こるかを考えてみましょう。足の内側が岩を踏んだときのシナリオでは、踵骨が回転し、距骨下関節が反転します。この足の「立ち直り」メカニズムにより、平らでない地面に立ったり歩いたりしているときでも、脚を垂直に保つことができます。ただし、この動きが過度になると、外側靱帯の捻挫を引き起こす可能性があります。

 他の状況では、脚と体を内側または外側の方向に動かしながら、踵骨を地面にしっかりとすえたままにする必要がある場合があります。踵骨がしっかりと固定されると、距骨下関節の内反として距骨および脚の内側方向の動きが起こります。どちらのシナリオでも距骨下関節の最終位置は同じ、つまり反転します。距骨下関節によって提供される利用可能な動きがなければ、平らでない表面を歩くことは非常に困難であり、バランスを失ったり、足首や足を損傷したりする可能性があります。

ネガティブ情報は できるだけ見ない聞かないようにする。より多くの幸福を求めるのではなく、できるだけ苦しみを少なくする。

 ネガティブ情報(暗い情報)を見聞きすればするほど、不安や心配が生まれ、ストレス反応が起き、心身の状態が悪くなります。身体が固まっている人を観察すると、ネガティブ情報ばかり拾っているのがわかると思います。

 ウィリアム・ジェームズが、「無意識の領域は意識の領域よりもはるかに広く、無意識の領域で処理される刺激は、意識の領域で処理される刺激よりもはるかに大きな影響を及ぼす可能性がある」と提唱したスプラミナル効果という考え方があります。

スプラリミナル知覚(subliminal perception)

 刺激が意識の閾値を下回る程度であっても、無意識のレベルで認識や影響を及ぼす現象。視覚的な刺激だけでなく、聴覚的な刺激や触覚的な刺激においても起こる。通常、ヒトは意識的に認識できる範囲の刺激に対して反応・認識をする。

 ネガティブな情報を拾えば拾うほど、不安になったり、心配になっていくわけです。ネガティブなスプラリミナル知覚を減らすためには、ネガティブ情報は できるだけ見ない聞かないようにするとよいとされます。

 古代の日本には言霊思想というものがあって、忌み言葉(忌みはばかって使用を避ける語)を使わないように工夫していました。忌み言葉が使われていたのは、「言葉には力がある」と信じられていたためです。

「神代より 言伝て来らく そらみつ 倭の国は ~ 言霊の 幸ふ国と 語り継ぎ 言い継がひけり」万葉集 巻五 八九四番 山上憶良

「神代から言い伝えてきたことには、日本の国は、~言葉に宿る霊力が幸いをもたらす国であると語り伝え、言い伝えてきた。(中略)」という感じです。

 日々の生活で、必要以上にネガティブ情報を拾うのをやめると、ストレスホルモンの過剰な分泌が抑制され、筋肉の質がよくなると考えています。

アルトゥル・ショーペンハウアー

 ショーペンハウアーは、『幸福とは苦痛の不在を意味する』と考えました。

 あらゆる幸福は消極的な本性のものにすぎず、積極的な本性のものではない。まさしくこのゆえに、持続する満足やしあわせというものはありえず、常にただ苦痛とか欠乏とかから救い出されてきただけであり、そのあとに続かざるをえないのは、新たな苦痛であるか、そうでなければ、ものうさ、むなしい憧れ、退屈ですらある。 『意志と表象としての世界』

 一生の総決算を幸福論的な見方に立って引き出そうとする場合、自分の享楽した喜びによって勘定を立てるべきでなく、のがれた災厄によって勘定を立てるべきである。むしろ幸福論という名称そのものが粉飾的な表現なのであって、「幸福に生きる」ということは「あまり不幸でなく」すなわち我慢のなる程度に生きるという意味に解すべきものであるということから、幸福論の教えが始まるのでなければならない。もとより人生は本来、楽しむべきものでなく、克服し始末をつけるべきものなのである。『幸福についてー人生論』

 自己に満足し、自己にとって自己がすべてであり、「私のものは私がいっさい身につけてもっている」(ギリシアの賢者ビアスの言葉)と言うことができれば、それこそ幸福にとっては最も好ましい性質であるにちがいない。だから「幸福は自己に満足する人のものである」というアリストテレースの言葉は、何度でも繰り返してみるがよい。『幸福について』

 だから善事につけ悪事につけ、特別な災難はともかくとして、自己の生涯にどういうことが起きるかということよりも、その起きたことをどう感ずるかということ、すなわち自己の感受力の性質と強度とが問題なのである。人の内面のあり方と人の具有するもの、つまり人柄と人柄の価値とが、人の幸福安寧の唯一の直接的な要因である。それ以外のものはすべて間接的である。『幸福について』

……「思慮分別のある人は、快楽ではなく、苦痛なきをめざす」~より多くの幸福を求めるのではなく、できるだけ苦しみを少なくするという考え方は、身体の過緊張をゆるめるのに適していると考えています。苦痛から遠ざかれば退屈に近づき、退屈から遠ざかれば苦痛に近づくというように、私たちの生活は、苦痛と退屈の間の振り子運動になっています。苦痛から逃げれば退屈が待っていて、退屈から逃げれば苦痛が待っているのです。

自分の欠点に気づくには、その同じ欠点を他人が持っているのに気がつき、それを心の中で非難・批判するのが適切なやり方。自分を矯正するには鏡が必要となる。アルトゥル・ショーペンハウアー

人は善良であればあるほど、他人の良さを認める。だが愚かで意地悪であればあるほど、他人の欠点を探す。 レフ・トルストイ

人間はしばしば、他人の欠点をほじくることによって、自分の存在をきわだたせようと考える。レフ・トルストイ

自分が不幸なとき、他の人たちを非難するのは無教養者、自分自身を非難するのは教養の初心者、そして他人をも自分をも非難しないのが本当の教養人である。エピクテトス

人はその気になれば、相手の欠点や短所などいくらでも見つけ出すことができる、きわめて身勝手な生き物です。アルフレッド・アドラー

他者の期待を満たすように生きること、自分の人生を他人任せにすること、これは、自分に嘘をつき、周囲の人々に対しても嘘をつき続ける生き方なのです。アルフレッド・アドラー

2024年1月29日月曜日

小脳はからだを速くなめらかに動かすときや、運動技能の修得に重要な役割を果たしています。運動失調(筋肉の協調障害)とフィードフォワード制御。

 小脳とは、運動機能の調節や、平衡・眼球運動の調節を司る、脳の部位の一部です。 後頭部の下方に位置し、見た目はカリフラワーのような形状をしています。 小脳は、大脳皮質・脊髄・前庭神経系からの情報を受け、身体の各器官の運動機能を調整しています。

小脳

 小脳は、身体各部の受容器や大脳からの信号を受け、延髄の前庭神経核や小脳核(反射中枢)に運動を制御する信号を投射します。複数の筋活動の相互関係を計算して協調的な運動を実現させます。小脳に記憶が蓄積され、その記憶は誤差の情報で修正されるという理論があります。

 小脳が障害されると、運動における推尺の異常や各種の運動失調を惹起します(ボールがキャッチできない、キックできない、腕があがらない、ポイがまわせない)など。手で物を取ろうとするときに最短距離で手を伸ばすことができず、ぐらぐらと揺れながら手を伸ばしたり、目標の物を掴み損ねたりします。

 小脳による運動制御の特徴は、伸張反射(負荷時に筋張力を与える)などとは異なり、閉回路(閉ループ)をもつフィードバック制御ではないという点です。多数の筋肉が関与する複雑な運動時に、いちいち出力を検出しながら発生したエラーを操作器の側に帰還させようとすると、迅速な行動が実現できません。信号伝達の遅れに起因する行き過ぎた動き(オーバーシュート)が生じて病的な振戦(不随意でリズミカルなふるえ)を引き起こすことになります。動作が行き過ぎたり戻り過ぎたりしている人を観察してみると、間に合わなくなって処理が追いつかず固まって振るえているのがよくわかると思います。

 小脳は、協調的な運動の制御を図り、諸問題を回避するために、あらかじめ筋張力などの目標値を設定し、これに基づいて信号を一方的に投射する開回路(開ループ)をもつフィードフォワード制御が実現させています。

 前庭動眼反射弓と呼ばれる制御システムは、物体を注視しているときに(受動的または能動的な運動によって)頭の位置が変化した場合に、その動きに応じて眼球の方向を調節することによって、視野にブレが生じないようにはたらきます。

 頭の動きに関する情報は、頭位の運動を検出する平衡器官から小脳を経由して前庭神経核に送られ、ここでさらに動眼神経細胞に興奮↔抑制を指示する信号に変換されて眼の動きを調節するのに使われます。眼球の運動によって視野のブレが補償されたかどうかの情報は、中枢神経系には送られるものの、これを前庭神経核へと伝達する経路は存在せず、負のフィードバック制御が行われている訳ではありません。

 対象物体から視線を外さずに正しく注視し続けることができるのは、頭部がどの程度動いたかという情報をもとにして、視線を一定に保つのに必要な眼球の回転角を小脳で計算し、この目標値に向かって運動筋をフィードフォワード的に制御しているからです。視線が外れるのは、演算が間に合っていないからだと考えられます。

 小脳は、三半規管から得られた回転速度に関するデータを積分するなどの目標値を求めるための演算装置として機能しており、この計算に必要なさまざまなバラメーターは、介在するニューロン(情報の伝達と処理に特化した神経細胞)におけるシナプス結合数や後シナプス電位の形で、学習を通じて小脳内部にインプットされています。

 小脳が運動を制御する演算装置だと考えれば、運動をシミュレート(ある状況や場面を想定したうえで、それが再現可能かどうか試してみる~模擬・模倣)しながら必要な筋張力の値を計算し、これをもとにそれぞれの筋肉を支配する大脳運動野の各部位に適切な『準備(運動に数百ミリ秒ほど先だって大脳運動野に運動準備電位を誘起する)』をさせているということになります。

 準備電位が誘起された状態において、筋張力それ自体は変化しません。これから実行する運動で収縮する筋において、伸張に対する脊髄反射が増幅し、逆に弛緩する筋の反射は減少します。運動の実行以前にその状況を予測してしかるべき目標を設定するフィードフォワード制御がはたらいているのです。

 歩くとふらつく(腕や脚をうまく制御できず、歩幅が大きくなって歩行が不安定になる)、バランスがとれない、転ぶ、ろれつがまわらない、動かそうとすると手がふるえる、知的障害やてんかん、全身の不随意な動きを合併する、動きが乏しい、筋肉がこわばる、しびれや感覚の鈍さなど……運動がスムーズにできなくなる運動失調~協調運動障害は小脳の機能不全が原因なのかもしれません。

 動くときは、まずはじめに大脳皮質で運動を企画します。その情報が小脳に入り、実際に運動が行われた時の手足からの感覚が脊髄経由で小脳に入ります。この2つの情報を比較して企画した運動の仕方と実際に行われた運動にズレがないかどうかを確認し、必要であれば修正をするよう大脳皮質に情報を送ります。手足や体幹の精密でなめらかな運動が可能となるのは、この制御のお陰なのです。

2024年1月28日日曜日

良い運動とは、余計な力みのない、肩の力が抜けたやわらかい運動。あらかじめ軌道を計算して、それに見合った運動指令を出力する前向きなフィードフォワード制御。

 今日の新宮校ワークショップは、フィードフォワード制御について解説しました。補足記事を書きます。フィードフォワード(feed forward)とは、未来を予測して「これからどうすべきか」を追求していく考え方です。 

フィードバックとフィードフォワード

フィードバック運動制御(閉回路制御)

 ゆっくりとした遅くて簡単な運動は、体性感覚や視覚のフィードバックによって遂行されます。これを、フィードバック運動制御といいます。計画した軌道と実際の軌道のずれを逐次フィードバックしながら、修正を加え、できるだけそられの誤差を小さくするように運動を行うことになります。体性感覚で30~50msec程度、視覚では100msec以上のフィードバック時間の遅れが生じるため、1秒を切るような速いなめらかな運動に対応することはできません。

フィードフォワード運動制御(開回路制御)

 フィードバック情報をうまく使えないような1秒を切るような速くてなめらかな運動の場合、フィードフォワード制御が必要となります。フィードフォワード制御とは、あらかじめ、目的とする運動に必要な運動指令を脳内で計算しておいてから、フィードバック情報に頼ることなく運動を遂行する制御です。運動指令を計算できる条件として、中枢神経系内に筋骨格系のダイナミクス情報が前もって存在している必要があります。

 脳が手足を制御するときに解決すべき問題は、制御プログラムが手足のあるロボットを制御 するとき解決すべき問題とよく似ています。計算論的神経科学では、脳に実装されていると思われる機構を同定します。 

 速くて正確な腕や脚の運動を実現するためには、フィードフォワード制御が必要であるとされています。このためには、制御対象(例えば腕)のダイナミクスを表現する内部モデルが脳内に獲得されていなければなりません。速くて正確な運動を遂行するためには、内部モデルの再構築が必要になります。

姿勢や動きがいい人とは

 フィードバック制御を使いながらゆっくり丁寧にやっていた運動を、できるだけフィードフォワード制御で労力をかけずにちゃんと目的を達成できるようになれている人です。運動学習を通して、運動制御の精度を上げることできています。運動学習にともなって、よりなめらかな運動が実現されています。

 速い運動を制御するためには、フィードバック情報に頼らずに、あらかじめ軌道を計算して、それに見合った運動指令を出力する前向きなフィードフォワード制御が必要です。随意運動時に経時的に変化する仮想軌道(釣り合い位置)に関節が追従することによって動きが発現することになります。脳が仮想軌道をつくることができて、身体がそれを追いかけることで随意運動が実現されるのです。

動きのやわらかさについて

 内部モデルが構築されるにつれて、余計な力が入らない、やわらかい良い運動が実現されてきます。運動が上達している人ほど「肩の力が抜け」ていて、「力まずに」動くことができます。

 運動学習の初期においては、内部モデルが不完全です。なので、剛性を上げて運動に対応することになります。運動学習が進むにつれて、内部モデルが構築されていくので、徐々に剛性を下げてもうまく運動ができるようになります。その途中で、試行に失敗すると一時的に剛性を上げて適応しながら、全体としては熟練した内部モデルによるやわらかい制御を学習していきます。

フィードフォワード制御は「予測制御」

 姿勢と運動の調節をするために予測制御が使われます。例えば、腕をあげる時、手の動きより先に体幹と脚部の筋肉を予備収縮して、身体のバランスの変化に備えます。重いものを持ち上げるときには、重さを予測して、体幹・腕・脚などの筋肉の緊張を高めて動作の準備をします。

 予測制御には、これまでの経験や感覚入力が必要です。反復練習を行い、経験を積み重ねることで、予測制御がより正確になり「迅速でなめらかな動き」が実現します可能になります。脊髄でフィードバック・メカニズム作用を修正することが重要だとされています。

2024年1月25日木曜日

股関節外転筋が弱すぎて歩行時に体重を支えられないことによって生じる異常な歩行

 トレンデレンブルグ歩行は、股関節外転筋(中臀筋と小臀筋)の弱体化によって生じる異常な歩行です。股関節外転筋が弱ると、歩行中に反対側の骨盤が垂れたり下がったりします。股関節外転筋が弱すぎて歩行時に体重を支えられない場合、左右の動きが顕著になります。 

 片足を前方に振り、股関節が下がって外側に動くときに見られます。これは、もう一方の脚の股関節外転筋が弱すぎて体重を支えることができないためです。バランスを保つために、歩くときにわずかに後ろや横に傾いたり、骨盤が不均一に移動してバランスを失ったりつまずいたりするのを避けるために、一歩ごとに足を地面から高く持ち上げたりします。

中臀筋

 トレンデレンブルグテストは、中臀筋と小臀筋の強度を評価する簡単な操作です。片方の脚で補助なしで立ってもらい、もう一方の脚を地面から持ち上げることによって行われます。検査者は後上腸骨棘に指を置きます。上げた脚側の股関節が大きく下がっている場合は、中臀筋と小臀筋の筋力低下が考えられます。

 中臀筋と小臀筋は、股関節を内側に回転させ、外側に伸ばす(外転)ことに関与しています。

 これらは、歩行中に足を上げるときに体幹を安定させ、直立位置に保つのに重要です。

 中臀筋と小臀筋に筋力低下がある場合、股関節と膝関節に不均衡な力がかかり、構造が不安定になります。これらの力は最終的に関節軟骨の過度の摩耗と痛みを引き起こす可能性があります。

 トレンデレンブルグ歩行の特徴は、患側下肢での立脚期に、骨盤の水平位を保つことができず遊脚側下肢の骨盤が落下する現象です。

 デュシャンヌ歩行とは、歩行の患側立脚相において、患側へ体幹が側屈し、かつ骨盤傾斜も起こる現象です。

 歩行の代償運動として、

①デュシャンヌ歩行(患側に体幹が傾く)と逆トレンデレンブルグ歩行(骨盤が患側へ傾く)の組み合わせ

②デュシャンヌ歩行(患側に体幹が傾く)とトレンデレンブルグ歩行(骨盤が健側に傾く)の組み合わせ

が、あります。

 トレンデレンブルグ歩行の原因は、立脚期に骨盤を水平位に保つために必要な機能である、中臀筋を主体とした股関節外転筋の機能低下です。股関節外転筋群の筋緊張低下や、股関節内転筋の筋緊張亢進により、股関節外転筋をタイミングよく筋発揮できない場合に、トレンデレンブルグ歩行になりがちです。

 デュシャンヌ歩行には代償運動が関係おり、外転筋の緊張による骨盤の水平位保持の場合は体重の3倍以上かかる圧を、股関節上に体重を乗せることで体重から一側下肢の重さを引いた力しか股関節にかからない状態にしようとするものです。外転筋の機能低下を補う目的で、外転筋の緊張における圧を減らすための代償運動として、患側へ体幹が傾くという現象が生じています。

 改善するためには、股関節外転筋(特に中臀筋)の強化が基本となります、あわせて、歩行という動作の流れの中で、抗重力位で中臀筋を機能させる学習が重要です。


☆大阪ワークショップ

1月25日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

1月26日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

1月27日(土)→ 詳細

 

新宮校ワークショップ(休日)

1月28日(日)→ 詳細

2024年1月24日水曜日

ヒップクラムは優れた機能的なエクササイズであり、正しく行えば、動きに好影響を与えることができます。これらの筋肉の強度が不足すると、パフォーマンスの低下、日常の活動中の代償の増加、腰痛が生じる可能性があります。

ヒップ・クラムシェル・エクササイズ

 ヒップクラムは優れた機能的なエクササイズであり、正しく行えば、動きに好影響を与えることができます。これらの筋肉の強度が不足すると、パフォーマンスの低下、日常の活動中の代償の増加、腰痛が生じる可能性があります。この前額面のエクササイズを習得するためには、水平面と矢状面の安定性が必要であるため、間違ったやりかたになりがちです。このため、十分な補正が行われます。

前額面・矢状面・水平面

① 上半身のポジショニングが悪い

 ほとんどの人は、下半身と比較して、上半身が前に出すぎた状態で股関節を動かし始めます。さらに、体幹もその方向に回転する傾向があります。回転が不十分な位置から動きを開始すると、腰部からの代償性収縮が起こりやすくなります。

 ヒップクラムの利点のひとつは、腰の回転筋を強化して腰の過剰な活動を抑制することにあります。この問題を解決しないと、永遠に痛みから抜け出すことができず、堂々巡りをすることになります。

②股関節の不適切な位置

 股関節でも不適切な位置が観察されます。ほとんどの人は、上部の股関節を下部の股関節に対して後方に回転させて動きを開始します。これにより、必要に応じて腰を再び活用できるようになり、股関節外旋筋への負担が軽減され効かなくなります。

 強度を高めるには、理想的には腰を「中間位」で重ね合わせる必要があります。

③股関節の後方回転

 おそらく、これらすべての中で最大の代償は、股関節で起こる後方回転です。動きを開始するとき、通常は股関節の外転 (正解) から始まり、その後股関節の後方回転 (不正解) を続けます。これが起こる理由の一部は、膝をできるだけ高くするように考えたり、過度に指導されたりすることです。

 しかし、この不適切な思考プロセスは、無意識のうちに股関節に代償性の回転を生み出し、股関節の回旋筋を強化しません。代わりに、どれだけ膝を高くするかではなく、股関節を後方に回転させずに膝を高くするようにイメージします。


■解決策は「壁」を背にエクササイズすること。

 壁は、脳に非代償運動を教えるための優れた基準点として機能します。壁に接するときは、上半身、腰、足がすべて触れていることを確認します。これにより、上記の不適切な配置に対処できます。

 壁は不必要な回転をブロックし、必要な骨盤の前方/後方傾斜を適切な量にしてくれます。理想的には、動作前にわずかに骨盤後傾させます。腰の一部が壁に触れていれば、これが正しく実行されたことを確認できます。これで、ヒップクラムを正しく実行できるようになり、この動きがもたらす利益を得ることができます。


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上から目線のアドバイスは受け取らなくてもいいです。不快な人からは離れるは土台の鉄則です。

  自己愛さんが孤立する理由が,わかりやすく解説されている動画を見つけました。興味がない方も、最初の動画だけでも観てくれればと思います。




「不快な人からは離れるは土台の鉄則です」

その方が言ってくる攻撃的な言葉、あるいは上から目線のアドバイス、意味がありません。
 言葉に意味がないということがあります。
 心理を見てください。
 認めてよう 褒めてよう こっち見て すごいって言って 
 味方して すごいでしょ 私のことを評価して 
 わかってよう
 こんな風に(相手の)心の内側に目を向けて
 攻撃の言葉や強い言葉、アドバイスは受け取らなくてもいいです

【自己愛性パーソナリティ】自分は特別・自分は悪くない・トンデモ行動。自己愛が強い人への対処と改善までご紹介。/ナルシスト、話を聞かない、押し付け、支配的の動画の10:05~あたりの「自己愛が強い人への対応」の内容に、共感される方も多いのではないでしょうか。

 『返報性の原理』というものがあります。

①好意の返報性:相手から受けた好意を返したくなること
②敵意の返報性:向けられた敵意を相手に仕返ししたくなること
③譲歩の返報性:相手が譲ってくれると、自分も譲ってしまうこと
④自己開示の返報性:相手がオープンな態度接してくれると、自分も相手に対してオープンになれること

 ②の敵意の返報性に関しては、攻撃行動に対する「仕返し」を返報の一部と捉えるかどうかについては議論が必要だとされていますが、敵意には敵意が返ってくるのは自然なことだと思います。敵意を向けられると敵意で返したくなるのは自然な反応ですし、自身に批判的な言葉を投げかけられた際に敵意を覚え、不快な人からは離れようとするのは当然の行為だと思います。相手に向けた敵意や悪意は、高確率で自分に跳ね返ってきます。

 で、敵意が跳ね返ってきたときに自己愛さんは「私は正しいのに!」「私は悪くないのに!」とヒートアップし、さらに敵意を増大させてしまいます。当事者以外の人たちを巻き込みながら、「私は間違っていない!~さんがおかしい!」と主張し続け、気がついたら孤立していたという展開が定番です。

 そもそもの発端は、自分が相手に対して発した敵意なのですが、上から目線のアドバイスが敵意のあらわれでしかないという自覚がないため、泥沼にハマっていくことになります。

 動画にもありますが、「自分は相手に共感しないのに、相手からの共感を求める」というところに問題があるわけです。「まずは自分が相手に共感する」という基本原則が守れていないのに、相手が話を聴いてくれるはずがないのです。というか、自分が正しいという信念のもとに行動しているので、共感なんて発想は微塵もないのですから、良い関係が築けることはないのです。

 「私の話を聞かないのはおかしい!」からの「自分から離れていくのはおかしい!」という孤立化の定番パターンを理解するのに、この動画はとても役に立つのではないかと思います。

ここは今から倫理です。/雨瀬シオリ

2024年1月23日火曜日

股関節伸展(ヒップエクステンション)をおこなうと、姿勢が改善し、首肩が楽になります。

 今日のKANON塾生講座とレイゾーナ・ヨガは、股関節伸展(ヒップエクステンション)の解説をしました。猪首をはじめとする骨盤前傾系頭部前方位姿勢では必須のエクササイズです。

 股関節伸展は股関節のみを動かすため、単独の単関節運動のカテゴリーに属します。それにもかかわらず、ヒップエクステンションは大殿筋に加えて、ハムストリングスと腰の筋肉を動員します。

 スタンディングヒップエクステンション(股関節伸展)

 両足を揃えた状態から始めて、臀筋を使って片脚をできるだけ後ろに持ち上げます。お尻をできるだけしっかりと締めながら、収縮した位置を 1 秒間保持します。開始位置に戻り、繰り返します。片方の脚のセットが終了したら、すぐにもう一方の脚に移ります。可動範囲を広げるには、太ももが地面とほぼ平行になるまで脚を前に出してから、後ろに真っすぐに伸ばします。

 股関節伸展を実行する最も簡単な方法は、可動範囲が短く、重力による大殿筋への抵抗がほとんどないため、立っていることです。

 臀部の筋肉を直接ターゲットにする最も簡単なエクササイズです。 自宅で大した設備も必要なく実行できます。

※腰を丸めると臀筋が働いているのを感じやすくなりますが、そうすると脊椎が危険にさらされる可能性があります。

 空いた手で臀部の発達させたい部分に触れると、脳と筋肉のつながりが強化されます。この簡単な操作により、筋肉が働いていることをより感じることができ、エクササイズがより効果的になります。

 腸骨大腿靱帯 (ベルタン靱帯) の張力によって股関節の伸展が制限されるため、脚を後ろに上げることができます。ある点を超えると、胴体を曲げない限り脚が上がらなくなります。後ろに移動するのではなく、横方向に移動し始めます。すると、筋肉の緊張が大臀筋から中臀筋に伝わります。

 大殿筋をしっかりと鍛えるには、脚を外側に向けすぎないでください。脚がわずかに外側に動くのは問題ありませんが、この脚の外転を誇張しないでください。

股関節の伸展は腸骨大腿靱帯によって制限されます。

 床に横たわると抵抗は増加しますが、可動範囲は減少します。腰をわずかにアーチにして前腕で体を支えます。

腹臥位のヒップエクステンション(股関節伸展)

 ひざまずくことで、抵抗と可動域の両方が増加します。

ストレートレッグでの膝立ちのバリエーション

 脚を曲げると (ドンキーキックのバリエーションと呼ばれることがよくあります)、運動が簡単になります。まっすぐにすると硬くなります。ただし、膝をついてエクササイズを行う場合は、脚を 90 度に曲げて胴体の下に入れて可動範囲を広げる必要があります。脚が体の下から離れたら、すぐに脚を再び真っ直ぐに伸ばします。このとき膝関節が活躍します。

脚を曲げた膝立ちのバリエーション

 主な股関節伸筋は、大殿筋とハムストリングス(つまり、大腿二頭筋の長頭、半腱様筋、半膜様筋)です。大内転筋の伸筋頭も主要な股関節伸筋とみなされます。

 股関節伸筋群の筋肉は、他の股関節筋群と比較して、股関節全体に最大のトルクを生成します。

 伸筋トルクは、短距離走に向けて走り出すとき、深くしゃがんだ状態から立ち上がるとき、または非常に急な丘を登るときなど、股関節屈曲の位置から体を上方および前方に急速に加速するためによく使用されます。

 股関節の屈筋と伸筋は、骨盤を中間位に維持し、股関節の強力かつ安全な可動範囲を可能にするために連携する必要があります (大腿骨が安定すると、股関節伸筋の活性化により骨盤の後傾が生じます) 。

 大殿筋は体の中で最大かつ最も重い筋肉であり、大腿部の主な伸筋です。これは、股関節の後面に位置するすべての臀筋の中で最も表面的な筋肉です。これは股関節で最大の筋肉であり、総断面積の 16% を占めます。

 ハムストリング筋群は、股関節の伸展と膝の屈曲に重要な役割を果たします。半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋はハムストリング筋群を構成します。骨盤から始まり、大腿骨の長さに沿って後方に延びるハムストリング複合体の大部分の筋肉は、大腿寛骨臼関節と脛骨大腿関節の両方を横切ります。

 大臀筋とハムストリングスは、前かがみの姿勢から立ち上がるなど、屈曲した姿勢から体幹を伸ばすために協働します。前屈時の偏心制御も可能です。

 股関節の過伸展は、足首を背屈し、膝を伸ばし、腰椎を過伸展することによって達成されます。

 股関節伸展筋が弱いと、最初の接触に必要な股関節の屈曲を減らすために歩幅が小さくなり、その結果、伸筋に必要な収縮力が小さくなります。四肢を安定させる時間を確保するために、全体的な歩行が遅くなります。代償として、体幹に対する骨盤の位置合わせを維持するために、体幹の後方位置が増加します。

 残念ながら、長時間座っている人は股関節屈筋が硬くなり、ハムストリングスが弱くなる傾向があり、これを下部交差症候群(LCS)と呼びます。

 股関節を完全またはほぼ完全に伸ばすと、リラックスした姿勢や歩行の代謝効率が高まるなど、機能的な利点があります。

 股関節を完全に、またはほぼ完全に伸展させると、人の重力線は大腿骨頭を通る内外回転軸のすぐ後方を通過します。この位置では重力が、股関節伸展筋の活動をほとんど行わずに、立ったまま股関節を伸ばした状態を維持するのに役立ちます。

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2024年1月22日月曜日

皆から凄いと思われたい人は自慢話をする。 不安だから、また自慢話をする。 そうして常に自慢話をして賞賛を繰り返し要求する。 だから、人の話を聞かない。ホメてほしいという要求の会話しか出来ない。 しかし、これは会話ではない。

「自立と依存の心理」加藤諦三著より

皆から凄いと思われたい人は自慢話をする。

不安だから、また自慢話をする。

そうして常に自慢話をして賞賛を繰り返し要求する。

だから、人の話を聞かない。

ホメてほしいという要求の会話しか出来ない。

しかし、これは会話ではない」


「偽りの愛 真実の愛」   加藤諦三著より

自慢話というのは淋しい人間がよくすることである。

心の奥底でたえず寂しがっている。

そういう人は自己中心的であり、そして自分を憎んでいる。


「話が通じない人」の心理 加藤 諦三著より

ナルシストの現実。自分にしか興味がないから他人の話に興味がない。

が、他人は自分に興味があると思い込んでいる。

ナルシストは自分の自慢話にしか関心がない、他人に関心がないから。

自分が与えるものを相手は喜んで受け取っているという間違った前提で相手を考える。


『安心感 自己不安を「くつろぎ」に変える心理学』 加藤 諦三著より

自慢話を常にする人は、自分は弱いということをいっている。

自分の肩書きを捨てられる彼は、自慢話が少ない。

つまり、強い人なのである。

自慢話を常にする人は、自分は強いといっているのではなく、自分は弱いということをいっているにすぎない。

彼は臆病でもなく、恥ずかしがり屋でもない。

自分の主張をしながら、他人に嫌われるということを恐れていなかった。


 今日の雑談中、「相手の話を聴かず、ひたすらに自分の自慢話をし、他者をサゲる人」の話になりました。聞いてもいないのに、自慢してくる人には、褒められたい、認められたい、求められたいという気持ちが透けて見えます。お世辞や褒められることに弱く、持ち上げられると嬉しくなり、舞いあがります。相手の気持ちを理解しようとはせず、他人が自分に嫉妬すると思い込んでいて、嫉妬しているのは自分自身だったりします。

 実際は、心の奥底に深刻な劣等感を抱えているて、その劣等感を払拭するために自分で自分の話題を多く出して、周りから褒めてもらうことで自信を保とうとします。自信たっぷりなふりをしているだけで、実はとても嫉妬深いのはそのためです。人から褒められることで自信を保とうとするため、人からの評価をとても気にします。

 本当に自信のある人は、他人からどう思われようと気になりません。

 ナルシシストは、他人のことには真の関心を持てません。自分のことしか考えていないので、「自分を大事にしている」ように見えますが、真の自分を大事にしているのではなく、真の自分に自信がないために「誇大な虚構の自己イメージ」に執着しているだけなのが現実です。

 自分の自慢話をしたがり、自分がいかに正しいか、すごいか、賢いかを訴えます。自分大好き人間っぽく見えますが、実際は意識の根底に劣等感や不全感が渦巻いていて、意識の表面では虚勢を張って威張っていないと心が支えられない状況です。

 少し考えればわかりますが、心の底から自分が正しいという自信があるのなら、事実によって心が満たされるため、わざわざ正しさを押しつける心理的必要性はありません。心の奥底では自分が間違っていると感じているのに否認しているので、表面では虚勢を張るしかないのです、。「自分はすごいんだ」という「誇大な虚構の自己イメージ」を自分自身で信じ込んで、周囲の人間にアピールし続けていないと平静が保てないのです(保てていませんが)。

 自分の過ちを認めず、自分とは異なる相手の価値観や視点をわかろうとしない(関心がない)わけですから、自然な流れで孤立していきます。相手への共感がなくなっていき、すべての人たちが自分の延長であるかのように感じ、「自分とは異なる他人という現実」が見えません。支配的で他者を操作したがる人によくみられる傾向です。

 深刻な劣等感から支離滅裂な言動を繰り返せば、その後にどんな展開が待っているかは、火を見るより明らかです。ナルシシズムからの脱却と克服は、最優先課題だと考えています。

肩の痛みについて。常に自分の身体の声に耳を傾けてください。痛みに耐えて動かないでください。痛みは、あなたがやっていることをやめるよう身体が知らせるサインです。

肩腱板損傷 

 肩の筋肉の集まりである腱板の損傷です。ローテーターカフ(回旋筋腱板)は、棘上筋、肩甲下筋、棘下筋、小円筋という4つの筋肉が 1つのユニットとして連携して機能します。これらの筋肉は肩甲骨上にありますが、腱は肩関節の周りを包み込んでいます。肩を安定させ、腕の回​​転運動をサポートします。

腱板損傷

 腱板損傷には主に3つのタイプがあります。

①腱板腱板症 – 腱に反復的な過負荷がかかり、炎症を引き起こします。

②インピンジメント症候群 – 炎症を起こした腱の 1 つまたは一部が骨の下または肩関節に閉じ込められる状態。

③腱板断裂 – 1 つまたは複数の腱板腱の部分的または完全な断裂です。

 ローテーターカフ腱板症とインピンジメント症候群は、小さな安定化筋肉と比較して、大きな肩甲骨と肩の筋肉の間の不均衡が原因であることがよくあります。この不均衡により、一方の腱に過負荷がかかり、炎症を引き起こす可能性があります。この炎症は腱炎であり、関節や他の小さな骨に近い腱の一部で炎症が発生すると、腱が侵される可能性があります。腱板断裂は、肩にかかる突然の力、通常は回転、または断裂を引き起こす腱の一部への反復的な過負荷によって発生することがあります。

 腱板損傷は、肩の奥深くに鋭い痛み(衝突または断裂)を感じます。肩や腕の奥の深い痛みとして感じることもあります。ほとんどの人は肩の弱さに気づきます。肩の特定の位置や角度(車の後部座席に手が届く)でのみ痛みや脱力感を感じる人もいます。

回旋筋腱板

 肩は3つの骨で構成されています。上腕骨、鎖骨、肩甲骨です。上腕骨の上端はボールのように丸く、肩甲骨のカップ状の受け穴の中にぴったりと収まります。このタイプの関節はボールソケットジョイントと呼ばれ、肩を動かすと、空洞になったソケットの中でボールが回転します。

 もちろん、ボールは単独でソケット内に留まるわけではありません。回旋腱板の筋肉と腱は、関節を保持するのに役立ち、腕をあげる、回転する、または別の方法で動かすときに腕をサポートします。腱板は4つの筋肉で構成され、強靭な腱として結合し、肩関節の骨に付着します。腱板が損傷すると、腱が断裂することもあります。

肩の滑液包

 関節の上部の筋肉と骨の間には、滑液包と呼ばれる小さな袋があります。液体で満たされた滑液包は、骨と筋肉の間にクッションを形成し、肩関節のスムーズな動きを助けます。腱板が断裂したり損傷したりすると、滑液包も損傷することは珍しくありません。

 腱板損傷のほとんどは、長年の磨耗による腱の変性の結果として起こります。持ち上げたり、手を伸ばしたり、投げたりするなどの繰り返しの動作で肩を頻繁に使用すると、このような磨耗による損傷がより早く発生する可能性があります。

 また、転倒や交通事故などの外傷によって腱板が損傷を受けることもあります。ほとんどの場合、怪我は伸ばした腕に力を入れるときに発生します。

 動くときに生じる急性または鈍い痛み、および肩を安静にしているときでも痛みが持続します。より重度の場合は、上腕に広がる痛みがあり、動きを制限する灼熱感を伴います。特に触るとその部分の圧痛や圧迫感があります。患側を下にして寝ることが困難になり、一晩中痛みが悪化します。着替えの困難など、日常生活に不可欠な作業を実行する能力が低下します。炎症が悪化すると、腱の衰弱と腫れが増加します。

 リスクのある人は、腱炎を防ぐために対策を講じることができます。一部の損傷は元に戻せない場合や修復に費用がかかる場合があるため、症状を治療するよりも予防​​する方がはるかに簡単です。

 運動や活動するときは、徐々にウォーミングアップを行う習慣を身につけましょう。これにより、筋肉と腱の循環と潤滑が改善されます。激しい運動をした後には、 15 ~ 20 秒間保持する静的ストレッチを行ってください。

 常に自分の身体の声に耳を傾けてください。痛みに耐えて動かないでください。深刻なダメージを受ける可能性があるため、「痛みがなければ利益もありません」という考え方は避けてください。痛みは、あなたがやっていることをやめるよう身体が知らせるサインです。


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2024年1月21日日曜日

明日(1月22日)の新宮ワークショップは、『姿勢の教科書 上肢・下肢編 竹井仁著』を先行で解説します。

  明日(1月22日)の新宮校ワークショップは、『不良姿勢を正しくする 姿勢の教科書 上肢・下肢編 竹井仁著』を先行で解説します。

不良姿勢を正しくする 姿勢の教科書 上肢・下肢編 竹井仁著

 この本、良本です。前著の「正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書」も良書です。機能運動学の本と合わせて読むと面白いです。

正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書 竹井仁著

 明日は、来月の各地のワークショップに向けて、シュミレーションを深めたいと思います。



 

 

その人の活動能力を増大させるものが善であり、減少させるものが悪。「形としての本質」を目指すのではなく、それぞれの特性にあった「力」ののばし方を考えるべき。

名著82 スピノザ「エチカ」:100分 de 名著 より

 「エチカ」を直訳すると「倫理学」。つまりこの本は「人はどうやって生きればよいか」を問うた本である。それは、要するに「生きていく上で、「善い」「悪い」の区別をどうするかという問題だ。スピノザは音楽を例にして説明する。「音楽は憂鬱の人には善く、悲傷の人には悪しく、聾者には善くも悪しくもない」。

 すなわち、すべては組み合わせ次第であり、そのもの自体に善悪はないという。その視点から善悪を再定義すると、その人の活動能力を増大させるものが善であり、減少させるものが悪だととらえることができる。

 人間が自由になるとは、何の制約もなくなることではなく、その条件にうまく沿って生きることで活動能力が増大させることなのだ。

 あらかじめ決められた「形としての本質」を目指すのではなく、それぞれの特性にあった「力」ののばし方を考えるべき。

引用ここまで

はじめてのスピノザ 自由へのエチカ(講談社現代新書)著:國分 功一郎

 「存在している個体は、それぞれがそれ自体の完全性を備えている。自然の中のある個体が不完全と言われるのは、単に人間が自分の持つ一般観念、つまり『この個体はこうあるべきだ』という偏見と比較しているからであって、それぞれはそれぞれにただ存在しているのである。すべての個体は、それ自体は一個の完全な個体として存在している」スピノザ

 「自然界にはそれ自体として善いものとか、それ自体として悪いものは存在しない。私にとって善いものとは、私とうまく組み合わさって私の『活動能力を増大』させるものである」スピノザ

 「おのおのの物が自己の有(存在)に固執しようと努める努力(Conatus)は、その物の現実的本質にほかならない」

 「たとえば、この人は体はあまり強くないかもしれないけれども、繊細なものの見方をするし、人の話を聞くのが上手で、しかもそれを言葉にすることに優れている。だからこの人にはこんな仕事が合っているだろう……。活動能力を高めるためには、その人の力の性質が決定的に重要です。一人ひとりの力のありようを、具体的に見て組み合わせを考えていく必要があるからです」

 「必然性に従うことが自由だ

 「魚には水の中で泳いで生きるという条件が課されています。それは確かに制約であり必然性です。ですが魚が自由になるとは、その必然性を逃れることではありません。魚は水の中で泳いで生きるという必然性にうまく従って生きることができた時にこそ、その力を余すことなく発揮できる」

 「一つの行為は実に多くの要因のもとにあります。それらが協同した結果として行為が実現するわけです。つまり、行為は多元的に決定されているのであって、意志が一元的に決定しているわけではないのです」

 「スピノザは力が増大する時、人は喜びに満たされると言いました。するとうまく喜びをもたらす組み合わせの中にいることこそが、うまく生きるコツだということになります」

 「自由であるとは能動的になることであり、能動的になるとは自らが原因であるような行為を作り出すことであり、そのような行為とは、自らの力が表現されている行為を言います。ですから、どうすれば自分の力がうまく表現される行為を作り出せるのかが、自由であるために一番大切なことになります。もちろんそれを考えるためには、これまでも強調してきた実験が大切です」

引用ここまで

 スピノザは、何を善か悪かとみなしていたか?

悪とは、あるものに対して別のなにかが害をもたらすような組み合わせだとされます。すべての個物には、自分を維持しようとする「コナトゥス」という力があります。コナトゥスを強め、促進してくれるものが善とされます。

 これに対し、「なすべきこと」を善として押し付ける「なさねばならない」という威圧的な命令は、力を失わせることになります。正しさの押しつけは活動能力を阻害し減少させる悪という結果になる可能性が高いと考えています。

「我々の活動能力を増大、減少あるいは促進、阻害するものを善悪と呼ぶ。善悪の認識は、我々の意識した限りにおける喜び、悲しみの関係に他ならない。良いものというのは自分との組み合わせが良いもの。それは自分の楽しさや喜びを高めてくれる。そして、自分がどうすればそうなるかを分かっていれば、よりよく生きられる。賢者はいろいろな楽しみ方を知っている人」スピノザ

欲求不満と恨みを抱いている人だけが、他人をこき下ろしたり、他人の失敗に満足を見出すことで、自分を優位な場所に置こうとする。幸福な人ほど優れた他者と自己を比較しない。

 自分のことが一番正しいと思っていて、周囲で自分と違う意見の人がいると、「あなたは間違っている」と否定的な態度をとる人は緊張が高くなります。何が正しいかという基準は、その人によって違います。自分の意見を正当化する人は、「面倒な人」と分類されます。

 「正しさをゴリ押しする人」に……
 落ち度があるかに見える人物を批判する人、何らかのクレームをつける人の中には、ほんとうに正しいことを主張している「正義の人」ばかりでなく、日頃の鬱憤を晴らすかのように人を攻撃する「危ない人」も含まれているのでないかと思わざるを得ない。

 他の視点からの理屈を想像できない、熟慮しないから自信満々になれる、認知的複雑性が乏しい、価値観の違いを容認できない、感情コントロールがうまくできない

 人のことを妬ましく思う心理からもっと進んで、人の幸せが許せず他人の不幸を喜ぶ、「シャーデンフロイデ」という心理が人間にはあるという。
……と、あります。
正しさをゴリ押しする人 (角川新書) 榎本 博明 (著)

 シャーデンフロイデとは、他者が不幸、悲しみ、苦しみ、失敗に見舞われたと見聞きした時に生じる、喜び、嬉しさといった快い感情。「他人の不幸を見て楽しんだり喜んだりすること」である「幸災樂禍」。

「シャーデンフロイデを感じたからといって悪人というわけではありません。多くの人が、不安、生い立ち、気質などさまざまな要因でこの感情を抱きます。自尊心の低さや自信のなさに苦しむ人たちが抱きやすい感情で、うらやみや嫉妬から生じている可能性がある」Leela R. Magavi

「落ち込んでいたり欠乏感に苛まれたりすると、他人の成功が受け入れられなくなります。自分と比較してさらに気分が落ち込んでしまうからです。不幸は道連れを欲しがるはある意味で真実です。抑うつ状態の人がシャーデンフロイデの感情を抱くと、交友関係を損なうおそれがあります」Catherine Chambliss

「そのまったく逆で、それは人の恨みの感情の証しであり、人の弱さや虚無感の証しなのです。欲求不満と恨みを抱いている人だけが、他人をこき下ろしたり、他人の失敗に満足を見出すことで、自分を優位な場所に置こうとするのだ」Friedrich Wilhelm Nietzsche

シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 (幻冬舎新書) 中野 信子 (著)

 「他人を引きずり下ろしたときに生まれる快感「シャーデンフロイデ」。なぜ、「妬み」という感情を他人に覚え、その不幸を喜ぶのか。現代社会が抱える病理の象徴の正体を解き明かす。」という要約がされています。

 この記事が参考になりました。


 シャーデンフロイデの生起過程と関連要因に関する研究では、劣等感、妬み、憤慨が重要な先行要因であることと、そのとき自己高揚動機と正義動機が関与することを明らかにしてきた。まず、劣等感と妬みに関する初期の研究は、自己高揚動機に注目し、自分より優越な人を見ることが上方比較による劣等感を生じさせるが、これは苦痛を伴う感情であるため、ターゲット人物に対する攻撃感情(妬み、憤慨)とともに自分自身を肯定的に評価したい動機である「自己高揚動機」を増加させることを示した。自分よりも優れた他者が不幸に見舞われると、一時的に自分自身の状況がその人の状況より良好なものに思われ、自己高揚動機が充足されることになる。このような過程によって生じたポジティブ感情がシャーデンフロイデであると主張されてきたのである。

 一方、シャーデンフロイデの生起要因として妬みと憤慨に着目した先行研究では「正義動機」の役割を重視する。なぜなら妬みと憤慨は、単に他者が自分より優れているということだけではなく、それが理不尽で、不当だと思うことで生じる攻撃感情だからである。不当に成功を手に入れた人が不幸に見舞われた場合、正義が回復されたという認知を生み、正義動機を充足させることができる。そのとき生じたポジティブ感情がシャーデンフロイデだとみなされているのである。

 劣等感のような感情は、その攻撃感情を増加させることでシャーデンフロイデに間接的な影響を与えると仮定した。また、幸福な人ほど優れた他者と自己を比較しないため、幸福感が高ければ、劣等感、攻撃感情(妬み、憤慨)が抑制され、結果的にシャーデンフロイデも生起しにくくなると仮定した。

引用ここまで

「幸福な人ほど優れた他者と自己を比較しないため、幸福感が高ければ、劣等感、攻撃感情(妬み、憤慨)が抑制され、結果的にシャーデンフロイデも生起しにくくなる」

 幸福感、高めないとですね。

2024年1月20日土曜日

腰痛と腰方形筋の機能異常。改善のための骨盤時計(ペルビッククロック)エクササイズ。

 腰方形筋の解剖学

 腰方形筋は後腹壁の最も深い筋肉で、骨盤の腸骨稜と第 12 肋骨の間の腰椎の両側にあります。また、第1 ~ 4腰椎の横突起にも付着します。結腸、腎臓、横隔膜は筋肉の前に位置し、背中の筋肉は背側にあります。

腰方形筋

腰方形筋の機能

 · 座ったり、立ったり、歩いたりするときに機能し、腰痛の主な原因の1つ。

 ・背骨と骨盤の安定化。

 · 呼吸時に体の中心をサポートするのに役立つ。

 · 両側性収縮 - 吸気時に肋骨を固定し、腰を反らせるなどの動きに必要な腰椎の伸展を可能にする。

 · 呼気の補助筋。胸部の運動中に第 12 肋骨を固定する。

 · 片側の収縮 - 側方の屈曲を可能にする。胴体を片側に曲げる 。

タイトな腰方形筋と腰方形筋の痛みの原因 

· 使いすぎ - 弱い筋肉と組み合わされた反復的な動きは姿勢の問題を引き起こす。 

· 長時間座る - 特にリクライニングした姿勢を使用する 

 1. 本質的な背中の筋肉を解放し、長期的に弱体化させる - 腰方形筋が痛みと緊張の原因を補う。

 2. 腰方形筋の持続的な収縮を引き起こし、筋肉疲労を引き起こす。

 3. 筋肉への血流が減少し、緊張が生じる。

 · 不適切な持ち上げ/曲げ/ねじり - 背骨と骨盤を安定させるために腰方形筋が過剰に補償しなければならないため、さらなる緊張が生じる。 

· 悪い姿勢 - 前かがみになったり、片側に傾いたり、ランバーサポートなしで座ったりすると、腰方形筋にストレスがかかる。

 · 周囲の筋肉が弱い - 胴体を支えるために QL が必要以上に激しく働く可能性がある。

 · 骨盤/脊椎のアンバランス - 例: 脚の長さが不均等であり、骨盤の横方向の傾きを引き起こすため、腰方形筋を安定させるためにより懸命に働かなければならないことを意味する。

 · トラウマ - 直接的な怪我は、痛みを引き起こす可能性がある。

腰方形筋の非対称的な締め付け 

腰方形筋の非対称的な締め付け 

 体をわずかに傾けた姿勢で保持する傾向があるため、腰方形筋の緊張は片側のみに発生することが多く、2 つの 腰方形筋の筋間のアンバランスが生じます。たとえば、体重を片側に偏らせて定期的に立っていると、筋肉が適応して、筋肉が長すぎたり、短くなりすぎたりします。骨盤が外側に傾いている場合(以前の投稿を参照)、股関節を持ち上げる側により、骨盤と肋骨下部の間のスペースが狭くなり、対応する腰方形筋が短くなり、タイトになります。体の反対側の腰方形筋が長く伸びてしまいます。 

 この不均衡は姿勢にさらに影響を及ぼし、他の筋肉の過剰代償を引き起こし、他の関節にさらなるストレスを与え、その結果、痛みのレベルが悪化します。 

腰方形筋緊張の合併症

 腰方形筋が厳しいと、次のような問題が発生する可能性があります。

 ・股関節、お尻、太ももの痛み

 · 仙腸関節の痛み

 ・ 腰痛

 ・腹痛 

タイトな腰方形筋の症状

 · 腰痛 - 両側性または片側性、深い痛みまたは鋭い痛み、動くと悪化する 。

・くしゃみ/咳時の鋭い痛み 

· 痛みが慢性化し、不安やうつ病につながる可能性があります。

 ・腰の圧迫感により可動域が制限される。

・日常活動の制限・不均一な股関節の高さ/骨盤の横方向の傾き 

腰方形筋のストレッチ

 1つの腰方形筋がきつくなると、反対側の腰方形筋が引き伸ばされて弱くなる傾向があります。安定性を改善し、この不均衡を修正するには、伸びた側を強化し、硬い側を緩める必要があります。サイドプランクは弱い側面を強化するために使用でき、マッサージとストレッチング硬い側面を伸ばすために使用できます。股関節の対称性が達成されると、姿勢が改善されます。

 腰、股関節、骨盤の筋肉が硬くなっているため、慢性的な痛みやけいれんがでることもあります。緊張している部分と弱っている部分の両方を特定し、それに応じてストレッチし、体幹の筋肉、臀筋、腹斜筋、内転筋がすべて腰方形筋にどのようにリンクしているかを認識しているにもかかわらず、痛みが長引くことがよくあります。

 腰方形筋が肋骨の下部、腰椎1 ~4番、骨盤の腸骨にどのように付着し、サポートしてるかというと、

・腰椎側屈。すなわち、同じ側​​の肋骨を股関節に向かって動かします。

・骨盤腸骨を上昇させる。つまり腸骨を同じ側の下部肋骨に向かって移動させます。

・腰椎伸展。すなわち、両側性腰方形筋収縮により、後屈への動きが可能になります。

・脊椎の回転。

・強制呼気中に第12番肋骨を固定します。

・腰方形筋は、骨盤の横方向の傾きだけでなく、機能不全に陥っている他の領域の過剰代償によって硬くなり、痛みを伴うことがよくあります。

・臀筋が硬い、または弱い場合に股関節の外転/内転/回旋を助ける。

・脊柱起立筋が弱い場合に姿勢を維持するのに役立ちます。

・横隔膜が機能不全に陥ったときに吸気中に肋骨下部を固定する。

・骨盤内の大腿骨の動きが制限されている場合。

 これらは腰方形筋の本来の機能ではないため、長期間にわたって余分な負担がかかり、固い腰方形筋が疲労し続けると、トリガーポイントが発生するだけでなく、筋肉の内外への血流も低下します。つまり、筋肉のけいれんや重傷のリスクが大幅に増加します。ストレッチやマッサージ療法などは短期的な解決策にはなりますが、根本的な原因は解決されていません。

腰方形筋の痛みを訴える人を観察するときの兆候

・立位での腰の動きを観察する。

・体の横方向の曲線の非対称性。

・後ろにひねったり曲げたりするときに肋骨が広がったり、肋骨を押さえつけたりしていないか。

・前かがみになる傾向があり、腰椎が骨盤に押し付けられる – 脊柱後弯症は腰方形筋の硬さに関連している。

腰痛と腰方形筋

・腰方形筋は腰筋と連携して骨盤の前傾を作り出します。また、腹横筋とともに腰椎を安定させ、他の「体幹」の筋肉と連携して機能させるのにも役立ちます。 

・腰方形筋の両側が一緒に収縮すると、腰椎が伸展状態になります。片側だけが収縮すると、胸郭が下方に引っ張られて側屈(側屈)が促進されるか、骨盤の片側が上方に持ち上げられます。

・腰方形筋は、肋骨の下部を安定させるのに役立つ呼吸にも使用されています。

・腰方形筋のアクティブなトリガーポイントは、多くの場合、より広範な「保持パターン」問題の一部として、腰痛と関連しています。

体の片側の腰方形筋の緊張に関連する症状まとめ

・ヒップハイク

・骨盤の横方向の傾き

・凹凸のあるヒップ

・脚の長さの差異

・歪んだ骨盤

両側の QL 筋肉の緊張は、骨盤の前傾と腰椎の過前弯を引き起こします。

 腰方形筋を定期的にストレッチすると、痛みを伴うけいれんを防ぎ、腰椎、胸郭、骨盤、股関節を健康的な中立位置(中間位)に保つ。

ペルビッククロック

 マットの上で腹筋と骨盤底筋を整える繊細なエクササイズです。まず、腹部の下部に時計が平らに置かれているとイメージしてください。12時はおへその位置、6時は恥骨の上部にあります。腰の骨は9時と3時の位置にあります。次に、腹筋を意識して、背中ではなく腹筋を使って骨盤を各方向に 1インチ(2.54cm)程度だけ動かします。臀筋をリラックスさせ、尾骨を下げるだけで動きを始めることができます。こうすることで骨盤底全体を解放し、背中の動きを開始することはありません。


①膝を曲げて仰向けになり、両足を床に平行に置きます。
②脊柱が中間位にあることを確認してください。
③首と肩をリラックスさせ、肩を耳から遠ざけます
④人差し指の指先が触れ、親指が触れるように手を合わせます。
⑤指先が恥骨の上に軽く置かれ、親指がおへその近くに来るように、下腹部の底に置きます。こうすることで骨盤の動きを感じることができます。
⑥深呼吸して肋骨を均等に広げ、腹筋下部まで広げます。
⑦腹筋に力を入れて腹部を背骨に近づけ、背骨を床に沿って伸ばします。これにより、時計が水平ではなくなり、12 時の位置 (へそ) で下に、6 時の位置 (恥骨) で上に傾いた骨盤の傾きが生じます。
⑧腹筋を使って時計を横に回転させ、ヒップの 3 時位置が低くなるようにします。吸い続けて24時間動き続け、6時の位置が最も低くなるまで骨盤を傾けます。こうすることで腰に小さなアーチができます。
⑨腰の9時方向が下になるように動きを動かします。息を吐き続けておへそ(12時の位置)を再び低い位置に下げます。
⑩反対方向に別のサイクルを繰り返します。
⑪各方向を 2 ~ 3 回繰り返してから、逆にします。

ペルビッククロックの効果
 不均一な股関節の動き、骨盤の筋肉の不均衡、硬くなった股関節屈筋、背中の痛み、股関節痛など、日常生活やスポーツ、または一般的な筋力トレーニングによって引き起こされる可能性のあるさまざまな身体的問題の解決に役立ちます。
 また、体幹を目覚めさせ、腹部の筋肉を強化し、柔軟性を高めることで、座りがちなライフスタイルを送っている人をサポートすることもできます。

雄弁は銀、沈黙は金。僧帽筋上部繊維と負の感情(怒り)の関係。

顎と骨盤 怒りに囚われると、頭部前方位姿勢からの顎と股関節の不調が。


『雄弁は銀、沈黙は金』

 雄弁には大きな価値があるが、沈黙すべき時やその効果を心得ているのはさらに価値がある。沈黙を守るほうがすぐれた弁舌よりも効果的な場合のあることをいう。

『三毒』

 貪欲(とんよく)・瞋恚(しんに)・愚痴(ぐち)の三つの煩悩。むさぼること、怒ること、の三つ。

①貪欲(とんよく)

 むさぼり(必要以上に)求める心。「欲」・「ものおしみ」・「むさぼり」。

② 瞋恚

 怒りの心。「いかり」・「にくしみ」と表現する。

 ③愚癡

 真理に対する無知の心。「理非のわからないこと」「おろかさ」

 ※ブッダは、三毒に打ち負かされた状態で、身口意(三業)の行動を行うことは不善根であるとしたとされます。

『馬鹿・莫迦(ばか)』

 梵語でmoha(慕何)モーハ。愚癡はこれを意訳したもの。無知の意。馬鹿は当て字。

 「愚癡」とは、「道理や物事を如実に知見することができないこと」です。「人生や事物すべては無常であり固定的なものは何もない」という事実(真理)に無知なこと≒無明(むみょう)です。


 沈黙を守るべきタイミングは、『三毒』に打ち負かされたときだとされています。

①自分が成功して自慢したくなったとき。

②他者に対する怒りに囚われたとき。

③他者が失敗してこき下ろしたくなったとき。

……などです。

 「人生や事物すべては無常であり固定的なものは何もない」ということが理解できていないと、好きな人やモノに執着したり、嫌いな人やモノに怒ったりします。「癡」は「貪」「瞋」の根元であり、人間のすべての苦しみ悩みの根源ということになります。愚癡がなくなれば心は平静になります。

①貪(とん):過度な欲望や執着により、不満やストレス、依存が生じる。

②瞋(しん):怒り・憎しみが心を乱し、対人関係を破壊し、心身の健康を壊す。

③癡(ち):無知・誤解が誤った判断や選択を引き起こし、貪瞋からの困難をもたらす。

 このタイミングで沈黙を守ることが大切なのです。

 怒り・憎しみなどの負の感情からの敵対心が心に宿ると、他者や状況に対して過度に反応してしまい、衝突や対立を引き起こします。対人関係だけでなく、自分自身の心の平和をも乱してしまうことになるのです。自分自身の負の感情に気づき、客観的に観察し、その原因を理解することが重要です。

 思い込み・偏見・先入観に基づいて他者を評価したり、事実や現実を誤解している状態は問題や困難を引き起こします。自分自身の能力や価値を過大評価したり、逆に過小評価することもよくありません。心が不安定だと、積極的な行動が取りにくくなり、消極的になってしまい、人生全体の質が低下します。

 すべてのものは縁によって起こり、縁によって滅していきます。あらゆるものが関わり合っており、自分も他者もお互いの存在それぞれに意味があり、関わりながら支え合って生きています。それが理解できず、自分の基準やものさしでしか物事を見ることができないから、「自分は正しい!」という誤謬に陥ってしまい無明の闇へ……誤ったものの見方、考え方に固執して暗闇をさ迷い、正しい見方・考え方からずれ、自らの誤りに気がつかずに怒りに囚われてしまう……沈黙が守れない。

 思い通りにならないと怒りが生じる……煩悩の連鎖の根本は無知なのです。


『頭頸部前方位姿勢(Forward Head Posture,FHP)』

 頭部が前方に出た姿勢のこと。正常は外耳孔(耳の穴)と肩峰を結ぶ線が一直線になるが、外耳孔が肩峰よりも前方に出ていると頭部が前方に偏位していると評価される。

 頭頸部前方位姿勢の人は、頭部中間位姿勢の人と比較してすべての姿勢で疲労の訴えが強く、僧帽筋上部線維の過剰な筋活動が生じていることがよく知られています。単に頭頸部の位置を変えても疲労や筋活動量は変化しないこともわかっています。頭頸部位置を変えるだけでは頭頸部前方位姿勢の人の疲労は軽減しないので、僧帽筋上部線維の筋活動異常を是正することが重要だと考えられています。

 前屈みで顎を突き出したような姿勢で、胸鎖乳突筋が床に対して垂直に近くなっており、いわゆる猫背になっています。咀嚼筋や頸部の筋活動が亢進し、こりや痛みを引き起こしています。また、後頭部から上背部の筋を緊張させて緊張型頭痛の原因にもなります。

① 頭が脊柱より前方に出ると、頭部の重みで頭が下がり自ずと床を見るかたちになります。

②この状態で前方を見るためには、後頸部・背部の筋で重い頭部を吊り上げて頭蓋を水平にバランスする必要があります。

③このため、頭頸部前方位姿勢を長時間続けると、これらの筋が疲労して後頸部・背部に筋痛が生じ、肩こり・緊張型頭痛・顎の痛みやだるさとして感じられます。

僧帽筋

 僧帽筋は、片側が三角形の形をした大きな筋肉です。左右の筋肉を合わせると四角い形の筋肉になります、主な働きは、肩甲骨を背骨に近づける動きです。上部・中部・下部の3つに分かれ、それぞれが肩甲骨の別の動きを担っています。

■付着

①上部繊維:後頭骨(C2-7棘突起)~鎖骨外側1/3

②中部繊維:T1-4高さの腱膜~肩峰

③下部繊維:T5-12の棘突起~肩峰棘

■作用

①上部繊維:挙上、内転、上方回旋作用

②中部繊維:内転、上方回旋作用

③下部繊維:下制、内転、上方回旋作用

 筋は、反対方向への運動を誘導することで伸長負荷が加わり、ストレッチすることができます。肩甲骨を脊柱から離れる外転方向へ誘導に加え、下方回旋を誘導すると、肩甲骨の内転・上方回旋作用を有する僧帽筋全体的がストレッチされます。

 僧帽筋上部線維は、挙上・内転・上方回旋作用がありますので、外転・下方回旋+下制方向に誘導することでよくストレッチされます。

 負の感情ストレスによって脳が異常興奮すると、僧帽筋が過緊張状態になり収縮します。負の感情ストレスは、これまでの人生経験(成育歴)によって生み出されるとされていて、潜在意識下に蓄積されていると考えられています。負の感情ストレスが解放されると、脳の異常興奮もだんだんと収まり、僧帽筋の緊張も和らぐとされています。感情ストレスよって僧帽筋が緊張している場合は、何をやってもすぐに元に戻ります。

 怒りに囚われイライラする→内臓に不調が起きる→首や肩・肩甲骨周りが固まる→怒りに囚われ……。エクササイズやマニュアルセラピーで改善しない頭頸部前方位姿勢の人に起きている負の連鎖です。

 もうおわかりかと思いますが、『思い通りにならないと怒りが生じる……煩悩の連鎖の根本は無知』であることを理解し、沈黙を守ることで負の感情ストレスを解放させる必要があるということになるのです。自分自身の負の感情に気づき、客観的に観察し、その原因を理解することで、負の感情ストレスは解放されていきます。

 このときに、僧帽筋上部繊維のストレッチングを組み合わせると効果的なのです。


☆新宮校ワークショップ(平日)

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2024年1月19日金曜日

人は、意識を向けた方に進む。進みたい方向、そうなりたい未来に意識を向け続ける。

 赤ちゃんが、目の前にあるものに触ろうとする「リーチング(reaching)」。手のひらを使って触り、握って持つようになっていく重要な発達のステップです。「目と手の協応」といい、目で見た物体の形状や距離感などの視覚情報と、手で触ったときの触覚情報とを、脳の中で統合しています。また、口の中に入れてみたり、なめたりして、舌や唇を使って情報を統合していきます。

 自動車教習所で、「車は見た方向に進むから、よそ見運転をしないように!」と教わったことがあると思います。車でやると危ないので、広場を歩きながら実験してみると、自然と見た方向に曲がってしまうのが確認できると思います。

①視線を向ける。

②顔が視線に追従して、視線を向けた方向に向く(鼻がその方向を向く)。

③上半身が追従し、さらに下半身も追従する。

 車の場合は、視線が向いた方向に車が向かうようにハンドルをきってしまうというわけです。

 そして、このときに向いているのは、視線というよりは意識です。

 同じ間違いを何度も繰り返すのは、意識がそこに向いているからです。そうなりたくないという意識を向けているため、吸い込まれるように間違いを繰り返す状況に飛び込んでいくことになります。

 他者のことばかり見て、批判や批評を繰り返していると、自分自身のことがおろそかになってしまうだけでなく、「お前もな」案件となるのです。他者の問題に口出ししてばかりの人は、自分自身の問題を棚上げしたいだけなのが本音です。

 到達したい目標を意識していれば、目標に到達できるか、できなくてもその方向に進んでいくことができます。

 望まない形で人生が進んでしまう人は、自分が何に意識を向けているのかをあらためてみると、ブレイクスルーにつながるかもしれません。

 進みたい方向、そうなりたい未来に意識を向け続けていると、そちらに進みます。

 嫌いな人やモノばかりに意識を向けて、そのことばかり言語化して言葉にしていると、嫌いな人やモノばかり吸い寄せるようになります。

『サイエンス・オブ・ヨガ』と『不良姿勢を正しくする 姿勢の教科書 上肢・下肢編』

  2024年の安部塾のヨガの参考図書は、『サイエンス・オブ・ヨガ』です。

サイエンス・オブ・ヨガ アン・スワンソン/著・高尾美穂/監修

 シンプルでありながら、必要な内容が網羅されております。

英国ベストセラー『SCIENCE of YOGA』の待望の日本版!
★ヨガのアーサナ(ポーズ)ハイクオリティなCGビジュアルで完全再現!
細かい動きや筋肉や関節への効果が科学的にわかる!
★Q&Aでは、ヨガにたいするあらゆる疑問や、女性にうれしい情報も満載!
ヨガ初心者からインストラクターまで、ヨガに携わるすべての人のための必携の1冊!

姿勢の参考図書は、『不良姿勢を正しくする 姿勢の教科書 上肢・下肢編』です。

不良姿勢を正しくする 姿勢の教科書 上肢・下肢編 竹井 仁=著

 前著『正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書』は、全身の姿勢について、正しい姿勢、不良姿勢、その修正エクササイズが中心となっています。本書は、「上肢帯と上肢」、そして「骨盤帯と下肢」に関して、より 詳細に正しい姿勢と不良姿勢、その不良姿勢の修正エクササイズを解説しました。


 2023年は癸卯(みずのと・う)。「癸」は「水の弟」、これは「水の陰」を意味します。「水」は静寂、堅守、停滞、冬のシンボル。「陰」は控えめや小さいといった意味です。つまり「癸」は、小寒、閑静、渋滞というイメージです。「卯」は控えめに成長する状態を表しています。「水生木」の「相生」と呼ばれる組み合わせで、水が木を育み、水がなければ木は枯れる。補完し生かす関係です。

 昨年は準備の年と考え、無理をしすぎず、頑張りすぎず、ほどほどにやってきました。切れるべき縁は切れ、結ばれるべき縁が結ばれた1年でした。

 2024年は甲辰(きのえ・たつ)。「甲」は「木の兄」、「木の陽」を意味します。「木」は生長、柔和、曲直、春の象徴です。「陽」は積極的や大きいといった意味です。「甲」は、急成長、寛大、屈曲、発展のシンボル。「辰」は、草木の成長が一段落し、整った状態を表しています。すべての新芽が葉を広げ、降り注ぐ日光を全身で浴びている中春のイメージです。身の丈に合った、あるべき姿へと整っていくことになります。「比和」の組み合わせで、同じ気が重なると、その気は最も盛んになるとされます。その結果が良い場合にはますます良く、悪い場合にはますます悪くなるという関係性です。

 いままで準備してきたことが形になるといった、縁起のよい年です。

 ということで、今年の安部塾の参考図書は、『サイエンス・オブ・ヨガ』と『不良姿勢を正しくする 姿勢の教科書 上肢・下肢編』にしました。昨年まで積み重ねてきた基礎的知識と身体操作感覚をベースに、さらなる成長を遂げていけると考えています。

 2024年を私とともに変化・成長の年にしたいみなさま、『サイエンス・オブ・ヨガ』と『不良姿勢を正しくする 姿勢の教科書 上肢・下肢編』を学んでまいりましょう。

2024年1月18日木曜日

他人の承認に依存し、注目されたいという圧倒的な欲求を持ち、注意を引くために劇的または不適切な行動をとる人たち。

 演技性パーソナリティ障害 (HPD) は、激しく不安定な感情と歪んだ自己イメージを特徴とする精神的健康状態です。「histrionic」という言葉は「劇的な、または演劇的な」を意味します。

 自尊心は他人の承認に依存しており、本当の自尊心から来ているわけではありません。彼らは注目されたいという圧倒的な欲求を持っており、注意を引くためにしばしば劇的または不適切な行動をとります。自分が注目の的になっていないと、過小評価されていると感じたり、落ち込んだりします。

 まるで聴衆の前で演技しているかのように、大げさな感情や表情で非常にドラマティックに行動しますが、誠実さに欠けているように見え、批判や不承認に対して過度に敏感です。

 他人や現在の傾向に簡単に影響を受けます。特に自分たちのすべての問題を解決できるかもしれないと考える権威者を過度に信頼する傾向があります。

 フラストレーション(欲求不満)に対する耐性が低く、ルーチン(決まり切った手順)に飽きやすく、プロジェクト(計画)を完了せずに新たなプロジェクトを開始したり、あるイベントから別のイベントにスキップしたりすることがよくあります。

 目新しいものを切望しており、すぐに飽きてしまいます。したがって、仕事や友人を頻繁に変える可能性があります。満足が遅れるとイライラするので、すぐに満足を得ることが彼らの行動の動機となっていることがよくあります。

 自己中心的で他人への配慮がほとんどありません。人間関係を維持するのが難しく、他人との付き合い方が嘘っぽく、浅薄に見えます。他者に対して操作的です。

 演技性パーソナリティ障害の人は、自分の行動や考え方に問題がある可能性があることに気づいていないことがよくあります。

 アメリカ精神医学会の精神障害の診断と統計マニュアルには、 HPD の診断基準が詳しく記載されています。このハンドブックの最新バージョンは 2013 年に発行され、DSM-5 と呼ばれます。HPD がある場合は、次のような行動を 5 つ以上定期的に示します。 

・自分が注目の的になっていないと不快になる 

・誘惑的または挑発的な行動をする 

・感情は浅薄で移りやすい 

・注目を集めるために外見を利用する

・発言は曖昧(詳細が欠けている)

・自分たちの関係が実際よりも親密だと思っている

・他人や状況の影響を受けやすい

・感情が劇的または誇張されている

 多くの人はこれらの特性のいくつかを持っていますが、依然として正常に機能することができ、パーソナリティ障害はありません。パーソナリティ障害は、長期にわたる行動、思考、感情のパターンであり、本人や周囲の人々に苦痛を与えます。

 演技性パーソナリティ障害は、次の特徴に基づいて他のパーソナリティ障害と区別できます。

自己愛性パーソナリティ障害

 自己愛性パーソナリティ障害の人も注目を求めますが、演技性パーソナリティ障害の人とは異なり、それによって賞賛されたり、高められたと感じたいと考えています。演技性パーソナリティ障害の人は、自分が受ける注目の種類にはあまりうるさくなく、かわいいと思われたり、愚かだと思われたりすることを気にしません。

境界性パーソナリティ障害

 境界性パーソナリティ障害の人は、自分自身を悪者だと考えており、激しく深い感情を経験します。演技性パーソナリティ障害の人は、たとえ他人の反応への依存が自尊心の低さから来ているとしても、自分が悪いとは思っていません。

依存性パーソナリティ障害

 依存性パーソナリティ障害の人は、演技性パーソナリティ障害の人と同様、他人の近くにいようとしますが、(拒絶されることを心配するため) より不安になり、抑制され、従順になります。演技性パーソナリティ障害の人は、抑制性が低く、より派手です。