2019年1月31日木曜日

腰痛のお話~腰が痛くなるのは心理社会的因子=脳の問題~生物・心理・社会的疼痛症候群

腰痛
なぜ痛みが出るの?なぜ治らないの?なぜ再発するの? より

「患部を治す事」をしていても、今後、筋骨格系疾患の患者さんは増える事はあっても減る事はありません。
それは、20世紀までの医学で証明されてしまいました。

ターゲットは心理社会的因子です。
もっと言えば「脳」なんです。

患者さんが自分の体に対して、いかに、安心と勇気と自信を持ってもらえるかが勝負なのです。


発症後1年以内の腰痛患者144名と健常者138名の骨盤の歪みと下肢長差を厳密に測定した結果、どのような臨床的意義においても、骨盤の非対称と腰痛は無関係
(Levangie PK,Spine,1999)
————————————
『腰の骨がズレると腰痛になる』などのウソの情報を教育してはならない」という報告も知ってます。
—————————————
【慢性化させる治療者】
過剰な検査を行ない、壊れた部品仮説を信じ込ませようとする
(ACC,急性腰痛と危険因子ガイド,2010)
—————————————

残念ながら、イエローフラッグは、私たち治療者側が与えている可能性が多々あります。

不安や恐怖心を煽る事を無意識に教育しいているのです。
その背景には、何か理由を付けて、患者さんに通院してもわないと経営が成り立たないという側面もあるのでしょうが。。。

脳は結構単純で、先生と言う立場の人から説明を受けると、「私の腰は○○になっているんだ」と、信じてしまう所があります。

引用ここまで

素晴らしい本があります。

腰痛 (第2版) 編著:菊地 臣一

慢性腰痛に対する新たな視点-「解剖学的損傷」から「生物・心理・社会的疼痛症候群」へ、という新たな潮流を解説する。

EBM(evidence-based medicine)というscienceの進歩が明らかにしたのは,皮肉にも,先人の知恵やknow-how,そして医療従事者1人1人の経験,すなわちartの重要性であった.最新の科学的解析手法が導き出した結論が,先人による経験の蓄積で辿りついた結論と同じであったのだ.今,医療と医学はここに合流したと言える.

腰痛を知るのではなく,腰痛をどう考えるかという捉え方である.そして,本書の底流に一貫して流れているのは,「痛み」である.人間にとって痛みとは何か,医療従事者は痛みをどう捉えるのか,その患者にとって痛みはどんな意味をもっているのか,そしてわれわれはどのように治療(cure)すれば良いのか,あるいは向き合う(care)のかを考えるための本である.
 
本書は教科書ではない.本書の内容を読者に押しつける意図もない.只,本書は,得られた事実とその事実の解釈,そして考察の記載である.

引用ここまで


安部塾で、「腰痛が~」とか「肩が~」とか訴えると、「脳の問題だと思います」って返ってきます。

不安・うつ・落胆などの情緒的因子に向き合うように奨められます。


こんなプレリリースがあります。

→ うつ病における脳内炎症の役割の一端を解明

→ ストレス・うつ病における脳内炎症の役割を解明

→ 脳が燃えている:慢性疲労症候群患者の神経炎症


僕なりに簡単にまとめてみます。


ケガをしたときに皮膚が赤く腫れるような状態を、『炎症』といいます。

脳内で起こる炎症も同じです。

健常な人の脳も、日々少しだけの炎症が起きます。

炎症の度合いが強くなると、脳の神経がダメージを受けます。

回復が難しくなった状態が、脳の慢性炎症状態ということになります。

脳の血流低下とやカルニチンなどの伝達物質の減少が続き、代謝が落ちていきます。

結果、セロトニン神経系のダメージが大きくなります。

痛みに対する感受性が高まり、筋肉痛や関節痛などの症状を引き起こします。

同時進行で、脳機能が低下します。


こだわりが強い人は、脳の炎症を悪化させやすいといえます。

こだわりが強い人が、引きこもり状態になりやすいのです。

ちょっとしたきっかけで、バーンアウト(燃え尽き)からドロップアウト(脱落)します。

ちょっと動いただけでも疲れが出てしまいます。

自室にこもり、外に出ることができなくなります。

仮に外に出ても、疲れ切ってしまうので、また引きこもります。

僕が、「常闇」と言っている状態です。


いったん一般社会と隔絶すると、不安が強化されます。

感情を引き起こす部位である「側坐核」の活動が低下します。

ドーパミンを放出する中脳の「腹側被蓋野」で神経伝達が滞ります。

細胞内のシグナル伝達などに関わっているアクチン多量体が増え、細胞運動が遅延します。

脳の認知機能を司っている神経シナプスの伝達効率が低下します。

側坐核から腹側被蓋野へと続くシナプスの前部で神経伝達不全が起こります。

mDia and ROCK mediate actin-dependent presynaptic remodeling regulating synaptic efficacy and anxiety(Cell Reports 2016年12月22日) 京都大学大学院・医学研究科


僕が個人的に好きなプレリリースはこれです。

腸内細菌叢が脳の働きに影響する話 ~近年の腸内細菌研究による医学情報~ 脳神経外科部長 鈴木 直

腸内細菌の活動やその代謝産物は、常在する菌の数自体が膨大であるためヒト自身への影響を無視できません。現在も解明されていない多くの謎が残っているものの、腸内細菌叢の善し悪しがヒトの体調・免疫・脳機能、そればかりかヒトの情動や社交性にまで影響を及ぼし得ることが示唆されています。

引用ここまで


動作音が大きく、よくつまずき、そして転ぶ。

情動(感情の動き)が安定しない。

いつも体調が悪く、服従するか支配するかの二択で対人関係を処理。

うまくいっていないのに上から目線で、高慢な発言を繰り返す。


思うに、腸内細菌叢の問題なのではないかと小一時間。


こっちの考え方も。

→ 精神的ストレスは腸管上皮の糖鎖構造を変化させる

精神的ストレスは消化管の機能に悪影響をもたらすと共に、腸内細菌叢(そう)を変動させることがよく知られています。逆に、腹痛などの腸管の不快な感覚や、特定の腸内細菌の産生する代謝産物の刺激は脳に伝達され、ストレスの症状をさらに悪化させます(腸内細菌−腸−脳相関4))。

引用ここまで


顔がやつれ、貧相になればなるほど、謎のポジティブ発言を繰り返すようになる。

疲労困憊して満身創痍で、自分が輝いていると訴える。

そんな破滅的行動を起こしている原因が腸内細菌叢の代謝産物の仕業だとしたら……

脳機能が健全に機能しないがゆえの悲哀です。


考え方を、キラキラ系にしたら、人生が良い方に変わる?

そんなことはありません。

脳の炎症や腸内環境の問題に、きちんとした対処をしなければならないのです。

壊れた脳機能で感じる感覚や認知機能で判断したら、どうなってしまうかなんて、火を見るより明らかです。


運動によって脳機能を改善していくためには、膨大な知識が必要です。

最近、特にそう思い知らされます。


これまで信じられてきたやり方が次々に覆されていく21世紀。

変化に順応して生きていきたいと思います。

三年稽古するより、三年かけて良い師を探せ~バックファイヤー効果

昨日のお昼に、こんなTweetをしました。





この仕事をしていると、間違った動きを身につけている人に出会います。

そして、その動きが正しくなる確率は、限りなく低かったりします。


ネガティブなことは頭に残りがちという「バックファイア効果」とは? より

ヒトは、自分の考え方に対して挑戦的なものが現れると、より強く自分の考え方を信じようとする傾向にある.

自分の考えを脅かすものや、それまで自分が想定していた概念と相反するものに出会うと、立ち止まり、注意を払う.

引用ここまで


間違った動きを修正するときにも、これが起きるということです。


現在自分が信じ込んでいる情報を否定する情報を突きつけられたとします。

すると、自分の考えを中立的に修正しようとはしません。

逆に、さらに自分の考えを盲信します。

より強く、これまでの自分の考え方を信じ込んでしまうというわけです。


なんて記事を書いていたら、こんなTweetがあがってきました。



間違った動きをしている人は高慢です。

なので、他人を批評してばかりいます。

他人を批評すればするほど、自分の誤りを修正するのは難しくなります。

短い期間で自滅してしまうことになります。


自滅しても、いや、自滅するほど、自分の考えに固執します。


というか、そもそもがふしあわせなんですよね。

動きの修正ができない=謝ることができない人って。






「生きているだけでごめんない」と考えている人は、謝りません。

言葉だけで謝るのですが、謝ってはいません。

当然、感謝もしません。

謝意を感じないので、「ありがとう」が言えません。

言葉だけの「ありがたい」なので、2回続けて言います。


同じ言葉を2回続けて繰り返すのは、「不安」からだとされています。

自分の言葉を信じたい=嫌われたくないという不安です。

嘘を信じ込みたい・信じ込ませたいわけです。

饒舌になり、余計なことまでしゃべりだします(問うに落ちず語るに落ちる)。


間違った動きを指摘されたとき、自己肯定感が高い人は瞬時に修正できます。

自己肯定感が低い人の場合、修正は困難を極めます。

罪悪感マックスなので、謝れないのです。

同じことを2回言ったら、それは本心ではない可能性が高いのです。


研究者「同じミスを何度も繰り返す人は脳が上手く機能していない」より

自分の間違いについて指摘されているとき、一部の被験者の脳内では非常に活発な反応がみられた。このような人たちは、2回目以降の計測が明らかに前回よりも改善していることが判明。彼らは、「経験から学び、同じミスを繰り返さないタイプの人」だといえる。

それに対し、脳内にほとんど反応がみられなかった被験者たちの場合、計測と解説を何度繰り返しても結果があまり改善されていなかったそうだ。両者の違いは顕著だったという。

引用ここまで


引用元に画像がありますが、ほんとに無反応です。


自分が信じたくない情報や、自分に都合が悪い証拠に遭遇したとき、信念を変えるのではなく、むしろそれを拒否して、当初の信念をより強めてしまう人の脳内にも、反応は見られないのかもしれません。

正しい認知ができず、事実を認められないということになります。


こちらのサイトが面白いです。

→ 認知的不協和とは?理論とすっぱい葡萄と甘いレモンの例と解消法とマーケティング


個人のもつある認知と他の認知との間に不一致・不調和が生じることを、認知的不協和といいます。

認知的不協和が起きると不協和を低減する行動が起きます。

矛盾した2つの認知がある場合、その不協和を解消するために、比較的変えやすいほうの認知を変えて、協和している状態にしようするのです。

この理由でも、間違った動きの修正は難しいのです。


人は、自分が時間を費やしたものに対して、「これは価値がある」と妄信しがちです。

「なぜなら、自分がそれに時間を費やしてきたから」という思考停止な理由で。

偏った学びをしてきた人ほど、費やした時間が膨大なので、間違いの修正が困難になります。

これが、正しい動きを躍起になって否定する理由なのだと思います。


というわけで、「三年稽古するより、三年かけて良い師を探せ」です。

間違った動きを反復練習して高慢になり、自滅するという展開にならないように。


間違った動きを信じ込んでいる人に対する反論は、むしろ逆効果です。

この理由で身体操作指導者は、「自分の動きを修正したい人」にのみ関わります。

動きを修正する気になるのは、本人の問題ですから。

課題の分離ですね。


間違いをあっさり認めて、即修正する人は可愛いんですけどね。

なので、性別問わずにモテます(安心感あるし)。

自己栄光化願望丸出しの不安な人は可愛くありません。

なので、性別どころか動物からさえ嫌われます(不安感煽るし)。


間違った癖がつく前に、正しい型に出会えた人は好運です。

生き方も、ある意味「型」ですから、素敵な人生になります。

2019年1月30日水曜日

2月3日(日)下関集中講座で身体の使い方の基本である中心軸を意識した身体操作技法の解説をします。

2月3日(日)は、下関集中講座です。

→ 詳細


仰臥位(あおむけ)・側臥位(よこむけ)・伏臥位(うつぶせ)で身体を動かします。

基本原則は下図のパターンと直線連鎖です。

PNFパターン上肢

PNFパターン 下肢

今回は特に、下肢の回旋(外反・内反~回内・回外~内旋・外旋)にこだわります。

手足の余計な力が抜けるということ。

中心軸の力が使えるということ。

安部塾の初心にかえって、お伝えしたいと思います。


御参加、お待ちしております。

2019年1月28日月曜日

安部塾オンライン塾生サロンについて~オンライン塾生になれます

2月1日(金)より、安部塾オンライン塾生サロンを開始します。

スマホやパソコンで、塾生講座や集中講座の内容を学習できる体制ができます。

リアル講座に一般参加されてある方々のリクエストに応えました。

2月以降は、オンラインのみの塾生が誕生することになります。


現在、一般の方のオンライン塾生費の金額について話し合いをしております。

リアル塾生同様、年会費制にする予定です。

リアル塾生は、オンラインサロンは無料で参加できます(希望者のみ)。

希望するリアル塾生は、自分のチャンネルの解説が可能です(塾長の許可が必要)。


当初、一般向けのサロンと塾生向けのサロンをつくる予定にしておりましたが、システムがややこしくなるため、このようなスタイルでやることにしました。

オンライン塾生希望者は、ホームページかFacebookメッセージから申し込んでもらう予定です。


これで、各地の講座の内容を共有できることになり、学びが深まると思います。

1月30日(水)頃に、ホームページに案内ページをつくります。

楽しみにお待ちください。

2019年1月27日日曜日

手先・足先からの運動連鎖~手足の力みを抜いて正しい方向へ動かせば、楽に美しく動けます。

昨日の神戸集中講座参加者復習用画像w

橈屈・尺屈・背屈・掌屈

背屈+橈屈・掌屈+尺屈・背屈+尺屈・掌屈+橈屈
背屈+内反
参考記事です。




この写真が、安部塾の象徴過ぎて笑うw

右足=外返し・左足=内返し
これも笑うw

背屈+外反

運動連鎖が面白いのは、1箇所でも間違うと破綻すること。

そのぶん、運動連鎖がつながったときは、とても気持ちがいいのです。


生まれてから一度も運動連鎖がまともにつながったことがない人たちが多数います。

ただの一度も、まともに歩いたことも走ったこともありません。

投げる・打つ・蹴るといったすべての動作を、まともにやれたことが一度もないのです。

そんな人たちはみな、りきみで手足を固めています。


手足の力みは頑固さに直結するので、他人の解説を聴くのが困難になります。

まともに動いたことがないので、ミラーニューロンで他者の動きを完コピすることもできません。


運動連鎖ができている人は、足音を殺せます。

※エスティント=やっと聞こえる程度の強さで ごく弱く(=ppp)

HUNTER×HUNTER キルア 足音を殺して動く

対して、できていない人は、足音がうるさいです。

あと、よく転びます。

やたらとケガをしますし、関節を壊します。

衝突系の動きをしますので、対人関係も衝突を繰り返します。


手先・足先の動きを、侮ってはなりません。

2019年1月25日金曜日

手と足の使い方。末端から身体を動かす。

昨日の大阪集中講座で、これやりました。

PNFパターン上肢

PNFパターン 下肢

明日の神戸集中講座でも、やります。

昨日の大阪で書きだしてくれという要望があったので、書きます。

■上肢

肩関節:屈曲―内転―外旋
肘関節:屈曲
前腕:回外
手関節:橈屈―掌屈
指関節:屈曲―内転

肩関節:屈曲―外転―外旋
肘関節:屈曲
前腕:回外
手関節:橈屈―背屈
指関節:伸展―外転

肩関節:伸展―内転―内旋
肘関節:伸展
前腕:回内
手関節:尺屈―掌屈
指関節:屈曲―内転

肩関節:伸展―外転―内旋
肘関節:伸展
前腕:回内
手関節:尺屈―背屈
指関節:伸展―外転

■下肢

股関節:屈曲―内転―外旋
膝関節:屈曲
下腿:回外
足関節:背屈―内反
趾関節:伸展

股関節:屈曲―外転―内旋
膝関節:屈曲
下腿:回内
足関節:背屈―外反
趾関節:伸展

股関節:伸展―内転―外旋
膝関節:伸展
下腿:回外
足関節:底屈―内反
趾関節:屈曲

股関節:屈曲―外転―内旋
膝関節:伸展
下腿:回内
足関節:底屈―外反
趾関節:屈曲

はい。まるでお経ですね。

健闘を祈ります。


IBUKIのときは、肘関節と膝関節の屈曲はあえて入れていませんでしたが、Kagachiでは入れています。

2月11日(月)の安部塾薬院校集中講座で、詳しく解説します。


個人的に、これ好きです。

PNFパターン 上肢

2019年1月23日水曜日

前屈で床に手がつかない問題(ふともも裏の筋肉が伸びないだけじゃない)

腰椎骨盤リズム~腸腰筋解放で腰痛が軽くなる仕組み のつづきです。

筋骨格系のキネシオロジー,原著者:Donald A.Neumann,
監訳者:嶋田智明 ,有馬慶美,医歯薬出版株式会社


ハムストリングス(ふともも裏)が短縮していると、股関節が屈曲しにくくなります。

しかし、ハムストリングスをゆるめても、股関節が屈曲しない人もいます。

固まった関節包による制限が原因です。

関節包は関節を包む結合組織で、外側は線維性の膜、内側は滑膜の二重構造になっています。


股関節が屈曲するとき、大腿骨頭は後方へ滑ります(健全な場合)。

関節包による可動制限で骨頭が滑らない→股関節が屈曲できないのです。


よく、ふともも裏が引きちぎれるほど無理矢理伸ばしているのにやわらかくならない人がいます。

関節包の機能不全なので、ハムストリングスをいくら伸ばしても効果がないのです。


明日の大阪集中講座・土曜日の神戸集中講座で解説します。

安部塾オンラインサロン(一般向け)もつくることになりました。

先日、塾生向けのオンラインサロンを2月から始めますという告知をさせていただきました。

塾生講座の内容を、やりとりする予定です(塾生のみ参加可・無料)。


一般参加の方々より、「私たちもサロンに入りたい」という声をいただきました。

なので、一般向けのオンラインサロンもつくることにしました。

レッスンやワークショップ等の内容は、こちらでやりとりしようと思います。

一般向けのオンラインサロンは有料となります。


サロン内の各チャンネルごとに管理者(チャンネル主)を決める予定です。

現在、チーム内斜で骨格をつくっています。

28日(月)の塾生講座でサロンの解説をして、30・31日で試験運用します。

2月1日の安部塾サロンと安部塾塾生サロンのオープンをお楽しみに!

2019年1月22日火曜日

腰椎骨盤リズム~腸腰筋解放で腰痛が軽くなる仕組み

今日の大手門塾生講座は、腰椎骨盤リズム。

体幹屈曲時は『腰椎から骨盤(股関節)の順』に、体幹伸展時は『骨盤(股関節)から腰椎の順』に動くというものです。

※体幹屈曲(股関節屈曲+腰椎屈曲):体幹伸展(股関節伸展+腰椎伸展)

腰椎や股関節の動きが悪いと、腰椎骨盤リズムが崩壊してしまいます。

筋骨格系のキネシオロジー,原著者:Donald A.Neumann,
監訳者:嶋田智明 ,有馬慶美,医歯薬出版株式会社より

立位体前屈(体幹屈曲)時、股関節屈曲角度は約70°、腰椎屈曲角度は40°

股関節もしくは腰部がお互いに制限された運動を代償し合うようになります。

リズムに問題のない人の立位体前屈動作を横から観察してみましょう。

最初に腰椎部分の屈曲が起こり、およそ60°あたりで、骨盤の前方回転が起きます。

結果、体前屈角度が最大となります。

元の立位姿勢に戻る時、まず骨盤が股関節を中心に後方回転し、およそ60°身体が起きます。

続いて腰椎が後方に回転し、元の立位姿勢に戻ります。


脳機能が低下している人の場合、腰椎の湾曲が変わらないか60°まで達しません。

代償的に、股関節を中心に骨盤を前方回転して補おうとします。

元の立位姿勢に戻ろうとするとき、膝を曲げて骨盤を後方回転させて起き上がろうとします。

見た目に、「腰をかばって動かさない」ような感じとなります。

股関節が動かない場合は、腰椎が代償的に前方に動いて補おうとします。


症状として腰痛が生じますが、問題は脳にあります。

腸腰筋へのアプローチで症状が軽減します。

体幹屈曲時の腰椎固定が解放されるからです。

腸腰筋 プロメテウス解剖学運動器

塾生講座では、もう少し突っ込んだ解説をしました。

手足のりきみを抜くことにつながる、側屈や回旋と組み合わせると効果絶大です。

今週の大阪集中講座神戸集中講座で、詳しく解説します。

2019年1月21日月曜日

安部塾塾生サロン(オンライン)が、2月から始まります。

2月から、安部塾塾生サロン(オンライン)が始まります。

スマホでもパソコンでも、参加可能となります。

安部塾塾生サロン(オンライン) PC画面

塾生講座の内容を、遠方の方でもオンラインで学べるようにしていきます。

運営は、『自治』となります。

自治とは、『自分や自分たちに関することを自らの責任において処理すること』です。

安部塾憲章の『俯瞰して自ら正しく考え、正しく行動する』の具現化です。


具体的にどうしていくかを、スタートアップメンバーと考えています。

現在のところ、チャット形式で振り返り復習をやってもらえば、参加できなかった人にも伝わるかなと予想しています。

疑問点は、オンラインサロン内で解説し合って解消。

教えるのが、いちばん覚えますからね。


それぞれの塾生たちが能力を発揮し合って、与え合う仮想空間。

2月から始まります。


招待されるのを、楽しみにお待ちください。

2019年1月18日金曜日

深層筋で姿勢を正すということ

姿勢を正すと、肌が綺麗になり、精神的に安定し、体幹が使えるようになり、末端(手足)の力が抜け、存在そのものが美しくなります。

姿勢を正すとは、どういうことでしょうか?

体の構え方や心構えなどを改めてきちんと整えることと定義されています。

改まった態度で物事に面することです。

座位姿勢では、「居住まいを正す」などとも言います。

基礎の基礎として、姿勢を正すということが大切です。

姿勢を正さずに考えたり行動すると、道を外します。

姿勢と肌の状態はリンクしているので、肌の状態で姿勢を診断するといいかもしれません。

よくある勘違いとして、関節可動域で判断するというのがあります。

多くの場合、結合組織を過伸張してしまい、関節がゆるくなって、固有受容感覚に障害をきたすというパターンです。

関節がゆるくなると、筋が過緊張します。

いわゆる「関節がゆるくて、筋肉が硬い」という状態です。

柔軟性自慢の人たちが関節の痛みを訴える理由です。

また、浅(表)層筋で姿勢をつくろうとするのもまずいことになります。

浅層筋には持久力がないので、固まってしまうのです。

姿勢は深層筋で正すようにデザインされています。

浅層筋でつくった姿勢を続けていると、筋から脳への信号がノイズまみれになります。

言動がおかしくなってくることになります。

特に、眼つきがおかしくなります。

手も、固まってしまい、動きが乱暴になります。

深層筋で姿勢を正すと、心身が整います。

顔つきが柔和になり、手がやわらかくなります。

手の動きがなめらかでやさしく、見惚れてしまいます。

浅層筋で姿勢をつくっている人は、すぐに疲れてしまいます。

なので、できるだけ行動せずに結果を出そうとします。

他人を思い通りに動かしたくなるのです。

深層筋で姿勢を正している人は、行動しながら学びます。

身体を動かすのが楽しくて仕方がないのです。

よく、他人軸と自分軸といいます。

他人軸の人は浅層筋で姿勢をつくろうとした結果そうなっているということです。

首肩を固めて、「痛い痛い」って言うのが特徴です。

深層筋で姿勢を正している人は、そもそもが自分に軸があるのです。

首肩がやわらかく、痛みはありません。

古来より、姿勢を正してから考えるように促されている理由です。

浅層筋でつくった姿勢で考えるのは、最初から破綻に向かっていくようなものです。

初速も出ないうちに失速します。

宣言しては達成せずに撤回して、次の宣言をするということの繰り返しとなります。

基礎の基礎として、深層筋で姿勢を正すということを学び実践していくことをおすすめします。

今日からの安部塾東京講座で、熱く解説いたします。

2019年1月16日水曜日

筋肉連鎖と贈与の連鎖(互酬的贈与)~お返しをしたいという反応

身体機能解説や身体操作法の解説を仕事にしている人は、この本の内容を理解するといいかもしれません。

贈与論 (ちくま学芸文庫) マルセル モース


贈与論 より

『贈与論ーアルカイックな社会における交換の形態と理由』 は、フランス出身の社会学者、文化人類学者であるマルセル・モースによる社会学、文化人類学の書籍。

モースは本書において、贈与の仕組みと、贈与によって社会制度を活性化させる方法を論じた。

贈与の義務

物を与え、返すのは、互いに敬意を与え合うためである。人は自分自身や自分の財を他者に負っており、何かを与えるのは自分自身を与えることにつながる。贈与は双方的なつながりを作って他者を受け入れることにつながり、集団間の戦いを防ぐ。また、集団間の贈与で獲得した財は構成員に再配分される。このため、贈り物は与えなくてはならず、受け取らなくてはならず、しかも受け取ると危険なものになり得る。モースは贈与を構成する3つの義務として、与える義務、受け取る義務、返礼の義務をあげた。

1)与える義務:与えるのを拒んだり、招待をしないのは、戦いを宣するに等しい。ヨーロッパの伝承にもあるように、招待を忘れると致命的な結果となる。
2)受け取る義務:贈り物を受け取らなかったり、結婚によって連盟関係を取り結ばない、といったことはできない。受け取りを拒むのは、返礼を恐れているのを表明することにもつながる。
3)返礼の義務:この義務を果たさないと、権威や社会的な地位を失う。権威や社会的地位が財や富に直結する社会では、返礼が激しい競争をもたらす場合がある。

贈与と霊的な力

モースは、贈り物は人に対してでありつつも、神々や霊、自然の存在を念頭になされている点を指摘した。この世にある物の真の所有者は神々や霊であり、したがって交換が必要な相手、交換が危険な相手、そして交換が容易な相手も彼らだという思想にもとづく。

贈り物には霊的な力が宿っており、贈り物はもとの所有者や聖所に戻りたがるという性質も持つ。

引用ここまで

わかりやすくまとめてあります → 1507夜『贈与論』マルセル・モース|松岡正剛の千夜千冊

おそらく本当の価値観の互酬性を、今日の社会はほしがっているのである。それはポイントカードでは得られない。グルナビでも得られない。価値観の相当と充当は収入だけでも得られない。

 ポリネシアの「マナ」(大切にするもの)についての記述をあらかた了えて、モースはこう、書いていた。「贈与がもたらすもの、それは存在の名誉というものなのである」。

引用ここまで


筋肉連鎖と贈与の連鎖のシステムはよく似ています。

筋肉連鎖が感情をベースに行われることを考えたら、似ていて当然です。


思い出してみましょう。

1)贈与する義務
贈らないことは礼儀に反し、リーダーのメンツは丸つぶれに
2)受け取る義務
たとえ「ありがた迷惑」でも拒否する権利はない
3)返礼する義務
お返しは絶対。

これ、筋肉連鎖の初動と同じです。

与えられた動きを受けとないわけにはいかないし、返さないといけません。

末端から動きを始めるにせよ、中心から動きを始めるにせよ、原則は同じです。

末端から中心へ、中心から末端へ、動きという贈り物が連鎖していく。

それが、運動連鎖です。


翻って、身体操作法で生きていくということは、どういうことか?

これがわからない人は、体験レッスンやキャンペーンをうちます。

わかっている人は、ごにょごにょします(笑)。

贈与の連鎖を理解できていれば、筋肉連鎖も容易く理解できるのです。


現実社会の方がわかりやすいので、生活ネタで書いてみましょう。

『上から目線でアドバイスしてくる人(見下し感満載)』の人。

『まわりからアドバイスを求められる人(愛され感満載)』の人。

前者は憎まれ、後者は愛されます。


贈与の連鎖です。


上から目線で語られるアドバイスなど、誰も受けとりたくはありません。

結果的に、視ない・聴かないという返礼に出ます。

悪意には悪意が返ってくるのです。

シンプルです。


リキんだ動きを贈ると、故障(ケガ)が返ってくるのと同じです。


この理由で、リキみがある人は互酬的贈与の感覚が狂います。

結果、身体操作法の指導で食べていけないという事態に陥ります。


と、ここまで書いてみて、これは文章では伝わらないなと思いました。

明日の塾生講座で解説します。

2019年1月15日火曜日

熟達すれば結局全てのトレーニングが体幹トレーニングになる~中心でコントロールしきれれば末端は弛緩できる。

為末さんの一連のTweetが話題です。













→ 私のパフォーマンス理論 vol2 -体幹について-

体幹のようなものはどうしても魔法のように語られがちだが、結局使いこなすためには地道な試行錯誤しかない。体幹に力が入るようになれば何が起きるか。まず肩の力が抜け柔らかくなる。肩や身体の末端部に力が入るのは、中心部でコントロールしきれていないものを調整するために負荷がかかっているからだ。中心でコントロールしきれれば末端は弛緩できる。

引用ここまで

安部塾身体操作技法『Kagachi』

昨日、安部塾身体操作技法『Kagachi』の解説をしました。

「中心をコントロールする」というコンセプトで、2018年の1年間試行錯誤を重ねてきました。

これまでの『IBUKI』の動きで、「身体をつなげて使う」ということを意識させてきました。

しかし、一部の「首や肩に力が入ってしまう人たち」には、効果が出にくい傾向がありました。

2018年後半に、トリガーポイントセラピーの解説をしていて気がつきました。

「身体の末端部の脱力ができていない」

そこから、身体を中心で操作する龍舞の考えを全面的に取り入れた技法へのシフトが始まりました。


これは現実世界=実生活でも同じで、物事は中心から始めればうまくいきます。

身体操作が下手な人は、すぐに他人をコントロールしようとします。

身体操作が上手い人は、まずは自分をコントロールしようとします。

脳にとっての中心は自分自身なので、自分をコントロールするのが合理的です。


よく、自分の現実世界=実生活は全然うまくいっていないのに、他人の世話を焼きたがる人がいます。

心理学的には、うまくいっていないから余計な世話を焼きたがるとされています。

身体の末端に、不要な力が入りまくっています。

そして、身体を中心でコントロールすることができません。


結果、口(言葉)で他人をコントロールしようとします。

しかし、末端に力が入っている人の声は他人の心に響きません。

結果、言葉すら聞いてもらえないということになります。

原因が自分の身体操作の未熟さにあることに気がつくまで、この負の連鎖は止みません。


人は、握手をした瞬間、「この人は安心できる」と瞬時に判断します。

安心できる人の手には、余計な力が入っていないのです。

手に力が入っている人は、相手をコントロールしようとする人です。

安心できるはずがありません。


そんなわけで、やさしいタッチは、身体を中心でコントロールすることによって可能になります。

各地の集中講座で、解説していこうと思います。

2019年1月13日日曜日

足の裏をほぐす~足底外側バンドをやわらかくしよう

前回の塾生講座の復習用記事です。

足の裏を見てみましょう。

かかと⇔母趾球 > かかと⇔小趾球

って感じになっているかと思います。

このバランスが狂うと、いろいろ不具合が起こります。


外側バンド

で、外側バンドです。

ここが固まると、いろいろアレな状態になります。

一般的には、こんな対処をします。

足底のお手入れ

外側バンドの機能が改善すると、頭部まで好影響があることがあります。

いまでは日本全国津々浦々、普及していますが、外側バンドのテクニックは重要です。


安部塾では、もうちょっとマニアックにアプローチします。

動きが変わります♡

2019年1月12日土曜日

関節は骨と骨を連結し滑らかに動く仕組みになっています

説明が素晴らしいので、引用します。

関節の障害(膝関節を中心に) 近藤 泰紘
関節は骨と骨を連結し滑らかに動く仕組みになっています。

正常な関節では、骨と骨(膝関節では、大腿骨と下腿骨)との連結部は直接骨同士が接触してなくて、その接触面は軟骨が覆っていて軟骨面で互いに対面しています。

そしてその対面している軟骨の間には潤滑剤として粘液状の滑液(関節液)があり、関節の滑らかな運動ができるようになっています。

運動時の関節の摩擦は非常に少ないとされ、例えば氷の面でその上に氷を滑らせる状態と同じ程度のものといわれています。

この潤滑のための滑液を造るのが関節を包んでいる滑膜という薄い膜です。

この滑膜には、主に二種類の細胞群が並んでいて、一つは滑液を造る細胞群であり、もう一つは排物処理を行う食細胞群で、この二つの細胞群の機能により、関節内は絶えず新しい滑液に入れ替わり、良好な潤滑の状態が保たれています。

さらには、滑液は軟骨への栄養を補給するという大きな役目をしています。

軟骨には血管がありません。

他の大部分の組織は血液で栄養を受けて生きていますが、軟骨は滑液が軟骨の中に染み込むことによって栄養を受けているのです。

まとめると、滑膜は関節の潤滑と軟骨の栄養という二つの大きな役目を持っているということです。

これらの仕組みにより関節は滑らかで滑りのいい動きをしてくれています。

引用ここまで

関節 

安部塾の身体操作では、関節をなめらかに美しく動かすようにします。

骨と骨をぴったりと密着させて、流れるような動きをつくっていきます。

骨と骨をぶつけるような動きは避けます。

そのために、プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系と実際の触知によって、視覚的なイメージづくりに力を入れます。

プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 (第3版) 監訳:坂井 建雄/松村 讓兒


よく知られているように、僕たちは「視覚的にイメージできない動き」はできません。

目に焼きつけるようにお手本となる動きを視て、正確になぞる(トレースする)必要があります。

さらに、プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系の内容を、その動きとリンクさせます。

意味がわかった瞬間、動きが舞(人の本来の動き)になります。


プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系の書評です。

現場の教員と学生の悩みを汲み取って作られたアトラス
書評者:尾﨑 紀之(金沢大教授・機能解剖学)

 解剖学の教育が難しい理由の一つは,予備知識の全くない学生に(最初に学ぶ専門科目),2次元である教科書やスライドを用いながら,3次元である人体の構造をイメージさせ,難しい漢字(他の分野ではおそらく一生,書いたり読んだりしない)や英語で書かれた名称(解剖学用語)を,大量に(8,400語以上,臨床現場ではまだ全然足りない),しかも短時間(解剖学の講義実習時間はどんどん減っている)で身につけさせることだと思う。そのために一番有効なのは,解剖実習であるが,それをいかに実りあるものにするか,解剖学の教員は頭を悩ます。学生は「圧倒的な量の事実」を前に,途方に暮れる。解剖学は精巧で神秘的な私たちの体を自らの手で学ぶ興奮に満ちた学問であるのに。そしてそれらの学生が高学年に上がると,臨床の先生方から「解剖学の勉強が足りない」と暖かい叱咤激励を頂く。

 解剖学の教育が難しい二つ目の理由は,臨床を知らない学生に,その意義に基づいて教えることだと思う。

 『プロメテウス解剖学アトラス』は,現場の教員と学生の悩みを汲み取って作られた。

美しいイラストは,人体を立体的にしっかりと再現している。初学者にとって理解が難しい,構造と構造の境界や重なり,前後関係を『プロメテウス解剖学アトラス』は正確に描画しつつ,必要なところはしっかりと強調している。また,さまざまな角度からのあるいは深さのイラストが充実している。

人体の理解のために模式図は有効で,学生はそれで理解をする(した気になる)けれど,次にその模式図と実物との解離に悩む。『プロメテウス解剖学アトラス』の清潔感と実在感のあるイラストは模式図と実物との橋渡しをしてくれる。学生は,見たことのない言葉(解剖学用語)で書かれている解剖書を外国語のように読むが,『プロメテウス解剖学アトラス』では,図に書いてあることすべてが本文で説明されている。そして索引が充実している。さらに,その構造の理解がなぜ必要なのか,臨床医学との関連に基づいて説明してくれる。これほどの初学者目線が可能になったのは,学生の優れた学習環境を作るという目標の下,解剖学の基礎的理解と臨床上の意義という視点で本書が作られているからだろう。この構想は見事に成功した。

引用ここまで

僕が、プロメテウス解剖学アトラスをおすすめする理由そのものです。


話を戻して、骨と骨を連結し滑らかに動く仕組みを理解することが大切だと思います。

健康になる動きを探し求めるのではなく、不健康になる動きをやめるのが安部塾の流儀です。

そのための基礎を学ぶ講座を、マニアックな視点で解説する講座が始まります。

→ 体感する解剖学基礎講座


基礎の基礎を、堅実に地味に学びたい方は、ぜひ♡

2019年1月11日金曜日

関節はアルゴリズムによって動く~『関節の動き=感情』は脳内の生化学的プロセスによって生み出される


アルゴリズムとは より

ある問題状況において、正解を引き出すための一定の手続きまたは思考方法のこと。その通りに実行すれば必ず特定の結論に達するというもので、数学の公式やコンピュータのプログラミングはアルゴリズムの代表といえる。

数学や情報科学,あるいは関連する分野において,有限回の手続きによって,問題を解決するための一定の手順。

ある特定の問題を解いたり、課題を解決したりするための計算手順や処理手順のこと。これを図式化したものがフローチャートであり、コンピューターで処理するための具体的な手順を記述したものがプログラムである。

引用ここまで



ホモ・デウス 下 テクノロジーとサピエンスの未来 ユヴァル・ノア・ハラリ 著

ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来 ユヴァル・ノア・ハラリ 著

もし「自由意志」とは自分の欲求に即してふるまうことを意味するなら、たしかに人間には自由意志がある。

人はこれらの願望のひとつとして自分では選んでいない。特定の願望が自分の中に沸きあがってくるのを感じるのは、それが脳内の生化学的プロセスによって生み出された感情だからだ。そのプロセスは決定論的かもしれないし、ランダムかもしれないが、自由ではない

引用ここまで

特設サイト →「ホモ・デウス」テクノロジーとサピエンスの未来 特設サイト|河出書房新社

すごくわかりやすい図解 → ホモデウス図解、要約してみた|nogacchi|note


「生き物はアルゴリズム」
「生命はデータ処理」


僕たちは、外界からの刺激を受けて感情を発生させます。

その感情に基づいて、アウトプット(行動)を実行します。

関節の動き=感情は、脳内の生化学的プロセスによって生まれるのです。

感情はプログラムなのです。


感情は、外界からの刺激に対するアルゴリズムとして組み込まれています。


これが、関節の動きを改善しようと指導したときに、感情的に反発される理由だと思います。

人間(生物)の思考・感情・行動は、脳内物質などがもたらす生化学的なアルゴリズムに従っている。

と、いうことです。

AI(人工知能)とは、人間のアルゴリズムをコンピューターのアルゴリズムに置換したものです。

ホモ・デウスにあるように、これからの世界は『データ主義』に移行すると思います。

僕はもう実行していますが、データに基づいて行動した方が好結果となります。


さて、関節の動きを理解するためには、人間が幸福感を感じる仕組みを理解する必要があります。

人間という生物は、生化学的に逆説的な有機生命体です。

このため、『苦』という要素が必要になります。

何か満たされない問題があって、それを解決・解消できたときに幸福感を感じるというアルゴリズムを採用しているからです。

このアルゴリズムで動いている人の関節の動きはなめらかで美しいのが観察できます。


何か満たされない問題があるとき、他の何かに依存してしまうというアルゴリズムを採用している人もいます。

そんな人の関節の動きはぎくしゃくしており美しくありません。

扁桃体が過興奮(暴走)しやすく、『闘争・逃走反応』モードにすぐに入ります。

結果、関節の動きが悪いだけでなく、同時に慢性痛を抱えています。


生化学的に、慢性痛を感じているときには、幸福感を感じることはできません。

正しく身体を動かすと、闘争・逃走反応を引き起こしている生化学物質が消費されます。

この結果、生化学的に慢性痛が消失します。

正しい運動をすると幸福感を感じるはメカニズムです。


つまり、苦しみをなくそうとすると、同時に幸福感も消失してしまうことになります。

逃れることができない『生きる苦しみ・死ぬ苦しみにきっちり向き合うこと』が必要なのです。

人間という有機生命体のアルゴリズムは、そうなっているのです。

なので、他人がつくった「しあわせになる方法」は無効=ただの依存だということになります。


「俯瞰して自ら正しく考え、自ら正しく行動する」というアルゴリズムが採用できれば面白いことになります(という判断すら、アルゴリズムで決まるのですが)


こんな研究があります。

→ 動物の争いでいつ降参するかを決める神経回路 -手綱核-脚間核神経回路が争いの優劣を決めるメカニズムに関与-

研究チームは、闘争や逃走、すくみ反応など、動物のさまざまな防御行動に関わるとされる中脳水道周囲灰白質(PAG)[1]に情報を伝える、「手綱核—脚間核神経回路[2]」に注目しました。この神経回路は、魚類からほ乳類まで進化的に保存されています。

背側手綱核の2つの回路のうち、外側からの回路の働きを人工的に抑制すると、魚は負けやすくなり、内側からの回路を抑制すると、負けにくくなりました。さらに詳しい解析により、背側手綱核の外側からの回路は闘争を持続させやすくし、内側からの回路は闘争を終わらせやすくするように働いていることを発見しました。このことは、手綱核と脚間核をつなぐ2つの回路が競合し、いわゆる「逃走か、闘争か」という正反対の行動のうちの1つが誘導されて、動物同士の優劣が決定されることを示しています。

これらの回路は魚からヒトまで共通であることから、広く動物の闘争行動を制御していると考えられます。ヒトの社会におけるさまざまな優劣が決定される過程にも、関与している可能性があります。

いつ争いを終わらせるかは、争いにおける身体的ダメージなどの蓄積によって受動的に決まるのではなく、両者の力関係を脳内で計算し、その情報を基に手綱核の外側、内側の2つの回路が競合した結果判断される可能性が示されました。

引用ここまで


もうおわかりだと思いますが、関節を壊すような動きをしている人がその動きをやめるのは、身体ダメージの蓄積によって受動的に決まるのではないようです。

自分の関節がどうなっているのかを脳内で計算した結果、やめることができるのです。

つまり、どこまで関節が壊れても、計算ができない人は問題のある運動をやめないということになります。

言い換えれば、『自滅するアルゴリズム』に操られている(自由意思がない)ということになります。


昨年の年末、ホモ・デウスを熟読したことで、いろいろ諦めることができました。

「積極的に諦める」というアルゴリズムを採用したということになります。

「他人の思考・感情・行動を変えることはできない」のは、それがその人のアルゴリズムによるものだからです。


ホモ・デウスより

人間が取り残されないためには、一生を通して学び続け、繰り返し自分を作り変えるしかなくなるだろう。

引用ここまで

ユヴァル・ノア・ハラリ氏の言葉

「人生を通じて変化すること。そのために、柔軟な心を持つことが、とても大切です」


ここで、『易経(変化の書)』が活きてくることになるわけですが、それについては今日の塾生講座で解説します。

最新の脳科学研究と、古代の易経の内容を照合すると面白いです。


真面目なインストラクターの多くが悩んでいる問題。

「どうして、間違った動きをやめてくれないのだろう。話を聴いてくれないのだろう」

その答えは、相手のアルゴリズムがそうなっているからであり、問題の責任はすべて相手自身にあるということにあります。

改善するためのアルゴリズムが生化学的なものであるので、言葉による解説が難しいのです。


そう。

「言葉による解説を理解して、自分自身を作り変える」という人にだけ効果があるということになります。


というか、正解を引き出せないのであれば、それはアルゴリズムというよりは自滅プログラムなんですよね。

自分で自分を攻撃する人については、この記事がわかりやすいかもしれません。

→ 人の細胞の中にある自滅するシステム。アポトーシス。

自己免疫性疾患と同じようなメカニズムが、自分で関節を壊す人にもはたらいているというわけです。


今日の塾生講座で、「関節の動きとアルゴリズム」の解説をします。

2019年1月10日木曜日

2019年は、身体を変えるのに最適な年です。関節を密着させてぴったりとハメましょう。

2019年は、「変化の年」です。

つまり、「やりたいことをやる年」となります。

正確には、「ほんとうにやりたいことをやる年」です。

ほんとうにやりたい目標であれば、自然と仲間が集まり、好結果が得られます。


間違った目標を立ててしまうと、変化の年だけに、一気に破綻に向かいます。


身体を変えるのにも最適な年です。

選ぶトレーニング(エクササイズ)とトレーナーが正しければですが。

間違ったトレーニングやトレーナーを選ぶと破綻します。

球関節

目標を間違わないためには、関節をぴったりと密着させることが必要です。

ぴったりとハマった関節は、とても滑らかに美しく動きます。

関節がぴったりとはまっている人の姿は、ただ立っているだけで見惚れてしまうほどです。

関節から脳への雑信号(ノイズ)がいかないので、思考が冴えわたります。


関節をハメる動きとしては、安部塾身体操作技法IBUKIの屈曲・伸展・対角線連鎖がおすすめです。

14日の薬院校集中講座で、IBUKIの進化型の『Kagachi』の解説をします。

関節をハメることに特化した、寝転がって実践する身体操作シークエンスです。

大きく進化したのは、肋骨と骨盤の動きの改善です(これにより効果が爆あげ)。


ぴったりと密着してハマった関節。

そんな最適化された関節の状態で、「やりたいことリスト」をつくりましょう。


有名どころでは、この本です。

人生の100のリスト  著:ロバート・ハリス

ほとんどの人は、自分がほんとうにやりたいことが明確になっていません。

なので、まずは「やりたいことリスト」をつくる必要があります。

このとき、「実現できるかどうか?」を考える必要はありません。

そしてここで、2019年安部塾独自の(笑)、関節機能テストをやってみましょう。


球関節である肩関節と股関節と眼球・眼窩。

球関節とは、「関節のうち接合部分が球状をしており、最も自由度の高い運動が可能なもの」です。

ピッタリとハマった肩関節・股関節の動きはなめらかで美しいというのは、さっき書きました。

同じ理由で、ぴったりと眼窩にハマった眼球の動きも滑らかで美しいのです。

球関節

何が言いたいかというと、間違った目標設定をしている人の関節の動きはぎくしゃくしているということです。

目標設定が正しい人の関節の動きは、なめらかで美しいというわけです。

つまり、関節の動きを観察すれば、目標設定が正しいかどうかは瞬時に判別できます。

顔写真と立ち姿勢の静止画像でも判断できます。


目標設定を間違っている人の目のヤバさは、素人目にもわかると思います。

「目を合わせたくない」と感じるはずです。

腕や脚の動きも、「なんだか詰まったような感じ」がするのでわかると思います。

ほとんどの場合、目がヤバイ人の関節の動きはぎくしゃくしているはずです。


これに対し、目標設定が正しい人の目は「目を合わせたくなる」ものです。

目を合わせて、見つめ合いたいと思わされるのです。

腕や脚の動きも、「ずっと見ていたい」「このまま時間が止まればいいのに」的な美しさです。

ほとんどの場合、目を合わせたい人の関節の動きはなめらかなはずです。


他にも、「重心の位置」に決定的な違いがあります。

目標設定が正しい人の重心は安定しています。

目標設定を間違っている人の重心は不安定です。

触れてもらえばすぐに判別できますが、目標設定が間違っている人のタッチは雑です。


目標設定が正しい人のタッチは、ずっと触れていて欲しいと思わせる精妙さがあります。


重心の位置のとり方が悪いとケガをします。

この理由で、タッチが荒くて雑な人は、しょっちゅうケガをしています。

関節が不要な衝突を繰り返すので、軟部組織が破壊されて炎症状態となります。

詳しくは、身体運動学で学んでください。


大幅に話を戻して、自分の目標設定が正しいかどうかを、関節の機能テストで精査しましょう。

ほんとうにやりたいことであれば、関節の機能テスト結果は良好なはずです。

寂しかったりとか、欲に目がくらんでのやりたいことであれば、不良だと思います。

関節機能テストの結果が不良の場合は、やりたいことリストから外すのが安部塾流です。


僕のTwitterで、いろいろTweetしていますので、興味がある方はフォローしてください。


関節機能から考えてみると、「今年は~します」と宣言したことは実現しにくいのです。

これに対し、「ほんとうにやりたい」と「ときめいたこと」は実現しやすくなります。

「僕のことを認めて欲しい・かまって欲しい」という承認欲求を世界に向けてもハブられるだけです。

寄ってくるのは、孤立感(寂しさ)を利用してやろうという悪質な人たちばかりです。


良質な関節の動きは、良質な思考を生みだします。

良質な思考は、良質な行動を生み出します。

良質な行動は、良質な人たちとのつながりを生み出します。

良質な人たちとのつながりは、良質な関節の動きを生み出します。


『良質な変化』とは、そういうものです。


良質な変化が起き出すと、悪質な人たちとの縁が切れていきます。

関節がぴったりと密着してハマりだすと、関節をハメようとしない人たちとの縁が切れるのです。


「バラバラになったものを、くくる」

2019年の安部塾のテーマは、「くくる」です。

関節をくくっている靭帯・関節包・筋肉・腱・筋膜などなど。

行動の最小単位である関節の動きでつまずかないために、くくることから始めましょう。


長文になりましたが、「関節の凹(陰)と凸(陽)が密着してぴったりとハマっている状態で、目標を設定しましょう」ってことです(笑)。

国東 陰陽和合

今日の塾生講座は、「関節をくくる」「やりたいことリストと関節」の解説をします。

(13:30~、15:30~、21:00~の怒涛の勢いです)

2019年という身体変化のチャンスを逃さないよう、御参加ください(笑)。

2019年1月9日水曜日

すべての関節の動きを最適化する身体操作技法『Kagachi』~身体操作の基礎である『這(は)い』を極める。

1月14日(月・祝)の薬院校集中講座で公開する身体操作技法『Kagachi(かがち)』。

マット上で、「あおむけ」「よこむき」「うつぶせ」で行うシークエンスです。

すべての関節の動きを最適化することを目的とします。

当然のことですが、全身のすべての関節が練習の対象となります。


体位は、床に寝た状態で行います。

仰臥位(ぎょうがい)=背臥位(はいがい)=あおむけ

・側臥位(そくがい))=横臥位(おうがい)=横向き
※右側を下にした姿勢を右側臥位・左側を下にした姿勢を左側臥位といいます。

伏臥位(ふくがい)=腹臥位(ふくがい)=うつぶせ


蛇のように這(は)って行うので、蛇(へび)の古語である「かがち」から命名しました。

吉野裕子先生は、「日本の土俗のマツリの根幹には『蛇』がある」と書いてあります。

僕たち日本人は、動きを蛇に見立てるという能力があります。

日本人のための身体操作を考えるとき、この点は外せないと思います。


『Kagachi』命名の、きっかけは『香々地(かかぢ)』です。

大分県豊後高田市香々地 夷谷

山脈が蛇の這う状態をしています。

「床で身体を研磨する(フロアワーク)」ということを考えたとき、香々地の山のイメージが浮かびました。

そして、2018年の大晦日に、龍神社前にて華鳥風月の舞を降ろさせていただきました。




舞を降ろす二人を見つめながら、「Kagachiを本気で仕上げたい」と感じました。

安部塾身体操作技法IBUKIで舞う二人も美しかったのですが、香々地で舞うのであれば身体操作技法Kagachiで舞を降ろすのが道だと思いました。


安部塾の身体操作のテーマとして、「日常の動作のすべてが舞となる」というのがあります。

「舞うように生きる」のが、僕が考える身体操作の究極形態です。

舞うために必要な基礎とは何か?

『這(は)いの動き=這うという動作』です。


最近ではスポーツトレーニングの世界で、発育・発達の解説がなされています。

薬院校開校当時の安部塾でも、その視点でさまざまな動作をしてきました。

同様に、トカゲの動きも流行しました(武術の世界の『這い』も含みます)。

そんな中、「やはり、蛇の動きを目指すべき』だという想いが強くなりました。


僕たちは、蛇をまつってきたDNAをもつ日本人です。

その誇りを、忘れてはならないと思ったのです。


とはいえ、別にクネクネするわけではありません。

すべての関節の動きを最適化するために、設計された機能通りに関節を動かします。

結果として、蛇のような動きができるようになりますが、それはあくまで結果です。

プロメテウス解剖学を基礎に据え、正確無比な身体操作を目指します。


シークエンス化したので、自主練習が捗(はかど)ります。

福岡以外の各地では、2月よりKagachiのシークエンスを降ろします。

楽しみにお待ちください。